摂食嚥下評価の基本フロー|RSST・MWSTの使い分け

栄養・嚥下
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  1. 摂食嚥下評価は「安全確認・観察・目的別検査・統合判断」で進めます
  2. 嚥下スクリーニングと嚥下アセスメントは役割が異なります
  3. ベッドサイド嚥下評価の基本フロー
  4. 嚥下テストの前に全身状態と実施可否を確認します
  5. 非摂食時の観察では口腔・声・咳・呼吸を確認します
  6. RSST・MWST・フードテストなどは目的で使い分けます
  7. RSSTは30秒間の唾液嚥下回数を確認するスクリーニングです
    1. RSSTの目的
    2. RSSTの基本的な方法
    3. RSSTの記録例
  8. MWSTは3mLの水に対する嚥下・咳・呼吸・声を確認します
    1. MWSTで確認する内容
    2. MWSTの記録例
  9. フードテストは半固形物の取り込みと送り込みを確認します
    1. フードテストで確認する内容
    2. フードテストの記録例
  10. 咳の評価では強さ・持続・連続性・喀出を確認します
    1. 随意咳でみるポイント
  11. 頸部聴診は嚥下前後の音を確認する補助的評価です
    1. 頸部聴診の基本的な流れ
  12. 嚥下評価は単独所見ではなく複数の情報を統合します
    1. 統合するときの5つの視点
  13. ベッドサイド評価で起こりやすい失敗
  14. 申し送りは「条件・所見・対応・再評価」をセットにします
    1. 申し送りの最小セット
    2. 申し送りの記載例
  15. 強いむせや呼吸悪化があれば評価を中止します
  16. 摂食嚥下評価でよくある質問
  17. 摂食嚥下評価は条件と所見をそろえて共有します
  18. 参考文献
  19. 著者情報

摂食嚥下評価は「安全確認・観察・目的別検査・統合判断」で進めます

ベッドサイドの摂食嚥下評価は、安全確認、観察、目的に応じた検査、所見の統合、記録・共有の順に進めると整理しやすくなります。RSSTやMWSTなどの結果だけで食事の安全性を断定するのではなく、声、咳、呼吸、姿勢、覚醒状態、口腔内の状態を組み合わせて判断することが重要です。

この記事では、病棟・施設・在宅で初期評価を行うPT・OT・ST・看護師に向けて、ベッドサイド評価の基本フロー、RSST・MWST・フードテスト・咳の評価・頸部聴診の使い分け、記録と申し送りの方法を整理します。異常所見がある場合や判断が難しい場合は、ST・医師と連携し、必要に応じてVE・VFなどの専門的評価につなげます。

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ベッドサイド評価の役割は、誤嚥の有無を確定診断することではありません。現時点で経口試行を進められるか、どの条件なら観察できるか、専門評価へつなぐ必要があるかを整理するためのスクリーニングと臨床評価です。

嚥下スクリーニングと嚥下アセスメントは役割が異なります

嚥下スクリーニングはリスクを拾い上げる入口であり、嚥下アセスメントは原因や条件、対応方針を詳しく整理する工程です。両者を混同すると、簡便検査の結果だけで食形態を決めたり、陰性結果だけで安全と判断したりしやすくなります。

嚥下スクリーニングとアセスメントの違い
区分 主な目的 主な内容 結果の扱い
スクリーニング 嚥下障害や誤嚥リスクの可能性を拾う 問診、観察、RSST、MWSTなど 陽性時は追加評価や専門職への相談につなげる
アセスメント 障害像、原因、条件、対応方針を整理する 口腔・運動・感覚・姿勢・呼吸・食形態・介助方法など 介入、食事条件、精査の必要性を多職種で検討する

RSST、MWST、フードテストは有用な情報を与えますが、単独で誤嚥の有無や食事の安全性を確定する検査ではありません。検査結果は、その日の体調、覚醒、姿勢、理解力、口腔乾燥、一口量などの条件と一緒に解釈します。

