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理学療法士として働いていると、日々のストレスや将来への不安から「この仕事を続けていけるだろうか」と悩むことがあります。
実際に、理学療法士の離職率は決して低くなく、「令和 4 年雇用動向調査」によると産業全体の離職率は 15.0 % 、リハビリテーション専門職の離職率は医療領域で 10.2 %、介護福祉領域で 18.8 %となっており、介護福祉領域は産業全体よりも離職率が高い水準にあります。
また、21 ~ 25 歳の理学療法士の離職率は 16.5 % となっており、新人あるいは 2 ~ 3 年目に辞めてしまう早期離職者が一定数いることが判明しています。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の 3 療法士はいずれも国家資格であり、簡単に取得できる資格ではありません。そうであるにも関わらず、離職者が一定数いるということは業界の過酷さや、仕事の難しさを示しているのかもしれません。
この記事は「理学療法士を辞めてよかった?」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるようにしたいと思います。是非、最後までご覧になってください!

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士として働いていると、一般的な会社員とは異なるリハビリ専門職ならではの苦悩や辛いことがあると思います。当サイト(rehabilikun blog)ではそのような療法士の働き方に対する記事も作成し、働き方改革の一助に携わりたいと考えております。
理学療法士としての主な取得資格は以下の通りです
登録理学療法士
脳卒中認定理学療法士
褥瘡 創傷ケア認定理学療法士
3学会合同呼吸療法認定士
福祉住環境コーディネーター2級
【リハビリテーション専門職の転職サイト】
医療従事者となる理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったリハビリテーション専門職は超高齢社会を突き進む本邦において必要不可欠な職種になります。
実際に近年では、理学療法士は 10,000 ~ 11,000 人程度、作業療法士は 4,000 ~ 5,000 人程度、言語聴覚士は 1,600 ~ 1,800 人程度、国家試験に合格しており、順調に有資格者数が増え続けています。
このように世の中から必要とされている反面、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の給与は他業界と比較して恵まれてるとはいえません。「賃金構造基本統計調査」から他業界と比較してみても2022 年度のリハビリテーション専門職の初任給平均額は 239,100 円となっており、満足できるものではありません。
また、給与の問題もありながら、リハビリテーション専門職は業界特有の激しい人間関係という荒波に揉まれながら業務にあたることになります。この人間関係で辛い思いをする人はかなり多いと考えられます。
このように、給与や人間関係、また福利厚生などを含めた恵まれた労働環境で働くためには転職が必要になることもあります。1 年目、すなわち始めての職場が恵まれた環境であればいうことありませんが、必ずしもそう上手くはいきません。
最近では転職サイトにも様々な種類のものがあり、どの転職エージェントを選択するか迷うと思います。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士におすすめしたい転職サイトは、他の記事で詳しくまとめています!《【理学療法士転職サイトランキング】おすすめ5選|リハビリ職の転職》こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️
理学療法士のストレス

理学療法士は、怪我や病気などで身体に障害のある人、障害の発生が予測される人に対して、基本動作能力の改善および障害の悪化の予防を目的に、運動療法や物理療法などを用いて、自立した日常生活が送れるよう支援する専門職になります。
人の健康や幸せに貢献することができる 「やりがいのある職業」 になりますが、同時に高い専門性と責任感が求められ、様々なストレスに直面しやすい職業になります。このことは理学療法士だけではなく、作業療法士や言語聴覚士にも共通していえます。
リハビリテーション専門職として充実したキャリアを形成するには、身体的な負担から精神的なプレッシャーまで多岐にわたるストレス要因を理解し、適切に対処することが長期的なキャリア継続の鍵となります。以下で、主要なストレス要因とその影響について詳しく解説していきます。
