【嚥下機能評価スケール6選】誰が評価する?【スクリーニング検査】

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摂食・嚥下
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リハビリくん
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この記事の内容
  1. この記事は「嚥下機能評価スケール6選」をキーワードに内容を構成しています。
  2. 食事中にむせる、飲み込みづらい…そんな違和感を放置していませんか?
  3. 嚥下機能の低下は、誤嚥性肺炎など重大な健康リスクにつながる可能性があります。
  4. そこで注目されているのが「嚥下機能評価スケール」です。医療や介護の現場で広く活用されており、リスクの早期発見や適切な対応に役立ちます。
  5. 本記事では、嚥下機能評価スケールの種類や特徴、活用方法についてわかりやすくご紹介します。
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理学療法士として以下の経験と実績を持つリハビリくんが解説します♪

リハビリくんの実績
  1. rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設
  2. 2025 年 7 月時点:184 記事公開(月間 3 万 PV)
  3. 実務経験(医療機関、介護福祉施設、訪問リハビリ等)
  4. 講師活動(脳卒中、褥瘡等をテーマに複数回講演)
  5. 脳卒中 認定理学療法士
  6. 褥瘡 創傷ケア 認定理学療法士
  7. 3 学会合同呼吸療法認定士
  8. 福祉住環境コーディネーター 2 級
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超高齢社会と摂食嚥下障害

2024 年現在、本邦は超高齢社会を突き進む最中であります。超高齢社会では、医療・福祉のあり方をはじめ、社会保障制度や財政の問題、現役世代の減少・及び人口減少に伴う経済成長率の低迷、また、高齢者の QOL の低下といった様々な問題が生じることとなります。

そのような中、食べる機能でいえば摂食嚥下障害を患う高齢者が著しく増加していくことが予想され、摂食嚥下機能の低下が上述した QOL の低下などに直結していくことになります。

臨床では、経管栄養ではなく可能な限り 「口からものを食べる」ことができるように、介護を含めた医療の現場では、様々な取り組みや工夫が実践されています。

このような背景を考慮すると摂食嚥下機能を評価して適切な食形態の食事の提供をすることは特に重要であり、これを怠ると食物による誤嚥や窒息事故に繋がることになります。

嚥下機能評価には、スクリーニング検査から嚥下造影検査まで種々の方法があります。嚥下機能評価の gold standard は嚥下造影検査になります。

しかし、嚥下造影検査を行うには X 線透視装置などの設備が必要となるため、重要な検査ではあることに間違いありませんが、医療の現場で広く行われているとは言いがたい状況にあります。

一方、言語聴覚士や看護師を中心として、適切な知識を有していれば誰にでも評価することが可能であるスクリーニング検査については、特殊な機器を必要としないこともあり、医療・介護に留まらず様々な場面で広く活用することができます。

スクリーニング検査は、摂食嚥下障害における評価として様々な方法が開発されており、その有効性に関する検証も行われております。

スクリーニング検査の目的と種類

スクリーニング検査はその名の通り、スクリーニング(ふるい分け)をするための検査になります。

摂食嚥下障害の診療において、スクリーニング検査によって嚥下障害の有無や嚥下機能に関する問題点をある程度把握することが最大の目的となります。

摂食嚥下障害におけるスクリーニング検査の目的を箇条書きで表すと以下のような項目をあげることができます。

  • 摂食嚥下障害が疑われる対象者の選別
  • 摂食嚥下障害の程度を推定
  • 摂食嚥下障害の原因を推定
  • 嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査などの精密精査が必要な対象者の選別
  • 複数のスクリーニング検査によって評価の精度を上げる
  • 患者の基本情報を聴取し多面的に評価する

摂食嚥下障害のスクリーニング検査では効率の良い検査法が求められます。そのため、以下に示したような要件を満たした検査が必要になります。

  1. 安全な検査方法である
  2. 検査が簡便である
  3. 迅速に実施することができる
  4. 低コストである

また、スクリーニング検査の方法としては、いくつか種類があり大きく分けると質問紙法と実測法に分類することができます。

質問紙法は対象者に自己記入してもらうか、対象者の家族や職員に尋ねてアセスメントします。質問紙法には以下のようなスクリーニング検査があります。

  1. 簡易嚥下状態評価票(EAT-10)
  2. 聖隷式嚥下質問紙

実測法は摂食嚥下に関する食べたり飲んだりする実際の場面を観察しながらアセスメントします。実測法には以下のようなスクリーニング検査があります。

  1. 反復唾液嚥下テスト(RSST)
  2. 改訂水飲みテスト
  3. フードテスト
  4. 咳テスト、簡易咳テスト

摂食嚥下障害のスクリーニング検査は、簡便性や信頼性に加えて妥当性(感度と特異度)が高いことが重要になります。

近年、摂食嚥下障害のスクリーニング検査の重要性が認知されるとともに、妥当性(感度と特異度)を考慮した上で、様々な施設から独自の評価方法が報告されています。

簡便性や信頼性に加えて妥当性(感度と特異度)が認められた摂食嚥下障害のスクリーニング検査について、質問紙法から 2 種、実測法から 4 種を抜粋し紹介していきます。

簡易嚥下状態評価票(EAT-10)

EAT-10 は嚥下機能を測定するための評価スケールになります。 10 個の質問に答えるだけで飲み込み機能を評価できるセルフチェック表となっております。言語聴覚士のような嚥下に関する専門職でなくても、嚥下に不安を感じるご本人や家族主体でも使用できることが特徴になります。

