- QuickDASHとは|11項目を0〜100点で評価する上肢PROM
- QuickDASHの採点方法|合計点と回答数から0〜100点に換算する
- 欠損があるとき|1項目まで計算可、2項目以上なら算出不可
- 実施方法|「先週1週間」を基準に本人が回答する
- 変化量の解釈|MCID 12〜15点は一律の改善基準ではない
- 臨床での使い方|総スコアだけでなく生活課題の変化を見る
- QuickDASH記録用紙|PDF・Excelをダウンロード
- QuickDASHとDASHの違い|短時間ならQuickDASH、詳細さならDASH
- QuickDASHで迷いやすい4点|採点・欠損・解釈・再評価
- QuickDASHのよくある質問
- 次の一手|目的に合う上肢PROMを選ぶ
- 参考文献
- 著者情報
QuickDASHとは|11項目を0〜100点で評価する上肢PROM
QuickDASHは、腕・肩・手の障害による生活上の困難や症状を11項目で確認し、0〜100点に換算する患者立脚型評価です。点数が高いほど障害が大きいと解釈します。採点では11項目中10項目以上の回答が必要で、2項目以上が未回答なら機能障害/症状スコアは算出できません。
この記事では、QuickDASH-JSSHの質問文そのものは転載せず、採点式、1項目欠損した場合の計算、変化量の読み方、カルテへの残し方を中心に整理します。記事内には、採点・欠損確認・再評価を1枚で残せる記録用紙のPDF版とExcel版も掲載しています。
QuickDASHの採点方法|合計点と回答数から0〜100点に換算する
QuickDASHの機能障害/症状スコアは、11項目中10項目以上に回答がある場合に計算できます。計算式は次のとおりです。
QuickDASHスコア=(回答済み項目の合計点 ÷ 回答数[n]−1)×25
各項目は1〜5点で、換算後は0〜100点になります。0点に近いほど障害が少なく、100点に近いほど障害が大きいと読みます。

11項目すべて回答した計算例
11項目の合計が33点だった場合は、次のように計算します。
(33 ÷ 11 −1)×25=50点
したがって、QuickDASHスコアは50/100です。最終スコアだけでなく、「合計33点/n=11」のように元の計算情報も残しておくと、再計算や再評価時に確認しやすくなります。
1項目が未回答だった計算例
1項目だけ未回答で、回答済み10項目の合計が28点だった場合は、分母を11ではなく有効回答数の10として計算します。
(28 ÷ 10 −1)×25=45点
この場合のQuickDASHスコアは45/100です。「未回答1、合計28点/n=10、QuickDASH 45/100」のように記録すると、欠損の有無まで追跡できます。
仕事・スポーツ/芸術活動の選択項目は別に採点する
QuickDASHには、通常の11項目とは別に、仕事とスポーツ/芸術活動の選択項目があります。それぞれ4項目で、4項目すべてに回答した場合のみスコアを算出できます。
選択項目の計算式は(4項目の合計点 ÷4−1)×25です。通常の11項目スコアとは別のスコアとして扱います。
欠損があるとき|1項目まで計算可、2項目以上なら算出不可
QuickDASHで特に間違えやすいのが未回答の扱いです。機能障害/症状スコアは1項目の欠損までは計算できますが、2項目以上が未回答なら算出できません。
| 未回答 | 有効回答数 | 採点 | 対応 |
|---|---|---|---|
| 0項目 | 11 | 算出できる | n=11で計算 |
| 1項目 | 10 | 算出できる | n=10で計算し、欠損ありと記録 |
| 2項目以上 | 9以下 | 算出できない | 無理に補完せず算出不可として記録 |
| 選択項目 | 4 | 4項目すべて必要 | 1項目でも欠損があれば算出不可 |
未回答があった場合は、回答を推測して埋めるのではなく、まず原票と回答状況を確認します。それでも未回答のままであれば、公式の欠損ルールに従います。カルテには未回答数も残しておくと、次回の再評価で条件を確認しやすくなります。
実施方法|「先週1週間」を基準に本人が回答する
QuickDASH-JSSHでは、先週1週間の動作や症状について回答します。QuickDASHは患者本人が自身の状態を回答する患者立脚型の尺度であるため、評価者が身体所見から点数を決める尺度ではありません。
