Vitality Index は「観察で意欲をそろえる」ための 5 項目スケール
Vitality Index は、本人の自己回答が難しい場面でも“行動としての自発性”を短時間でそろえて見られるのが強みです。本記事では、実施条件の固定 → 0 / 1 / 2 点の付け方 → 合計点の読み方( 6〜7 点の扱い)→ チーム共有まで、現場で迷わない形に落とします。
ポイントは、点数でラベリングしないことです。低下したら「なぜ今そう見えるか」(疼痛・眠気・便秘・せん妄・環境・声かけ)を 1 行で残し、次の介入に変換します。
臨床で伸びる「学び方の流れ」を 1 枚で整理
新人〜中堅で迷いやすい「評価→記録→再評価→共有」を、実務の順番でまとめています。
PT キャリアガイドを見るVitality Index(バイタリティ・インデックス)とは
Vitality Index は、起床・意思疎通・食事・排泄・活動の 5 項目を観察で 0 / 1 / 2 点で評価し、合計 0〜10 点で活力度(自発性)を把握する指標です。認知症や重度障害など、自己記入が難しい場面でも運用しやすいのが特徴です。
一方で、点数は環境・疼痛・眠気・介助導線の影響を受けます。だからこそ「条件固定」と「理由の 1 行メモ」をセットにし、再評価で比較できる形にするのがコツです。
いつ使う?(向いている場面・向かない場面)
向いているのは、「意欲低下に見えるが、主観が拾いにくい」「参加が不安定で、日常の自発性も落ちているか確かめたい」といった場面です。病棟・施設での週次スクリーニングにも向きます。
一方で、本人の主観(抑うつ気分、無快感、悲哀など)を中心に見たい場合は、別の枠組み(自己回答型)で補完した方が安全です。Vitality Index は“観察でそろえる”用途に絞るとブレません。
実施手順(観察を標準化する 5 分フロー)
再評価で意味のある比較をするには、評価条件を固定します。点数よりも先に「いつ・どこで・誰が・どんな声かけで」を決めると、担当者差が減ります。
おすすめは、①当日のイベント(発熱・不眠・疼痛・薬剤変更など)を 1 行 → ② Vitality Index → ③低下の理由仮説を 1 行 → ④次回の再評価日(週次+イベント時)を決める、の順です。
| 見る点 | 固定する内容 | 例(メモ) |
|---|---|---|
| 時間帯 | 同じ時間帯で評価 | 午前 10 時(食後 30 分) |
| 場所 | 観察しやすい場所に統一 | 病室〜デイルーム導線 |
| 声かけ | 声かけの順番を固定 | 目的 → 行動(「食堂でお茶」→「行きましょう」) |
| 当日の影響 | 急性要因は必ず併記 | 疼痛あり/眠気強い/便秘 3 日目 |
採点の考え方(0 / 1 / 2 点を “言い換え” でそろえる)
0 / 1 / 2 点の核心は、介助量そのものではなく「意欲の表出(自発性)」です。介助が必要でも、声かけなしで動き出すなら高得点側に寄ります。
チームでブレやすいのは “ 1 点” です。「最小限の促しで実行できる」を共通語にし、例示をカンファでそろえると再現性が上がります。
| 点数 | 行動の目安 | 記録の一言例 |
|---|---|---|
| 2 点 | 声かけ不要で、その行動が安定して出る | 「自発的に開始、介助は見守り」 |
| 1 点 | 促し(最小限)で実行できるが、開始が遅い/中断しやすい | 「声かけで開始、途中で促しが必要」 |
| 0 点 | 促しても実行が難しい/拒否が目立つ | 「促しでも困難、拒否傾向」 |
採点・判定の目安( 6〜7 点は “判定” ではなく運用ルール)
合計点は 0〜10 点です。運用では 7 点前後を境に扱うことが多い一方、Vitality Index 単独で診断はしません。大切なのは「施設内で同じ運用ルールにする」ことです。
おすすめは「≤ 7 点を“低下のシグナル”として原因探索を開始」「前回比で − 2 点以上を“急変サイン”としてイベント確認を強化」といった形で、行動に結びつくルールにすることです。
| 合計点 | 状態の目安 | 次の一手(例) |
|---|---|---|
