METs 早見表でまず決めること
このページは、生活動作・家事・歩行・運動の METs(メッツ) をすぐ引き、活動候補を短時間で決めるための早見表です。対象は、運動指導・退院支援・活動量の説明・再評価の記録を、できるだけ迷わずそろえたい PT / OT / ST です。
ここで答えるのは「どの行を選ぶか」「どう条件を残すか」までです。詳しい強度設定、METs が外れる理由、23 Ex の計算は親子記事へ分け、このページは lookup と記録 に集中します。一般的な目安として、中等度= 3.0〜 5.9 METs /高強度= 6.0 METs 以上 ですが、臨床では最後に RPE( Borg )と症状 で調整します。
同ジャンルの全体像から確認する
METs は「値を引く」ための入口です。強度設定と記録まで通して整理したい場合は、親記事から確認すると迷いが減ります。
表の使い方は 3 ステップで固定する
METs は、安静時の何倍の強度かを共有できる便利な共通言語です。ただし、同じ活動名でも 速度・坂・姿勢・休憩・補助具 で実際の負荷は変わります。したがって、表は「正解を 1 つ選ぶ」ためではなく、近い候補を拾って条件をそろえる ために使います。
迷いを減らすコツは、指標を増やすより 手順を固定すること です。次の 3 ステップだけ守ると、再評価と申し送りが一気に安定します。
- 目的を決める:強度の目安を知りたいのか、安全管理を優先したいのかを先に決める。
- 近い活動を選ぶ:表から候補を拾い、速度・坂・補助具・休憩などの条件を 1 行で固定する。
- 記録をセットで残す:活動名+条件+時間(分)を残し、必要時に RPE と症状を添える。
記録の型(最小セット)
活動名(例:歩行)/条件(例:平地、杖あり、ゆっくり、休憩 2 分)/時間(例: 10 分× 2 )
記録シートを先に開いておくと使いやすいです
表を見ながらそのまま書けるように、METs 活動記録シート を用意しました。活動名・条件・代表 METs ・時間・ RPE ・症状メモを 1 枚で残せるので、再評価や申し送りに使いやすい構成です。
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生活動作で近い METs を選ぶ
生活動作は、同じ「歩行」でも速度や環境で負荷が動きます。迷うときは、活動名だけでなく 条件の目安 を先に見て、一番近い行を選びます。
※スマホでは表が横にスクロールできます。
| 活動(例) | 代表 METs | 条件の目安 | 臨床メモ |
|---|---|---|---|
| 座位安静 | 1.0 | 静かに座る | 基準( 1 MET ) |
| 立位(静的) | 1.3 | 立っている | 立位保持の目安に |
| 更衣(上衣中心) | 2.0 | ゆっくり | 疼痛・息切れで上がりやすい |
| 入浴(洗体) | 2.5 | 椅子座位を含む | 温熱・血圧変動に注意 |
| 階段昇降(ゆっくり) | 4.0 | 手すりあり | 膝痛・心不全では負荷増 |
| 階段昇降(速い) | 8.0 | 休憩なし | 転倒・息切れの監視を |
| 歩行(ゆっくり) | 2.5 | 室内・平地 | 補助具で実負荷が変わる |
| 歩行(やや速い) | 3.3 | 約 3 mph 相当 | 中等度に入り始める目安 |
| 歩行(速い:早歩き) | 5.0 | 約 4 mph 相当 | 中等度の代表 |
家事・作業で近い METs を選ぶ
家事は、連続時間・姿勢・道具で負荷が変わりやすい領域です。数値を厳密に当てに行くより、立位中心か、中腰が多いか、腕上げが多いか を見て、近い行から使う方が実務に向きます。
※スマホでは表が横にスクロールできます。
| 活動(例) | 代表 METs | 条件の目安 | 臨床メモ |
|---|---|---|---|
| 調理(立位中心) | 2.5 | 切る・盛る・片付け | 立位耐久の目安に |
| 食器洗い | 2.3 | 立位 | 腰痛では姿勢調整を |
| 洗濯(干す・取り込む) | 2.8 | 腕上げを含む | 肩痛・息切れで上がりやすい |
| 掃除機がけ | 3.3 | 連続 10 分以上 | 中等度の目安になりやすい |
| 床拭き(中腰) | 3.5 | しゃがみ動作を含む | 膝痛・ふらつき注意 |
| 庭仕事(一般) | 4.0 | 草取り・軽作業 | 熱中症と血圧変動に注意 |
| 雪かき(重い作業) | 6.0 | 連続作業 | 高強度になりやすい |
移動で近い METs を選ぶ
移動は 速度 が強度を左右します。歩行は速度、自転車は速度に加えて坂や負荷の有無をそろえると、比較できる記録になりやすいです。
※スマホでは表が横にスクロールできます。
| 活動(例) | 代表 METs | 条件の目安 | 臨床メモ |
|---|---|---|---|
| 歩行(平地:中等度) | 3.3 | 約 3 mph 相当 | 中等度( 3.0〜 5.9 METs )の入り口 |
| 歩行(速い:早歩き) | 5.0 | 約 4 mph 相当 | 中等度の代表 |
| ジョギング(軽め) | 7.0 | ゆっくり | 高強度( 6.0 METs 以上)に入りやすい |
| ランニング( 6 mph 目安) | 9.8 | 一定ペース | 心肺負荷が高い |
| 自転車(ゆっくり) | 4.0 | < 10 mph(平地) | 下肢負荷は軽めでも心拍が上がることがある |
| 自転車(やや速い) | 6.8 | 10〜 12 mph(平地) | 高強度に入りやすい |
運動で近い METs を選ぶ
運動は、フォーム・休憩・負荷で平均強度が変わります。特に筋トレは、連続時間だけでなく セット構成と休憩 を残すと、次回の調整がしやすくなります。