ベッドサイド嚥下評価の基本フロー

評価は「情報収集→実施可否の確認→非摂食時の観察→目的別検査→統合判断→共有」の順に進めます。すべての検査を一度に行う必要はなく、その場で確認したい目的に合う方法を選択します。

  1. 情報収集:既往歴、肺炎歴、服薬、食形態、摂取量、嚥下歴、介助方法を確認する
  2. 実施可否の確認:覚醒、呼吸状態、全身状態、姿勢保持、指示理解を確認する
  3. 非摂食時の観察:口腔内、唾液管理、声、咳、呼吸、口腔運動を確認する
  4. 目的別検査:RSST、MWST、フードテスト、咳の評価、頸部聴診などから選ぶ
  5. 統合判断:検査結果と声・咳・呼吸・姿勢・覚醒を組み合わせる
  6. 記録・共有:条件、所見、対応、再評価条件を多職種へ伝える

特に重要なのは、評価条件をそろえることです。体位、頸部角度、一口量、食形態、介助量が毎回異なると、結果の変化が本人の嚥下機能によるものか、条件の違いによるものか判断しにくくなります。

嚥下テストの前に全身状態と実施可否を確認します

経口刺激を行う前に、覚醒、呼吸、循環、姿勢保持、指示理解を確認します。全身状態が不安定な場合は、テストの精度が下がるだけでなく、経口刺激による負担が大きくなる可能性があります。

  • 普段と比べて覚醒状態が低下していないか
  • 安静時から努力性呼吸や頻呼吸がないか
  • 痰が多く、自力で喀出できない状態ではないか
  • 座位や必要な体位を安全に保持できるか
  • 簡単な指示を理解し、課題に協力できるか
  • 強い頸部痛、嚥下時痛、悪心などがないか
  • 口腔内に多量の食物残渣や乾燥がないか

SpO₂は全身状態や呼吸変化を把握する補助情報として利用できますが、低下の有無だけで誤嚥を診断することはできません。基礎値、呼吸状態、測定誤差、循環状態なども考慮し、声や咳などの臨床所見と統合します。

非摂食時の観察では口腔・声・咳・呼吸を確認します

食物や水を提示する前の観察だけでも、評価を進めてよいかを判断する重要な情報が得られます。特に唾液管理、湿性嗄声、咳の強さ、呼吸状態、口腔内残留は見落とさないようにします。

ベッドサイド嚥下評価前の観察項目
領域 確認する内容 注意する所見
姿勢 骨盤、体幹、頭頸部、足部支持、座位保持 後方への崩れ、頸部過伸展、左右への傾斜
口腔内 乾燥、唾液、舌苔、食物残渣、義歯 多量の残留、著しい乾燥、義歯不適合
口腔運動 口唇閉鎖、舌の突出・挙上・左右運動、頬の保持 口腔内保持困難、流涎、著しい運動制限
発声の明瞭さ、湿性嗄声の有無 安静時からの湿性嗄声、声の急な変化
随意咳の強さ、持続、連続性、喀出 弱い単発咳、喀出困難、咳払い後も湿性音が残る
呼吸 呼吸数、呼吸様式、痰、SpO₂の基礎値 頻呼吸、努力性呼吸、喘鳴、呼吸苦

RSST・MWST・フードテストなどは目的で使い分けます

ベッドサイド検査は、何を確認したいのかを先に決めて選択します。唾液嚥下の惹起をみる場合、少量の水への反応をみる場合、半固形物の送り込みをみる場合では、適した方法が異なります。

