DN4とは?神経障害性疼痛をスクリーニングする評価です
DN4(Douleur Neuropathique 4 Questions)は、痛みの性質と身体診察による感覚所見を組み合わせて、神経障害性疼痛が疑われるかをスクリーニングする評価です。DN4は4点満点ではなく、10項目・10点満点で評価し、一般に4点以上を神経障害性疼痛が疑われる目安として扱います。
重要なのは、DN4だけで診断を確定しないことです。4点以上であれば、痛みの分布、感覚障害、神経学的所見、神経系の病変・疾患を示す病歴との整合性を確認し、必要に応じて医師へ共有します。この記事では、DN4の構造、評価方法、採点、4点以上・3点以下の見方をPT・OT向けに整理します。
DN4は4点満点ではなく10項目・10点満点です
DN4という名称から「4点満点の評価」と誤解しやすいですが、実際には4つの質問枠に含まれる10項目で構成されます。内訳は、患者への問診7項目と、疼痛部位を対象とした身体診察3項目です。
各項目は該当すれば1点、該当しなければ0点として扱い、合計は0〜10点です。DN4の特徴は、患者が表現する痛みの性質だけでなく、簡易的な感覚診察を組み合わせている点にあります。
| 構成 | 項目数 | 確認する内容 | 採点 |
|---|---|---|---|
| 問診 | 7項目 | 痛みの性質や異常感覚に関連する症状 | 各0点 / 1点 |
| 身体診察 | 3項目 | 疼痛部位の感覚低下や軽い触刺激による疼痛誘発 | 各0点 / 1点 |
| 合計 | 10項目 | 神経障害性疼痛を示唆する症状・徴候を総合 | 0〜10点 |
ここが重要:DN4の「4」は4点満点という意味ではありません。10項目・10点満点で、カットオフが4点以上と覚えると整理しやすくなります。
DN4の評価方法は「問診7項目+身体診察3項目」です
DN4完全版では、まず問診によって神経障害性疼痛を示唆する痛みの性質や異常感覚を確認し、その後に疼痛部位の身体診察を行います。患者の回答だけで完結する尺度ではなく、10項目版では身体診察を含むことがポイントです。
身体診察では、疼痛部位における触覚やピンプリックに対する感覚低下、軽い触刺激による疼痛誘発などを確認します。実施するときは、正式な日本語版・施設で採用している評価票や手順を確認してください。
| 順序 | 実施内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 疼痛部位と症状を確認する | どこに、どのような痛み・異常感覚があるかを把握する |
| 2 | 問診7項目を評価する | 正式な評価票に沿って該当の有無を確認する |
| 3 | 身体診察3項目を評価する | 疼痛部位の感覚所見を確認する |
| 4 | 合計点を算出する | 各項目0点 / 1点、合計0〜10点で集計する |
| 5 | 点数と臨床所見を統合する | 4点以上でもDN4単独で診断確定しない |
設問全文について:本記事ではDN4の構造と臨床での解釈を扱い、正式な設問全文は掲載していません。実際の評価には、正式な日本語版や施設で承認された資料を確認してください。
DN4は4点以上を神経障害性疼痛が疑われる目安とします
DN4は、合計4点以上を神経障害性疼痛が疑われるカットオフとして用います。ただし、「4点以上=神経障害性疼痛と診断できる」という意味ではありません。DN4は、神経障害性疼痛の可能性がある患者を拾い上げ、その後の評価へつなげるためのスクリーニングとして理解することが重要です。
日本語版DN4の妥当性研究では187例が解析され、カットオフ4点以上で感度71%、特異度92%、AUC 0.89でした。つまり、日本語版DN4は神経障害性疼痛と非神経障害性疼痛を判別するうえで有用ですが、陽性・陰性のどちらもDN4単独で最終判断するものではありません。
| 指標 | 結果 | 臨床での読み方 |
|---|---|---|
| 対象 | 187例 | 神経障害性疼痛100例、非神経障害性疼痛87例 |
| カットオフ | 4 / 10点以上 | 神経障害性疼痛を疑う目安 |
| 感度 | 71% | 3点以下でも完全には除外できない |
| 特異度 | 92% | 4点以上では疑いが高まる |
| AUC | 0.89 | 神経障害性疼痛と非神経障害性疼痛の判別性能を示す |
DN4が4点以上なら「診断」ではなく次の神経学的評価へ進みます
DN4が4点以上だった場合は、点数だけで評価を終了せず、神経障害性疼痛として説明できる背景があるかを確認します。特に重要なのは、痛みの分布が神経解剖学的に妥当か、感覚障害などの所見が同じ領域に存在するか、関連する神経系の病変・疾患の病歴があるかという点です。
| 確認項目 | 見るポイント | PT・OTでの意味 |
|---|---|---|
| 痛みの分布 | 末梢神経、神経根、中枢神経系の障害で説明できる分布か | 痛みの部位を地図化し、左右差や範囲を整理する |
| 感覚所見 | 触覚、痛覚などの低下・異常が同じ領域にあるか | 症状と身体所見の整合性を確認する |
| 神経学的所見 | 筋力、反射などに関連所見がないか | 必要な追加評価を選択する |
| 病歴 | 末梢神経損傷、神経根障害、中枢神経病変などとの関連 | 発症時期や経過と現在の症状を結びつける |
| 医師への共有 | 症状・分布・感覚所見・DN4をまとめる | 診断や治療方針の検討につなげる |
4点以上=診断確定ではありません。DN4はスクリーニングの結果であり、病歴・神経解剖学的に妥当な痛み分布・感覚所見・その他の神経学的所見などを組み合わせて評価します。
DN4が3点以下でも神経障害性疼痛を完全には否定しません
DN4が3点以下だった場合は、DN4上では神経障害性疼痛の可能性が低くなりますが、3点以下だけを理由に完全否定することはできません。日本語版研究の感度は71%であり、神経障害性疼痛がある患者をすべて陽性として拾える検査ではないためです。
低スコアでも、神経解剖学的に妥当な痛み分布、明らかな感覚低下、神経疾患・神経損傷の病歴などがある場合は、DN4以外の情報を優先して追加評価します。反対に、DN4が4点以上でも臨床所見と整合しなければ、他の疼痛機序や混合疼痛も含めて考えます。
