認知検査|Mental Status Questionnaire

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認知・精神機能
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リハビリくん
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サイト管理者のリハビリくんと申します。

この記事の内容
  1. この記事は「Mental Status Questionnaire」をキーワードに内容を構成しています。
  2. 認知症患者の見極めで「なんとなく怪しい」という直感に頼っていませんか?
  3. 臨床現場では、軽度認知障害(MCI)と正常加齢の境界線判定が理学療法士にとって重要な課題となっています。
  4. Mental Status Questionnaire(MSQ)は、わずか 10 問という簡便性でありながら、認知機能の客観的評価を可能にする強力なツールです。しかし、その真価は正しい実施方法と結果解釈にあります。
  5. 今回は、MSQ の臨床応用における具体的な活用法から、他の認知機能検査との使い分け、さらには理学療法介入計画への反映方法まで、実践的な観点から徹底解説します。
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理学療法士として以下の経験と実績を持つリハビリくんが解説します♪

リハビリくんの実績
  1. rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設
  2. 2025 年 8 月時点:185 記事公開(月間 3 万 PV)
  3. 実務経験(医療機関、介護福祉施設、訪問リハビリ等)
  4. 講師活動(脳卒中、褥瘡等をテーマに複数回講演)
  5. 脳卒中 認定理学療法士
  6. 褥瘡 創傷ケア 認定理学療法士
  7. 3 学会合同呼吸療法認定士
  8. 福祉住環境コーディネーター 2 級
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認知症の定義と診断基準

WHOによる認知症の定義は以下の通りになります。

「通常、慢性あるいは進行性の脳疾患によって生じ、記憶・思考・見当識・理解・計算・学習・言語・判断など多数の高次脳機能障害からなる症候群」とされています。

これをもとにした診断基準は以下の通りになります。

  1. 記憶力の低下
  2. 認知能力の低下

上記 2 項目を原因として下記 4 項目を認める場合に認知症の診断基準を満たします。

  1. 日常生活動作や遂行機能に支障をきたす
  2. 6ヶ月以上存在している
  3. 意識混滑がない
  4. 情緒易変性、易刺激性、無感情、社会的行動の粗雑化のうち1項目以上を認める

認知機能検査:質問式と観察式

認知機能の評価方法は、直接対象者に質問する方法 (質問式)と行動を観察し評価する方法(観察式)に分類することができます。

質問式は対象者の負担を考慮し最小限の情報で可能な限り適正に評価できるように数種類のスケールが開発されてとります。テスト施行者によるばらつきが少ないこと、測定する場所が限定されないといった長所が挙げられます。

しかし、対象者本人がテストに協力的である必要があること、視聴覚障害がある場合にはそれらを考慮した工夫が必要になるなどの留意点があります。質問式による主な評価方法は以下の通りになります。

  • 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
  • Mini-Mental State Examinaton (MMSE)
  • Mental Status Questionnaire(MSQ)

続いて観察式は、対象者の日常生活における行動や活動状況を観察したり、家族や介護を身近で行っている人からの情報をもとに対象者の認知機能を評価する評価尺度となります。

したがって、対象者本人の協力が得られない場合や視聴覚障害がある場合でも、本人の状態を十分に把握している家族や職員から情報収集ができれば評価することができます。しかし、この場合は評価者間で差異が生じないように十分なトレーニングが必要と考えられます。観察式による主な評価方法は以下の通りになります。

  • Functional Assessment Staging (FAST)
  • 臨床的認知症尺度:CDR
  • 認知症行動障害評価尺度:DBD

臨床的認知症尺度:CDR については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【臨床的認知症尺度:CDR についての記事はこちらから

Mental Status Questionnaire(MSQ)

Mental Status Questionnaire(MSQ)は、認知症の重症度を判定するための質問法による評価尺度となります。

開発の経緯としては、施設入所高齢者の精神機能を把握する大規模調査のために開発されております。開発時には、指標の内容が単純で、測定や判定が簡単に行うことができることが求められていました。

このような背景から Mental Status Questionnaire(MSQ)は、見当識・記憶・計算・一般的知識を網羅しつつ、識別力が高く、必要最小限の 10 項目で構成された尺度となっております。

