リハビリのカルテの書き方|PT・OT・ST向け診療記録の基本

制度・実務
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リハビリのカルテは「必要な記録」と「臨床判断につなげる記録」を分けます

PT・OT・STが日々のリハビリのカルテを書くときは、まず制度上確認すべき記録と、患者の反応や判断を次回へつなぐための実務上残したい記録を分けて考えると整理しやすくなります。

2026年度の診療報酬では、リハビリテーション実施時に機能訓練の内容の要点と、実施時刻(開始時刻・終了時刻)を診療録等へ記載することが示されています。本記事では、この公式ルールを起点に、「実施 → 反応 → 判断 → 次回」までを短く残す考え方をPT・OT・ST向けに整理します。

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リハビリの診療記録を、制度上確認する記録と実務で残したい実施・反応・判断・次回に分けて整理した図版
リハビリの記録では、厚生労働省通知で求められる「機能訓練の内容の要点・開始時刻・終了時刻」と、診療情報記録の一般原則、実務上の「実施・反応・判断・次回」を分けて整理すると理解しやすくなります。

2026年度の基本は「内容の要点+開始・終了時刻」です

最初に押さえたいのは、文章のうまさではなく、何を実施し、いつ開始して、いつ終了したのかを後から確認できることです。

令和8年度の医科診療報酬点数表に関する通知では、第7部リハビリテーションの通則として、各区分のリハビリテーション実施に当たり、すべての患者について「機能訓練の内容の要点」と「実施時刻(開始時刻と終了時刻)」を診療録等へ記載することが示されています。

リハビリのカルテで最初に区別したい記録
位置づけ 確認する内容 ポイント
診療報酬上の記録 機能訓練の内容の要点 その患者に何を実施したのかが分かるように残す
診療報酬上の記録 開始時刻・終了時刻 合計時間だけでなく、実際の開始・終了時刻を残す
診療情報記録の一般原則 記録者の氏名・職種、記録日時 誰が、いつ記録したのかを追える状態にする

注意:「実施時刻」と「記録日時」は別の情報です。リハビリを実施した開始・終了時刻と、カルテを記録した日時を混同しないようにします。

毎日の記録は「実施 → 反応 → 判断 → 次回」で整えます

制度上必要な記録を押さえたうえで、次回担当者や多職種が経過を追える記録にするには、実施・反応・判断・次回の4つに整理すると書きやすくなります。

この4項目は、診療報酬上の必須様式ではありません。診療情報を共有し、介入結果を評価して次の方針へつなげるための実務上の整理方法です。すべての患者に同じ数値や同じ所見を書くのではなく、その日の介入と判断に必要な情報を選びます。

日々のリハビリ記録を整理する4つの視点
視点 残す内容 確認する問い
実施 何を、どの条件で行ったか その日の実施内容が分かるか
反応 実施中・実施後の変化や所見 介入に対して患者がどう反応したか
判断 所見から何を評価・判断したか 継続・変更する理由が分かるか
次回 次に確認・変更すること 次回の評価や介入へつながるか

記載例

実施:14:20〜14:40、T字杖を使用して歩行練習を実施。

反応:10m歩行を反復。終盤に歩幅低下を認めたため座位休息。

判断:休息後は歩幅が改善し、同条件で練習継続可能と判断。

次回:同条件で歩行状態を再確認し、歩行距離と介助量の変更可否を検討する。

これは書き方の一例です。必要なバイタル、評価指標、介助量、装具、酸素投与、環境条件、安全所見などは、患者の状態と介入内容に応じて選択してください。

確定前は5項目だけ確認します

記録は長ければよいわけではありません。確定前には、制度上必要な項目が抜けていないか、その日の判断が次回へつながるかを確認します。

リハビリ記録の確定前5項目チェック
確認 チェックすること 位置づけ
1 開始時刻と終了時刻が記録されているか 診療報酬上の確認
2 機能訓練の内容の要点が分かるか 診療報酬上の確認
3 記録者と記録日時を追えるか 診療情報記録の一般原則
4 必要な患者反応と判断根拠が残っているか 実務上の確認
5 次回の評価・介入へつながるか 実務上の確認

特に4と5は、すべてのリハビリ記録に同じ文言を入れるという意味ではありません。その日の診療内容に応じて、必要な反応・評価・方針を残します。

抽象語は「何が起きたか」が分かる表現へ変えます

記録が伝わりにくいときは、文章全体を長くするより、抽象的な部分を1か所だけ具体化する方が有効です。実施内容、条件、回数、数値、患者反応など、判断に必要な情報へ置き換えます。

抽象的なカルテ記載を具体化する例
抽象的な記録 不足していること 修正例
「歩行練習実施」 時刻・条件・内容が分からない 「14:20〜14:40、T字杖を使用し歩行練習を実施」
「歩行は不安定」 何を不安定と判断したか分からない 「10m歩行中に側方へのふらつきを2回認め、軽介助を要した」
「状態は改善」 何が変化したか分からない 「前回より立位保持時間が延長し、介助量が減少した」
「自主練習を指導」 何を説明したか分からない 「自主練習として立ち上がり練習の方法と回数を説明し、実施方法を確認した」

