4PPS とは?プッシャー重症度を 2 分で評価

4PPS とは? 2 分でプッシャー重症度チェック 評価
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4PPS(Four-Point Pusher Score)とは?プッシャー重症度を 2 分で評価する方法

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4PPS は、脳卒中後の lateropulsion(プッシャー行動/押し現象)の「重症度」を、 0〜3 点で階層化する簡便尺度です。座位・立位・歩行のどこで押しが出るか(出やすいほど重い)という考え方で、短時間でも臨床の意思決定に繋がる点数化ができます。

同じ “ プッシャー ” でも、単なる麻痺側への崩れや注意障害による偏りとは対応が変わります。 4PPS は「押してくる」「矯正に抵抗する」という質を観察し、再評価でブレにくい記録を残すためのツールとして有用です。

4PPS が見ているのは「押し」と「抵抗」の質

プッシャー行動の典型は、①身体が麻痺側へ自発的に傾く、②非麻痺側上下肢と体幹で “ 押して ” さらに傾ける、③非麻痺側へ戻そうとすると抵抗する、の 3 点です。 4PPS はこの特徴を、姿勢の場面(座位→立位→歩行)に沿って重症度として整理します。

ポイントは「見た目の傾き」だけで判断しないことです。見た目が軽くても、受動的に重心を非麻痺側へ移したときに “ 反対方向へ押し返す ” 抵抗が明確なら lateropulsion の可能性が高く、介助位置や課題設定(安全管理を含む)を先に整える必要があります。

評価前にそろえる条件|安全と再現性を優先

4PPS は短時間で回せる一方、条件が揃っていないと「押し」ではなく “ 立ち直り反応や恐怖による固さ ” を拾ってしまいます。座位の座面高・足底接地・支持面の滑り、立位での介助位置、歩行での速度と補助具など、再評価で再現できる条件を最初に固定します。

また、疼痛・重度感覚障害・強い注意障害・起立性低血圧などは姿勢保持を大きく乱します。安全確保(転倒リスク、血圧、疲労)を優先し、評価は “ できる範囲で一貫して ” 行うのが臨床的に最も価値があります。

採点の考え方| 0〜3 点は「どの場面で出るか」で決まる

4PPS は 0〜3 点の順序尺度で、数字が大きいほど重症です。大枠としては、座位ですでに明確な押し(傾き/過活動/抵抗)が見えるほど重く、座位は問題ないが立位・歩行で抵抗が出る場合は軽い、という整理になります(評価に要する時間が短いのは、この階層化の発想によります)。

臨床では「点数=危険度」ではなく、「点数=課題設定の順番」と捉えると使いやすいです。例えば 2 点以上なら、まずは座位での環境調整と非麻痺側への受動的荷重練習を丁寧にし、立位・歩行は “ 条件付きで段階的に ” 入る、といった運用に繋げやすくなります。

4PPS の点数と臨床での目安(成人・脳卒中)
点数 観察の要点(要約) 臨床での扱い
0 座位〜歩行で「押し」「矯正への抵抗」がみられない 通常の姿勢・歩行評価へ(転倒因子は別途確認)
1 座位は良好だが、立位/歩行で非麻痺側への荷重誘導に抵抗が出る 立位・歩行は条件固定で再評価し、介助位置を最適化
2 座位で “ 見た目は軽いが ” 抵抗が明確、立位では傾き/押しが目立つ 座位での重心移動と安全管理を軸に、立位は段階的に導入
3 座位で明確な傾き/押し+非麻痺側の過活動、臥位でも押しが出ることがある 環境調整と介助量の確保が最優先。早期からチーム共有

2 分で回す実施フロー|座位→立位→歩行の順で確認

手順は “ 観察→誘導→抵抗の有無 ” の繰り返しです。まず座位で身体の傾きと非麻痺側の過活動を観察し、次にセラピストが体幹(または骨盤)から非麻痺側へ重心を誘導して、押し返す抵抗が出るかをみます。ここで「押し」が明確なら、座位時点で重症側に振れる可能性が高いです。

次に立位(必要に応じて歩行)で同様に、非麻痺側への荷重誘導に対する抵抗、立ち上がりや方向転換での “ 押し方向 ” を確認します。評価中は “ どの姿勢で/どの誘導で/どの程度の抵抗が出たか ” をセットで記録すると、再評価の再現性が上がります。

記録の型|点数だけで終わらせない(チーム共有用)

4PPS は点数がシンプルな分、背景(どの姿勢で出たか)を 1 行で添えると、カンファ・申し送りで迷いが減ります。特に 1 点と 2 点の境界は、座位での抵抗の取り方で印象が変わりやすいため、「座位で抵抗あり/なし」を明文化するのがおすすめです。

記録例は次のように “ 事実+条件 ” を並べます。例:『 4PPS= 2 。座位:見た目の傾き軽度だが、非麻痺側への受動的荷重で押し返しあり。立位:麻痺側への傾き増強。評価条件:座面高○ cm、足底接地良好、介助は体幹支持』。この型なら、翌週の再評価でも同じ条件で比較できます。

よくある誤判定と対策| “ 押し ” に見えて実は違う

臨床で多いのは、麻痺側への崩れ(筋力低下/感覚障害/注意障害)を lateropulsion と誤認するケースです。プッシャーは “ 非麻痺側で押す/戻すと抵抗する ” という能動性が核なので、受動的誘導への反応を丁寧にみるだけで判定の精度が上がります。

もう一つは、恐怖や疼痛で身体が固くなり、非麻痺側荷重を拒否しているケースです。評価中に表情・呼吸・筋緊張が上がっているなら、課題難易度や環境(手すり、座面、足底)を調整し、 “ 押し返し ” の方向性が一貫しているかを確認します。