前半 5 問が急性の認知症の程度を見る見当識に関する問題であり、後半 5 問が慢性の認知症の程度をみる一般的知識問題となっております。

MSQ 評価項目

  1. ここはどこですか?(名称あるいは場所の種類でも可)※家、病院、施設etc
  2. ここの住所を言ってください(あるいは自宅の現住所、市区町村まで回答できればOK)
  3. 今日は何日ですか?(前後2日以内は正答とする)
  4. いまは何月ですか?
  5. 今年は何年ですか?
  6. いま何歳ですか?(2歳上、1歳下まで正答とする)
  7. 何月生まれですか?
  8. 何年生まれですか?
  9. いまの総理大臣は誰ですか?
  10. その前の総理大臣は誰ですか?

MSQ 評価用紙

Mental Status Questionnaire(MSQ)の評価表をダウンロードできるようにしておきました!評価表が必要な方はこちらからどうぞ☺

MSQ 判定方法

全10問のうち、回答を誤る項目が何問あるのかによって重症度を判定します。

  • 異常なし:誤回答 2 問以下
  • 中等度の認知症:誤回答 3 問以上 8 問以下
  • 重度の認知症:誤回答 9 問以上

その他の認知症評価スケール

Mental Status Questionnaire(MSQ)以外の認知症評価スケールにはどのようなものがあるでしょうか?代表的な評価スケールをご紹介します。

長谷川式認知症スケール(HDS-R)

こちらの評価尺度は、認知症診療の第一人者でおられた医師・長谷川和夫先生(1929-2021)が開発した認知機能検査になります。

評価スケールの歴史を辿ると、開発されたのは 1974 年であり、この時は長谷川式簡易知能評価スケール(HDS)という名称で発表されています。

長谷川式簡易知能評価スケール(HDS)は、動作性検査を排除した認知機能検査であるため、運動障害のある人でも施行できるものとして臨床場面で広く使われてきました。

しかし、長谷川式簡易知能評価スケール(HDS)の項目に時代にそぐわないものがあることなどから、質問項目や採点基準等の見直しが行われ、1991 年に改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)に改定されています。

長谷川式認知症スケール(HDS-R)については、他の記事で詳しくまとめています!《改訂長谷川式簡易知能評価スケール|HDS-Rとは?評価方法を解説》こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️

臨床的認知症尺度(CDR)

認知症の重症度を判定するための評価指標のひとつに臨床的認知症尺度(Clinical Dementia Rating:CDR)があります。

CDR は 1982 年に Hughes らによって報告され、現在まで国際的に広く活用されています。CDR では検査上での認知機能のスコア化に基づく評価ではなく、趣味や社会活動、家事などの日常生活の状態から評価します。

下位項目には、記憶、見当識、判断力と問題解決、地域社会活動、家庭生活および趣味・関心、介護状況の 6 項目が含まれます。本人への問診のほか、家族を中心とした身近な周囲の人からの情報を基に評価します。

各項目について、「健康(CDR 0)」「認知症疑い(CDR 0.5)」「軽度認知症(CDR 1)」「中等度認知症(CDR 2)」「重度認知症(CDR 3)」といったように 5 段階で判別します。

また、定義されているわけではありませんが、ひとつの目安としてCDR 0.5 を軽度認知障害(MCI)、CDR 1 以降を認知症として捉える考え方もあります。

臨床的認知症尺度:CDR については、他の記事で詳しくまとめています!《【臨床的認知症尺度:CDR】評価用紙が無料でダウンロードできます》こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「Mental Status Questionnaire(MSQ)」をキーワードに考えを述べさせていただきました。

こちらの記事で Mental Status Questionnaire(MSQ) における理解を深め、認知症施策の一助として活用して頂けると幸いです。

参考文献

  1. 百田由美子.認知症の人のケアの質向上に向けた研究に活用可能な評価指標の概観.日本地域看護学会誌.Vol.22,No.1,2019,p65-72.
  2. 杉下守弘.認知機能評価バッテリー.日本老年医学会雑誌.48巻, 5号,2011:9,p431-438.

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