ビッグセルアイズの使い方と設定|圧切替・換気・クイックハード

臨床手技・プロトコル
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ビッグセルアイズの使い方|まず初期設定と4つの機能を確認

結論:マイクロクライメイト ビッグセル iS(ビッグセルアイズ)は、初期設定を確認したうえで、圧切替・換気・クイックハード・自動背上げ対応機能を患者さんの状態と場面に合わせて使います。特に「通常・弱・静止はどう違うのか」「端座位ではクイックハードを使うのか」「かんたんモードは誰に使えるのか」を整理しておくと、設定変更で迷いにくくなります。

この記事では、株式会社ケープの公式製品情報・取扱説明書をもとに、初期設定から圧切替、換気、クイックハード、背上げ、日常点検までをPT・看護師向けに整理します。設定だけでなく、変更後に皮膚・安楽性・離床場面の何を確認するかまで分かる構成です。支持面そのものの選び方を先に確認したい場合は、体圧分散マットレスの種類と選び方もあわせてご覧ください。

ビッグセルアイズの設定・操作早見。初期設定、機能の使い分け、変更後の確認、日常点検をまとめた図版
ビッグセルアイズは、初期設定→機能の使い分け→変更後の確認の順で整理すると運用しやすくなります。

先に押さえるポイント

  • かんたんモードの対象は体重40〜60kgです
  • 圧切替の初期設定は「通常」です
  • 換気の初期設定は「運転中」です
  • クイックハードは安定した床面が必要なケア・離床場面で使え、60分で自動解除されます

初期設定|かんたんモードは40〜60kgが対象

電源を入れた直後は、体重設定・圧切替・換気の3点を最初に確認します。公式取扱説明書の初期設定は、体重設定が「かんたんモード」、圧切替が「通常」、換気が「運転中」、音量が「小」です。

ただし、かんたんモードの対象は体重40〜60kgです。40〜60kg以外では、20〜140kgの範囲から5kg刻みで体重を設定します。体重設定を行う場合は、療養者の体重より軽い側の最も近い数値へ設定する方法が公式取扱説明書で示されています。

初期設定では、表示されている設定値だけでなく、患者さんがマットレス上で安定しているか、エアセルへ適切に空気が入っているか、警告表示が出ていないかも一緒に確認します。

※スマホは表を横スクロールできます。

ビッグセルアイズの初期設定で確認する項目
項目 初期設定 確認ポイント
体重設定 かんたんモード 対象は40〜60kg。対象外では個別に体重設定する
圧切替 通常 圧切替の感じ方や必要な安静度に応じて変更を検討する
換気 運転中 不快がなければ運転中での使用が推奨されている
音量 小 病室環境や通知の必要性に応じて調整する

圧切替は「通常・弱・静止」の3段階を使い分ける

基本は「通常」で、圧切替の感覚を軽減したい場合に「弱」、膨張・収縮そのものを止める場合に「静止」を選びます。

初期設定は「通常」です。設定を変えるときは、単にモード名を変えるのではなく、患者さんが何に困っているのかを先に整理すると判断しやすくなります。たとえば圧切替の動きが気になる場合は「弱」を、圧切替を行わない状態が必要な場合は「静止」を検討します。

※スマホは表を横スクロールできます。

圧切替3モードの違い
設定 動作 考え方
通常 通常の膨張・収縮を行う 初期設定。圧切替が気にならなければ基本となる設定
弱 小さな膨張・収縮を行う 圧切替の感覚を軽減したい場合に検討する
静止 膨張・収縮を停止する 圧切替を行わない状態が必要な場合に選択する

設定変更をしたときは、「なぜ変更したのか」と「変更後にどうだったか」をセットで記録すると再評価しやすくなります。たとえば「圧切替の違和感あり、通常から弱へ変更。変更後の安楽性を確認」のように残すと、次の判断につながります。

なお、クイックハードモード使用中は圧切替モードとの併用はできません。

換気は「運転中」が基本|マイクロクライメイトを管理する機能

換気機能は、マットレス内にこもる熱や湿気を外へ排出し、支持面と接する皮膚表面の温度・湿度上昇を抑えるための機能です。初期設定は「運転中」で、公式取扱説明書でも不快がなければ「運転中」での使用が勧められています。