ベッドサイド嚥下評価におけるRSST・MWST・フードテスト・咳の評価・頸部聴診の使い分け
図:ベッドサイド嚥下評価は目的に合う方法を選び、複数の所見を統合して判断する
ベッドサイド嚥下評価で用いる主な方法の使い分け
確認したいこと 主な方法 主な観察内容 注意点
唾液嚥下の惹起 RSST 30秒間の嚥下回数 口腔乾燥、理解力、姿勢の影響を受ける
少量の水への反応 MWST 嚥下、むせ、呼吸、声の変化 3mLを用いる標準的手順と施設手順を確認する
半固形物の送り込み フードテスト 取り込み、送り込み、残留、嚥下後の変化 口腔機能や試験食品の性状も記録する
気道防御と喀出 咳の評価 随意咳の強さ、持続、連続性、喀出 咳の有無だけで不顕性誤嚥を除外しない
嚥下前後の音の変化 頸部聴診 嚥下音と嚥下前後の呼吸音の変化 補助所見であり、単独で誤嚥を診断しない

すべての方法を連続して行うのではなく、事前観察と目的に基づいて必要なものを選びます。異常がみられた場合は刺激量や課題を増やさず、安全な段階へ戻して対応します。

RSSTは30秒間の唾液嚥下回数を確認するスクリーニングです

RSST(反復唾液嚥下テスト)は、30秒間に反復して唾液を嚥下できるかを確認する簡便なスクリーニングです。水や食物を使用しないため、経口刺激を始める前の評価として利用しやすい方法です。

RSSTの目的

  • 唾液嚥下の惹起性を確認する
  • 反復して嚥下できるかを確認する
  • 追加評価が必要な対象者を拾い上げる

RSSTの基本的な方法

  1. 安全な姿勢を整える
  2. 喉頭隆起または舌骨周囲へ指を当てる
  3. できるだけ繰り返し唾液を飲み込むよう説明する
  4. 30秒間に確認できた嚥下回数を数える

一般に、30秒間で3回未満は嚥下機能低下を疑う目安として扱われます。ただし、口腔乾燥、覚醒状態、理解力、姿勢、加齢などの影響を受けるため、回数のみで判断しません。

RSSTの記録例

記録例:端座位、頸部中間位で実施。RSSTは30秒間で2回。口腔乾燥あり。喉頭挙上は触知可能だが、2回目までの間隔が長い。湿性嗄声なし。覚醒状態を確認し、口腔ケア後に再評価する。

MWSTは3mLの水に対する嚥下・咳・呼吸・声を確認します

MWST(改訂水飲みテスト)は、少量の水を用いて嚥下の可否と嚥下後の反応を確認するスクリーニングです。標準的な方法では冷水3mLを口腔底へ注ぎ、嚥下、むせ、呼吸、声の変化などを観察します。

実施時は、施設の手順、対象者の全身状態、姿勢保持能力、口腔内の状態を確認してください。標準化された評価法を使用する場合は、原法や施設マニュアルに沿って実施・採点します。

MWSTで確認する内容

  • 水を口腔内に保持できるか
  • 嚥下反射が起こるか
  • むせや咳が出現するか
  • 嚥下後に湿性嗄声が生じるか
  • 嚥下後の呼吸が安定しているか
  • 追加嚥下を指示どおり行えるか
MWSTの標準的な評点の考え方
評点 主な状態 対応の考え方
1 嚥下なし、むせる、呼吸切迫 経口刺激を中止し、安全確保と専門職への共有を行う
2 嚥下あり、呼吸切迫 追加試行を避け、呼吸状態を確認する
3 嚥下あり、呼吸良好、むせる、または湿性嗄声 異常所見として扱い、条件調整や追加評価を検討する
4 嚥下あり、呼吸良好、むせ・湿性嗄声なし 追加嚥下を指示し、反応を確認する
5 評点4に加え、追加嚥下が30秒以内に2回可能 他の観察所見と統合し、次の評価や方針を検討する

評点が良好でも、不顕性誤嚥や咽頭残留を完全に除外できるわけではありません。肺炎歴、湿性嗄声、痰、食後の咳、呼吸状態などに懸念があれば、ST・医師への相談や専門評価を検討します。

