片脚立位テストのやり方|15秒基準・年齢別平均と評価方法

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片脚立位テストは「測定条件」と「秒数」をセットで読みます

片脚立位テスト(開眼片脚起立時間)は、片脚支持で立位を保持できる時間を測る、簡便な静的バランス評価です。臨床では「何秒立てればよいか」が注目されますが、秒数だけではなく、どの測定方法で得られた値なのかをセットで確認することが重要です。

とくに「15秒未満」という値は、日本整形外科学会が示す運動器不安定症の運動機能基準の1つです。15秒基準を使う場合は、両手を腰に当て、片脚を床から約5cm挙げ、左右それぞれ2回測定して最も良い記録を採用するなど、基準と対応した条件で評価します。

先に結論

  • 15秒未満は、運動器不安定症で用いられる運動機能基準の1つです。
  • 15秒だけで運動器不安定症や転倒リスクを診断・確定するものではありません。
  • 日本整形外科学会の方法では、左右それぞれ2回測定し、最も良い記録を採用します。
  • 65歳代44秒、70歳代31秒、75歳代21秒、80歳代11秒は、地域在住高齢者で報告された平均値の目安です。
  • 片脚立位には異なる測定方法があるため、測定条件が違う値をそのまま比較しないことが大切です。

バランス評価を選び直したい場合

静的バランス評価の全体像を見る

片脚立位テストとは|片脚支持での静的バランスをみる評価です

片脚立位テストは、片脚で支持した状態を一定時間保持できるかを確認する評価です。特別な機器を必要とせず短時間で実施できるため、高齢者の運動機能評価やリハビリテーションで広く用いられています。

ただし、片脚立位時間は「バランス能力だけ」を単独で表す値ではありません。下肢の支持性、疼痛、関節可動域、足部機能、感覚入力、視覚、前庭機能、恐怖心など複数の要因の影響を受けます。そのため、時間が短い場合は何が保持時間を制限したのかまで確認することが重要です。

片脚立位テストで確認できることと限界
確認する内容 片脚立位から分かること 片脚立位だけでは分からないこと
静的バランス 片脚支持姿勢を保持できる時間 歩行中や方向転換時の動的バランス全体
左右の状態 左右それぞれの保持時間や終了理由 左右差が生じた原因の確定
運動機能 一定条件下での片脚支持能力 筋力・疼痛・感覚障害など個々の原因
転倒との関連 追加評価を考えるための情報 将来の転倒を単独で確定的に予測すること

片脚立位テストのやり方|15秒基準を使う場合の測定方法

15秒という運動器不安定症の基準を解釈する場合は、日本整形外科学会が示す開眼片脚起立時間の測定方法とそろえて実施します。測定前に床面と周囲の安全を確認し、転倒しそうになった場合にすぐ支持できる位置へ評価者が立ちます。

片脚立位テストの測定方法、終了条件、15秒基準、年齢別平均、追加評価を示した図版
片脚立位は、測定条件をそろえて実施し、15秒基準や年齢別平均を測定方法とセットで解釈します。15秒未満だけで転倒リスクを確定するものではなく、必要に応じて追加評価へつなげます。
日本整形外科学会が示す開眼片脚起立時間の基本手順
手順 実施内容 ポイント
1. 環境を整える ある程度の硬さがある、滑りにくい床で実施する つかまれる物の近く、または評価者がすぐ支えられる位置で行う
2. 開始姿勢 立位を整え、両手を腰に当てる 開眼で行い、再評価では視線などの条件もそろえる
3. 片脚を挙げる 片脚を床から約5cm挙げる 挙上する高さや姿勢を毎回大きく変えない
4. 練習する 本測定前に1〜2回練習する 手順を理解してから測定へ進む
5. 本測定 左右それぞれ2回ずつ測定する 基準判定では最も良い記録を採用する
6. 上限 運動器不安定症の検査では60秒程度までを目安とする 施設や研究で異なる上限を使う場合は条件を明記する

靴については、日本整形外科学会では、滑らないよう配慮したうえで靴または素足での実施が示されています。再評価では前回と同じ条件をそろえ、靴・裸足などが変わった場合は別条件として記録します。

