DAD の評価方法|認知症の ADL / IADL 遂行・発動の見方

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DAD の評価方法|認知症の ADL / IADL 遂行・発動の見方

認知症の ADL 評価では、「できるか」だけでなく「自分で始められるか・段取りできるか・最後まで安全にやりきれるか」を分けてみると、介入の優先順位がはっきりします。

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DAD( Disability Assessment for Dementia )は、認知症のある人の ADL / IADL を、介助量だけでなく遂行機能の視点も含めてみる尺度です。DAD マニュアルでは、地域在住の Alzheimer 型認知症など認知障害のある人を主対象とし、基本 ADL・IADL・余暇活動を、開始(initiation)・計画と段取り(planning and organization)・実行(effective performance) に分けてみることが目的とされています。 [oai_citation:0‡DCRC](https://www.dementiaresearch.org.au/wp-content/uploads/2016/06/DAD_Manual.pdf)

現場で便利なのは、「していない」の背景が、身体機能低下なのか、始められないのか、手順がつながらないのかを整理しやすいことです。ADL 評価の全体像は ADL 評価スケールまとめ で確認できますが、本記事では DAD に絞って、構造、採点、記録の型、Barthel Index・Lawton IADL・Katz との使い分けを実務目線でまとめます。 [oai_citation:1‡リハビリくん](https://rehabilikunblog.com/adl_hyouka_matome/?utm_source=chatgpt.com)

DAD とは|認知症の「遂行込みの ADL」をみる尺度です

DAD は、単に ADL / IADL の自立度をみるだけではなく、認知機能の低下が生活動作にどう影響しているかを定量化する尺度です。マニュアルでは、基本 ADL、IADL、余暇活動を通して、問題のある領域を見つけ、介入や経過観察に役立てる目的が示されています。 [oai_citation:2‡DCRC](https://www.dementiaresearch.org.au/wp-content/uploads/2016/06/DAD_Manual.pdf)

たとえば、入浴や更衣の動作自体は可能でも、「自分から始めない」「順番が乱れる」「最後まで安全に終えられない」といったケースがあります。Barthel Index や Katz では “自立” に見える場面でも、DAD ではそのズレを拾いやすいのが強みです。 [oai_citation:3‡リハビリくん](https://rehabilikunblog.com/adl_hyouka_matome/?utm_source=chatgpt.com)

どんなときに使う?|認知症の生活の詰まりを具体化したいとき

DAD が向いているのは、認知症のある人の生活の詰まりを、介助量だけでなく遂行の質まで含めて整理したいときです。在宅復帰の検討、家族指導、通所・外来での生活機能フォロー、認知症合併例の ADL 再評価などで使いやすいです。DAD は caregiver interview で実施し、直近 2 週間の “実際の遂行” をみるように設計されています。 [oai_citation:4‡DCRC](https://www.dementiaresearch.org.au/wp-content/uploads/2016/06/DAD_Manual.pdf)

特に、「できる能力はありそうなのに、日常生活では回らない」という場面で役立ちます。Lawton IADL が在宅生活の自立度を広く押さえる尺度だとすると、DAD はその IADL がなぜ回らないのかを、開始・段取り・実行の視点で一段深くみるイメージです。 [oai_citation:5‡リハビリくん](https://rehabilikunblog.com/adl_hyouka_matome/?utm_source=chatgpt.com)

構造と採点|40 項目を面接で確認し、点数は 0〜100 % で読みます

Springer の尺度解説では、DAD は40 項目の informant-rated questionnaire / structured interview と整理されています。内訳は、基本 ADL 17 項目と IADL 23 項目です。DAD マニュアルでは、基本 ADL として更衣・衛生・排泄・食事、IADL として食事準備、電話、家事、金銭管理、服薬、外出、安全に自宅で過ごすことなどが含まれます。さらに、余暇活動も評価対象に含まれます。 [oai_citation:6‡Springer](https://link.springer.com/rwe/10.1007/978-3-319-56782-2_1800-2?utm_source=chatgpt.com)

採点は各項目を Yes = 1、No = 0、N/A = 非該当 でつけ、(Yes の合計 ÷ 該当項目数)× 100 の百分率で読むのが基本です。マニュアルでは、0 点よりも「非該当」を分けること、N/A を分母から除いて割合で解釈することが示されています。つまり、DAD は総和点というより、実施できている割合として読む尺度です。 [oai_citation:7‡DCRC](https://www.dementiaresearch.org.au/wp-content/uploads/2016/06/DAD_Manual.pdf)

