TISとは?Verheyden版23点の評価方法・採点・見方

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TISはVerheyden版23点で体幹機能を3つに分けて評価します

TIS(Trunk Impairment Scale)は、脳卒中後の体幹機能を静的座位バランス・動的座位バランス・協調性の3つに分けて評価する尺度です。本記事では、Verheydenらが報告した17項目・23点満点のTISを扱います。

大切なのは、合計点だけで「体幹が良い・悪い」と判断することではありません。どの下位尺度、どの課題で得点が止まったかを確認し、所見と合わせて次に確認する体幹機能を絞ることで、再評価へつなげやすくなります。Fujiwara版21点やTIS 2.0との違いも含め、実施・採点・解釈・記録まで整理します。

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TIS(Verheyden版)の1分要約
項目 要点
対象 主に脳卒中後の体幹機能評価。
構成 17項目・23点満点。
下位尺度 静的座位バランス7点、動的座位バランス10点、協調性6点。
読み方 合計点だけでなく、どの下位尺度・課題で止まったかを見る。
再評価 同じ版・開始肢位・説明・試行条件をできるだけそろえる。

最初に確認|Verheyden版23点・Fujiwara版21点・TIS 2.0は分けて考えます

「TIS」という名称には異なる尺度・版があるため、最初にどのTISを使っているか確認することが重要です。本記事で中心に扱うのは、Verheydenらが2004年に報告した17項目・23点満点のTISです。1

この記事ではVerheyden版23点を扱います。
Fujiwara版は7項目・21点満点の別尺度です。また、TIS 2.0はVerheyden版をRasch解析に基づいて再検討した別版です。点数や構成を混ぜて解釈しないようにします。

名称が似ているTISの違い
尺度・版 構成 特徴 本記事での扱い
Verheyden版TIS 17項目・23点 静的座位バランス、動的座位バランス、協調性を評価。 本記事の主対象
Fujiwara版TIS 7項目・21点 体幹垂直性の知覚、回旋筋力、立ち直り反応などから構成。 別尺度として区別
TIS 2.0 再構成版 Rasch解析をもとに、動的座位バランスと協調性を中心に再構成。 別版として区別

「12点カットオフ」はVerheyden版23点の基準ではありません

急性期脳卒中患者を対象とした研究では、入院時TISと退院時の歩行自立との関連を検討し、12点というカットオフが報告されています。3 ただし、この研究で使用されたのはFujiwara版TIS(7項目・21点)です。

したがって、12点をVerheyden版23点へそのまま当てはめて、「12点以上なら歩行自立」と判断することはできません。検索や文献でTISのカットオフを見るときは、どのTISを使った研究なのかまで確認する必要があります。

TIS(Verheyden版)は17項目・23点を3つの下位尺度で見ます

Verheyden版TISは0〜23点で評価し、静的座位バランス、動的座位バランス、協調性の3下位尺度から構成されます。原著では、単に座位を保持できるかだけでなく、体幹運動の質も評価することを目的としています。1

TIS(Verheyden版)の得点構成
下位尺度 得点範囲 主に確認すること
静的座位バランス 0〜7点 端座位を保ちながら姿勢を制御できるか。
動的座位バランス 0〜10点 座位で体幹を動かしたときの動的な制御。
協調性 0〜6点 体幹回旋などの選択的・協調的な運動。
合計 0〜23点 体幹機能全体を示す。
TIS(Verheyden版23点)の3下位尺度と再評価の見方を整理した図版
TISはVerheyden版23点と他のTISを混同せず、3下位尺度と課題ごとの所見から再評価へつなげます。

図版のとおり、実務では「23点中何点だったか」だけで終わらせず、「どの下位尺度で得点が止まり、どの課題で動きの質が崩れたか」を確認すると、再評価で見るポイントを整理しやすくなります。

TISの評価方法|まず開始肢位をそろえます

TISを再評価へ使うには、毎回の開始肢位や実施条件をできるだけそろえることが重要です。原法では、ベッドまたは治療台の端に座り、背もたれや上肢支持を使わない端座位を基本とします。1

Verheyden版TISの基本的な開始肢位
確認点 基本条件
座位 ベッドまたは治療台の端に座り、背もたれ・上肢支持なし。
下肢 大腿を支持し、膝は約90°、足底を床へ接地する。
上肢 上肢は大腿上に置くことを基本とする。
頭部・体幹 正中位を基本とする。