身体的負担

全ての理学療法士が身体的負担に苦しんでいるという訳ではありませんが、基本的には理学療法士は肉体労働となります。基本動作能力を改善させるために必要な身体介助を行いながら機能の再獲得を目指すといった内容が基本スタイルになりますので、当然身体的には負担がかかります。身体的負担がかかる場面として、具体的には以下のような状況があげられます。
- 起立動作の介助量軽減を目指した立ち上がり動作練習
- 移乗(トランスファー)の介助
- 歩行練習のための介助
- ベッドサイドでの関節可動域訓練
- 車椅子や訓練器具の運搬
- 車椅子、補装具、訓練機器のセッティング
理学療法士は常に前傾姿勢、場合によっては中腰姿勢で診療を行うことになります。診療のため、長い時間似たような姿勢で業務にあたることになります。特に移乗(トランスファー)や歩行の介助は転倒リスクが伴う身体活動になります。介助中の心理的不安も加わり、多大な身体的負担が生じることになります。
身体的負担は理学療法士だけではなく作業療法士や言語聴覚士にも同様にみられます。言語聴覚士は理学療法士のように移乗や歩行の介助を行うことは多くないかもしれませんが、中腰姿勢による口腔ケアなど、言語聴覚士ならではの身体的負担があるといえます。
精神的負担
リハビリテーション専門職は精神的負担に苦悩することも少なくありません。精神的負担の要因にはさまざまなものがあり、何が原因となり精神的負担に繋がっているのか推察することが重要となります。リハビリテーション専門職の精神的ストレスは、主に以下のような要因から生じます。
- 治療効果への責任
- 患者様の回復が思うように進まない場合のフラストレーション
- 予後に対する不安や責任感
- 患者様やご家族様からの期待へのプレッシャー
- 人間関係
- 患者様との信頼関係構築の難しさ
- 医師や看護師など多職種との連携の難しさ
- 同僚との方針の違いによる軋轢
- 上司との人間関係
- 専門性への不安
- 急速な医療技術の進歩についていけるのか
- この先もリハビリテーション専門職として需要があるのか
- 自身の治療技術に問題がないのか不安である
- 継続的に学習を継続しないといけないことが辛い
時間的プレッシャー
リハビリテーション専門職は日頃から時間的プレッシャーを受けながら業務にあたっています。現代の医療現場では、以前よりも効率性が強く求められ、以下のような時間的制約が存在します。
- 疾患別リハビリテーションによる診療時間の制約(1 単位 20 分間)
- 取得単位数のノルマ
- 診療記録(カルテ)の存在
- 算定要件を満たすための業務の煩雑さ
- 書類業務の負担と内容の複雑さ
- 介入前に待ち時間が発生することもある
- 予約時間の厳守
- 急患対応による時間調整
理学療法士の 1 日の働き方については、他の記事で詳しくまとめています!《理学療法士の仕事は辛い?リアルな1日の働き方と大変で辞めたい理由》こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️
理学療法士を辞めるメリット
理学療法士を辞めることを検討する場合には、その決断がもたらす肯定的な変化について目を向ける必要があります。
職業変更は、新たな可能性への扉を開く機会となります。理学療法士を辞めることで得られる具体的なメリットについて、実際の事例を交えながら解説していきます。
ワークライフバランスの改善
理学療法士を辞めることで、ワークライフバランスが改善する可能性があります。
- 時間的な余裕
理学療法士を辞めることで時間的な余裕が生まれ、以下のようなワークライフバランスの改善に繋がる可能性があります。
- 規則的な勤務時間になる
- 残業時間が減少する
- 有給休暇の取得率が向上する
- 家族との時間が増加する
- 退勤後に仕事のことを考える必要がなくなる
理学療法士が働く主な環境として、医療機関や介護施設がありますが、最近では 365 日のリハビリテーションを提供している施設が増えているため、理学療法士の勤務体制もシフト制が増えています。
そのため、「有給が使用しにくい」「連休がとれない」といった悩みを抱える理学療法士は多数おります。また、終業後に自宅に帰った後にも、診療の不安から調べ物をするようなことが多い職業といえます。
- 生活リズムの改善
理学療法士を辞めることで生活リズムが改善し、以下のようなワークライフバランスの改善に繋がる可能性があります。
- 早朝や夜間勤務からの解放
- 不安やストレスによる睡眠不足の改善
- プライベートの予定が立てやすくなる
- 生活習慣が改善する