DAD の強み|開始・計画・実行で分けてみられることです

DAD のいちばん大きな特徴は、ADL / IADL を開始(initiation)・計画と段取り(planning and organization)・実行(effective performance) の 3 つでみられることです。マニュアルでは、開始は「適切な場面で自発的に始めること」、計画と段取りは「必要物品や手順を整理し、順序立てて進めること」、実行は「最後まで安全かつ適切に完了すること」と説明されています。 [oai_citation:8‡DCRC](https://www.dementiaresearch.org.au/wp-content/uploads/2016/06/DAD_Manual.pdf)

この視点があると、「食事は自立」とだけ書くのではなく、食べ始めるきっかけが必要なのか、配膳や準備で止まるのか、食べ終わりまで見守りが必要なのか を分けて考えられます。リハでは、誘導方法、環境調整、手順の見える化、家族の声かけ指導に直結しやすいです。 [oai_citation:9‡DCRC](https://www.dementiaresearch.org.au/wp-content/uploads/2016/06/DAD_Manual.pdf)

実施の流れ|介護者への面接で「直近 2 週間の実際」を聞きます

DAD は本人評価ではなく、介護者への面接で行うのが基本です。マニュアルでは、静かな環境で caregiver と 1 対 1 で行い、直近 2 週間の実際の遂行を尋ねるよう示されています。また、問うのは「できる能力」ではなく、助けや促しなしに実際にやっているかです。 [oai_citation:10‡DCRC](https://www.dementiaresearch.org.au/wp-content/uploads/2016/06/DAD_Manual.pdf)

ここで大切なのは、「手伝えばできる」は Yes にしないことです。マニュアルでは、質問文も “without help or reminder” を守るよう強調されています。つまり DAD は、能力評価ではなく実生活での自発的遂行をみる尺度だと理解しておくとブレにくいです。 [oai_citation:11‡DCRC](https://www.dementiaresearch.org.au/wp-content/uploads/2016/06/DAD_Manual.pdf)

記録の型|割合だけでなく “どこで止まるか” を 1 行で残します

DAD は割合で比較しやすい一方、記録は場面つきで残すと使いやすさが上がります。たとえば、「DAD 68 %。基本 ADL は保たれるが、IADL の開始と段取りで低下。服薬と買い物で声かけ・準備支援が必要」のように書くと、点数の意味が伝わります。

おすすめは、総割合、落ちやすい領域(BADL / IADL)、開始・段取り・実行のどこが弱いか、代表的な詰まり場面 を 1 セットで残すことです。これで家族支援やカンファレンスでの具体的な提案がしやすくなります。

Barthel Index・Lawton IADL・Katz とどう使い分ける?

DAD と他の ADL 尺度は役割が違います。Barthel Index は介助量の全体像、Katz は短時間の基本 ADL スクリーニング、Lawton IADL は在宅の生活行為の自立度をみる尺度です。これに対して DAD は、認知症の影響で ADL / IADL がなぜ回らないかを、遂行機能の視点で一段深くみる尺度と考えると整理しやすいです。 [oai_citation:12‡リハビリくん](https://rehabilikunblog.com/adl_hyouka_matome/?utm_source=chatgpt.com)

実務では、まず BI や Katz で基本 ADL の土台を押さえ、在宅生活の広がりは Lawton IADL、認知症の遂行障害まで見たいときに DAD を足す流れが使いやすいです。特に、「自立度の点数は大きく落ちていないのに家では回らない」という症例で DAD が活きます。 [oai_citation:13‡リハビリくん](https://rehabilikunblog.com/adl_hyouka_matome/?utm_source=chatgpt.com)

スマホでは表を横スクロールできます。

DAD と関連 ADL 尺度の使い分け早見表
尺度 主にみるもの 強み 向いている場面
DAD 認知症の遂行込み ADL / IADL 開始・段取り・実行を分けてみやすい 認知症の在宅支援・家族指導・外来再評価
Barthel Index 基本 ADL の介助量 短時間で全体像を押さえやすい 急性期〜回復期の初期層別化
Katz Index 基本 ADL の簡便スクリーニング 3〜5 分で見やすい 高齢者の短時間評価
Lawton IADL 在宅生活行為の自立度 家事・買物・服薬管理を広く把握しやすい 在宅復帰・生活期評価