4PPS で迷いやすい所見の OK/NG と対策
見え方 判断 理由 対策
麻痺側へ崩れるが、誘導しても押し返しが弱い NG(プッシャー単独と断定しない) 筋力・感覚・注意の要因で “ 支えられない ” だけの可能性 足底接地、座面高、体幹支持を整え再評価。能動的抵抗の方向性を確認
非麻痺側へ誘導すると一貫して押し返す OK(プッシャー疑い) “ 戻すと抵抗する ” は lateropulsion の中核所見 介助位置を安全側に固定し、座位での段階的荷重→立位へ
疼痛や恐怖で全方向に固くなる NG(評価条件の影響が大) 抵抗が方向特異的でないと解釈が難しい 痛み評価、環境調整、課題難易度を下げ、方向性が出る条件で再評価
歩行だけで押しが目立つ OK(ただし座位・立位も確認) 軽症は立位・歩行で初めて出ることがある 立位での荷重誘導への抵抗を併せて確認し、 1 点か 2 点かを整理

臨床での使いどころ|スクリーニングと経過観察を両立

4PPS の強みは “ まず拾う ” と “ ざっくり追う ” の両方ができる点です。忙しい病棟でも 2 分程度で重症度の目安がつくため、初期評価での安全管理(介助量、環境設定、歩行開始の条件)に直結しやすいです。

一方で、細かな姿勢課題(寝返り・移乗・歩行のどこで抵抗が始まるか)を分解して追いたい場合は、 BLS や SCP の情報が補助になります。 4PPS を “入口(全体像)” 、詳細尺度を “深掘り(課題設定)” と位置づけると、評価にかける時間と得られる臨床価値のバランスが取りやすくなります。

よくある質問(FAQ)

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4PPS は何点から「プッシャーあり」ですか?

臨床では、 1 点以上なら lateropulsion を疑い、少なくとも「非麻痺側への荷重誘導で抵抗が出る条件がある」と捉えるのが実用的です。研究ではカットオフの扱いが論文ごとに異なるため、まずは “ 押し/抵抗があるか ” を重視し、点数は重症度として運用すると安全です。

1 点と 2 点の境界が難しいです。コツは?

境界は「座位で抵抗があるか」が鍵になります。座位で明確な抵抗が出るなら重症側( 2 点以上)に寄りやすく、座位は問題ないが立位・歩行で抵抗が出るなら軽症側( 1 点)に寄りやすいです。必ず “ 評価条件(座面高・足底・介助位置)” を固定して再評価してください。

失調や脳幹・小脳病変でも使えますか?

4PPS は lateropulsion を “ 押し/抵抗 ” として捉える尺度なので、病変部位に関わらず臨床で参照されます。ただし、失調や眼球運動障害、強い前庭症状があると姿勢保持が乱れやすく、評価条件の影響が大きくなります。安全確保と条件固定を優先し、点数だけで結論を急がない運用が重要です。

4PPS の再評価はどの頻度が良いですか?

急性期〜回復期の変化が大きい時期は、介入計画の節目(例:歩行開始、移乗自立判定、退院前評価)に合わせると実用的です。大切なのは頻度より “ 同条件で比較できる ” ことなので、座面高・足底・介助量・補助具を記録しておくと再評価の価値が上がります。

まとめ| 4PPS を「安全管理」と「課題設定」に繋げる

4PPS は、 lateropulsion(プッシャー行動)を 0〜3 点で重症度整理できる簡便尺度です。座位で押し/抵抗が出るほど重症という発想で、短時間でも “ 今どこから介入するべきか ” を判断しやすくなります。

運用のコツは、点数だけで終わらせず「どの姿勢で/どの誘導で抵抗が出たか」を条件付きで残すことです。条件固定→段階的荷重→記録→再評価の流れを回すと、チーム全体で安全に介入方針を揃えやすくなります。

おわりに

プッシャー評価は「条件の固定→段階刺激→スコア記録→再評価」のリズムで回すと、所見が臨床の意思決定に直結します。面談準備チェックと職場評価シートは /mynavi-medical/#download にまとめているので、転職を検討するときの整理に使ってください。

※本記事の尺度説明は、原著の趣旨を踏まえて要点を整理したものです。実施時は施設の安全基準と手順に従って運用してください。

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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参考文献

  1. Chow E, Parkinson S, Jenkin J, et al. Reliability and Validity of the Four-Point Pusher Score: An Assessment Tool for Measuring Lateropulsion and Pusher Behaviour in Adults after Stroke. Physiother Can. 2019;71(1):1-9. doi:10.3138/ptc.2017-69. PubMed
  2. Koter R, Fiedler A, Schwenkreis P, Tegenthoff M, Dinse HR. Clinical Outcome Measures for Lateropulsion Poststroke. Top Stroke Rehabil. 2017. PubMed
  3. Bergmann J, Krewer C, Jahn K, Müller F. Inconsistent classification of pusher behaviour in stroke patients: a comparison of the Burke Lateropulsion Scale and the Scale for Contraversive Pushing. Clin Rehabil. 2014. PubMed
  4. Baccini M, Paci M, Nannetti L, et al. The scale for contraversive pushing: a reliability and validity study. Neurorehabil Neural Repair. 2006. PubMed
  5. Bergmann J, et al. A new cutoff score for the Burke Lateropulsion Scale to diagnose pusher behavior. PM R. 2019. PubMed
  6. Nolan J, et al. Post-stroke lateropulsion and rehabilitation outcomes. Clin Rehabil. 2022. PubMed
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