4PPSとは?0〜3点の採点基準と評価方法

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4PPSとは?0〜3点でlateropulsionの重症度を評価する尺度

4PPS(Four-Point Pusher Score)は、脳卒中後などにみられるlateropulsion(プッシャー行動)を0〜3点の4段階で評価する尺度です。採点では単に「押しが強い・弱い」を見るのではなく、座位・立位・歩行での自発姿勢、より障害の少ない側を使った押し、より障害の少ない側へ受動的に荷重を移したときの抵抗を組み合わせて判断します。

4PPSで最も迷いやすいのは、1点・2点・3点の境界です。本記事では、原著の判定構造をもとに、「座位で見えるか」「立位で見えるか」「見た目には傾いていなくても受動的な荷重移動に抵抗するか」という順序で整理します。Pusher現象全体の評価については、Pusher評価の全体像もあわせて確認してください。

先に結論:4PPSは、3点=座位ですでに明らかな傾き・押しがある、2点=座位では見た目の傾きはないが受動的荷重移動に抵抗し、立位では明らかな傾き・押しがある、1点=座位では抵抗がなく、立位または歩行で見た目の傾きはないものの受動的荷重移動に抵抗する、0点=これらの押し・抵抗を認めない、という階層で捉えると整理しやすくなります。

4PPSの採点基準|0・1・2・3点の違い

4PPSは0〜3点の順序尺度で、点数が高いほどlateropulsionが重いことを示します。ただし、採点は主観的に「軽度・中等度・重度」を選ぶのではなく、どの姿勢で押しや抵抗が現れるかによって階層化されています。

原著では、より障害の強い側への自発的な傾き・押し、より障害の少ない側の上下肢や体幹を使った押し、より障害の少ない側へ受動的に荷重・姿勢を移そうとしたときの抵抗を確認します。以下は、原著の採点構造を臨床で判断しやすいように要約したものです。

4PPS 0〜3点の採点境界(原著をもとに要約)
点数 座位 立位・歩行 判定のポイント
3点 より障害の強い側への明らかな傾き・押しが見える 必要に応じて確認 座位ですでに明らかな押しが出現する。より障害の少ない側の上下肢・体幹を使った押しがみられることがある
2点 明らかな傾きは見えないが、より障害の少ない側への受動的荷重移動に抵抗する 立位でより障害の強い側への明らかな傾き・押しが見える 座位では見た目だけでは分かりにくいが、受動的荷重移動で抵抗が確認できる
1点 明らかな傾きがなく、より障害の少ない側への受動的荷重移動にも抵抗しない 明らかな傾きは見えないが、立位または歩行で受動的荷重移動への抵抗が確認できる 座位だけでは0点と区別しにくく、立位・歩行で初めてlateropulsionが確認される
0点 押しや受動的荷重移動への抵抗を認めない 押しや受動的荷重移動への抵抗を認めない より障害の少ない側の過活動による押しも認めない
4PPSの0・1・2・3点を座位・立位・歩行と受動的荷重移動への抵抗から判定するフロー
4PPSは、座位から立位・歩行へ進み、明らかな傾き・押しと、より障害の少ない側への受動的荷重移動に対する抵抗を確認して0〜3点を判定します。

「より障害の強い側」「より障害の少ない側」という表現を使用しているのは、4PPSの改訂版が大脳半球病変だけでなく、脳幹・小脳病変なども考慮した表現へ変更されているためです。「麻痺側・非麻痺側」だけで固定せず、対象者の障害側を確認して評価します。

1点・2点・3点の境界|どこを見れば迷わない?

4PPSで最も重要なのは、点数ごとの文章を暗記することではなく、どの姿勢までlateropulsionが現れているかを順に確認することです。特に迷いやすい境界は、「座位で明らかな押しが見えるか」「座位で受動的荷重移動への抵抗があるか」「立位で明らかな押しが見えるか」の3点です。

2点と3点の違い|座位で明らかな傾きが見えるか

座位ですでに、より障害の強い側への明らかな傾き・押しが見える場合は3点側です。3点では、より障害の少ない側の上肢・下肢・体幹を使って身体を押す所見を伴うことがあり、臥位でも押しがみられる場合があります。

一方、2点では座位の見た目には明らかな傾きがありません。ただし、より障害の少ない側へ受動的に荷重を移そうとすると抵抗し、立位になるとより障害の強い側への明らかな傾き・押しが現れます。

2点と3点の分岐:座位で明らかな傾き・押しが見えているなら3点を考えます。座位では見た目の傾きがないものの、受動的荷重移動への抵抗があり、立位で明らかな押しが出るなら2点側です。