上肢に過緊張がある場合は、その自然な肢位を開始肢位として扱います。また、各課題は規定された方法で説明し、必要に応じて見本を示します。原法では各課題を最大3回まで行い、最も良い成績を採用する方法が示されています。

一方で、開始肢位を安全に作れない、端座位そのものに大きな介助が必要、全身状態の変化が強いといった場合は、無理にTISを完遂することを優先しません。まずは安全に評価できる状態かを確認します。

TISの採点は「観察した所見」と「得点」を分けて考えます

TISの数値は、各項目に定められた採点基準に沿って決めます。体幹側屈や左右差などの所見を見つけたからといって、それだけを理由に独自に減点するのではありません。

逆に、課題を何とか達成できたとしても、規定された条件を満たしていなければ同じ得点になるとは限りません。数値は採点基準、動作の質は所見として分けて記録すると、公式評価と臨床解釈が混ざりにくくなります。

TISを採点するときに分けて考える3つの情報
情報 何で決めるか 扱い方
得点 各項目の正式な採点基準。 自己流で基準を追加・変更しない。
動作所見 左右差、代償、崩れ方、速度など。 得点とは別に短く記録する。
臨床解釈 得点と所見を合わせて判断。 次に確認する体幹機能や評価課題を絞る。

採点で迷いやすい境界

「代償がある=自動的に減点」ではありません。まず、その項目の採点基準に該当するかを確認します。採点基準とは別に気になった代償は、所見として残します。

また、Verheyden版TISでは開始肢位の保持に関する最初の静的座位項目が0点の場合、TISの総得点も0点とする採点上のルールがあります。個々の設問文や判定文を本記事で全文転載するのではなく、正式な採点時は原著または施設で採用している評価資料を確認してください。

TISの解釈|合計点より「どこで止まったか」を確認します

TISの合計点は体幹機能全体を把握するのに役立ちますが、合計点だけから介入内容を直接決める尺度ではありません。どの下位尺度で点が落ち、どの課題で動作の質が崩れたかを確認したうえで、次に評価する体幹機能を絞ります。

下位尺度ごとの読み方と次に確認する視点
下位尺度 TISで確認すること 次に見るポイント
静的座位バランス 端座位を保った状態での姿勢制御。 開始肢位の再現性、左右差、支持への依存など。
動的座位バランス 座位で体幹を動かしたときの制御。 どの方向・課題で崩れるか、左右差、戻り方、代償。
協調性 体幹の選択的・協調的な運動。 回旋時の左右差、胸郭と骨盤の分離、動作の速さや滑らかさ。

たとえば、動的座位バランスの得点が低いからといって、すぐに「重心移動練習を行う」と決めるのではありません。どの課題で失敗したのか、左右差があるのか、代償が大きいのかを見て、必要な追加評価や介入仮説へつなげます。

TISは「体幹機能が低い理由」そのものを診断する尺度ではありません。感覚、注意、疼痛、恐怖、下肢機能などが課題遂行へ影響している可能性もあるため、TISの得点だけで原因を断定しないことが重要です。

再評価では「同じ版・同じ条件・同じ採点の考え方」をそろえます

TISを経時的に追う場合は、前回と今回で評価方法が変わらないようにします。特に、使用する版、開始肢位、説明方法、試行条件、評価者間の採点方法をそろえることが重要です。

TISを再評価するときにそろえる条件
確認項目 再評価でそろえること
使用する尺度 Verheyden版、Fujiwara版、TIS 2.0を途中で混ぜない。
開始肢位 足底接地、膝角度、上肢位置、背もたれ・支持の有無をそろえる。
説明・試行 課題の説明方法や試行条件をできるだけ統一する。
採点方法 評価者間で項目の採点基準を共有する。
所見 前回と同じ観察点を短く残す。

2025年に報告された亜急性期脳卒中者に対する日本語版TIS(TIS-J)の信頼性研究では、採点方法の事前オリエンテーションを受けなかった評価者間のICCは0.81、事前オリエンテーションを受けた評価者間では0.98でした。対象者数10名の研究であり一般化には注意が必要ですが、評価者間で採点方法を共有しておくことが、より高い再現性につながる可能性が示されています。5

TISの記録例|得点と動作所見を分けて残します

TISの記録は、総得点だけで終わらせず、下位尺度の内訳・評価条件・動作所見・次回確認点まで残すと再評価しやすくなります。ここでの動作所見は公式得点そのものではなく、臨床上の補足記録です。