終了条件|挙上脚の接地・支持脚のずれ・大きな動揺で終了します

片脚立位では「何秒まで測るか」と同じくらい、どこで測定終了とするかをそろえることが重要です。終了条件が評価者ごとに違うと、同じ患者でも結果が変わってしまいます。

開眼片脚起立時間の終了条件
終了条件 具体例 記録のポイント
挙上脚が接地する 上げていた足が床につく 「挙上脚接地」と終了理由を残す
支持脚がずれる 支持足の位置が移動する 足部の踏み直しを含めて確認する
大きく身体が揺れる 転倒しそうなほど姿勢を崩す 安全を優先して測定を終了する
介助が必要になる 評価者が身体を支える必要が生じる 介助した時点で終了し、安全面も記録する

体幹側屈、支持膝の過伸展、上肢を腰から離そうとする反応などは、必ずしもすべてが公式の終了条件になるわけではありません。ただし、臨床では保持時間の「質」を理解する情報になるため、再評価で比較したい所見は補足しておくと便利です。

片脚立位15秒未満の意味|運動器不安定症の基準の1つです

開眼片脚起立時間15秒未満は、日本整形外科学会が示す運動器不安定症の運動機能評価基準の1つです。しかし、「14秒だったから運動器不安定症」「15秒以上だから問題なし」と片脚立位だけで判断するものではありません。

運動器不安定症の診断では、高齢化に伴って運動機能低下をきたす対象となる運動器疾患・状態に加え、日常生活自立度、開眼片脚起立時間または3m Timed Up & Goなどを含めて判断します。

15秒基準で混同しないポイント

15秒未満=転倒するという意味ではありません。
15秒未満=運動器不安定症と単独で診断できるという意味でもありません。
15秒は、対応する測定条件で得られた結果を運動機能評価の1つとして解釈するための基準です。

15秒という値の正しい読み方
結果 解釈 次に行うこと
15秒以上 運動器不安定症の開眼片脚起立時間基準には該当しない 必要に応じて左右の状態や他の移動・バランス評価を確認する
15秒未満 運動器不安定症で用いられる運動機能基準の1つに該当する 対象疾患・状態、ADL、移動能力、転倒歴などを追加確認する
測定できない 片脚支持課題そのものが難しい 無理に継続せず、安全な能力帯の評価へ変更する

年齢別平均|65歳代44秒・70歳代31秒・75歳代21秒・80歳代11秒

日本整形外科学会は、地域在住高齢者977名の調査として、開眼片脚起立時間の平均を65歳代44秒、70歳代31秒、75歳代21秒、80歳代11秒と紹介しています。加齢に伴って平均保持時間が短くなる傾向を理解する目安として使えます。

ただし、この数値は「この秒数以上なら正常」という年齢別の合否基準ではありません。対象集団、測定方法、上限時間などによって片脚立位時間は変わるため、年齢別平均とカットオフ値は分けて扱うことが重要です。

日本整形外科学会が紹介する地域在住高齢者の開眼片脚起立時間
年代 平均時間 臨床での位置づけ
65歳代 44秒 同年代の平均を知る参考値として扱う
70歳代 31秒 年齢による低下傾向を踏まえて解釈する
75歳代 21秒 15秒基準とは別に、平均値として読む
80歳代 11秒 11秒未満を一律に異常とは判断しない

たとえば80歳代で10秒だった場合、65歳代の44秒と比べて単純に「大幅な低下」と判定するのは適切ではありません。年齢、疾患、疼痛、生活機能、前回値などを含めて判断します。

片脚立位には複数の測定方法があります|基準値とプロトコルを混ぜない

片脚立位で最も注意したいのは、同じ「開眼片脚立位」という名前でも測定方法が完全には統一されていないことです。文献レビューでも、片脚立位には複数の実施方法があり、測定値が研究間で大きく異なることが指摘されています。

たとえば、日本整形外科学会が運動器不安定症で示す方法と、厚生労働省e-ヘルスネットで紹介される片足立ちテストでは、上肢位置などに違いがあります。

片脚立位の測定方法が異なる例
項目 日本整形外科学会
運動器不安定症
厚生労働省
e-ヘルスネット
開閉眼 開眼 開眼
上肢 両手を腰 両手を楽に下げる
履物 靴または素足
滑らないよう配慮
素足
挙上脚 床から約5cm挙げる 前方へ約5cm挙げる
上限 運動器不安定症の検査では60秒程度で十分とされる 最大1分

どちらか一方だけが「正しい」という意味ではありません。目的に対応した方法を選び、その方法で作られた基準値・参考値を使うことがポイントです。

臨床上、普段使用している装具や靴を装着した状態で片脚立位を確認することにも意味はあります。ただし、その結果を日本整形外科学会の15秒基準と直接同一視せず、「装具あり」など条件を明記した別の臨床所見として扱うと整理しやすくなります。