各質問の回答はそれぞれ、0点、1点、2点、3点、4点と計算され、10個の質問の合計を算出します。得点範囲は最小0点、最大40点となり得点が高い程、嚥下機能の低下が重度となります。

カットオフ値としては、合計点が3点以上であれば嚥下障害が疑われます。3点以上の場合は、医師へ相談することが推奨されます。

EAT-10 については、他の記事で詳しくまとめておりますので、こちらもご覧になって頂けると幸いです☺️ 【EAT-10:摂食嚥下障害のスクリーニングについての記事はこちらから

聖隷式嚥下質問紙

聖隷式嚥下質問紙は聖隷三方原病院での臨床経験や文献から、摂食嚥下障害と相関の高いと思われる項目を選択し、高齢者でも回答しやすいように 作成された質問紙となっています。

出典:日医行株式会社HP

15 項目の質問から構成されており、「肺炎の既往」「栄養状態」「咽頭機能」「口腔機能」「食道機能」「声門防御機構」など摂食嚥下機能に深く関与する内容について反映される構造となっています。

回答方法は「重い症状:A」「軽い症状:B」「症状なし:C 」の 3 つの選択肢から選択する 3 件法になります。

15 項目中 1 項目でも「重い症状:A 」の回答があれば「摂食嚥下障害の存在を疑う」という判定になります。高い感度と特異度を有していることから、摂食嚥下障害のスクリーニング検査として精度が高いといえます。

最近では、元々の方法を従来型として「重い症状:4 点」「軽い症状:1 点」「症状なし:0 点」とスコア化し、合計点で摂食嚥下障害の危険性を推測する方法も報告されております、

反復唾液嚥下テスト(RSST)

反復唾液嚥下テスト(RSST)は水も食べ物も使用しないスクリーニングテストになります。空嚥下を行うことで、機能を評価することができるため安全性にも優れています。言語聴覚士や看護師以外の職種でも扱いやすいスクリーニング検査だと考えます。

RSST の測定肢位は座位が推奨されています。「30秒間にできるだけ多く(ゴックンと)唾液の飲み込みを行ってください」と指示し、嚥下反射(空嚥下)の回数を計測します。

嚥下反射は第2指と第3指の指腹で喉頭隆起と舌骨をそれぞれ触診し、喉頭挙上・下降運動を確認します。

30秒間に3回をカットオフ値とし、2回以下を陽性とします。実施を試みたけど0回だったパターンと、そもそも測定自体が不能であったパターンは『0回と実施不能』で区別して記録します。

反復唾液嚥下テスト(RSST)については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【反復唾液嚥下テスト(RSST)についての記事はこちらから

改定水飲みテスト(MWST)

改定水飲みテスト(MWST)は少量(3ml)の冷水を安全に嚥下できるかを観察する検査となっています。とろみのない水分の嚥下が危険な場合には、冷水の代わりにとろみ水を用いて検査する場合もあります。

検査の方法は、冷水 3 mlを口腔底に注いで嚥下を指示します。この際、咽頭に直接水が流れこむのを防ぐため、舌背ではなく口腔底に水を注ぎます。

改訂水飲みテスト

上記が評価基準となりますが、評価点 4 点以上であれば、冷水 3 mlの嚥下を最大で更に 2 回繰り返し、最も悪い点数を評価点とします。

水飲みテストについては、他の記事で詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【水飲みテストの種類と評価結果についての記事はこちらから

フードテスト(Food Test)

フードテストはティースプーン 1 杯(約 4 g)のプリンを実際に食べてもらい、嚥下機能を確認する検査となります。

嚥下後に口腔内を検者が観察し、残留の有無や位置、量を確認します。その程度から下記の評価基準に従って評価点をつけます。

フードテストの判定方法

咳テスト、簡易咳テスト

咳テストは、霧化した咳誘発物質を吸入させて咳反射の有無を評価する検査になります。

検査方法については、超音波式もしくはメッシュ式ネブライザーにクエン酸を入れて、ネブライザーから産生される霧を口から吸入するよう指示をします。

咳テストでは、1 分間で咳が 5 回以上であれば陰性(正常)、簡易咳テストでは、30 秒間に 1 回でも咳があれば、その時点で陰性(正常)と判定します。

咳テストについては、他の記事で詳しくまとめておりますので、こちらもご覧になって頂けると幸いです☺️ 【咳テストの評価方法についての記事はこちらから

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

高齢化が進む中、摂食嚥下障害への対応は医療・介護現場において極めて重要です。この記事では、嚥下機能を安全かつ効率的に評価するためのスクリーニング検査について詳しく解説しています。

EAT-10 や聖隷式嚥下質問紙といった質問紙法に加え、RSST や改訂水飲みテスト、フードテスト、咳テストなどの実測法も紹介。専門職に限らず多職種で活用できる評価法を知ることで、誤嚥や窒息のリスクを低減し、高齢者の QOL 向上にもつながります。

参考文献

  1. 大熊るり,藤島一郎,小島千枝子,北條京子,武原格,本島豊.摂食・嚥下障害スクリーニングのための質問紙の開発.日摂食嚥下リハ会誌 .6,2002,p3-8.
  2. 西尾正輝.摂食・嚥下障害の評価と治療.理学療法科学.2001,16,p5-16.
  3. 唐帆健浩.摂食嚥下機能のスクリーニング検査 Up-to-date.耳展.62,1,2019,p12-18.

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