診療や人間関係の悩みから不安や悩みが重なり、睡眠不足に至ったり、生活習慣が悪くなってしまう人もいます。
理学療法士としての仕事から解放されることで、これらの問題を解消できる可能性があります。
負担の軽減
理学療法士を辞めることで、職業特有の負担感から解放されます。他産業と比較して、身体的にも精神的にも負担を軽減することができる可能性はあります。
- 身体的な負担
身体的な負担は特に理学療法士が悩むことになる項目になります。特に年齢を重ねた理学療法士の身体には、日々の診療や業務は大きな負担となります。
理学療法士を辞めることで以下のような身体的な負担が軽減すると考えられます。
- 移乗などの身体介助による肩痛や腰痛
- 長時間の前傾姿勢による首痛や背部痛
- 体位交換などの身体介助による手首の痛み
- 慢性的な疲労の蓄積
上記は理学療法士が苦悩する身体トラブルの一例になりますが、ほかにもさまざまな身体部位のトラブルがあります。
他の職業でもその職業特有の身体的負担はあると思いますが、特に理学療法士は身体的に辛い思いをしている人が多いと考えられます。
- 精神的な負担
精神的に苦悩する理学療法士も多数おります。理学療法士を辞めるきっかけでいえば、こちらの項目が最も問題になっているのかもしれません。
理学療法士を辞めることで以下のような悩みから解放され、負担の軽減に繋がる可能性があります。
- 患者様の予後に対する責任からの解放
- 職場の人間関係からの解放
- 緊急対応への精神的負担の軽減
- 医療事故への不安からの解放
「仕事に行きたくない」「理学療法士を辞めたい」などのように苦悩する理由はさまざまですが、精神面の影響は多大であるといえます。精神面に問題が生じないようにマネジメントをすることが重要となります。
新しいキャリアへの挑戦
理学療法士を辞めることで、理学療法士としての経験を活かしつつ、新たな可能性に挑戦することができます。
- 医療関連職、一般企業
理学療法士として培った知識を活かして医療関連職に転職することも 1 つの方法になります。
また、医療業界に限定しなくても、理学療法士だからこそ有する医療や福祉の知見を求めている一般企業もあります。
一例として、診察やリハビリテーションに関連した物品を扱う医療機器メーカー、テクノロジーを駆使して医療や福祉を実現するベンチャー企業で理学療法士に対して求人を出している企業もございます。
- 医療機器メーカーの営業職
- 一般企業
- 福祉用具専門相談員
- 健康運動指導士
- 教育分野
理学療法士はその仕事の性質のうえ、教育や指導を得意にしている人、好きな人が多いと考えられます。そのような長所を活かして下記のような選択肢に足を進めるのも良い選択といえます。
- 理学療法士養成校の教員
- 健康教室のインストラクター
- スポーツトレーナー
最近では子供の健康や成長に焦点を当てた理学療法士監修の体操教室なども増えてきています。
- 起業、独立
一例になりますが、理学療法士は以下のような内容で開業することができます。
- フィットネスジム
- リラクゼーションサロン、エステサロン
- 整体
- カイロプラクティック
- デイサービス
- 訪問看護ステーション
理学療法士が起業する場合、「開業権」について理解する必要があります。理学療法士は「医師の指示のもとに」リハビリテーションを行うものになるため、理学療法士がリハビリテーションおよび理学療法の内容で開業することは認められておりません。
しかし、理学療法士が起業ができない訳ではありません。「理学療法」「リハビリテーション」としてサービスを提供することはできませんが、その他が目的になるのであれば理学療法士も開業して独立することができます。
理学療法士を辞めるデメリット
キャリアの転換点において、デメリットを理解することは極めて重要となります。理学療法士という国家資格、専門職を離職することで直面する可能性のある課題や損失について、現実的な視点から検討する必要があります。退職に伴う具体的なリスクと、それらへの対処方法について解説していきます。
収入面での不安
転職先にもよりますが、収入面での変化は特に気になる要素になります。理学療法士を辞めることで以下のような事態に陥る可能性があります。
- 月収、年収の減少
- 賞与の減少
- 昇給の減少
- 退職金支給額の減少
- 保険の継続や積立投資への影響
理学療法士を辞めるのであれば、これら収入面への影響は事前に良く理解しておく必要があります。
医療従事者としてのキャリアへの影響
理学療法士の資格は理学療法士を辞めたからといって剥奪されることはありません。しかし、一度医療や福祉の業界から離れると、復帰することが大変という事実はあります。
理学療法士を辞めることで以下のようなデメリットがあります。
