腎臓リハビリテーション指導士の症例報告|まず確認すること
腎臓リハビリテーション指導士の自験例報告書は、すべての受験者が10症例を提出するわけではありません。2026年度は、学会学術集会で主演者または座長を務めたことを様式2で証明できない場合に、様式4・5の提出が必要です。
提出対象者は、まず様式4で10症例の概略を整理し、その10症例から2症例を選んで様式5へ詳細を記載します。この記事では、症例報告が必要かどうかの分岐から、様式4と様式5の違い、公式案内で注意されている書き方まで順番に整理します。
受験資格・申請全体を先に確認したい方へ
結論|自験例報告書が必要なのは様式2を提出できない人
最初に確認するのは、10症例を集められるかではなく、自分が様式4・5の提出対象かどうかです。2026年度の受験案内では、様式2を提出できる人は自験例報告書(様式4・5)の提出が不要とされています。
| 区分 | 自験例報告書 | 推薦状 | 確認ポイント |
|---|---|---|---|
| 様式2を提出できる | 様式4・5は不要 | 様式3-1 | 学会学術集会で主演者または座長を務めたことを証明する |
| 様式2を提出できない | 様式4・5が必要 | 様式3-2 | 1年以上の腎臓リハビリテーション実地経験など、受験条件を確認する |
つまり、「腎臓リハビリテーション指導士を受験する=全員が10症例を提出する」ではありません。まず様式2を提出できるか確認し、提出できない場合に自験例報告書の準備へ進みます。

年度によって申請条件や様式が変更される可能性があるため、実際の申請時は日本腎臓リハビリテーション学会の最新受験案内を確認してください。
様式4は10症例、様式5はそのうち2症例を詳しく書く
自験例報告書が必要な場合は、10症例すべてを同じ詳しさで書くわけではありません。様式4で10症例の概略を示し、その中から2症例を選んで様式5へ詳細を記載します。
| 項目 | 様式4 | 様式5 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 自験例報告書(1) | 自験例報告書(2) |
| 症例数 | 10症例 | 様式4の10症例から2症例 |
| 記載の深さ | 各症例の概略 | 検査・評価、介入内容、考察などを詳述 |
| 役割 | 10症例でどのような腎臓リハビリテーションを経験したか整理する | 2症例について評価から介入、結果、今後の方針まで具体化する |
準備段階では、まず10症例について様式4へ記載できる情報を揃え、その後に「より詳しく説明できる2症例」を様式5用として整理すると全体像を把握しやすくなります。
様式4|10症例では何を整理するか
様式4では、10症例について診断名だけを一覧にするのではなく、病歴、目標、実施した腎臓リハビリテーション、今後の方針まで概略をまとめます。
2026年度に公開されている公式記入例では、各症例について主に次の内容が示されています。
| 項目 | 整理する内容 | 準備時の確認ポイント |
|---|---|---|
| 施設・基本情報 | 施設、年齢、性別、外来・入院など | 公式様式の項目に沿って確認する |
| 診断名 | 腎疾患や関連する主要疾患 | 症例の背景が分かる名称を確認する |
| 現病歴・治療内容・経過 | 発症・導入・入院などの経過と治療内容 | 腎臓リハビリテーションを開始した背景につなげる |
| 既往歴 | 介入やリスクに関係する既往 | 症例理解に必要な情報を整理する |
| 目標・実施プログラム | 目標と実際に行った介入 | 目標と実施内容が対応しているか確認する |
| 今後の課題・方針 | 継続して必要な対応や生活上の課題 | 実施して終わりではなく次の支援につなげる |
様式4ではスペースが限られるため、細かな検査値をすべて並べるより、「なぜ腎臓リハビリテーションを行い、何を目標に、何を実施し、今後何が必要なのか」が分かる情報を整理しておくことが重要です。
様式5|2症例では評価・介入・考察まで詳しく書く
様式5では、様式4で選んだ2症例について、患者背景、検査・評価、目標、具体的な介入、患者教育、考察まで掘り下げます。単に様式4の文章を長くするだけではありません。
公式記入例では、次のような項目で症例が整理されています。
| 項目 | 主な内容 | 準備時に確認すること |
|---|---|---|
| 患者プロフィール | 年齢、性別、体格など | 症例背景を理解するために必要な情報 |
| 診断・既往歴 | 診断名、併存疾患、既往歴 | 運動・生活指導へ影響する疾患を確認する |
| 現病歴・治療経過 | これまでの治療とリハ開始までの経過 | 介入が必要になった背景を整理する |
| 検査所見・評価 | 腎機能、血液検査、身体機能、運動耐容能、身体活動など | 症例に必要な評価を選び、目標・介入の根拠につなげる |
| 目標 | 腎臓リハビリテーションで目指した状態 | 評価結果と対応しているか確認する |
| 実施プログラム | 運動療法、生活・栄養・服薬などに関する介入 | 何を、なぜ、どのように実施したか具体化する |
| 患者教育 | 食事、身体活動、服薬、セルフマネジメントなど | 実際に行った支援のみ記載する |
| 考察・今後の課題 | 介入後の変化、解釈、継続課題 | 経過だけでなく、自分の判断や今後の支援へつなげる |
検査値や評価項目を多く並べること自体が目的ではありません。症例ごとに、評価から目標、介入、結果、今後の課題までのつながりが説明できるかを確認します。
運動療法だけでなく包括的な腎臓リハビリテーションを書く
2026年度の受験案内では、自験例報告書に記載する内容について、運動療法だけでなく、食事療法、薬物療法、患者教育などを含む包括的な腎臓リハビリテーションを記載するよう示されています。
ただし、実施していない内容を症例報告のために追加するものではありません。その症例で実際に行った支援や、多職種と連携して実施した内容を整理します。
運動療法はFITTだけでなく目的・根拠まで確認する