MWSTの実施方法やWSTとの違いは、改訂水飲みテスト・水飲みテストの評価方法で詳しく整理しています。

MWSTの記録例

記録例:端座位、頸部中間位でMWSTを実施。冷水3mLで嚥下あり。直後のむせなし、呼吸切迫なし。嚥下後に軽度湿性嗄声を認めたため評点3。追加の水分試行は行わず、STへ共有した。

フードテストは半固形物の取り込みと送り込みを確認します

フードテストは、プリン状やゼリー状などの試験食品を用いて、口腔内への取り込み、送り込み、嚥下後の反応を確認する方法です。水分とは異なる性状への反応を確認できる一方で、使用する食品や一口量の条件を明確にする必要があります。

フードテストで確認する内容

  • 口唇で取り込めるか
  • 口腔内に保持できるか
  • 舌で咽頭方向へ送り込めるか
  • 嚥下後に口腔内残留があるか
  • むせ、咳、湿性嗄声、呼吸変化がないか
  • 複数回嚥下や咳払いで所見が変化するか

フードテストでは、「プリン」「ゼリー」といった名称だけでなく、実際に使用した食品名、性状、一口量、姿勢、介助方法を記録します。施設間で食形態の名称が異なる場合は、物性やコードも併記すると共有しやすくなります。

フードテストの記録例

記録例:車椅子座位、頸部軽度屈曲位。プリン状食品を小スプーン半量で提示。口唇閉鎖は可能。送り込みに時間を要し、嚥下後に舌背部へ少量残留あり。むせなし、声質変化なし。空嚥下後に残留は減少した。

咳の評価では強さ・持続・連続性・喀出を確認します

咳の評価では、咳が出るかどうかだけでなく、気道内へ侵入した物質や分泌物を排出できる咳かを確認します。随意咳が弱い場合は、誤嚥が生じた際の気道防御や喀出が不十分になる可能性があります。

随意咳でみるポイント

  • 十分に吸気してから咳ができるか
  • 咳の音や呼気流が力強いか
  • 1回だけでなく連続して咳ができるか
  • 咳払い後に湿性嗄声や分泌物音が軽減するか
  • 痰を口腔まで喀出できるか

随意咳が可能でも、反射性の咳が保たれているとは限りません。また、むせや咳が出ないことは安全を意味せず、不顕性誤嚥の可能性も考慮します。咳の評価は、肺炎歴、声質、痰、呼吸状態、食後の変化などと組み合わせます。

咳反射誘発試験を実施する場合は、対象者の呼吸器疾患や全身状態、使用物質、施設手順を確認し、専門的な管理下で行います。一般的なベッドサイド観察として行う随意咳の評価と、咳反射誘発試験は区別してください。

頸部聴診は嚥下前後の音を確認する補助的評価です

頸部聴診は、頸部に聴診器などを当て、嚥下音や嚥下前後の呼吸音の変化を確認する補助的な評価です。嚥下のタイミングや前後の変化を捉える手がかりになりますが、音だけで誤嚥や咽頭残留を確定することはできません。

頸部聴診の基本的な流れ

  1. 安静時の呼吸音と声を確認する
  2. 聴診位置と対象者の姿勢を固定する
  3. 嚥下前の呼吸音を聴取する
  4. 嚥下音を聴取する
  5. 嚥下後の呼吸音、声、咳を確認する
  6. 必要に応じて咳払いや追加嚥下後の変化を確認する

聴診位置や使用機器、周囲の騒音、評価者の経験によって解釈が変わりやすいため、同じ条件で経時的に比較することが大切です。

頸部聴診で記録する内容
時点 確認する内容 記録例
嚥下前 安静呼吸音、分泌物音、声質 安静呼吸音は清、湿性嗄声なし
嚥下中 嚥下音の有無、タイミング、複数回嚥下 嚥下音を1回聴取、追加嚥下あり
嚥下後 呼吸音の変化、声、咳、咳払い後の変化 嚥下後に湿性音あり、咳払い後に軽減