- 医療知識やスキルが陳腐化していく
- 最新の医療情報からの疎遠化
- これまでの経験が活かせない可能性がある
- 医療界への再復帰の難しさ
社会的地位の変化
理学療法士を辞めることで社会的地位が変化する可能性も考えられます。具体的に以下のようなデメリットがあげられます。
- 医療従事者としての社会的信用の変化
- 専門家としての発言力の低下
- 職業的アイデンティティの喪失感
- 医療界のネットワークからの疎遠化
- 職場での立場や役割の変化
- 新しい環境での人間関係構築の必要性
以上のことより、一度理学療法士を辞めてしまうと理学療法士として医療や福祉の業界に復帰することが大変であるということがわかります。
理学療法士を辞める必要はない
多くの場合、直面している課題を解決することができれば、理学療法士そのものを辞める必要はないことがほとんどになります。
環境の変更や働き方の工夫により、理学療法士としてのキャリアを継続しながら、より良い職業生活を実現できることも少なくありません。ここでは、具体的な改善策と、その実践方法について解説します。
職場環境の変更
職場環境を変更させることも時には重要となります。自分だけで悩まず、上司や管理者に相談しながら最善策を見つける必要があります。
- 勤務先の変更
- 勤務地を変更する
- 病期を変更する(急性期、回復期、慢性期)
- 家から遠い所ではなく近いところにする
- 診療科、部署の変更
- 診療科の変更(整形外科から呼吸器系へ)
- 小児科や精神科など特殊領域への転向
- 部署の変更(病院内から訪問へ)
- 勤務形態の変更
- 常勤から非常勤への変更
- 複数施設での勤務
- 早番や夜勤などの勤務は辞める
理学療法士におすすめしたい転職サイトについては、他の記事で詳しくまとめています!《【理学療法士転職サイト】おすすめ5選をランキング【リハビリ転職】》こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️
働き方の見直し
働いているとその職場の労働環境が当たり前のものだと洗脳されてしまうことがありますが、客観的に考え時には働き方を見直すことも重要になります。
- 勤務時間の調整
- 時短勤務の活用
- フレックスタイムの導入
- 夜勤、休日勤務の調整
- 業務内容の見直し
- 管理業務への移行
- 教育担当としての役割
- 専門外来の担当
- キャリアアップ
- 認定理学療法士の取得
- 専門理学療法士への挑戦
- 学術活動への参加
理学療法士はやりがいがある
理学療法士という職業には、確かに様々な課題が存在しますが、それ以上に大きなやりがいと魅力があります。理学療法士は患者様の回復を支援し、その人生に直接的な影響を与えられる専門職として、社会的な価値も高い職業になります。ここでは、理学療法士という職業の本質的な魅力と、やりがいを見出すためのポイントについて解説したいきます。
患者様の回復を支える喜び
理学療法士は患者様の回復を支えることができる専門職になります。
- 直接的な成果
- 機能回復の実感
- ADLの改善
- QOLの向上
- 患者様との関係性
- 信頼関係の構築
- 回復過程の共有
- 感謝の言葉
- 専門職としての誇り
- 治療効果の実感
- 技術の向上
- 患者様の人生への貢献
専門性の高さ
理学療法士は、その専門性が財産になります。
- 専門知識
- 解剖学・生理学の理解
- 運動学的アプローチ
- 疾患別の治療戦略
- 技術力
- 評価技術
- 治療技術
- リスク管理能力
- チーム医療での役割
- 多職種連携
- リハビリテーション計画の立案
- 退院支援への関与
社会貢献度
理学療法士は社会に貢献することができる専門職になります。
- 超高齢社会での重要性
- 介護予防
- 自立支援
- 健康寿命の延伸
- 地域医療への貢献
- 地域包括ケアシステムへの参画
- 介護予防事業への関与
- 健康増進活動の実施
- 医療の質向上への貢献
- エビデンスの構築
- 治療技術の開発
- 後進の育成
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます!
こちらの記事では「理学療法士を辞めてよかった?」をキーワードに内容を構成させて頂きました。
理学療法士という専門職は患者様に寄り添うことができる素晴らしい職業だと思いますが、課題も数多く、中には理学療法士を辞めたいと悩んでしまう人もいます。
私たちに重要なことは、退職を考える前に様々な選択肢を検討し、自分に合った最適な道を選ぶことだと思います。最終的な決断は個人の状況や価値観によって異なりますが、悩みを抱えた人にとってこちらの記事が少しでもお役に立つと幸いです。