DESIGN-R 2020のP(ポケット)はどう測る?
DESIGN-R®2020のP(ポケット)は、毎回同じ体位で測定し、ポケットを含む外形の「長径×短径」から、潰瘍面の「長径×短径」を差し引いて算出します。式にすると、P面積=(a×b)−(c×d)です。
ここで重要なのは、時計法で「何時方向に何cmあるか」を測るだけではP点数は決まらないことです。DESIGN-R®2020の公式採点ではa・b・c・dから算出した値を用い、時計法や最大距離、最大深さなどは必要に応じて補助記録として分けて扱います。
この記事では、Pの測定方法、a・b・c・dの取り方、p0・P6・P9・P12・P24の境界、再評価で条件をそろえる方法まで整理します。記事後半には、前回/今回を比較できるExcel原本とA4 PDFも用意しています。
Pの公式な測り方|まずa・b・c・dを整理する
DESIGN-R®2020では、毎回同一体位でポケットの開口範囲を確認し、ポケットを含む外形と潰瘍面をそれぞれ長径×短径で測定します。測定者が変わっても同じ範囲を取りやすいよう、何をa・b・c・dとするのかを最初にそろえておくことが重要です。

※図版内の単位表記について:図版中の「mm²」は「cm²」の誤記です。DESIGN-R®2020では長径・短径をcmで測定します。
※スマホでは表が横スクロールできます。
| 記号 | 測定する範囲 | 測り方 |
|---|---|---|
| a | 潰瘍面+ポケットを含む外形の長径 | ポケットを含めた外形で最も長い径 |
| b | 潰瘍面+ポケットを含む外形の短径 | aと直交する最大径 |
| c | 潰瘍面の長径 | S(大きさ)で測定する潰瘍面の長径 |
| d | 潰瘍面の短径 | cと直交する最大径 |
P面積=(a×b)−(c×d)です。a・bは「ポケット込み」、c・dは「潰瘍面」と整理すると、測定範囲を取り違えにくくなります。
Pの点数|p0・P6・P9・P12・P24
ポケットがなければp0、ポケットがある場合は算出値を4・16・36の境界で区分します。「軽度」「中等度」「重度」などへ独自に読み替えず、DESIGN-R®2020の区分どおりに記録します。
※スマホでは表が横スクロールできます。
| ポケット | 算出値 | 記録 |
|---|---|---|
| なし | ― | p0 |
| あり | 4未満 | P6 |
| あり | 4以上16未満 | P9 |
| あり | 16以上36未満 | P12 |
| あり | 36以上 | P24 |
「算出値が0だから自動的にp0」と考えるのではなく、p0は「ポケットなし」を示します。まずポケットの有無を確認し、ポケットがある場合に測定・計算してP6〜P24へ区分します。
Pの測定手順|ポケットの範囲を確認してから計算する
測定は「体位をそろえる → ポケットの開口範囲を確認する → a・bを測る → c・dを測る → 計算する」の順に進めます。計算式だけでなく、どの範囲を測った数値なのかをそろえることが再評価では重要です。
- 毎回同じ体位にする:再評価では、毎回同一体位で測定します。
- ポケットの開口範囲を確認する:鑷子や綿棒をポケット部に挿入し、どこまで開口しているかを確認します。
- aを測る:潰瘍面とポケットを含む外形で最も長い径を測ります。
- bを測る:aと直交する最大径を測ります。
- c・dを測る:潰瘍面の長径cと、cに直交する最大径dを測ります。
- P面積を算出する:(a×b)−(c×d)を計算し、P6〜P24へ当てはめます。
計算例|18ならP12
たとえば、ポケットを含む外形が6.0cm×4.0cm、潰瘍面が3.0cm×2.0cmだった場合は次のように計算します。
- a×b=6.0×4.0=24.0
- c×d=3.0×2.0=6.0
- P面積=24.0−6.0=18.0
18.0は16以上36未満なので、P12と記録します。
時計法・最大距離・最大深さは補助記録として分ける
時計法や最大距離、最大深さは、Pスコアを算出するa・b・c・dとは別の情報です。ポケットの方向や経時変化をチームで共有したい場合に、補助記録として追加します。
たとえば「8〜11時方向にポケットあり、10時方向で最大4.0cm」のように残しておくと、次回評価でどの方向を再確認するのか共有しやすくなります。ただし、この4.0cmという最大距離だけからP6・P9・P12・P24を決めるわけではありません。
時計法を使用する場合は、頭側を12時とするなど院内で基準を統一しておくと、測定者が変わった際の方向のずれを減らせます。最大深さを測る場合も、Pスコアの計算値へ加えるのではなく、必要時の補足情報として別に記録します。
再評価では「公式採点」と「補助記録」を分けてそろえる
DESIGN-R®2020でP測定時に明示されている重要な条件は、毎回同一体位で測定することです。時計法の基準、測定タイミング、最大距離などを固定する場合は、Pの公式採点項目とは区別し、院内で比較しやすくするための補助運用として扱います。
※スマホでは表が横スクロールできます。
| 項目 | 位置づけ | 再評価での確認 |
|---|---|---|
| ポケットの有無 | 公式採点 | なしならp0。ありならa・b・c・dを測定 |
| 測定体位 | 公式採点で明示 | 毎回同一体位で比較する |
| a・b・c・d | 公式採点 | 同じ定義で外形と潰瘍面を測る |
| 時計法 | 補助記録 | 使用する場合は方向の基準を統一する |
| 最大距離・最大深さ | 補助記録 | 必要時に方向や経過を補足する |
| 測定タイミング | 補助運用 | 院内で比較しやすい条件をそろえる |
前回よりPが増えた場合も、点数だけで悪化を決めるのではなく、まず前回と同じ体位・同じ測定方法で比較できているかを確認します。そのうえで、創縁、周囲皮膚、滲出液など他の所見も合わせて評価します。