注意:頸部聴診で聞こえる音は補助所見です。「異常音があるから誤嚥」「異常音がないから安全」とは判断せず、声、咳、呼吸、姿勢、食形態、ほかの検査結果と統合してください。

嚥下評価は単独所見ではなく複数の情報を統合します

ベッドサイド評価では、検査結果を「安全・危険」の二択にせず、複数の所見がどの条件で生じたかを整理します。同じMWST評点でも、肺炎歴、咳の強さ、覚醒状態、食後の痰などが異なれば、次の対応は変わります。

統合するときの5つの視点

  1. 全身状態:覚醒、体調、呼吸、循環、発熱
  2. 姿勢・運動:頭頸部、体幹、座位保持、口腔運動
  3. 嚥下反応:嚥下惹起、複数回嚥下、送り込み
  4. 気道防御:むせ、咳、喀出、声質、呼吸変化
  5. 背景情報:肺炎歴、栄養状態、食事摂取量、認知機能
所見を統合した次の対応例
主な状態 考え方 次の対応例
覚醒・呼吸が不安定 検査結果の信頼性と安全性が低い 経口試行を控え、全身状態を整えて再評価する
RSST低値だが口腔乾燥が強い 乾燥による影響を考慮する 口腔ケアや保湿後に同条件で再評価する
むせなしだが湿性嗄声あり 咽頭残留や不顕性誤嚥を否定できない 追加試行を避け、ST・医師への相談を検討する
条件調整で所見が改善 姿勢や一口量が影響している可能性がある 改善した条件を明記し、多職種で再現する
肺炎を反復し所見が乏しい 不顕性誤嚥や食事外の誤嚥も考慮する 専門評価と口腔・呼吸・食事環境の見直しを行う

ベッドサイド評価で起こりやすい失敗

評価の精度を下げる主な原因は、検査の種類不足よりも、条件の不統一と単独所見による判断です。次の失敗を避けるだけでも、再評価と申し送りが行いやすくなります。

ベッドサイド嚥下評価で起こりやすい失敗と対策
よくある失敗 問題点 対策
むせがないため安全と判断する 不顕性誤嚥を見逃す可能性がある 声、呼吸、痰、肺炎歴も確認する
検査を次々と追加する 負担が増え、どの刺激で所見が出たか不明になる 確認目的を1つ決め、必要な検査だけ選ぶ
体位や一口量を記録しない 再評価時に結果を比較できない 条件と所見をセットで記録する
SpO₂変化だけで誤嚥を判断する 誤嚥以外の要因や測定誤差の影響を受ける 補助所見として声・咳・呼吸と統合する
頸部聴診音だけで診断する 評価者や環境によるばらつきがある 他の臨床所見や専門評価と組み合わせる

申し送りは「条件・所見・対応・再評価」をセットにします

「むせあり」「問題なし」だけでは、次の担当者が同じ条件で評価を再現できません。申し送りでは、何を、どの姿勢で、どれくらい提示し、どのような反応があったかを具体的に伝えます。

申し送りの最小セット

  • 条件:姿勢、頸部角度、一口量、食形態、介助方法
  • 所見:嚥下、むせ、咳、声、呼吸、口腔内残留
  • 対応:中止、姿勢調整、咳払い、追加嚥下、口腔ケア
  • 再評価:再開条件、確認する項目、相談先

コピペ用:摂食嚥下評価の申し送りテンプレ

条件:体位=/頸部=/一口量=/食形態=/介助方法=
所見:嚥下=/むせ・咳=/声=/呼吸=/口腔内残留=
評価:RSST=回/30秒、MWST=点、フードテスト=、頸部聴診=
対応:中止・姿勢調整・咳払い・追加嚥下・口腔ケア=
方針:継続条件=/再評価条件=/相談先=

申し送りの記載例

車椅子座位、体幹正中、頸部軽度屈曲位で評価。RSSTは30秒間で2回。MWSTは冷水3mLで嚥下あり、むせなし、嚥下後に湿性嗄声を認め評点3。追加試行は中止した。口腔ケア後に同条件で再評価し、STへ評価を依頼する。