片脚立位が短いとき|TUG・歩行速度などを追加します

片脚立位時間が短かった場合、次に考えるべきことは「異常か正常か」の二択ではなく、何が片脚支持を難しくしているのかです。また、片脚立位を含む単一のバランス・移動評価だけで、将来の転倒を高い確実性で予測することはできません。

片脚立位が短いときに追加で確認したい項目
確認する領域 具体例 確認する理由
移動能力 TUG 立ち上がり、歩行、方向転換、着座を含む移動課題を確認する
歩行能力 歩行速度 静的保持の低下が実際の移動能力にも表れているか確認する
転倒歴 過去1年の転倒、場所、動作、頻度 検査値だけでなく実生活上のイベントを確認する
運動器 疼痛、ROM、筋力、足部・股関節・膝関節 片脚支持を制限する身体要因を絞る
感覚・姿勢制御 視覚、体性感覚、前庭系、姿勢反応 支持性だけでは説明できない不安定性を確認する
心理・生活 転倒恐怖、活動量、生活環境 能力と実生活上の活動とのズレを確認する

片脚立位で短時間だったとしても、歩行や日常生活が安定している場合があります。反対に片脚立位が長くても、方向転換、二重課題、屋外歩行などで不安定になる場合があります。静的バランスの結果を、実際の移動課題へつなげて読むことが重要です。

左右差はどう読む?|一律のカットオフを置かず両側を記録します

臨床では「右と左のどちらを採用するか」で迷いやすいですが、まず15秒基準の判定方法と、左右別の臨床評価を分けると整理しやすくなります。

日本整形外科学会の方法で15秒基準を扱う場合は、左右それぞれ2回測定し、最も良い記録を採用します。一方、理学療法の評価として左右の特徴を確認する場合は、右・左それぞれの測定値と終了理由を残しておくと、介入方針や再評価に役立ちます。

左右差を記録するときの考え方

「短い側を公式の採用値にする」「左右平均を15秒基準に当てはめる」といった独自ルールへ置き換えないことがポイントです。
基準判定は基準に対応した方法で行い、左右別の秒数は追加の臨床情報として残します。

左右差そのものについて、すべての対象者に適用できる万能な秒数差のカットオフはありません。左右の秒数だけでなく、疼痛、支持脚のずれ、体幹代償、足部戦略などを合わせて解釈します。

記録方法|4回の測定値・最良値・終了理由を残します

再評価で片脚立位を使う場合は、「右○秒、左○秒」だけで終わらせず、測定方法と終了理由を一緒に残すと比較しやすくなります。配布用の記録シートがなくても、以下の項目をカルテへ残せば十分運用できます。

片脚立位テストで最低限記録したい項目
記録項目 記載例 ポイント
測定方法 開眼片脚起立・JOA法 どのプロトコルか分かるようにする
測定条件 裸足、両手腰、硬い床面 再評価で同条件にそろえる
4回の測定値 右12秒/13秒、左10秒/11秒 左右各2回を残す
最良値 13秒 15秒基準を使う場合の採用値を明示する
終了理由 右:挙上脚接地、左:支持脚ずれ 秒数を制限した要因を残す
補足所見 左支持で体幹側屈が目立つ 再評価したい代償を簡潔に記録する
安全面 近接見守り、身体介助なし 介助の有無も比較できるようにする

記録例:開眼片脚起立(JOA法)。裸足、両手腰で実施。右12秒/13秒、左10秒/11秒、最良13秒。右は挙上脚接地、左は支持脚のずれで終了。左支持で体幹側屈あり。近接見守り、身体介助なし。

この例では最良値が13秒のため、開眼片脚起立時間については15秒未満に該当します。ただし、この値だけで運動器不安定症や転倒リスクを確定せず、対象疾患・状態、ADL、移動能力などを続けて確認します。

よくある失敗|測定条件が違う値を同列に比較しない

片脚立位は簡単な検査に見えますが、上肢位置、靴、試行回数、終了条件などが変わるだけで結果も変わります。とくに再評価や基準値との比較では、以下のズレに注意します。

片脚立位テストでよくある失敗と修正方法
よくある失敗 問題点 修正方法
1回だけ測定して15秒と比べる JOA法の採用方法と一致しない 左右各2回を測定し、最良値を確認する
短い側を15秒基準へ当てはめる 独自の採用ルールになってしまう 基準判定と左右別の臨床評価を分ける
両手腰と上肢下垂の値を比較する 測定プロトコルが異なる 同じ方法で得た値だけを経時比較する
靴・裸足・装具条件が毎回違う 条件差と能力変化を区別できない 条件を固定し、変更時は別条件として記録する
15秒未満を転倒リスクありと断定する 単一検査を過大解釈してしまう 転倒歴、TUG、歩行速度などを含めて総合評価する
年齢別平均を正常値として使う 平均値と判定基準を混同する 年齢別値は説明・比較の参考値として扱う

よくある質問(FAQ)

片脚立位は何秒できればよいですか?