実施時は公式のQuickDASH-JSSHを使用し、回答者自身の判断を不必要に誘導しないことが基本です。記入などで補助が必要となった場合は、再評価時に条件を確認できるよう、実施方法を記録しておくと比較しやすくなります。
日本語版の質問票と採点法は、日本手外科学会のDASH/QuickDASH日本語版(JSSH版)から確認できます。
変化量の解釈|MCID 12〜15点は一律の改善基準ではない
QuickDASHは点数が低下するほど障害が軽くなったことを示します。2024年のシステマティックレビュー・メタ解析では、QuickDASHの統合MCIDは11.97点、統合MDC90は9.03点で、MCIDの実用的な範囲として12〜15点が提案されています。
ただし、MCIDは対象集団や研究方法によって異なるため、「12点下がればすべての患者で意味のある改善」と機械的に判定する値ではありません。たとえば42点から28点になれば14点の低下ですが、数値だけでなく、本人が感じている変化や生活課題の変化もあわせて確認します。
MDCとMCIDは意味が異なります。MDCは測定誤差を超えた変化を考える指標、MCIDは患者にとって意味のある変化を考える指標です。再評価では、スコアの変化量+本人の実感+生活上の変化をセットで確認します。
臨床での使い方|総スコアだけでなく生活課題の変化を見る
QuickDASHは肩・肘・手関節・手指など単一の関節に限定せず、上肢の筋骨格系障害に伴う機能と症状をまとめて捉える尺度です。初回評価ではQuickDASHだけで原因を決めるのではなく、疼痛、関節可動域、筋力、巧緻性など、必要な身体機能評価と組み合わせます。
再評価では総スコアの増減に加えて、回答時に負担が大きかった生活課題がどう変わったかを確認します。同じ総スコアでも、残っている制限の内容が違えば、次に優先する評価や介入も変わります。
カルテに残す最小テンプレ
記録例:
QuickDASH:合計( )点/n=( )/スコア( )/100
欠損:( )項目
実施条件:先週1週間/実施方法( )
主な生活上の困りごと:( )
前回:( )/100 → 今回:( )/100、変化量( )点
次回再評価:( )
QuickDASH記録用紙|PDF・Excelをダウンロード
採点条件をそろえて再評価しやすくするためのQuickDASH採点・再評価記録シートです。合計点、有効回答数n、欠損数、QuickDASHスコア、算出可否、前回からの変化、主な生活上の困りごとを1枚で整理できます。
PDF版はA4縦1ページで、そのまま印刷して記入したい場合に使えます。Excel版は入力・保存・再利用したい場合の原本として使用できます。いずれも公式QuickDASH-JSSH質問票そのものではなく、回答後の採点・欠損確認・再評価を補助する記録用紙です。
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QuickDASHとDASHの違い|短時間ならQuickDASH、詳細さならDASH
QuickDASHは、DASHの30項目を11項目へ短縮した尺度です。回答負担を抑えて上肢の機能・症状を追いやすい一方、より多くの項目から詳細に評価したい場合はDASHが選択肢になります。
| 指標 | 項目数 | 特徴 | 選ぶときの考え方 |
|---|---|---|---|
| QuickDASH | 11項目 | 回答負担を抑えやすい | 短時間で繰り返し運用したい |
| DASH | 30項目 | より多くの項目から評価できる | より詳細に状態を追いたい |
DASHの採点や運用を詳しく確認したい場合は、DASHの評価方法で整理しています。
QuickDASHで迷いやすい4点|採点・欠損・解釈・再評価
QuickDASHでは、分母を11で固定する、2項目以上の欠損でも計算する、小さな点数変化だけで改善と判断する、総スコアだけを残すという扱いに注意が必要です。
| 論点 | 避けたい扱い | 確認すること |
|---|---|---|
| 1項目欠損 | 分母を11のまま計算する | 回答数n=10として計算する |
| 2項目以上欠損 | 残った項目だけで計算する | 機能障害/症状スコアは算出不可 |
| 変化量 | 数点の変化だけで改善・悪化を断定する | MDC・MCIDと本人の変化をあわせて確認する |
| 記録 | 最終スコアだけ残す | n、欠損、生活課題、前回との差も残す |
QuickDASHのよくある質問
QuickDASHは何点満点ですか?