運動療法や運動指導を記載する場合は、頻度・強度・時間・運動様式だけでなく、その処方を選んだ目的や根拠も具体的にすることが公式案内で求められています。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| Frequency | どのくらいの頻度で実施したか |
| Intensity | どの強度で実施したか、何を指標に調整したか |
| Time | 1回あたりの実施時間や期間 |
| Type | 有酸素運動、レジスタンストレーニングなどの運動様式 |
| 目的・根拠 | なぜその運動処方を選択したか |
「運動療法を実施した」だけでは、その症例でどのような判断を行ったかが伝わりません。評価結果やリスク、目標と結びつけて整理します。
避けたい書き方|リハビリの進行経過だけにしない
公式案内では、立位・歩行・退院などの日程だけを並べた報告書にならないよう注意されています。
たとえば、「入院後に離床を開始し、その後歩行可能となり退院した」という経過だけでは、腎臓リハビリテーションとして何を評価し、どのように介入を選択・調整したかが分かりません。
| 経過だけになりやすい記載 | 症例報告で追加して確認したいこと |
|---|---|
| 離床を開始した | どの評価・所見から離床や運動が必要と判断されたか |
| 歩行練習を行った | なぜその介入を選び、負荷をどう設定・調整したか |
| ADLが改善した | どの評価や生活上の変化から改善を捉えたか |
| 退院した | 退院後に残る課題と、運動・食事・服薬・生活管理などの支援をどう考えたか |
また、同一施設・同一症例を扱う場合でも、各受験者が自分の視点で実施内容を記載する必要があります。他者の報告や同一施設の過去の報告を再利用したことが明らかな場合は、不正とみなされることが公式案内に明記されています。
様式5の2症例は「詳しく説明できるか」で選ぶ
様式5へ進める2症例を選ぶときは、珍しい疾患であることよりも、評価から介入、結果、考察まで自分の判断を具体的に説明できるかを確認すると整理しやすくなります。
以下は学会が定めた選定基準ではなく、症例報告を準備するときの実務上の整理方法です。
- 開始時の検査・評価情報が確認できる
- リハビリテーションの目標と実施内容を説明できる
- 運動療法を行った場合、負荷設定や調整理由を振り返れる
- 患者教育や多職種との関わりを含め、実際に行った支援を確認できる
- 介入後の変化と、残った課題・今後の方針を整理できる
10症例を集めたあとに初めて詳細を探すのではなく、様式4を整理する段階で「この症例は様式5まで詳しく書けるか」を確認しておくと、不足情報に気づきやすくなります。
自験例報告書 様式4・5準備シート
症例情報を整理するために、「自験例報告書 様式4・5準備シート」を作成しました。様式2の確認から、様式4の10症例、様式5へ進める2症例の詳細まで、一続きで整理できる準備用PDFです。
このPDFは、日本腎臓リハビリテーション学会の公式申請様式そのものではありません。実際の申請では必ず学会が公開している最新の様式4・5を使用してください。
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提出前チェック|10症例と2症例の対応を確認する
清書後は文章表現だけでなく、様式4の10症例と様式5の2症例が正しく対応しているかまで確認します。
- 自分が様式4・5の提出対象であることを最新受験案内で確認した
- 様式4に10症例が揃っている
- 様式5の2症例が様式4に記載した症例と一致している
- 検査・評価と目標、介入内容がつながっている
- 運動療法を記載する場合、頻度・強度・時間・運動様式と目的・根拠を確認した
- 実際に行った食事・栄養、薬物療法との関係、患者教育などを必要に応じて整理した
- 経過の日付だけを並べた症例報告になっていない
- 今後の課題・方針まで記載できている
- 他者の報告や過去の症例報告を流用していない
- 提出時点の公式様式・受験案内を再確認した
よくある質問
Q1. 腎臓リハビリテーション指導士は全員10症例を提出しますか?
いいえ。2026年度は、学会学術集会で主演者または座長を務めたことを様式2で証明できる人は、様式4・5の提出が不要です。様式2を提出できない人が自験例報告書の提出対象となります。
Q2. 10症例すべてを様式5のように詳しく書きますか?
いいえ。まず様式4で10症例の概略を記載し、その10症例から2症例を選んで様式5へ詳細を記載します。
Q3. 症例報告は運動療法だけを書けばよいですか?
運動療法だけに限定されません。公式案内では、食事療法、薬物療法、患者教育などを含む包括的な腎臓リハビリテーションの実施内容を記載するよう示されています。実際にその症例で行った内容を整理してください。
Q4. 様式5に選ぶ2症例はどのように決めればよいですか?
学会の公式な症例選定基準が別途示されているわけではないため、まず公式様式の要件を満たせることが前提です。準備上は、検査・評価、目標、介入内容、結果、考察まで自分の判断を具体的に説明できる症例かを確認すると整理しやすくなります。
次の一手
症例報告の準備と並行して試験対策を進める場合は、教材と学習順序を先に整理しておくと全体の準備を分けやすくなります。
参考文献
- 一般社団法人日本腎臓リハビリテーション学会. 第7回腎臓リハビリテーション指導士資格認定試験 受験案内. 2026 Apr 1 [cited 2026 Oct 5]. Available from: https://jsrr.smoosy.atlas.jp/ja/exam2026
- 一般社団法人日本腎臓リハビリテーション学会. 自験例報告書(1)10症例 様式4 記入例 [cited 2026 Oct 5]. Available from: https://jsrr.smoosy.atlas.jp/files/6088
- 一般社団法人日本腎臓リハビリテーション学会. 自験例報告書(2)様式5 記入例 [cited 2026 Oct 5]. Available from: https://jsrr.smoosy.atlas.jp/files/4230
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