DN4は神経障害性の要素を疑ったときに使います
DN4はすべての疼痛患者へ一律に実施するより、問診や身体所見から神経障害性疼痛の要素が考えられるときに追加する方が目的が明確です。
たとえば、通常の筋骨格系疼痛だけでは説明しにくい異常感覚を伴う場合、神経の走行や神経根・中枢神経病変と関連しそうな疼痛分布がある場合、感覚障害を伴う場合などが候補になります。ただし、症状の表現だけで機序を決めず、病歴や身体所見と合わせて判断します。
DN4とNRS・VASは評価しているものが違います
DN4とNRS・VASは競合する尺度ではありません。DN4は神経障害性疼痛の要素があるかをスクリーニングし、NRS・VASは痛みの強さを数値化します。
そのため、「神経障害性疼痛が疑われるか」をDN4で整理し、治療やリハ前後で「痛みがどの程度変化したか」を追う場合はNRSなどを用いる、という役割分担が分かりやすいです。
| 評価 | 主な目的 | 分かること | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|
| DN4 | 神経障害性疼痛のスクリーニング | 神経障害性の要素が疑われるか | 疼痛機序を考える入口 |
| NRS | 痛み強度の数値化 | 0〜10で表した痛みの強さ | 経時変化や介入前後の比較 |
| VAS | 痛み強度の連続量としての評価 | 線上に示した主観的な痛みの強さ | 痛み強度の定量化 |
リハ記録はDN4の点数だけで終わらせません
DN4をリハ評価に取り入れる場合は、合計点だけではなく、疼痛部位・分布・感覚所見・関連する神経学的所見・次に確認することを短く併記すると、チーム内で結果を共有しやすくなります。
記録例
DN4 5/10点。右下腿外側〜足背に疼痛・異常感覚あり。同領域に感覚低下を認める。神経学的所見および病歴との整合性を追加確認し、必要時に医師へ共有する。
痛み強度の経時変化を追う必要がある場合は、DN4の点数変化だけをアウトカムにするのではなく、NRSなどの痛み強度評価や、活動・ADLへの影響を合わせて記録する方が実用的です。
DN4で迷いやすい4つのポイント
DN4を使うときは、次のような誤解を避けることが重要です。
- 「DN4だから4点満点」と考えない:10項目・10点満点です。
- 4点以上で診断確定しない:神経障害性疼痛が疑われるスクリーニング結果として扱います。
- 3点以下で完全否定しない:病歴や神経学的所見との整合性を確認します。
- DN4だけで痛みの経過を追わない:痛み強度の変化にはNRSなどを併用します。
DN4のよくある質問
DN4は何点満点ですか?
DN4は10項目・10点満点です。名称に「4」が含まれますが4点満点ではありません。問診7項目と身体診察3項目を各0点または1点で採点します。
DN4は何点以上で神経障害性疼痛を疑いますか?
一般に4点以上を神経障害性疼痛が疑われるカットオフとして扱います。日本語版の検証研究でも4点以上がカットオフとされ、感度71%、特異度92%でした。ただし、4点以上だけで診断を確定するものではありません。
DN4が3点以下なら神経障害性疼痛ではありませんか?
完全には否定できません。日本語版の感度は71%であり、神経障害性疼痛があっても3点以下となる可能性があります。病歴、疼痛分布、感覚障害などが神経障害性疼痛を示唆する場合は、追加評価を行います。
DN4は患者が自分だけで回答できますか?
DN4完全版は問診7項目に加えて身体診察3項目を含むため、患者の回答だけでは10項目版の評価は完結しません。正式な評価方法・使用する版を確認したうえで実施します。
DN4とNRSはどちらを使えばよいですか?
目的が異なるため、必要に応じて併用します。DN4は神経障害性疼痛の要素をスクリーニングする評価で、NRSは痛みの強さを0〜10で評価します。痛みの強度変化を追う場合はNRSなどが適しています。
次の一手
DN4で神経障害性疼痛の可能性を整理したら、点数だけで終わらず、疼痛分布、感覚所見、関連する神経学的所見、病歴との整合性を確認します。痛み評価全体の選び方を整理したい場合は、痛み評価スケールの使い分けもあわせて確認してください。
参考文献
- Bouhassira D, Attal N, Alchaar H, Boureau F, Brochet B, Bruxelle J, et al. Comparison of pain syndromes associated with nervous or somatic lesions and development of a new neuropathic pain diagnostic questionnaire (DN4). Pain. 2005;114(1-2):29-36. DOI: 10.1016/j.pain.2004.12.010
- Matsuki Y, Sukenaga N, Miyagi K, Tsunetoh T, Mizogami M, Shigemi K, et al. Reliability and validity of the Japanese translation of the DN4 Diagnostic Questionnaire in patients with neuropathic pain. J Anesth. 2018;32(3):403-408. DOI: 10.1007/s00540-018-2495-7
- Finnerup NB, Haroutounian S, Kamerman P, Baron R, Bennett DLH, Bouhassira D, et al. Neuropathic pain: An updated grading system for research and clinical practice. Pain. 2016;157(8):1599-1606. DOI: 10.1097/j.pain.0000000000000492
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関・介護福祉施設・訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