よくある失敗|「できそう」を Yes にしない

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DAD のよくある失敗と修正ポイント
場面 NG OK 理由
聞き取り 手伝えばできるを Yes にする 助けや促しなしに実際にしているかで判断する DAD は actual performance をみる尺度だから
解釈 割合だけで軽い / 重いを決める 開始・段取り・実行のどこが落ちるかを見る 介入の方向性が具体化しやすいため
評価期間 最近の期間を毎回変える 直近 2 週間で固定する 再評価の比較精度が上がるため
共有 割合だけ記録して終わる 詰まり場面と必要な支援も残す 家族支援や申し送りに直結しやすいため

現場で多いのは、“能力としてはできそう” を Yes にしてしまうことです。DAD は可能能力ではなく、直近 2 週間に助けや促しなしで実際にしていたかをみる尺度です。この前提がずれると、在宅支援や家族指導でズレが大きくなります。 [oai_citation:14‡DCRC](https://www.dementiaresearch.org.au/wp-content/uploads/2016/06/DAD_Manual.pdf)

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

DAD は本人に聞く尺度ですか?

基本は介護者への面接で行います。マニュアルでも caregiver interview とされており、直近 2 週間の実際の遂行を確認します。 [oai_citation:15‡DCRC](https://www.dementiaresearch.org.au/wp-content/uploads/2016/06/DAD_Manual.pdf)

DAD は身体障害が強い人にもそのまま使えますか?

マニュアルでは、身体障害が強い人に単独で使うことは想定されておらず、身体障害向け ADL 評価との併用が推奨されています。 [oai_citation:16‡DCRC](https://www.dementiaresearch.org.au/wp-content/uploads/2016/06/DAD_Manual.pdf)

DAD は何分くらいでできますか?

マニュアルでは、おおむね 15 分程度とされています。静かな環境で caregiver と 1 対 1 で行うと進めやすいです。 [oai_citation:17‡DCRC](https://www.dementiaresearch.org.au/wp-content/uploads/2016/06/DAD_Manual.pdf)

DAD はどんな信頼性がありますか?

マニュアルでは、test-retest reliability は ICC 0.96、interrater reliability は ICC 0.95、internal consistency は Cronbach’s α 0.96 と報告されています。 [oai_citation:18‡DCRC](https://www.dementiaresearch.org.au/wp-content/uploads/2016/06/DAD_Manual.pdf)

次の一手|認知症 ADL の既存記事につないで運用を固める

DAD の位置づけがつかめたら、次は ADL 尺度全体の中でどう使うかを整理すると理解が定着します。まず ADL 尺度全体を見直したい場合は ADL 評価スケールまとめ、在宅の生活行為を広くみたい場合は Lawton IADL の評価方法、基本 ADL の介助量を短時間で押さえたい場合は Barthel Index の評価方法 がつながりやすいです。 [oai_citation:19‡リハビリくん](https://rehabilikunblog.com/adl_hyouka_matome/?utm_source=chatgpt.com)

そのうえで、次は **Katz Index** の専用記事を作ると、認知症 ADL と基本 ADL スクリーニングの両輪がそろって、ADL クラスターがさらに強くなります。 [oai_citation:20‡リハビリくん](https://rehabilikunblog.com/adl_hyouka_matome/?utm_source=chatgpt.com)


参考文献

  1. Gélinas I, Gauthier L, McIntyre MC, Gauthier S. Development of a functional measure for persons with Alzheimer disease: the Disability Assessment for Dementia. Am J Occup Ther. 1999;53:471-481. Springer 解説で原著として掲載。 [oai_citation:21‡Springer](https://link.springer.com/rwe/10.1007/978-3-319-56782-2_1800-2?utm_source=chatgpt.com)
  2. Feldman H, Sauter A, Donald A, et al. The disability assessment for dementia scale: a 12-month study of functional ability in mild to moderate severity Alzheimer disease. Alzheimer Dis Assoc Disord. 2001;15(2):89-95. doi: 10.1097/00002093-200104000-00008PubMed. [oai_citation:22‡PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11391090/?utm_source=chatgpt.com)
  3. Disability Assessment For Dementia (DAD) User’s Guide. McGill University / Dementia Centre for Research Collaboration. 介護者面接、2 週間、採点法、信頼性の記載あり。 PDF. [oai_citation:23‡DCRC](https://www.dementiaresearch.org.au/wp-content/uploads/2016/06/DAD_Manual.pdf)
  4. Disability Assessment for Dementia. Springer reference entry. 40 項目、BADL 17 項目・IADL 23 項目の整理あり。 [oai_citation:24‡Springer](https://link.springer.com/rwe/10.1007/978-3-319-56782-2_1800-2?utm_source=chatgpt.com)

著者情報

rehabilikun のプロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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