数値を書くこと自体が目的ではありません。再評価や判断に必要な数値は残し、意味の乏しい測定値を機械的に増やさないことが大切です。

説明・同意に関する記録は重要ですが、毎日のリハビリ記録へ一律に「説明し同意を得た」と書くことを意味するものではありません。説明・同意が必要となる診療や計画書、方針変更など、その場面に応じて記録します。

疾患別リハビリテーションでは、リハビリテーション実施計画書について、作成時およびその後原則3か月に1回以上、患者または家族等への説明・交付などが定められています。説明日・説明者の記載方法なども含め、対象となる算定区分の現行通知と院内ルールを確認してください。

日々の診療記録と、実施計画書に関する説明・交付の要件を混同しないことがポイントです。

中止や予定変更があった日は「事実 → 対応 → 結果」を残します

リハビリを途中で中止した日や、予定していた内容を変更した日は、単に「中止」「負荷軽減」と書くだけでは経過が分かりにくくなります。何が起き、どう対応し、その後どうなったかを時系列で残します。

事実:歩行中にふらつきが増加。

対応:歩行練習を中止し、座位で休息。

結果:休息後に状態を再確認し、その日の歩行練習は終了。

必要なバイタルや症状、医師・看護師への報告などがある場合は、その事実も記録します。推測ではなく、観察した事実と実際に行った対応を区別して残します。

訂正・追記は「原記録を残す」が基本です

後から診療記録を訂正・追記する場合は、元の記録を消して置き換えるのではなく、原記録を残したうえで追記・訂正し、その日時や理由を確認できる状態にします。

日本診療情報管理学会の「診療情報の記録指針2024」でも、特別な理由があって追記・訂正する場合は、原記録を残して別に追記・訂正し、その日時・理由等を併記することが示されています。

紙カルテと電子カルテでは具体的な訂正方法が異なるため、実際の操作は施設の診療情報管理規程や電子カルテの運用ルールに従ってください。

SOAPを使う場合も「必要な情報」と「記録形式」を分けます

SOAPは診療情報を整理する方法の1つです。リハビリのカルテで必要な記録と、SOAPという記載形式は分けて考えます。

施設でSOAPを採用している場合も、まず必要な実施内容や実施時刻を押さえ、そのうえで主観情報、客観情報、評価、計画へ整理します。「SとOのどちらに書くか」「AがOの繰り返しになる」「Pが継続だけになる」といった書き分けは、SOAPによるカルテの書き方で詳しく整理しています。

電子カルテは「固定情報」と「その日の判断」を分けます

電子カルテのテンプレートは、入力欄を増やすほどよいわけではありません。開始・終了時刻や記録者など、毎回確認する情報と、その日の実施内容・反応・判断・次回方針を分けると整理しやすくなります。

一方で、テンプレートを埋めること自体が目的になると、患者ごとの差やその日の変化が見えにくくなります。固定項目で抜けを防ぎつつ、自由記載では「今日何が起き、そこから何を判断したか」を優先します。

よくある質問(FAQ)

各質問をタップすると回答を確認できます。

Q1. リハビリは「20分実施」と書けば、開始・終了時刻は不要ですか?

第7部リハビリテーションの通則では、機能訓練の内容の要点に加えて、実施時刻として開始時刻と終了時刻を診療録等へ記載することが示されています。合計時間だけで置き換えず、実際の開始・終了時刻を記録します。

Q2. リハビリのカルテはSOAPで書かなければいけませんか?

SOAPは診療情報を整理する方法の1つです。診療報酬上必要な実施内容・実施時刻の記録と、SOAPという記録形式は別に考えます。施設で指定された記録様式がある場合は、その運用に従ってください。

Q3. 毎回「説明して同意を得た」と記録する必要がありますか?

すべての日々のリハビリ記録へ一律に同じ文章を書くという意味ではありません。リハビリテーション実施計画書など、説明・交付等が求められる場面や、治療方針の変更など必要な場面に応じて記録します。

Q4. カルテを後から訂正するときはどうすればよいですか?

原記録を残したうえで追記・訂正し、変更した日時や理由を追える状態にします。具体的な訂正操作は紙カルテと電子カルテで異なるため、施設の診療情報管理ルールに従ってください。

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参考文献

  1. 厚生労働省保険局医療課. 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について. 令和8年3月5日保医発0305第6号(令和8年7月30日訂正後). 厚生労働省資料
  2. 日本診療情報管理学会. 診療情報の記録指針2024. 東京: 日本診療情報管理学会; 2024. 学会資料
  3. Weed LL. Medical Records That Guide and Teach. N Engl J Med. 1968;278(11):593-600. doi:10.1056/NEJM196803142781105

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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