DN4 は神経障害性疼痛の疑いをそろえる評価です
DN4( Douleur Neuropathique 4 )は、しびれ、電撃様の痛み、灼熱感、触刺激での増悪などから、神経障害性疼痛が疑われる層を抽出するスクリーニングです。結論として、DN4 は診断を確定する道具ではなく、分布の地図化、感覚所見の追加確認、医師への共有へ進む入口として使うと臨床で機能します。
この記事では、PT / OT が現場で迷いやすい実施タイミング、採点後の解釈、4 点以上の扱い、記録テンプレを整理します。読み終えると、「DN4 をいつ取るか」「点数をどう扱うか」「リハ記録に何を残すか」が決めやすくなります。
DN4 で決めるのは「疑いの濃さ」と次の確認です
DN4 は、痛みの性質と簡易的な感覚所見を組み合わせ、神経障害性疼痛が疑われるかをそろえて判断する評価です。点数だけで原因疾患を決めるのではなく、痛み分布、感覚異常、病歴、画像・神経学的所見などをつなげる前段として使います。
そのため、本記事では DN4 の設問文そのものではなく、臨床での使いどころ、採点後の分岐、記録の型に絞って解説します。診断名の確定や薬物治療の選択は、医師の診察・検査結果と合わせて判断する領域です。
| 視点 | DN4 で決めること | DN4 だけで決めないこと | 次に確認すること |
|---|---|---|---|
| 目的 | 神経障害性疼痛の疑いが濃いか | 診断名の確定 | 病歴、画像、神経学的所見との整合性 |
| 点数 | 4 点以上を追加確認の合図にする | 低スコアだけで否定する | 痛み分布と感覚異常の再確認 |
| 記録 | 分布、刺激、反応、次アクションを残す | 点数だけで申し送る | 再評価時に同じ条件で比較する |
DN4 を使う場面は「しびれを伴う痛み」で絞ります
DN4 は、通常の組織損傷や炎症だけでは説明しにくい痛みで使いやすい評価です。しびれを伴う痛み、電撃様の痛み、灼熱感、触刺激で増悪する痛み、デルマトームや皮神経領域に沿う分布がある場合は、DN4 を使う候補になります。
一方で、外傷直後の局所痛や動作で再現性高く増悪する痛みでは、まず痛みの強さ、動作、荷重、炎症所見を定点観測します。DN4 はすべての痛みに一律で使うより、神経障害性の要素が疑われる場面に絞る方が記録と申し送りが明確になります。
評価手順は 3 ステップで固定します
DN4 を臨床で使うときは、単発の点数で終わらせず、同じ条件で反復できる手順に固定することが重要です。評価タイミング、確認部位、刺激方法、左右比較をそろえると、前回との比較やチーム内共有がしやすくなります。
実施後は、点数だけではなく、痛み分布、感覚所見、増悪 / 寛解パターンを 1 セットで残します。これにより、負荷量の調整、生活動作指導、セルフケア指導、医師への共有までつなげやすくなります。
| ステップ | やること | 固定する条件 | 記録のコツ |
|---|---|---|---|
| 1 | 疑うサインを確認する | 評価タイミング(例:リハ前 / リハ後 10 分) | 「どの動作で増悪したか」を 1 行で残す |
| 2 | 問診と簡易感覚所見を取る | 刺激の種類、確認部位、左右比較 | 所見は「正常 / 低下 / 過敏」で整理する |
| 3 | 点数から次アクションを決める | 4 点以上の扱いをチームで統一する | 「次に確認すること」を 1 つ決めて書く |
4 点以上は「追加確認へ進む合図」として扱います
DN4 は 10 点満点で、臨床では4 点以上を神経障害性疼痛が疑われる目安として扱うことが多いです。大切なのは、4 点以上を診断名の確定ではなく、痛み分布の地図化、感覚所見の再確認、医師への共有へ進む合図にすることです。
低スコアでも、しびれ、電撃様の痛み、感覚低下、アロディニアなどが明らかな場合は、神経障害性の要素を完全には否定しません。DN4 は確定ではなく層別化として使い、病歴・分布・身体所見との整合性を確認していきます。
| 結果 | 読み方 | 次アクション | 記録で残すこと |
|---|---|---|---|
| 4 点以上 | 神経障害性疼痛の疑いが濃い | 分布の地図化、感覚所見の追加、医師共有 | 点数、部位、刺激、増悪条件 |
| 3 点以下 | DN4 上は疑いが低い | 病歴・分布・症状の整合性を再確認 | 低スコアでも残る症状と動作への影響 |
| 判断に迷う | 混合疼痛や評価条件のばらつきも考える | 条件をそろえて再評価し、チームで共有 | 再評価条件と比較ポイント |
現場の詰まりどころは「点数だけで終わること」です
DN4 が臨床で効かなくなる原因は、点数だけを記録して、痛み分布や感覚所見が残らないことです。評価タイミングが毎回違う、確認部位が曖昧、左右比較がない、刺激の種類が記録されていないと、再評価しても変化を判断しにくくなります。