強いむせや呼吸悪化があれば評価を中止します

ベッドサイド評価は、検査を最後まで行うことより安全確保を優先します。明らかな異常所見が出た場合は、同じ課題を繰り返したり、より難しい食形態へ進めたりしません。

嚥下評価を中止または延期する主な状態
状態 対応
覚醒状態が低く指示に反応できない 経口刺激を控え、覚醒や実施時間を再検討する
安静時から呼吸苦や呼吸切迫がある 評価を延期し、呼吸状態の確認と必要な対応を行う
強いむせや連続する咳が出現した 刺激を中止し、呼吸、声、喀出状態を確認する
吸気性喘鳴、チアノーゼ、明らかな呼吸悪化 直ちに中止して安全確保し、施設の緊急対応へつなぐ
湿性嗄声や湿性音が持続する 追加試行を避け、排出状況を確認して専門職へ共有する
強い嚥下時痛、頸部痛、悪心がある 中止し、原因の確認と医師への共有を行う

SpO₂が低下した場合は、経口刺激を休止し、呼吸状態、波形、測定部位、基礎値を確認します。ただし、特定の低下幅だけで誤嚥と断定せず、患者ごとの状態とほかの所見を合わせて判断してください。

摂食嚥下評価でよくある質問

各項目名をタップすると回答が開きます。

RSSTは30秒で何回なら異常ですか?

一般に、成人では30秒間で3回未満が嚥下機能低下を疑う目安です。ただし、口腔乾燥、覚醒、理解力、姿勢などの影響を受けるため、回数だけで食事の安全性を判断しません。

MWSTは何mLの水を使いますか?

標準的なMWSTでは冷水3mLを使用します。実際の運用では施設手順を確認し、姿勢、一口量、提示方法、嚥下後の声・咳・呼吸を記録します。

むせがなければ誤嚥はないと考えてよいですか?

むせがなくても、不顕性誤嚥が生じている可能性があります。湿性嗄声、痰、食後の咳、呼吸状態、肺炎歴、発熱などを合わせて確認し、懸念があれば専門評価へつなげます。

SpO₂が低下すると誤嚥しているということですか?

SpO₂低下は呼吸変化を把握する補助情報ですが、誤嚥に特異的な所見ではありません。循環状態、呼吸器疾患、体動、測定誤差などの影響も受けるため、単独で誤嚥を診断しません。

頸部聴診で誤嚥を判定できますか?

頸部聴診だけで誤嚥を確定することはできません。嚥下前後の音の変化を確認する補助的評価として使用し、声、咳、呼吸、姿勢、ほかの検査結果と統合します。

ベッドサイド評価で異常があった場合はどうしますか?

同じ刺激や、より難しい課題を繰り返さず、安全を確保します。異常が生じた条件と所見を記録し、ST・医師へ共有して、VE・VFなどの専門評価が必要か検討します。

摂食嚥下評価は条件と所見をそろえて共有します

ベッドサイドの摂食嚥下評価では、安全確認、非摂食時の観察、目的別検査、統合判断、記録・共有の順番を固定することが重要です。RSST、MWST、フードテスト、咳の評価、頸部聴診には、それぞれ異なる役割があります。

検査結果だけで安全性を断定せず、声、咳、呼吸、姿勢、覚醒、口腔内、肺炎歴などを組み合わせてください。評価時の姿勢、一口量、食形態、介助方法を具体的に残すことで、多職種間で同じ条件を再現しやすくなります。

不顕性誤嚥が疑われる場合は、むせ以外の所見をまとめて確認します。

不顕性誤嚥の評価手順を見る

参考文献

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著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関、介護福祉施設、訪問リハビリテーションの臨床経験をもとに、評価・記録・リスク管理を実務へ落とし込む情報を発信しています。

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハビリテーション、リハビリテーション栄養、シーティング、摂食嚥下

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