| 8〜10 | 活力度は概ね保たれる | 自主活動の維持、生活目標の共有 |
| 5〜7 | 低下傾向(原因が混ざりやすい) | 疼痛・睡眠・便秘・導線を点検、短時間・高頻度で成功体験 |
| 0〜4 | 著明な低下 | 急性イベント確認(せん妄・感染など)、職種連携、介入を細切れ化 |
現場の詰まりどころ(よくある失敗 → 直し方)
最も多い詰まりは、意欲(自発性)と “できなさ(身体・認知)” が混ざることです。点数が低いときほど、背景要因を 1 行で書き分けると、介入が止まりにくくなります。
教育・手順があいまいだと、評価者間で 1 点の判定が割れやすく、チーム共有が進みません。面談準備チェック(評価の観点整理)も使いながら、職場の標準手順を整えたい方は こちらのダウンロード を活用してみてください。
| 場面 | NG(起こりがち) | OK(こう直す) | 記録ポイント |
|---|---|---|---|
| 条件 | 時間帯・担当・声かけが毎回バラバラ | 条件固定+例外は「参考値」と明記 | 時刻/場所/担当/声かけ |
| 解釈 | 点数だけで「意欲低下」と結論 | 疼痛・眠気・便秘・せん妄・薬剤を同時チェック | 下がった理由の仮説を 1 行 |
| 介入 | 低スコア=訓練量を減らすだけ | 短時間・高頻度/成功体験/目標の具体化 | 次回までの小目標(行動) |
| 共有 | 職種で言葉がズレる | 言い換え例を会議で統一( “ 1 点” をそろえる) | 共有先(誰に伝えたか) |
配布:Vitality Index 記録用紙(A4 PDF)
現場でそのまま印刷して使えるように、A4 で崩れにくい PDF 版を用意しました。まずはボタンから開き、必要ならプレビューで確認してください。
プレビューを表示する(タップで開く)
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1.誰が評価するのがよいですか?(看護師/介護職/療法士)
Vitality Index は観察ベースなので、日常生活をよく見ている職種(看護師・介護職)で運用しやすいのが特徴です。チームで使うなら、言い換え例( 0 / 1 / 2 点)を共有し、 “ 1 点” の基準合わせを先に行うとブレが減ります。
Q2.ADL(FIM など)と何が違いますか?
Vitality Index は「できる/できない(能力)」よりも「自発的に動き出すか(意欲の表出)」を見ます。ADL は別尺度で補完し、Vitality Index では “開始の自発性” と “促しの必要度” を中心に記録すると混ざりにくくなります。
Q3.点数が低いとき、リハは中止すべきですか?
Vitality Index 単独で中止判断はしません。低いほど、短時間・高頻度、成功体験、選択肢提示など設計の工夫が必要です。発熱・せん妄・強い疼痛など医学的リスクが疑われる場合は、医師・看護師と連携して優先順位を調整します。
Q4.再評価はどれくらいの頻度がよいですか?
病棟・施設では、週 1 回の定期評価+イベント時(転棟、薬剤変更、発熱、睡眠悪化など)の追加が回しやすいです。条件を固定し、例外時は「参考値」として扱うと比較が安定します。
次の一手(迷ったらこの順で)
参考文献
- Toba K, Nakai R, Akishita M, et al. Vitality Index as a useful tool to assess elderly with dementia. Geriatr Gerontol Int. 2002;2:23-29. DOI:10.1046/j.1444-1586.2002.00016.x
- Fujita T, et al. Vitality index predicts walking independence in patients with Alzheimer disease after hip fracture surgery. Medicine. 2024. PubMed Central
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


