4PPS(Four-Point Pusher Score)を“迷わず運用”するための結論
4PPS( Four-Point Pusher Score )は、プッシャー行動( lateropulsion )の有無と重症度を短時間で把握し、初回評価から再評価までを同じ手順で回すための尺度です。結論として、本記事では 4PPS を「入口評価の標準」として位置づけ、詳細な場面分析は必要に応じて BLS や SCP に接続する運用を推奨します。
このページは「実装」に特化し、比較の長文は最小化しました。条件固定、2 分フロー、誤判定の回避、記録テンプレまでを 1 本で確認できる構成です。評価の全体像は 評価ハブ と併用すると、親子導線で回遊しやすくなります。
同ジャンルを最短で回遊(おすすめ)
関連:BLS(Burke Lateropulsion Scale)の手順を見る
まず深掘り:BLS・SCP・4PPS の使い分けを確認する
4PPSとは?何を見ている評価か
4PPS は、非麻痺側へ押し出す行動と正中へ戻されることへの抵抗を、短時間で観察・点数化するための尺度です。点数だけでなく、「どの課題で押しが出るか」を所見として残すことで、介助量の調整や次回介入の優先順位が明確になります。
一方で、4PPS 単独では場面ごとの細かな変化を追いにくいことがあります。経過で詳細把握が必要になった場合は、BLS や SCP と役割分担して使うと、評価の一貫性と臨床判断の再現性を維持しやすくなります。
評価前チェック(条件固定)
再評価で比較可能なデータを残すには、実施条件の固定が最優先です。座面高、足底接地、支持物、介助位置、装具条件が変わると、点数差が「改善」ではなく「条件差」になることがあります。初回から同一フォーマットで記録してください。
特に、疲労や覚醒、疼痛、恐怖の影響は押し行動の出現に直結します。安全確保と判定の妥当性を両立するために、実施前の 30 秒チェックをルーチン化することが有効です。
| チェック項目 | 固定する内容 | 記録例 |
|---|---|---|
| 姿勢条件 | 座面高、足底接地、体幹支持 | 端座位、足底全面接地、体幹軽介助 |
| 支持物 | 手すり・机・装具の有無 | 手すりなし、短下肢装具あり |
| 介助条件 | 介助者の位置と介助量 | 患側前方で監視、必要時最小介助 |
| 中止判断 | 転倒リスク・症状増悪の基準 | ふらつき増大、恐怖増強で中止 |
採点と解釈(0〜3点の考え方)
4PPS は 0〜3 点で重症度を把握します。臨床では「点数の上下」だけでなく、押し行動の出現場面と抵抗の一貫性を同時にみることが重要です。たとえば同点でも、座位のみで出るのか、立位や移動まで拡大しているのかで介入優先度は変わります。
判定に迷うときは、1 回で結論を急がず、同条件で短時間の再チェックを行います。評価者間差を減らすには、評価順序の固定と、所見の短文化(1 行で書ける記録)が有効です。
4PPS 実施フロー(2分版)
現場で回しやすい順序は「評価前チェック → 課題実施 → 採点 → 記録 → 次の判断」です。以下の図を手順の共通言語として使うと、申し送りの精度が上がります。
BLS・SCP・4PPSの使い分け(要約)
比較の詳細は比較記事に任せ、本記事では実装に必要な最小情報のみ示します。4PPS は入口、BLS は場面別追跡、SCP は病態整理という役割分担にすると、カニバリを避けながら運用しやすくなります。
| 尺度 | 向いている場面 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 4PPS | 初回の入口評価 | 短時間で回しやすい | 場面別の細かな追跡は限定的 |
| BLS | 経過追跡と介助調整 | 場面ごとの変化を把握しやすい | 実施と記録にやや時間がかかる |
| SCP | 病態整理・研究的評価 | 概念整理に有用 | 運用手順の統一が必要 |
よくある失敗
4PPS の誤判定は、プッシャー行動と別要因の混同で生じやすくなります。代表例は「体幹筋力低下による崩れ」「半側空間無視による偏倚」「恐怖回避による防御姿勢」です。方向性と抵抗の一貫性を確認し、単発所見で断定しない運用が重要です。
また、再評価時に環境条件が変わると、点数の比較可能性が下がります。評価前チェックを毎回同じ順序で読み上げるだけでも、評価者間差の縮小に効果があります。
| よくある失敗 | 起こる理由 | 回避策 |
|---|---|---|
| 体幹崩れをプッシャーと誤判定 | 筋力低下との区別が不十分 | 押し方向と戻し抵抗の両方を確認する |
| USN の偏倚を同一視 | 注意障害の影響を未評価 | 視空間課題所見を併記して判断する |
| 条件差で点数変化 | 座面・支持物・介助位置が変化 | 評価前チェックを固定して再測定する |
現場の詰まりどころ
「点数は取れたが次の一手が決まらない」場面では、失敗パターンの切り分けと手順固定を優先すると解決しやすくなります。
記録テンプレ(申し送り用)
申し送りで使える最小単位は「点数+所見+次介入+条件」です。記録を短文化しておくと、評価者が変わっても運用が崩れにくくなります。以下をコピーして電子カルテの定型文に登録すると、日次運用が安定します。
記録例:
「4PPS:2 点。座位で非麻痺側への押し行動あり、正中修正に抵抗。条件:端座位・足底接地・手すりなし。次回は立位課題で外的手がかりを追加し再評価。」
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
4PPS だけで運用しても問題ありませんか?
入口評価としては有用です。ただし、経時的に場面別の変化を追う場合は BLS などを併用した方が、介助調整や目標設定に結びつきやすくなります。
評価者ごとに点数がずれる原因は何ですか?
主因は実施条件の不一致です。座面高、足底接地、支持物、介助位置、評価順序を固定し、所見を 1 行で残す運用にすると一致率が上がります。
4PPS と BLS はどう使い分けるとよいですか?
4PPS は短時間の入口評価、BLS は場面別の追跡に向きます。初回は 4PPS、課題設定や経過追跡では BLS を追加する流れが実務的です。
再評価のタイミングはどう決めますか?
介助量や歩行課題の設定を変更した直後、または日内で症状変動が大きいタイミングで再評価すると、介入効果を判断しやすくなります。
次の一手
- 運用を整える:評価ハブで全体像を確認する(全体像)
- 共有の型を作る:BLS の手順をチームでそろえる(すぐ実装)
教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。
チェック後に『続ける/変える』の選択肢も整理したい方は、PT キャリアナビで進め方を確認しておくと迷いが減ります。
参考文献
- Chow E, et al. Reliability and validity of the Four-Point Pusher Score. Physiother Can. 2019;71(1):34-42. doi:10.3138/ptc-2017-76
- Baccini M, Paci M, Nannetti L, et al. Scale for Contraversive Pushing: cutoff scores and construct validity. Phys Ther. 2008;88(8):947-955. doi:10.2522/ptj.20070179
- Karnath HO, Brötz D. Instructions for the Scale for Contraversive Pushing (SCP). Neurorehabil Neural Repair. 2007;21(4):370-371. doi:10.1177/1545968307300702
- Bergmann J, Krewer C, Rieß K, et al. Inconsistent classification of pusher behavior in stroke patients based on different assessment tools. Clin Rehabil. 2014;28(7):696-703. doi:10.1177/0269215513517726
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