0〜100点で評価します。0点は障害が最も少ない側、100点は障害が最も大きい側です。各項目の点数をそのまま合計した値ではなく、計算式で0〜100点へ換算します。
QuickDASHは1項目未回答でも計算できますか?
はい。11項目中10項目以上に回答があれば計算できます。1項目未回答の場合は、有効回答数をn=10として計算します。2項目以上が未回答なら機能障害/症状スコアは算出できません。
QuickDASHは何点変われば改善ですか?
2024年のシステマティックレビュー・メタ解析では、QuickDASHのMCIDの実用的な範囲として12〜15点が提案されています。ただし対象集団などによって異なるため、一律の改善判定には使わず、本人の実感や生活課題の変化とあわせて判断します。
仕事やスポーツ/芸術活動の選択項目も1項目欠損まで計算できますか?
いいえ。各選択項目は4項目すべてに回答する必要があります。1項目でも欠損があれば、その選択項目スコアは算出できません。
QuickDASH-JSSHの質問票はどこで確認できますか?
日本手外科学会の公式ページからQuickDASH-JSSHを確認できます。この記事で配布しているPDF・Excelは採点・再評価を整理するための記録用紙であり、公式質問票そのものではありません。
次の一手|目的に合う上肢PROMを選ぶ
QuickDASH以外も含めて運動器領域のPROMを選び分けたい場合は、運動器PROMハブで目的別に整理しています。
参考文献
- Beaton DE, Wright JG, Katz JN, Upper Extremity Collaborative Group. Development of the QuickDASH: comparison of three item-reduction approaches. J Bone Joint Surg Am. 2005;87(5):1038-1046. DOI: 10.2106/JBJS.D.02060
- Gummesson C, Ward MM, Atroshi I. The shortened Disabilities of the Arm, Shoulder and Hand questionnaire (QuickDASH): validity and reliability based on responses within the full-length DASH. BMC Musculoskelet Disord. 2006;7:44. DOI: 10.1186/1471-2474-7-44
- Imaeda T, Toh S, Wada T, Uchiyama S, Okinaga S, Sawaizumi T, et al. Validation of the Japanese Society for Surgery of the Hand version of the Quick Disability of the Arm, Shoulder and Hand (QuickDASH-JSSH) questionnaire. J Orthop Sci. 2006;11(3):248-253. DOI: 10.1007/s00776-006-1013-1
- Franchignoni F, Vercelli S, Giordano A, Sartorio F, Bravini E, Ferriero G. Minimal clinically important difference of the Disabilities of the Arm, Shoulder and Hand outcome measure (DASH) and its shortened version (QuickDASH). J Orthop Sports Phys Ther. 2014;44(1):30-39. DOI: 10.2519/jospt.2014.4893
- Rysstad T, Grotle M, Klokk LP, Tveter AT. Responsiveness and minimal important change of the QuickDASH and PSFS when used among patients with shoulder pain. BMC Musculoskelet Disord. 2020;21:658. DOI: 10.1186/s12891-020-03289-z
- Galardini L, Coppari A, Pellicciari L, Ugolini A, La Porta F, Bravini E, et al. Minimal clinically important difference of the Disabilities of the Arm, Shoulder and Hand (DASH) and the shortened version of the DASH (QuickDASH) in people with musculoskeletal disorders: a systematic review and meta-analysis. Phys Ther. 2024;104(5):pzae033. DOI: 10.1093/ptj/pzae033
- Institute for Work & Health. The QuickDASH Outcome Measure: Information for Users. 公式PDF
- 日本手外科学会. 患者立脚型機能評価質問表 DASH / QuickDASH 日本語版(JSSH版). 公式案内ページ
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