ビッグセルアイズではマットレス内のファンユニットを使用しており、換気「運転中」では常時作動します。換気ボタンを押すことで「運転中」と「切」を切り替えられます。

ただし、換気機能があるからといって、発汗、失禁、濡れた寝具、衣類の重なりなどを見なくてよいわけではありません。皮膚の湿潤が続く場合は、マットレス設定だけでなく、寝具・衣類・排泄ケアなど他の要因も一緒に確認します。

クイックハードは端座位・ケア時に安定床面を作る機能

クイックハードは、エアセルの内圧を高めて膨張・収縮を止め、ベッド上ケアやリハビリ、端座位などで安定した床面を確保するための機能です。

ボタンを押してから内圧が整うまでの目安は約8分です。使用中は液晶画面に解除までの残り時間が表示され、安全機能として60分で自動解除されます。音声を有効にしている場合は、解除3分前と解除時にも通知されます。

PT・看護師が確認したいポイント

端座位や移乗では「クイックハードを押したか」だけでなく、床面が安定するまでの時間、端座位での沈み込み、患者さんの安定性、介助量を確認します。公式取扱説明書では、専用マットレス上で端座位や移乗を行う場合は補助者の立ち会いのもとで行うよう注意されています。

クイックハードは背上げ中でも使用できます。一方で、長時間固定するためのモードではありません。必要なケアや離床が終わった後は通常のマットレス運用へ戻ったことを確認します。

背上げでは角度・経過時間・圧切替をまとめて確認する

ビッグセルアイズは、マットレス内蔵のヘッドアップセンサで背上げ角度を検知し、角度に応じて内圧を自動調整します。背上げ中でも、選択している「通常・弱・静止」の設定に応じて動作します。

角度表示は15〜99°を5°刻みで表示します。背上げ角度が15°以上になると経過時間の計測が始まり、15°未満へ戻るまで時間が累積されます。また、30°・45°・60°のいずれかを選び、設定角度に到達したときに音声で知らせることができます。

※スマホは表を横スクロールできます。

背上げ機能で確認できること
機能 仕様 実務での確認例
角度表示 15〜99°、5°刻み 実際の背上げ角度を確認する
経過時間 15°以上から計測 背上げ状態がどの程度続いているか確認する
角度お知らせ 30°・45°・60°から1つ選択 設定した角度への到達確認に使う
内圧調整 角度に応じて自動調整 背上げ中も患者状態とマットレス動作を確認する

経過時間は角度ごとの時間を自動的に分けて表示するわけではありません。途中で角度を変更しても15°未満へ戻らなければ時間は累積されます。特定の角度から計測し直したい場合は、背上げ時間リセット機能を使います。

設定変更後は皮膚・安楽性・離床を確認する

設定変更後の評価は、モード名ではなく患者さんに起きた変化を確認することが重要です。

圧切替を変更した場合は寝心地や違和感、換気を確認する場合は支持面と接する部位の湿潤や熱のこもり、クイックハードでは端座位やケア時の安定性を確認します。背上げでは、角度や経過時間だけでなく、身体のずれや皮膚状態も一緒に見ます。

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設定変更と一緒に確認したい項目
設定・機能 患者側で確認すること 記録例
圧切替 違和感、睡眠への影響、皮膚状態 「圧切替の違和感あり、通常→弱へ変更。変更後の安楽性を確認」
換気 湿潤、発汗、皮膚表面の状態 「換気 運転中。背部の湿潤と寝具状態を確認」
クイックハード 端座位の安定性、沈み込み、介助量 「端座位前にクイックハード使用。床面安定後に離床介助実施」
背上げ 角度、経過時間、身体のずれ、皮膚状態 「背上げ45°。経過時間と骨盤のずれを確認」

再評価時期を一律に「48〜72時間後」と固定するのではなく、皮膚状態、設定変更、体動・離床状況、全身状態の変化に応じて必要なタイミングで確認します。

点検はできるだけ1日1回|警告・チューブ・接続部を見る

公式取扱説明書では、使用中はできるだけ1日1回、エアマットレスの状態を確認するよう案内されています。体位変換や寝具交換、ベッド移動のあとにも、接続が外れていないか確認すると安全です。