1点と2点の違い|座位で受動的荷重移動に抵抗するか

1点と2点を分けるポイントは、座位でより障害の少ない側へ受動的に荷重を移したときに抵抗するかです。

2点では座位で見た目の傾きがなくても、この受動的荷重移動への抵抗が確認できます。一方、1点では座位で明らかな傾きも抵抗もみられません。立位または歩行まで進むと、見た目の明らかな傾きはなくても、より障害の少ない側への受動的荷重移動に抵抗することでlateropulsionが確認されます。

0点と1点の違い|立位・歩行で抵抗が残っていないか

座位だけを見て「押していないから0点」と判断すると、軽度のlateropulsionを見落とす可能性があります。1点では座位所見が目立たなくても、立位または歩行で受動的荷重移動への抵抗が現れます。

0点では、座位・立位・歩行で、より障害の少ない側への受動的荷重移動に対する抵抗を認めず、より障害の少ない側を使った明らかな押しも認めません。

4PPSで迷ったときの分岐
確認すること はい いいえ
座位で明らかな傾き・押しが見える 3点を考える 次へ
座位で受動的荷重移動に抵抗する 立位所見と合わせて2点を考える 次へ
立位で明らかな傾き・押しが見える 2点を考える 次へ
立位または歩行で受動的荷重移動に抵抗する 1点を考える 0点を考える

この分岐は、4PPSの公式用紙そのものを置き換えるものではありません。原著の階層構造を理解するための補助として使用してください。

4PPSの評価方法|座位から立位・歩行へ確認する

4PPSでは、姿勢だけでなく、押し行動と受動的な荷重移動への抵抗を合わせて確認します。実施時は、患者の安全を確保したうえで、どちらがより障害の強い側かを最初に明確にしておくことが重要です。

  1. 障害側と評価条件を確認する:より障害の強い側・少ない側を確認し、足底接地、支持物、装具、介助条件を記録します。
  2. 座位の自発姿勢を見る:より障害の強い側への明らかな傾き・押しがあるか、より障害の少ない側を使って身体を押していないかを確認します。
  3. 座位で受動的荷重移動を確認する:より障害の少ない側へ身体を移そうとしたときに抵抗するかを確認します。
  4. 立位の自発姿勢を見る:安全を確保し、より障害の強い側への明らかな傾き・押しが現れるかを確認します。
  5. 立位・歩行で抵抗を確認する:見た目に明らかな傾きがなくても、より障害の少ない側への受動的荷重移動に抵抗しないかを確認します。
  6. 最も当てはまる階層を記録する:0〜3点だけでなく、その点数を判断した姿勢と所見も残します。

安全上の注意:立位や歩行を安全に実施できない場合、4PPSを採点するためだけに無理に実施しません。座位所見だけでは点数を区別できない場合は、実施できなかった条件を記録し、評価可能な範囲の所見を申し送ります。これは4PPSの正式な追加採点基準ではなく、安全に運用するための実務上の補助です。

4PPSの記録方法|点数だけでなく根拠を残す

4PPSは0〜3点と簡潔ですが、点数だけでは再評価時に「なぜその点数だったのか」が分かりません。臨床では、点数・判定した姿勢・押す方向・受動的荷重移動への抵抗・実施条件を一緒に残すと、評価者が変わっても比較しやすくなります。

4PPSの記録で残したい項目
項目 記録する内容
4PPS 0〜3点
障害側 より障害の強い側を明記する
姿勢・場面 座位、立位、歩行のどこで所見が出たか
押し より障害の強い側への傾き・押しと、より障害の少ない側の使用
受動的荷重移動 より障害の少ない側へ移した際の抵抗の有無
実施条件 支持物、装具、足底接地、介助など

0〜3点の記録例

以下は公式の記載様式ではなく、4PPSの判定根拠をチーム内で共有するための記録例です。

4PPSの記録例
点数 記録例
3点 4PPS:3点。座位でより障害の強い側への明らかな傾き・押しあり。より障害の少ない上肢を使った押しを認める。
2点 4PPS:2点。座位では明らかな傾きなし。より障害の少ない側への受動的荷重移動に抵抗あり。立位でより障害の強い側への明らかな傾きあり。
1点 4PPS:1点。座位では明らかな傾き・受動的荷重移動への抵抗なし。立位では明らかな傾きはないが、より障害の少ない側への受動的荷重移動に抵抗あり。
0点 4PPS:0点。座位・立位・歩行で明らかな押しなし。より障害の少ない側への受動的荷重移動に抵抗を認めない。

4PPS評価・記録シート|PDF・Excel

4PPSを初回評価・再評価・申し送りで使いやすいように、0〜3点の採点境界と評価条件を整理した記録シートを作成しました。4PPSの原文を転載したものではなく、原著の採点構造をもとに、評価時に確認した所見と実施条件を整理するためのrehabilikunblog独自の記録補助資料です。

