【住宅改修費用の支援制度】介護保険法と障害者総合支援法の利用方法

ディスプレイ広告
スポンサーリンク
基礎的評価
記事内に広告が含まれています。
リハビリくん
リハビリくん

いつも当サイト(rehabilikun blog)の記事をお読みいただき誠にありがとうございます。また、初めましての方はよろしくお願い致します。サイト管理者のリハビリくんです!

   

この記事は「住宅改修費用の支援制度」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるように心掛けております。それでは早速、内容に移らせていただきます。

  

リハビリテーション専門職は住宅改修の知識を身につける必要があります。特に介護保険分野で働く方は、住宅改修に関わることが多いのではないでしょうか?

  

私が訪問リハビリテーションを経験して間もない頃、初回訪問で利用者様のお宅に伺い、ケアマネージャーから住宅改修はどうしましょうか?と相談されましたが、恥ずかしくも住宅改修や福祉用具の知識が不足していたため、自信を持った回答が出来なかった経験があります☹

  

リハビリテーション専門職として、住宅改修や福祉用具について明確な助言ができるかどうかで、利用者様・ご家族様およびケアマネージャーをはじめとする介護に関わるスタッフの信頼度に大きく関わる問題となります。そのため、こちらの記事で住宅改修費用の支援制度について解説していきます!

リハビリくん
リハビリくん

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士として働いていると、一般的な会社員とは異なるリハビリ専門職ならではの苦悩や辛いことがあると思います。当サイト(rehabilikun blog)ではそのような療法士の働き方に対する記事も作成し、働き方改革の一助に携わりたいと考えております。

  

理学療法士としての主な取得資格は以下の通りです

登録理学療法士

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級

ディスプレイ広告
スポンサーリンク

住宅改修で利用できる制度とは?

高齢者や障害者の在宅生活を支える上で、住環境の整備は極めて重要です。転倒予防や動線の確保、トイレや浴室の安全性向上など、住宅改修の必要性は多くの場面で見受けられます。

その際に活用できる代表的な制度として、介護保険法に基づく「住宅改修費の支給」と、障害者総合支援法に基づく「日常生活用具給付等事業」があります。さらに、自治体独自の助成制度や、住宅リフォームに対する一般的な補助制度など、幅広い選択肢が存在します。

主な住宅改修に関する制度一覧

各制度の概要や適用条件、活用のポイントを医療・介護従事者の視点から解説します。

  1. 介護保険制度による「住宅改修費の支給」

要介護認定を受けた被保険者が在宅生活を継続するために、手すりの取り付けや段差の解消、滑り防止などの改修を行う場合、原則として上限 20 万円(1 ~ 3 割自己負担)までの費用が支給されます。改修前にケアマネジャーのケアプランや事前申請が必須であり、医療職としては、ADL・IADL の観点から必要性を評価し、計画段階から関与することが求められます。

  1. 障害者総合支援法に基づく「日常生活用具給付等事業」

身体障害者手帳などの交付を受けた方を対象に、入浴・移動・排泄等を補助する用具や、住宅改修に関する給付が行われます。改修内容は介護保険と重複する場合もありますが、介護保険が優先適用される点に注意が必要です。特に障害認定と年齢要件(65 歳未満)の関係を理解しておくと、制度選択の助けになります。

  1. 自治体による住宅リフォーム助成制度

多くの自治体では、高齢者・障害者の転倒予防やバリアフリー化を目的とした独自の助成制度を設けています。内容や支給額、対象者の要件は自治体ごとに異なるため、地域包括支援センターや福祉課との連携が不可欠です。介護保険や障害者総合支援法の対象外となる軽微な改修にも適用できる場合があります。

  1. その他の制度(高齢者住宅改修助成制度、民間保険等)

地域によっては、医療・介護制度とは別枠で、住宅改修費の一部を助成する制度が設けられていることもあります。また、一部の民間保険や団体保険では、住宅改修に関する給付金が含まれる場合もあるため、患者本人や家族が加入している保険内容の確認も重要です。