記録例(架空例)

TIS(Verheyden版)16/23点(静的7/7、動的6/10、協調性3/6)。ベッド端座位、両足底接地、背もたれ・上肢支持なし。動的座位課題では麻痺側方向で体幹側屈が大きく、中央へ戻る際に左右差あり。協調性課題では回旋の左右差を認める。次回も同条件で動的座位と協調性の変化を確認する。

TIS記録に残す最小項目
項目 残す内容
使用した版 本記事では「Verheyden版」と明記する。
得点 合計点と3下位尺度の内訳。
評価条件 開始肢位や支持条件など、前回比較に必要な情報。
動作所見 左右差、代償、崩れた方向・課題など。
次回確認 次回も同条件で追う下位尺度・所見。

TISを使うか迷う場合は「何を知りたいか」から選びます

TISは、端座位で体幹機能を静的・動的・協調性に分けて評価したいときに向いています。一方、まず体幹機能や基本動作の成立を短時間で確認したい場合や、別の構成概念を見たい場合は、TCTやFACTなど別尺度が適することがあります。

「TISの採点方法を知りたい」のか、「FACT・TCT・TISのどれを選ぶか決めたい」のかを分けると、評価の目的がぶれにくくなります。本記事ではTISを選んだ後の実施・採点・解釈を中心に扱い、尺度選択の詳細は比較記事へ役割分担します。

TISでよくある質問

Q1. TISの12点は歩行自立のカットオフですか?

A. Verheyden版23点のカットオフとしては使えません。12点は、Fujiwara版TIS(7項目・21点)を用いて急性期脳卒中患者の退院時歩行自立を検討した研究で報告された値です。使用しているTISの版を確認して解釈してください。3

Q2. Verheyden版23点とFujiwara版21点の点数を直接比較できますか?

A. できません。同じTISという名称でも、項目構成と満点が異なる別尺度です。経時比較では同じ版を使用します。

Q3. TIS 2.0は23点版と同じものですか?

A. 同じではありません。TIS 2.0はVerheyden版の下位尺度をRasch解析で再検討し、動的座位バランスと協調性を中心に再構成した版です。4

Q4. 座位保持が難しい患者でもTISを使えますか?

A. まず安全に開始肢位を作れるかを確認します。Verheyden版では最初の静的座位項目が0点の場合、総得点も0点となるルールがあります。端座位自体の安全確保が難しい場合は、無理に全項目を実施することを優先しません。

Q5. TISはどのくらいの間隔で再評価すればよいですか?

A. TISそのものに、すべての症例へ共通する再評価間隔が定められているわけではありません。臨床経過や介入目的に応じて再評価し、前回と同じ版・条件で比較できるようにします。

次の一手


参考文献

  1. Verheyden G, Nieuwboer A, Mertin J, Preger R, Kiekens C, De Weerdt W. The Trunk Impairment Scale: a new tool to measure motor impairment of the trunk after stroke. Clin Rehabil. 2004;18(3):326-334. DOI: 10.1191/0269215504cr733oa / PubMed: PMID:15137564
  2. Fujiwara T, Liu M, Tsuji T, Sonoda S, Mizuno K, Akaboshi K, et al. Development of a new measure to assess trunk impairment after stroke (Trunk Impairment Scale): its psychometric properties. Am J Phys Med Rehabil. 2004;83(9):681-688. DOI: 10.1097/01.PHM.0000137308.10562.20 / PubMed: PMID:15314532
  3. Ishiwatari M, Tani M, Isayama R, Honaga K, Hayakawa M, Takakura T, et al. Prediction of gait independence using the Trunk Impairment Scale in patients with acute stroke. Ther Adv Neurol Disord. 2022;15:17562864221140180. DOI: 10.1177/17562864221140180 / PubMed: PMID:36506941
  4. Verheyden G, Kersten P. Investigating the internal validity of the Trunk Impairment Scale using Rasch analysis: the TIS 2.0. Disabil Rehabil. 2010;32(25):2127-2137. DOI: 10.3109/09638288.2010.483038 / PubMed: PMID:20569077
  5. Eguchi M, Miyata K, Sato H, Seki K, Mizukami M. Reliability of the Japanese Version of the Trunk Impairment Scale for Patients with Subacute Stroke. Rigakuryoho Kagaku. 2025;40(5):201-207. DOI: 10.1589/rika.40.201

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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