まずは、次の 3 点を固定してください。
ここまで整えても評価・記録で毎回同じところに詰まる場合は、手順だけでなく、教育体制、共通フォーマット、相談相手の有無などの影響を受けていることもあります。
記録テンプレは「点数 + 分布 + 反応」で残します
DN4 の記録は、点数だけでは不十分です。臨床で使うなら、評価タイミング、合計点、痛み分布、簡易感覚所見、増悪 / 寛解、次アクションを 1 セットで残すと、再評価と申し送りがしやすくなります。
特に、痛み分布と感覚所見は図や簡略メモで残すと、医師・看護師・リハ職間で共有しやすくなります。次回評価では、同じ部位・同じ刺激・同じタイミングで比較することを優先してください。
| 項目 | 記録例(そのまま転記可) | メモ |
|---|---|---|
| 評価タイミング | リハ前 / リハ後 10 分 | 毎回そろえる |
| DN4(合計) | __/10 点( 4 点以上:疑い高) | 点数だけで完結させない |
| 分布(地図) | 右 L5 デルマトーム優位 / 皮神経領域に沿う | 左右差と範囲を残す |
| 簡易感覚所見 | 触覚:低下 / ピン:過敏 / 軽擦:増悪 | 刺激と部位を固定 |
| 増悪 / 寛解 | 長座位 5 分で増悪、歩行後 3 分で軽減 | 動作・姿勢・温冷など |
| 次アクション | 同条件で再評価し、必要時に医師へ共有 | 「次に 1 つ」決める |
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
DN4 は PT / OT が単独で実施してよいですか?
施設の役割分担に従う前提で、DN4 は「疑いの層別化」と「所見共有」を目的にすると運用しやすいです。診断確定の代替ではなく、分布・感覚異常・増悪条件をチームで共有する入口として使います。
4 点以上なら神経障害性疼痛と判断してよいですか?
4 点以上は疑いが濃い層として扱いますが、診断を確定するものではありません。痛み分布、感覚異常、病歴、画像・神経学的所見などと合わせて確認し、必要時は医師へ共有します。
DN4 が低いのに、しびれや電撃痛が強い場合は?
DN4 単独で否定しないことが重要です。評価条件、確認部位、症状の分布、動作との関係を再確認し、必要に応じて同じ条件で再評価します。混合疼痛の可能性も考えます。
NRS や VAS と併用した方がよいですか?
併用すると記録が実用的になります。DN4 は痛みの性質や神経障害性の疑い、NRS / VAS は痛みの強さを追う評価です。DN4 で疑いをそろえ、NRS / VAS で経過を追うと変化を説明しやすくなります。
次の一手
- 全体像を整理する:評価ハブで評価記事を確認する
- すぐ実装する:痛み評価スケールの使い分けを確認する
参考文献
- Bouhassira D, Attal N, Alchaar H, Boureau F, Brochet B, Bruxelle J, et al. Comparison of pain syndromes associated with nervous or somatic lesions and development of a new neuropathic pain diagnostic questionnaire (DN4). Pain. 2005;114(1-2):29-36. DOI: 10.1016/j.pain.2004.12.010
- Matsuki Y, Sukenaga N, Miyagi K, Tsunetoh T, Mizogami M, Shigemi K, et al. Reliability and validity of the Japanese translation of the DN4 Diagnostic Questionnaire in patients with neuropathic pain. J Anesth. 2018;32(3):403-408. DOI: 10.1007/s00540-018-2495-7
- Finnerup NB, Haroutounian S, Kamerman P, Baron R, Bennett DLH, Bouhassira D, et al. Neuropathic pain: An updated grading system for research and clinical practice. Pain. 2016;157(8):1599-1606. DOI: 10.1097/j.pain.0000000000000492
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


