ロンベルグ試験( Romberg )のやり方|陽性の意味と鑑別のコツ
ロンベルグ試験( Romberg )は、立位保持における固有感覚(後索)・前庭・視覚の寄与を「開眼/閉眼」の差で素早く推定するベッドサイド評価です。開眼で安定しているのに閉眼で大きく動揺する場合、固有感覚(後索)や前庭系の関与を疑う手がかりになります。 [oai_citation:0‡NCBI](https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK563187/?utm_source=chatgpt.com)
本稿は手順( 30–60 秒)→ 判定と解釈 → よくある失敗 → 記録の順で、明日そのまま使える形に整えました。静的バランス評価をまとめて確認したい場合は 静的バランス評価(直立・片脚・マン・ロンベルグ) も併せて参照してください。
評価は「条件」と「判定基準」を固定すると、再評価と申し送りが一気に安定します。 評価 → 介入 → 再評価の型を確認する( PT キャリアガイド )
ロンベルグ試験とは
ロンベルグ試験は、両足をそろえた立位で開眼と閉眼を比較し、閉眼でバランスが急に崩れるかを観察します。閉眼での破綻は、視覚の代償が外れたときに固有感覚(後索)や前庭の入力不足が表面化する、という考え方です。 [oai_citation:1‡NCBI](https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK563187/?utm_source=chatgpt.com)
一方で小脳性失調では、開眼の時点から不安定なことが多く「開眼でも崩れる=ロンベルグ陰性(典型)」として説明されます(臨床では混在もあるため、単独で断定はしません)。 [oai_citation:2‡Life in the Fast Lane • LITFL](https://litfl.com/romberg-test/?utm_source=chatgpt.com)
やり方(手順)| 30–60 秒で実施
再現性のコツは足位・上肢位置・視線を固定することです。安全のため、評価者は後方〜側方で転倒を防げる距離に立ちます。
| 手順 | やること | ポイント | 目安時間 |
|---|---|---|---|
| 1 | 両足をそろえて立位(閉脚) | 足位(踵・つま先)を固定 | 準備 |
| 2 | 開眼で保持 | 体幹・骨盤の揺れ、代償(踏み出し)を観察 | 約 30 秒 |
| 3 | 閉眼で保持 | 閉眼で揺れが急増するか、踏み出し・転倒を観察 | 約 30 秒(最大 60 秒) |
判定と解釈|「陽性」の意味を 1 行で
陽性の基本:開眼では比較的安定しているのに、閉眼で著明な動揺や踏み出し、転倒が起きる状態です。 [oai_citation:3‡Life in the Fast Lane • LITFL](https://litfl.com/romberg-test/?utm_source=chatgpt.com)
解釈の要点:陽性は、固有感覚(後索)・前庭などの入力不足を示唆します。開眼で安定せず最初から崩れる場合は、小脳性失調など「視覚を足しても安定しにくい」パターンを考えます。 [oai_citation:4‡NCBI](https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK563187/?utm_source=chatgpt.com)
| 観察 | 示唆 | 次に追加しやすい確認 |
|---|---|---|
| 開眼は安定 → 閉眼で崩れる | 固有感覚(後索)・前庭の関与 | 足底感覚、関節位置覚、頭部回旋での変化など |
| 開眼から不安定(閉眼でも同程度) | 小脳性失調など | 協調性検査、眼振、体幹失調の有無 |
現場の詰まりどころ|よくある失敗(無効試行)
ロンベルグは「条件差」で結果が変わります。再評価できるよう、固定項目を先に決めます。
| よくある失敗 | 起きること | 対策 | 記録に残す |
|---|---|---|---|
| 足位が毎回違う | 揺れ・保持時間が変動 | 閉脚の定義(踵接触/足先角度)を統一 | 足位 |
| 上肢の位置がばらばら | 代償で安定して見える | 体側・腰当てなどをルール化 | 上肢位置 |
| 見守りが近すぎる/声かけが多い | 注意配分で揺れが変わる | 見守り位置と声かけ方針を固定 | 見守り位置/介助量 |
安全管理|中止基準と注意点
転倒リスクがあるため、以下の状況では中止または段階を下げる判断が必要です。
- 明らかなふらつきで介助が必要(開始時点で危険)
- 閉眼で急な踏み出し・転倒傾向が強い
- めまい・悪心・強い恐怖心が出現
記録のコツ|再評価できる 5 点セット
- 足位(閉脚の定義)
- 上肢位置/視線
- 開眼・閉眼の保持時間(最大 60 秒など上限)
- 破綻の形(揺れ増大/踏み出し/介助)
- 見守り位置・介助量
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
何秒できたら「正常」ですか?
臨床では 30 秒をひとつの観察枠として使い、余裕があれば最大 60 秒まで見る運用もあります。重要なのは秒数の絶対値より「開眼と閉眼の差」と「破綻の形(踏み出し・介助)」です。 [oai_citation:5‡NCBI](https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK563187/?utm_source=chatgpt.com)
閉眼で少し揺れるだけでも陽性ですか?
軽い揺れは健常でも起こり得ます。臨床的には「揺れが急増して踏み出す」「保持できず介助が必要」など、明らかな差が出るかを重視します。 [oai_citation:6‡Life in the Fast Lane • LITFL](https://litfl.com/romberg-test/?utm_source=chatgpt.com)
小脳性失調のときはどう見えますか?
典型的には開眼でも不安定で、閉眼にしても差が小さいことがあります(ロンベルグ陰性と説明されます)。ただし混在もあるため、協調性検査や眼振などを合わせて判断します。 [oai_citation:7‡Life in the Fast Lane • LITFL](https://litfl.com/romberg-test/?utm_source=chatgpt.com)
参考文献
- Forbes J, et al. Romberg Test. StatPearls. 2023. NCBI Bookshelf. [oai_citation:8‡NCBI](https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK563187/?utm_source=chatgpt.com)
- Romberg Sign. LITFL. 2025. Web. [oai_citation:9‡Life in the Fast Lane • LITFL](https://litfl.com/romberg-test/?utm_source=chatgpt.com)
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下
おわりに
ロンベルグ試験は、安全の確保 → 条件固定 → 開眼/閉眼で差を観察 → 破綻の形を記録 → 再評価の順に回すほど、判断が安定します。面談準備チェックと職場評価シートを使って、働き方も含めた次の一手を整理したい方は こちらも参考にしてください。