目的によって異なります。運動器不安定症では開眼片脚起立時間15秒未満が運動機能基準の1つですが、年齢別平均は65歳代44秒、70歳代31秒、75歳代21秒、80歳代11秒と紹介されています。15秒と年齢別平均は役割が違うため、同じ「正常値」として扱わないことが重要です。

15秒未満なら転倒リスクが高いと判断してよいですか?

片脚立位15秒未満だけで将来の転倒を確定的に判断することはできません。15秒未満は運動器不安定症の運動機能基準の1つです。転倒リスクを考える場合は、転倒歴、歩行速度、TUG、疼痛、認知・注意、生活環境なども合わせて確認します。

左右どちらの値を採用しますか?

日本整形外科学会が示す方法では、左右それぞれ2回ずつ測定して最も良い記録を選びます。左右の特徴を臨床的に確認したい場合は、右・左それぞれの測定値も併記します。「短い側を採用する」「左右平均を採用する」といった独自ルールを15秒基準へそのまま用いないようにします。

上限時間は60秒と120秒のどちらですか?

日本整形外科学会は、最長2〜3分まで測定した報告がある一方、運動器不安定症の検査としては60秒程度まで測定すれば十分としています。研究や施設で別の上限を採用する場合は、その方法に対応する基準値を使い、再評価でも同じ上限にそろえます。

靴を履いたまま測定してもよいですか?

日本整形外科学会の方法では、滑らないよう配慮したうえで靴または素足で実施します。大切なのは、再評価時に条件をそろえることです。装具を使用した臨床的な評価を行う場合は「装具あり」と明記し、基準値との比較では測定条件の違いに注意します。

両手は腰に置く必要がありますか?

15秒という運動器不安定症の基準を日本整形外科学会の方法で判定する場合は、両手を腰に当てます。一方、厚生労働省e-ヘルスネットでは両手を楽に下げる方法が紹介されています。同じ片脚立位でも方法が異なるため、どのプロトコルを使ったか明記してください。

秒数が伸びればバランスが改善したと判断できますか?

同じ条件で保持時間が伸びたことは重要な変化ですが、それだけでバランス全体の改善を断定することはできません。終了理由や代償が変化していないか、歩行、方向転換、日常生活での安定性にも変化があるかを合わせて確認します。

まとめ|片脚立位は基準値より先に測定条件を確認します

片脚立位テストは、短時間で実施できる有用な静的バランス評価ですが、秒数だけを切り取って解釈しないことが重要です。

  • 15秒基準を使う場合は、日本整形外科学会の測定方法と採用方法をそろえる
  • 左右それぞれ2回測定し、基準判定では最も良い記録を採用する
  • 15秒未満は運動器不安定症の運動機能基準の1つであり、単独診断ではない
  • 65歳代44秒、70歳代31秒、75歳代21秒、80歳代11秒は年齢別平均の目安として扱う
  • 異なる測定プロトコルの結果を同じ基準値で比較しない
  • 時間が短ければ、TUG、歩行速度、転倒歴、疼痛などへ評価を広げる

再評価では、秒数だけでなく、測定条件、左右の値、終了理由、代償所見までそろえて記録すると、変化を判断しやすくなります。


参考文献

  1. 日本整形外科学会. 「運動器不安定症」. 日本整形外科学会. https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/mads.html(2026年9月7日閲覧).
  2. 健康日本21アクション支援システム. 片足立ちテスト. 厚生労働省. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/exercise/ys-062.html(2026年9月7日閲覧).
  3. Michikawa T, Nishiwaki Y, Takebayashi T, Toyama Y. One-leg standing test for elderly populations. J Orthop Sci. 2009;14(5):675-685. doi:10.1007/s00776-009-1371-6. PubMed.
  4. Jepsen DB, Robinson K, Ogliari G, et al. Predicting falls in older adults: an umbrella review of instruments assessing gait, balance, and functional mobility. BMC Geriatr. 2022;22:615. doi:10.1186/s12877-022-03271-5. PMC.

著者情報

rehabilikun

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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