P測定で迷いやすい5つのポイント
P測定で起こりやすいのは、計算ミスよりも「測る範囲の取り違え」です。a・b・c・dと補助記録の役割を分けると、多くの迷いを減らせます。
※スマホでは表が横スクロールできます。
| 迷いやすいこと | 確認すること |
|---|---|
| 時計法の最大距離をP面積と考える | P点数は(a×b)−(c×d)から判定する |
| a・bとc・dを同じ範囲で測る | a・bは潰瘍面+ポケット、c・dは潰瘍面を測る |
| 短径を単なる横幅として測る | b・dは、それぞれの長径と直交する最大径を取る |
| 算出値0をすべてp0とする | p0は「ポケットなし」。先にポケットの有無を確認する |
| 前回と体位が違う | 毎回同一体位で測定して比較する |
P測定・再評価シート|Excel原本とA4 PDF
P測定を前回/今回で比較できるよう、Excel原本と印刷用PDFを作成しました。上段をDESIGN-R®2020の公式P採点、下段を時計法・最大距離・最大深さなどの補助記録に分けています。
Excel原本|入力してP面積・Pスコアを確認
ポケットの有無とa・b・c・dを入力すると、P面積とPスコアを自動計算できます。前回/今回の比較や補助記録も同じシートに残せます。
A4 PDF|印刷して手書きで使用
Excel原本と同じ項目をA4縦1ページにまとめています。院内で印刷して、前回/今回を手書きで比較したい場合に使用できます。
※このExcel・PDFは、rehabilikunblogが作成した独自の補助記録用紙であり、日本褥瘡学会の公式様式ではありません。DESIGN-R®2020のP採点部分は公式資料に沿って整理し、時計法・最大距離・最大深さ・測定タイミングなどは補助記録として分離しています。
※スマホでは表が横スクロールできます。
| 形式 | 向いている使い方 | 特徴 |
|---|---|---|
| Excel | PC入力・再評価・計算 | P面積とPスコアを自動計算 |
| 印刷・ベッドサイド・手書き | A4縦1ページで記録できる |
よくある質問
時計法だけでP6・P9・P12・P24を決められますか?
決めません。DESIGN-R®2020のPは、ポケットを含む外形のa×bから、潰瘍面のc×dを差し引いて判定します。時計法は、ポケットの方向や最大距離を補足して共有するための記録として分けて使用します。
Pの短径はどこを測ればよいですか?
単純な横幅ではありません。ポケットを含む外形では長径aと直交する最大径をb、潰瘍面では長径cと直交する最大径をdとして測定します。
算出値が0ならp0ですか?
p0は「ポケットなし」を示します。先にポケットの有無を確認し、ポケットがある場合はa・b・c・dから算出した値をP6〜P24の区分へ当てはめます。Excel版でも、ポケットの有無と計算値を分けて入力・判定できる構成にしています。
前回よりP点数が上がったら悪化と判断してよいですか?
まず、前回と同じ体位・同じ測定方法で比較できているかを確認します。同じ条件で算出値が増えている場合は、ポケット範囲が拡大している可能性を考えますが、褥瘡全体の状態はPだけで決めず、DESIGN-R®2020の他項目や創縁・周囲皮膚・滲出液なども合わせて評価します。
最大深さはPスコアに入りますか?
入りません。Pスコアは(a×b)−(c×d)で算出します。最大深さを測る場合は、創の状態や経時変化を共有するための補助情報として別に記録します。
次の一手
- DESIGN-R®2020の7項目全体を確認する:DESIGN-R 2020の採点方法|7項目の全体像
- 測定結果を除圧・再評価へつなげる:褥瘡予防の基本|評価から除圧・再評価まで
参考文献
- 日本褥瘡学会. 改定DESIGN-R®2020 コンセンサス・ドキュメント [Internet]. 2020 [cited 2026 Aug 27]. Available from: https://www.jspu.org/medical/books/docs/design-r2020_doc.pdf
- 日本褥瘡学会. DESIGN-R®2020 褥瘡経過評価用 [Internet]. 2020 [cited 2026 Aug 27]. Available from: https://jspu.org/medical/design-r/docs/design-r2020.pdf
- Japanese Society of Pressure Ulcers. DESIGN-R scoring manual: English version [Internet]. [cited 2026 Aug 27]. Available from: https://www.jspu.org/english/publication/docs/DESIGN-R_manual_eng.pdf
- Mayrovitz HN, Soontupe LB. Wound areas by computerized planimetry of digital images: accuracy and reliability. Adv Skin Wound Care. 2009;22(5):222-229. doi: 10.1097/01.ASW.0000350839.19477.ce
- Foltynski P, et al. Wound area measurement with digital planimetry: improved accuracy and precision with calibration based on 2 rulers. PLoS One. 2015;10(8):e0134622. doi: 10.1371/journal.pone.0134622
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