PDF版はA4で印刷して手書きする場合、Excel版は電子入力や院内での記録原本として使用したい場合に向いています。

4PPS 評価・記録シート

採点早見、座位・立位・歩行の所見、受動的荷重移動への抵抗、評価条件、再評価時の記録を1枚で整理できます。

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配布資料は採点そのものを代替するものではありません。原著・所属施設の運用を確認したうえで、評価条件と判定根拠をそろえるための補助として使用してください。

再評価|点数より先に実施条件をそろえる

4PPSの経時変化を見る場合は、点数だけでなく前回と同じ条件で評価できているかを確認します。支持物、装具、足底接地、介助方法などが変わると、点数の変化がlateropulsionの改善によるものか、条件差によるものか判断しにくくなります。

4PPS再評価時にそろえたい条件
確認項目 記録する内容
足底・座位条件 足底接地、座面、体幹支持の条件
支持物 手すり、杖、歩行器などの有無
装具 使用した装具と装着条件
介助 介助者の位置と介助方法
評価できた姿勢 座位、立位、歩行のどこまで確認できたか
身体状態 覚醒、疲労、疼痛など評価へ影響した状態

覚醒や疲労、疼痛などは4PPSの正式な採点項目ではありませんが、前回との比較可能性を判断するための補助情報として残しておくと役立ちます。公式の採点条件と、再評価を安定させるための実務上の記録を混同しないことが重要です。

4PPSでよくある誤判定

4PPSでは、身体が傾いているだけでlateropulsionと判断しないことが重要です。採点では、押す方向、より障害の少ない側の使用、受動的荷重移動への抵抗を組み合わせて確認します。

4PPSで起こりやすい誤判定と確認点
迷いやすい場面 確認したいこと
座位で身体が傾いている 単なる体幹保持困難ではなく、より障害の強い側への押しや、より障害の少ない側を使った押しがあるか
座位では左右差が目立たない より障害の少ない側へ受動的に荷重を移した際の抵抗がないか
座位所見が正常に見える 立位・歩行で抵抗が残っておらず、本当に0点なのか
再評価で点数が変わった 支持物、装具、介助、足底接地などの条件が前回と同じか

半側空間無視、感覚障害、体幹機能低下、恐怖、疼痛などが併存する場合もあります。これらの所見だけで4PPSを加点・減点するのではなく、4PPSが定める姿勢・押し・受動的荷重移動への抵抗と分けて評価します。

4PPS・BLS・SCPの違い

4PPSは、lateropulsionを0〜3点で階層化できる簡潔な尺度です。一方、BLSとSCPは評価する場面や構成が異なるため、目的によって使い分けます。

4PPS・BLS・SCPの特徴
尺度 特徴 確認しやすいこと
4PPS 0〜3点でlateropulsionを階層化する 短時間で重症度を把握したい場合
BLS 寝返り、座位、立位、移乗、歩行を評価する 複数場面でのlateropulsionと経時変化を追いたい場合
SCP 座位・立位で自発姿勢、押し、受動修正への抵抗を評価する pusher behaviourの3つの構成要素を整理したい場合

どの尺度を選ぶか迷う場合は、SCP・BLS・4PPSの違いと使い分けで比較しています。本記事では4PPSの採点に集中し、各尺度の詳細な採点方法はそれぞれの単体記事へ役割を分けます。

まとめ|4PPSは座位・立位・歩行の階層で考える

4PPSは、lateropulsionを0〜3点で整理する評価尺度です。採点で重要なのは、「押しが強そうだから2点」といった印象ではなく、どの姿勢で明らかな傾き・押しが現れるか、より障害の少ない側への受動的荷重移動に抵抗するかを順に確認することです。

3点と2点では座位で明らかな押しが見えるか、2点と1点では座位で受動的荷重移動に抵抗するか、1点と0点では立位・歩行で抵抗が残るかが重要な境界になります。再評価では点数だけでなく、判定した姿勢と実施条件を残し、同じ条件で変化を追えるようにしてください。

参考文献

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  2. Baccini M, Paci M, Nannetti L, Biricolti C, Rinaldi LA. Scale for Contraversive Pushing: cutoff scores for diagnosing “pusher behavior” and construct validity. Phys Ther. 2008;88(8):947-955. doi:10.2522/ptj.20070179
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  4. Bergmann J, Krewer C, Rieß K, Müller F, Koenig E, Jahn K. Inconsistent classification of pusher behaviour in stroke patients: a direct comparison of the Scale for Contraversive Pushing and the Burke Lateropulsion Scale. Clin Rehabil. 2014;28(7):696-703. doi:10.1177/0269215513517726
  5. D’Aquila MA, Smith T, Organ D, Lichtman S, Reding M. Validation of a lateropulsion scale for patients recovering from stroke. Clin Rehabil. 2004;18(1):102-109. doi:10.1191/0269215504cr709oa

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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