※スマホでは表が横にスクロールできます。
| 活動(例) | 代表 METs | 条件の目安 | 臨床メモ |
|---|---|---|---|
| ストレッチ | 2.3 | ゆっくり | 導入・クールダウン向き |
| ヨガ(軽〜中等度) | 3.0 | 流れが少ない | 呼吸と体位変換に注意 |
| エルゴ(軽負荷) | 3.5 | 会話可能 | 中等度の立ち上げに |
| エルゴ(中等度) | 5.5 | 会話は短文 | 息切れ・血圧を確認 |
| 筋トレ(軽〜中等度) | 3.5 | 休憩を含む | 関節痛があると RPE が先に上がる |
| 筋トレ(高強度) | 6.0 | 高負荷・休憩短め | 高強度として扱う |
表を使う前に外れやすい 3 点を押さえる
METs 早見表は便利ですが、「表どおりにやったのに強すぎる」「日によって違う」「前回と比較できない」で詰まりやすいのも事実です。次の 3 点だけ押さえると、表が “引くだけ” で終わらず、再評価に使える形になります。
- 注意 1:同じ活動名でも、速度・坂・環境・休憩で METs は変わります。
- 注意 2:最終判断は METs だけでなく、RPE( Borg )・症状 を優先します。
- 注意 3:再評価に効くのは数値だけでなく、活動名+条件+時間 を残すことです。
現場の詰まりどころは「条件」と「相対強度」で解く
このセクションは、判断を固定して次の一手に落とすためのパートです。数値の正しさを追いすぎるより、同じルールで続けて比較できる状態 を作ることを優先します。
▶ よくある失敗へ
▶ 回避のチェックへ
関連:運動強度の決め方( METs → RPE → 症状 )
※スマホでは表が横にスクロールできます。
| よくある迷い | 起こりやすい理由 | 対策(次アクション) | 記録ポイント |
|---|---|---|---|
| 活動が複数に当てはまる | 条件(速度・負荷)が書けていない | 条件を 1 行で固定して、最も近い行を選ぶ | 速度、坂、補助具、休憩 |
| 表の METs だと強すぎる | 疾患・痛み・不安で相対強度が上がる | 速度を落とす/分割する/ RPE と症状で調整 | RPE、息切れ、疼痛、血圧 |
| 同じ活動でも日によって違う | 体調・睡眠・薬剤・環境が変動 | その日の条件を短く残し、比較軸を作る | 体調、内服、実施時刻 |
ここまで整えても毎回同じところで詰まる場合は、書き方や手順だけでなく、教育体制・共通フォーマット・相談相手の有無など、職場環境の影響 を受けている可能性もあります。
評価・記録・報告の「型」をまとめて整理したい方は、PT キャリアガイドも参考になります。
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1.中等度と高強度の境目は何 METs ですか?
一般的な目安として、中等度= 3.0〜 5.9 METs /高強度= 6.0 METs 以上 です。ただし臨床では、数値だけでなく RPE( Borg )と症状 を合わせて判断するのが安全です。
Q2.表の METs と実感(きつさ)が一致しません
METs は絶対強度の目安なので、疼痛・不安・体調・疾患や薬剤で「きつさ(相対強度)」が変わります。速度を落とす、分割する、休憩を入れるなどで調整し、RPE と症状 を優先して進めます。
Q3.家事はどの行を選べば良いですか?
家事は条件差が大きいので、「連続しているか」「姿勢(中腰が多いか)」「腕上げが多いか」で近い行を選びます。迷ったら安全側の行から始め、観察しながら調整します。
Q4.再評価に使える記録は何を残せば良いですか?
最低限、活動名+条件(速度・坂・補助具・休憩)+時間(分) をセットで残します。必要に応じて、息切れ・疼痛・ RPE ・バイタルを添えると、次回の条件設定が速くなります。
次の一手
lookup の次は、「どう強度を決めるか」と「週量へどうつなぐか」を押さえると、実装まで一気に進みます。
- 全体像を整える:運動強度の決め方( METs → RPE → 症状 )
- すぐ実装する:週 23 メッツ・時( 23 Ex )の作り方(計算式と例)
参考文献
- Ainsworth BE, Haskell WL, Herrmann SD, et al. 2011 Compendium of Physical Activities: a second update of codes and MET values. Med Sci Sports Exerc. 2011;43(8):1575-1581. doi: 10.1249/MSS.0b013e31821ece12 / PubMed: 21681120
- Herrmann SD, et al. Adult Compendium of Physical Activities: A third update of the energy costs of human activities. J Sport Health Sci. 2024;13(1):6-12. doi: 10.1016/j.jshs.2023.10.010 / PubMed: 38242596
- 中江悟司, 吉村英一, 小野玲. 改訂第 2 版『身体活動のメッツ(METs)表』成人版. 2024. Web
- Centers for Disease Control and Prevention. How to Measure Physical Activity Intensity. Web
- Compendium of Physical Activities. Web
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


