SPPB の評価方法|バランス・歩行・立ち上がりを解説

評価
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SPPB とは(目的と使いどころ)

評価は「実施 → 記録 → 解釈 → 次の一手」までが 1 セット。まずは迷わない“型”を作ると臨床が回ります。 PT キャリアガイドを見る

SPPB( Short Physical Performance Battery )は、下肢機能を①立位バランス②歩行速度③ 5 回立ち上がりの 3 項目で評価し、合計 0–12 点で整理するパフォーマンスバッテリーです。フレイルや移動能力のスクリーニング、退院前後・外来・通所などでの継時変化の追跡に向きます。

ポイントは、点数そのものよりも「どこがボトルネックか(バランス/速度/筋パワー)」を分けて把握し、次の介入に直結させることです。再評価では距離・椅子高さ・条件を固定すると、変化を取りこぼしにくくなります。

要点早見(構成・合計・目安)

SPPB の構成( 3 項目)と記録の要点
項目 目的 記録する値 実務のコツ
立位バランス( 0–4 点) 支持基底面を変えた姿勢保持 保持可否/保持時間(最大 10 秒) 安全優先。順序と中止基準を固定
歩行速度( 0–4 点) 移動能力(速度・効率) 距離(例:4 m)と時間(秒) 加速・減速の取り方と距離を固定
5 回立ち上がり( 0–4 点) 下肢筋パワー+姿勢制御 5 回の所要時間(秒) 椅子高さ・腕の条件を固定
合計( 0–12 点) 総合的な下肢機能 3 項目の合算 点数+「詰まり」を一言で残す

スコア記録シート(PDF)

院内記録にそのまま使えるスコア記録シート( A4 ・ PDF )です。

印刷は A4/余白 12 mm 前後/ヘッダ・フッタ非表示を推奨します。再評価は同一条件(距離・椅子・指示・見守り)で比較してください。

実施の手順(迷わない最短フロー)

  1. 安全確認:転倒リスク、見守りの要否、補装具・杖の扱いを決めます。
  2. 条件固定:歩行距離(例:4 m)、椅子高さ、腕の使用、見守りの位置を決めます。
  3. 実施:立位バランス → 歩行速度 → 5 回立ち上がりの順で実施(施設 SOP に合わせて固定)。
  4. 採点:各項目 0–4 点、合計 0–12 点。
  5. 解釈:合計点+「どの項目が止まったか」を書き、次の一手を 1 行で残します。

採点(原法の目安と運用の考え方)

SPPB の点数区分は、原法(例:4 m 歩行)を基準にした閾値が示されています。一方で、施設の距離( 6 m など)や測定条件が異なる場合は、施設 SOP を優先して運用を統一してください(再評価の比較可能性が最重要です)。

SPPB|採点の目安(原法の代表例)
項目 0 点 1–4 点(代表例) 実務メモ
立位バランス 最初の条件から保持困難 姿勢( side-by-side → semi-tandem → tandem )と保持時間(最大 10 秒)で段階化 安全優先。上肢支持や介助が入ったら 0 点扱いなど、施設で定義
歩行速度 歩行困難 距離(例:4 m)の所要時間で段階化(速いほど高得点) 加速・減速の取り方、開始合図、補装具の扱いを固定
5 回立ち上がり 5 回不可/著しく時間を要する 5 回の所要時間で段階化(短いほど高得点) 椅子高さ、腕の使用(腕なし等)を固定

現場の詰まりどころ(よくある失敗と対処)

SPPB がブレる原因と、再現性を上げるコツ
詰まりどころ 起きやすい状況 対処 記録のコツ
距離・加速区間が毎回違う 廊下が取れない/人の往来が多い 距離(例:4 m)と開始・終了位置をテープで固定。混雑時間を避ける 「距離」「見守り位置」「補装具」を必ず書く
椅子高さが違い、立ち上がりが比較できない 病棟・外来で椅子が変わる 同じ椅子(高さ)を指定。難しければ高さを記録して固定する 「椅子高さ」「腕の使用(なし/あり)」を残す
安全配慮で介助が入り、点数が解釈不能 転倒不安が強い/ふらつきが大きい 安全を優先しつつ、介助の有無を定義(介助あり= 0 点など)して統一 介助の内容(軽介助・接触ガード等)を明記
点数だけ共有して、介入が決まらない カンファが短い/情報が散る 「止まった項目 → 原因仮説 → 次の 1 手」を 1 行でセット化。整理の型が欲しいときは 面談準備チェック&職場評価シートの形式を流用すると早い 例:「歩行で低下 → 疲労+転倒不安 → 週 2 回の外出練習」

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 再評価の間隔はどれくらいが良いですか?

A. 介入や病期で変わりますが、まずは 2 週〜 4 週など施設で基準を決め、同一条件で比較できる頻度にすると運用が安定します。急性期は短め、生活期は少し長めが一般的です。

Q2. 補装具や杖は使っていいですか?

A. 安全が最優先です。使用する場合は、毎回同じ条件(同じ杖・同じ装具)で実施し、記録に明記してください。条件が変わると点数比較の意味が薄れます。

Q3. 点数が上がらないとき、どこから介入すべきですか?

A. 合計点よりも止まっている項目から入るのが早いです。バランスが止まるなら支持基底面と恐怖回避、歩行が止まるなら耐容能と速度戦略、立ち上がりが止まるなら筋パワーと動作戦略(椅子・足部・体幹)を分解します。

Q4. カットオフ(区分)は固定ですか?

A. 原法の目安はありますが、距離や条件が違うと当てはまり方が変わります。実務では「同一条件での継時変化」を軸にし、必要なら施設内でルール化するのが安全です。

次の一手(評価→介入へつなぐ)

参考文献

  1. Guralnik JM, Simonsick EM, Ferrucci L, et al. A short physical performance battery assessing lower extremity function: association with self-reported disability and prediction of mortality and nursing home admission. J Gerontol. 1994;49(2):M85–M94. https://doi.org/10.1093/geronj/49.2.M85
  2. Short Physical Performance Battery and Score Sheet(プロトコル例). NIH(NIDDK)配下 PDF

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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