  • 光サインが赤く点滅していないか、警告表示がないか
  • 送風チューブが折れ曲がったり圧迫されたりしていないか
  • カプラーが専用ポンプへ正しく接続されているか
  • ヘッドアップセンサのコネクタ・プラグが外れていないか
  • エアセルへ空気が入っているか
  • エアフィルターやファンユニットのフィルターに著しい汚れがないか
  • 電源コード・プラグに破損がないか

「換気されない」「角度表示がおかしい」「エアが十分に入らない」と感じる場合は、設定変更を繰り返す前に、チューブ・カプラー・センサ・警告表示を確認します。解決しない場合は、取扱説明書の「故障かな?と思ったら」を確認し、販売店またはメーカーへ相談します。

マイクロクライメイトとは|圧だけでなく温度・湿度も見る

マイクロクライメイトは、身体と支持面の界面における温度・湿度などの環境を指します。支持面を考える際は、圧再分配だけでなく、摩擦・ずれやマイクロクライメイト管理もあわせて評価することが大切です。

ビッグセルアイズの換気機能は、マットレス内にこもる熱・湿気を排出して皮膚表面の温度・湿度上昇を抑える設計です。ただし、マットレスは褥瘡予防を補助する支持面であり、それだけで褥瘡を完全に予防できるわけではありません。患者さんの全身状態、体位変換、皮膚・排泄管理なども合わせて確認します。

マットレスの厚さや構造、active・reactive support surfaceの違いまで整理したい場合は、体圧分散マットレスの厚さ・構造も参考になります。

サイズ・品番・TAISを確認する

ビッグセルアイズは厚さ15cmの交換タイプで、ベッド幅・長さに応じて複数サイズがあります。

※スマホは表を横スクロールできます。

ビッグセルアイズのサイズ・品番・TAIS
タイプ 品番 サイズ TAIS
840 CR-750 84×192×15cm 00206-000140
900 CR-753 90×192×15cm 00206-000141
840 / SHORT CR-755 84×180×15cm 00206-000142
900 / SHORT CR-757 90×180×15cm 00206-000143
1000 CR-761 100×192×15cm 00206-000144

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

かんたんモードは誰でも使えますか?

いいえ。かんたんモードの対象は体重40〜60kgです。40〜60kg以外では、20〜140kgの範囲で個別に体重設定を行います。

圧切替の「通常」「弱」「静止」はどう選びますか?

基本は「通常」です。圧切替の感覚を軽減したい場合に「弱」、膨張・収縮を止めたい場合に「静止」を検討します。設定変更後は、違和感や睡眠、皮膚状態など患者さんの変化を確認します。

クイックハードはいつ使うとよいですか?

端座位、移乗、ベッド上ケアなど、安定した床面が必要な場面で使います。内圧が整うまで約8分かかり、60分で自動解除されます。使用後は通常運用へ戻ったことを確認します。

換気機能を使っていれば蒸れ対策は十分ですか?

換気機能は熱・湿気を抑える助けになりますが、寝具の重ね過ぎ、失禁、発汗、衣類の重なりなどがあると湿潤は残ることがあります。換気設定だけでなく、周辺環境も一緒に確認することが大切です。

次に確認したい記事


参考文献

  1. National Pressure Injury Advisory Panel, European Pressure Ulcer Advisory Panel, Pan Pacific Pressure Injury Alliance. Full Body Support Surfaces for Prevention of Pressure Injuries. In: Haesler E, ed. Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries: Clinical Practice Guideline. The International Guideline. 4th ed. 2026.
  2. Kottner J, Black J, Call E, Gefen A, Santamaria N. Microclimate: A critical review in the context of pressure ulcer prevention. Clin Biomech (Bristol). 2018;59:62-70. doi:10.1016/j.clinbiomech.2018.09.010
  3. 株式会社ケープ. マイクロクライメイト ビッグセル アイズ 製品情報. 公式ページ
  4. 株式会社ケープ. マイクロクライメイト ビッグセル iS 取扱説明書. 公式取扱説明書

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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