医療職が関与する意義と実践のポイント

医療従事者が住宅改修に関与する意義は、単なる制度紹介にとどまりません。生活機能のアセスメントを通じて、「どのような環境整備がその人の自立支援や安全確保につながるか」を明確にすることが大切です。実際には、福祉用具専門相談員、ケアマネジャー、建築業者との多職種連携が求められ、改修内容が過剰や不適切にならないような調整も必要です。

介護保険法による住宅改修とは

介護保険法第 1 条では、「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となった者に対し、その有する能力に応じた自立した生活の支援」を目的として掲げています。この理念に基づき、第 45 条では、市町村が要介護者に対して住宅改修費を支給できる旨が明記されています。

つまり、住宅改修の支給は「利便性の向上」ではなく、「要介護状態の軽減または悪化の防止」「自立支援」を目的としていることが前提です。また、医療・リハビリ職と介護職との連携を踏まえた計画的な改修が求められます。

給付の対象と自己負担について

介護保険における住宅改修費の支給限度額は原則 20 万円(原則 1 回限り)で、その 9 割(または 8 割・7 割)が保険給付され、残りを自己負担する仕組みです。たとえば 1 割負担の場合、実質負担額は 2 万円となります。

支給限度額は以下の場合に再設定が可能です。

  • 要介護状態の区分が著しく重くなった場合
  • 転居により住環境が変わった場合

給付対象となる改修内容は、以下のように厚生労働大臣が定めた項目に限定されています。

【住宅改修の対象例(令和 2 年 6 月改訂版)】

  • 手すりの取り付け
  • 段差の解消(スロープ設置や床材変更など)
  • 滑り防止・移動円滑化のための床材変更
  • 引き戸等への扉の取り替え
  • 洋式便器等への便器の取替え
  • その他、上記に付帯して必要な改修(例:下地補強)

利用の流れと実務上のポイント

住宅改修を利用する際には、「事前申請→施工→事後申請→償還払い」という手順を踏む必要があります。

【申請と実施の流れ】

  1. 担当ケアマネジャーへの相談
  2. 専門業者による現地調査と見積もり作成
  3. 市町村への事前申請(必要書類:申請書、理由書、改修前写真、図面、見積書など)
  4. 市町村からの承認後、施工実施
  5. 改修後、事後申請(改修後写真、領収書など)
  6. 給付金の支給(償還払い)

なお、市町村によって書類や審査プロセスが異なるため、事前の確認が重要です。

理学療法士として関与する2つの場面

筆者の臨床経験上、住宅改修を検討する主なタイミングは以下の2つです。

  1. 自宅退院に向けた退院前訪問

入院・入所中の利用者が在宅復帰するタイミングでは、退院前訪問指導にて医療職(PT・OT等)、ケアマネジャー、福祉用具専門相談員が同席し、住環境の評価を行います。このときに生活課題を踏まえた住宅改修の必要性を提案し、改修内容を具体化します。

  1. 在宅サービス開始後の実態調査時

訪問リハビリテーションや通所リハビリなど、介護保険サービス利用開始時の初回訪問において、住環境の確認と実態調査を行います。この際にも、生活上の動作困難に基づいて住宅改修を提案する機会が多いです。現場では、ベッド周囲、トイレ・浴室、玄関まわりの安全性確保が中心となります。

障害者総合支援法による日常生活用具給付等事業

「日常生活用具給付等事業」は、障害者総合支援法に基づき、市町村が実施する地域生活支援事業(必須事業)のひとつです。この制度は、障害者や難病患者等が地域で安心して生活できるよう、日常生活を円滑に行うための用具を給付または貸与することを目的としています。自立支援や QOL の向上を目指す重要な仕組みであり、医療・リハビリ職がその趣旨と対象を正しく理解することで、より適切な支援が可能となります。

給付対象となる用具は、「便器」「入浴補助用具」「移動補助用具」「火災警報器」など多岐にわたり、詳細は厚生労働省や各自治体が公開する資料で確認することができます。

利用者負担と財源の仕組み

この事業では、介護保険と異なり、明確な支給限度額はありません。費用の負担は以下のように分担されます。

  • 国:50 %
  • 都道府県:25 %
  • 市町村:25 %

ただし、利用者も一定の自己負担が発生するのが一般的であり、多くの自治体では費用の 1 割程度を自己負担とする仕組みを採用しています。

なお、自己負担額は世帯収入や課税状況により減免措置が適用されることもあるため、詳細は各市町村の障害福祉課への確認が必要です。

対象者と給付の要件

「日常生活用具給付等事業」の対象者は、次のような日常生活に用具を必要とする障害者・障害児・難病患者等です。対象となる難病は、政令で定められた特定疾患に限られます。

