【老研式活動能力指標】評価方法とカットオフ値【13項目で構成】

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リハビリくん
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いつも当サイト(rehabilikun blog)の記事をお読みいただき誠にありがとうございます。また、初めましての方はよろしくお願い致します。サイト管理者のリハビリくんです!

   

この記事は「老研式活動能力指標」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるように心掛けております。それでは早速、内容に移らせていただきます。

  

IADLを評価する老研式活動能力指標は、地域に住む高齢者の生活能力を測定することを目的に作成されました。IADL評価の中でも、より高次となる生活行為に対する質問が組み込まれている印象はありますが、「はい」「いいえ」の2択で回答してもらう合計13点満点の評価となっているため、採点自体は容易といえると思います。

  

明日からにでも、老研式活動能力指標が臨床で使用することができるように、こちらの記事でまとめさせて頂きます!

リハビリくん
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理学療法士、作業療法士、言語聴覚士として働いていると、一般的な会社員とは異なるリハビリ専門職ならではの苦悩や辛いことがあると思います。当サイト(rehabilikun blog)ではそのような療法士の働き方に対する記事も作成し、働き方改革の一助に携わりたいと考えております。

  

理学療法士としての主な取得資格は以下の通りです

登録理学療法士

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級

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IADL(手段的日常生活動作)とは

IADL は「Instrumental Activities of Daily Living」の略で、日本語では「手段的 ADL」もしくは「手段的日常生活動作」と呼ばれています。

ADL は日常生活の「基本的な動作」であるのに対し、IADL は ADL よりも複雑な動作と判断が求められる「応用的な動作」のことを意味しています。

リハビリテーションを実施して在宅復帰を果たすためには、ADL 能力の向上であったり、機能の再獲得が一般的に必要になります。

ADL が生活に重要なものであることは間違いありませんが、生活における最低限の動作能力に過ぎず、それだけでは生活を安全に快適に送ることはできないこともあります。

そのためリハビリテーション専門職は、ADL だけでなく「生活に関連する動作」や、趣味や生活様式などといった患者の特徴を加味したうえで、リハビリテーションを進めていく必要があります。

IADL評価尺度の種類

手段的日常生活動作(IADL)の評価尺度は今日までにさまざまな指標が開発されています。代表的なものについて、いくつかご紹介します。

  • Lawton(ロートン)の尺度
  • 老研式活動能力指標
  • JST 版活動能力指標
  • DASC-21
  • Frenchay Activities Index(FAI) 

本邦では上記の 5 種類の IADL 評価法が一般的に使用されています。こちらの記事では「老研式活動能力指標」について詳しく解説していきます。

老健式活動能力指標とは

日本ではかねてより、高齢者の健康を評価するうえで、単なる疾病の有無だけでなく、生活機能の自立度に注目する考え方が重視されてきました。特に、要介護認定を受けていない地域在住高齢者の生活実態を把握するには、より高次の生活機能に着目した評価指標が必要とされていました。

こうした背景のもと、東京都老人総合研究所(現・東京都健康長寿医療センター研究所)によって開発されたのが「老研式活動能力指標(Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology Index of Competence:TMIG-IC)」です。

本指標は、地域高齢者の自立度や社会的活動能力を多面的に捉えることを目的としており、主に生活機能の把握、健康寿命の評価、介護予防の対象者抽出などに活用されています。

老研式活動能力指標 評価項目

IADL を評価する老研式活動能力指標は、地域に住む高齢者の生活能力を測定することを目的にしています。

質問は全 13 項目から構成されていますが、その内容は「手段的自立」「知的能動性」「社会的役割」の 3 つの領域に分類されています。

退職後の高齢者を想定していることから「仕事・生産活動」の項目はありません。

手段的自立

  1. バスや電車を使って一人で外出ができますか
  2. 日用品の買い物ができますか
  3. 自分で食事の用意ができますか
  4. 請求書の支払ができますか
  5. 銀行預金、郵便貯金の出し入れが自分でできますか

知的能動性

  1. 年金などの書類が書けますか
  2. 新聞などを読んでいますか
  3. 本や雑誌を読んでいますか
  4. 健康についての記事や番組に関心がありますか

社会的役割

  1. 友達の家を訪ねることがありますか
  2. 家族や友達の相談にのることがありますか
  3. 病人を見舞うことができますか
  4. 若い人に自分から話しかけることがありますか

老研式活動能力指標 評価方法

老研式活動能力指標(TMIG-IC)は、地域在住高齢者の高次生活機能を簡便に評価できるツールとして広く用いられています。評価は全 13 項目で構成され、対象者に対して各項目に「はい(できる)」「いいえ(できない)」の二択で回答してもらいます。

各「はい」の回答には 1 点が付与され、「いいえ」は 0 点とし、合計点(最大 13 点)を算出します。スコアが高いほど、生活機能や活動能力、特に IADL 能力が良好であることを示しています。

この 13 項目は、以下の 3 つの下位分類に分かれています。

  • 手段的自立(5 項目):交通手段の利用、金銭管理、買い物、食事の準備など
  • 知的能動性(4 項目):新聞の閲覧、本の読書、新しいことへの挑戦など
  • 社会的役割(4 項目):友人との交流、訪問の受け入れ、外出頻度など

これら 3 つの領域は、個別に分析することで、どの生活機能に課題があるのかを明確にでき、リハビリや介護予防の方針決定に役立ちます。

老研式活動能力指標は、信頼性・妥当性ともに高く、多くの研究でもその有用性が確認されています。特に、地域高齢者や高齢者住宅に居住する方の生活機能評価に適しており、短時間で実施できる点から、保健師や理学療法士、地域包括支援センター職員など、多職種での活用が進んでいます。

老研式活動能力指標 評価用紙

老研式活動能力指標の評価用紙は以下の通りになります。

評価表をダウンロードはこちらからどうぞ☺

基準値、カットオフ値

老研式活動能力指標では、13 点が満点で、満点以外は何らかの生活機能低下があるとみなされます。特に 11 点未満は、将来的な介護リスクが高まる可能性があるため、介護予防やリハビリ介入の必要性を検討するカットオフ値として用いられています。

また、スコアの内訳を見ることで、どの機能領域に支援が必要かを把握できるため、包括的なリハビリテーション計画立案にも有効です。

老研式活動能力指標は、短時間で実施可能でありながら、高齢者の潜在的な生活機能低下を早期に捉えるツールとして、地域包括ケアや介護予防事業などで広く活用されています。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「老研式活動能力指標」をキーワードに解説させて頂きました。

こちらの記事を読むことで老研式活動能力指標についての理解が深まり、臨床における IADL 評価の一助へとなれば幸いです。

参考文献

  1. 平瀬達哉,井口茂,塩塚順,中原和美,松坂誠應.高齢者におけるバランス能力と下肢筋力との関連性について ─性差・年齢・老研式活動能力指標別での検討─.理学療法科学 .2008,23(5),p641–646.
  2. 鈴木直子,牧上久仁子,後藤あや,横川博英,安村誠司.地域在住高齢者のIADLの「実行状況」と「能力」による評価の検討-基本チェックリストと老研式活動能力指標から-.日本老年医学会雑誌.2007年,44巻,5号,p619-626.
  3. 吉田史郎,白濱正博.IADL.整形外科看護.20(10),p956-957,2015.

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