特に住宅改修や移動補助用具の給付を希望する場合は、機能障害の種類と等級に応じた条件が定められており、以下のいずれかに該当する必要があります。

【主な対象者の条件】

  1. 下肢機能障害または体幹機能障害があり、障害等級が 1 ~ 3 級の方
  2. 乳幼児期以前の非進行性脳病変により移動機能障害があり、障害等級が 1 ~ 3 級の方
  3. 肢体不自由のみの障害等級が 2 級以上で、下肢または体幹機能障害を有する方
  4. 難病患者等で、下肢または体幹機能に障害を有する方

また、すでに介護保険制度の対象となっている場合(要介護認定済)には注意が必要です。

【介護保険との関係】

  • 65 歳以上の方:介護保険制度が優先適用
  • 40 歳以上 65 歳未満の方で、特定疾病に該当する場合:介護保険制度が優先適用

つまり、障害者総合支援法に基づく用具給付等は「介護保険の対象外であるとき」に限り適用されるため、制度の選択において医療職の判断と助言が非常に重要になります。

利用の流れと実務上の留意点

申請手続きは、事前申請が原則となっています。市町村の障害福祉課等に相談し、対象者の状態に適した用具・改修の必要性について確認を行います。

【利用手順の例】

  1. 市町村の障害福祉担当窓口へ相談
  2. 対象用具・改修の要件を確認
  3. 申請書類の提出(申請書、医師意見書、見積書、現況写真等)
  4. 市町村の審査・決定
  5. 業者による施工・納品
  6. 給付(もしくは貸与)の実施

施工後の申請は原則認められません。必ず事前に自治体の承認を得る必要があります。

理学療法士としての関わり方

理学療法士や作業療法士などのリハビリ職がこの制度に関与する際には、対象者の移動能力や ADL 評価に基づき、適切な用具や改修内容を選定・助言することが重要です。また、医師の意見書に添付する「専門職の所見」などに協力することもあります。

住宅改修や用具導入において過剰な支援とならないよう、本人の残存能力を活かした生活設計を支援する姿勢が求められます。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では、介護保険法・障害者総合支援法による住宅改修費用の支援制度について解説させて頂きました!

介護保険法と障害者総合支援法、この2つの制度は、いずれも「福祉用具の導入」や「用具の設置」に必要な小規模の改修が対象となっていることを十分に理解して、対象者の生活に即した住宅改修計画を立案することが重要になります。

住宅改修に関わるうえで最も重要なことは、対象者が安全に生活できるように、適切な助言をしたり、視野を広くもって問題点に気づくことができるスキルになると思います。

しかし、こういった制度的なところをしっかりと理解しておくと利用者様やそのご家族様は安心され、信頼関係にも繋がると思います。是非、自分が働く市町村の制度は確認しておきましょう。

参考文献

  1. 上村智子.介護保険制度下の居住環境整備サービスによる虚弱高齢者の支援.リハビリテーション医学.2004,41,p788-794.
  2. 岡本久子.介護保険制度の住宅改修におけるケアマネジャーの役割.花園大学社会福祉学部研究紀要.2019年3月,第17号,p93-103.

コメント

  1. […] 例えば、玄関や廊下、トイレ、浴室などに手すりを設置することで、立ち上がりや移動を安全に行うことができます。段差を解消したり、スロープを設置することで、車椅子での移動もスムーズになります。また、床の滑り止め対策や、引き戸への変更なども、転倒予防に効果的です。以下に、住宅改修の具体的な例と、期待できる効果を示します。 住宅改修には、介護保険や障害者総合支援法による補助金制度が利用できる場合があります。[2] 詳細はお住まいの自治体や地域包括支援センターにお問い合わせください。 […]

タイトルとURLをコピーしました