【MNA-SFとは】6項目で低栄養スクリーニング【評価時間5分】

ディスプレイ広告
スポンサーリンク
リハ栄養
記事内に広告が含まれています。
リハビリくん
リハビリくん

いつも当サイト(rehabilikun blog)の記事をお読みいただき誠にありがとうございます。また、初めましての方はよろしくお願い致します。サイト管理者のリハビリくんです!

  

この記事は「MNA®-SF」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるように心掛けております。それでは早速、内容に移らせていただきます。

   

医療における栄養管理の重要性は極めて高く、特にリハビリテーションに栄養管理はなくてはならないものとなります。MNA®-SF は信頼性や妥当性が確認されている栄養スクリーニングの 1 つであり、最近では GLIM 基準における栄養障害リスクの同定に使用することが推奨されたスクリーニングツールということで、より認知度も高まっていることだと思います。

    

こちらの記事を読むことでMNA®-SF についての理解が深まり、臨床に欠かすことができない、リハビリ × 栄養管理の一助へとなれば幸いです。是非、最後までご覧になってください!

リハビリくん
リハビリくん

【簡単に自己紹介】

30代の現役理学療法士になります。

理学療法士として、医療保険分野と介護保険分野の両方で経験を積んできました。

現在は医療機関で入院している患者様を中心に診療させていただいております。

臨床では、様々な悩みや課題に直面することがあります。

そんな悩みや課題をテーマとし、それらを解決するための記事を書かせて頂いております。

  

理学療法士としての主な取得資格は以下の通りです

登録理学療法士

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級

ディスプレイ広告
スポンサーリンク

高齢者と低栄養

高齢者は加齢による食欲低下や味覚・嗅覚の減退に加え、歯科的問題や摂食嚥下障害を抱えることが多く、十分な栄養摂取が困難になりやすいです。さらに、独居や介護不足による孤食、認知機能低下やうつなど心理的要因も影響します。

疾病要因としては悪性腫瘍、心不全、慢性炎症、薬剤の副作用などがあり、これらが複合的に作用して低栄養へとつながります。

特にリハビリ職が関わる場面では、ADL 障害や疼痛、嚥下機能の低下が食事摂取量を減らす大きな要因となります。

低栄養がもたらす健康リスク

低栄養は免疫力低下による感染症(肺炎・尿路感染症など)、褥瘡、貧血、骨粗鬆症を引き起こしやすくします。さらに、筋肉量減少によるサルコペニアや、日常生活機能の低下を伴うフレイルの進行を招きます。

これにより歩行やトイレ動作といった基本的 ADL が困難となり、在宅生活の継続が難しくなるケースも少なくありません。臨床研究でも、低栄養は入院リスクや死亡率の上昇と関連することが報告されています。

リハビリ専門職の役割

  • 理学療法士は筋力低下や歩行能力の変化を通じてサルコペニアやフレイルを早期に把握できます。
  • 作業療法士は食事動作や調理・買い物といった IADL の評価を通じて、栄養摂取に関わる生活背景を明らかにできます。
  • 言語聴覚士は嚥下評価や訓練を通じて、直接的に経口摂取を支援します。
  • これら多職種の連携により、栄養管理とリハビリテーションを統合した介入が可能となります。

MNA®-SFとは

高齢者における低栄養の早期発見は、フレイルやサルコペニア、褥瘡、感染症などの予防に直結します。その中で、世界的に広く用いられている栄養スクリーニングツールが MNA®–SF(Mini Nutritional Assessment–Short Form) です。

MNA®–SF は欧州の専門家により開発された高齢者特化型の栄養スクリーニング法で、臨床・在宅・施設と幅広い場面で使用可能です。

元々のMNA® は 2 段階評価法で、1 段階目(6 項目)のスクリーニングで低栄養リスクが高いと判定された場合、さらに詳細な 2 段階目(12 項目)のアセスメントに進む形式です。

MNA®–SF はこの第 1 段階の 6 項目のみを独立させたツールであり、短時間で効率的に栄養リスクを把握できるのが特徴です。

臨床における意義

MNA®–SF は、病院入院時の初期評価や施設での定期スクリーニング、在宅医療での訪問リハビリ時などに用いることができます。

理学療法士は体重変化や身体能力の低下からサルコペニアを早期に察知できます。

作業療法士は食事動作や調理・買い物といったIADLの背景を考慮できます。

言語聴覚士は嚥下障害や摂食量低下に着目し、MNA®–SF と併せて評価を行うことで、栄養と機能の両面から介入可能です。

活用のポイント

  • 短時間(約 5 分)で実施可能
    • 多職種連携の場で有用
  • 身体機能評価と親和性が高い
    • 握力・歩行速度などの機能指標と合わせて解釈することで、より精度の高い介入につながる
  • 予後予測に有効
    • 低得点は入院期間の延長、転倒、褥瘡、死亡率の上昇と関連

評価項目、評価方法

MNA®のスクリーニングは 6 項目で構成されており、6 項目の合計得点範囲は 0 ~ 14 点となります。得点が低いほど低栄養のリスクが高いことを意味します。

A:食事摂取量

過去 3 ヶ月間で食欲不振、消化器系の問題、 咀嚼・嚥下困難などで食事量が減少しているのかを評価する項目になります。

  • 0 点 = 著しい食事量の減少
  • 1 点 = 中等度の食事量の減少
  • 2 点 = 食事量の減少なし

B:体重減少

過去 3 ヶ月間で体重が減少しているのかを評価する項目になります。

  • 0 点 = 3 kg 以上の減少
  • 1 点 = わからない
  • 2 点 = 1 ~ 3 kg の減少
  • 3 点 = 体重減少なし

C:歩行

自力で歩くことができるのか、活動範囲はどの程度になっているのかを評価する項目になります。

  • 0 点 = 寝たきりまたは車椅子を常時使用
  • 1 点 = ベッドや車椅子を離れられるが、歩いて外出はできない
  • 2 点 = 自由に歩いて外出できる

D:3ヶ月以内の急性疾患

過去 3 ヶ月間で精神的ストレスや急性疾患を経験しているのかを評価する項目になります。

  • 0 点 = はい
  • 2 点 = いいえ

E:精神的問題

神経・精神的問題(認知症やうつ状態)の有無を評価する項目になります。

  • 0 点 = 強度認知症またはうつ状態
  • 1 点 = 中程度の認知症
  • 2 点 = 精神的問題なし

F:BMI or 下腿周囲長

適正体重と比較して現体重が適切なのかを BMI(Body Mass Index)から判断する項目になります。

  • 0 点 = BMI が 19 未満
  • 1 点 = BMI が 19 以上、 21 未満
  • 2 点 = BMIが 21 以上、23 未満
  • 3 点 = BMI が 23 以上

体重が測定できないなどの理由で BMI が計測できない場合は、下腿周囲長を利用した評価に置き換えても良いとされています。

  • 0 点 = 31 cm 未満
  • 3 点 = 31 cm 以上

判定方法、カットオフ値

MNA®– SF は「食事摂取量の変化」「体重変化」「身体能力」「疾患などによるストレス」「精神心理学的問題」「体格指数」の 6 項目から構成され、合計得点範囲は 0 ~ 14 点となります。

合計得点によって栄養状態を以下の 3 段階に分類します。

  • 12 ~ 14 点:栄養状態良好
    • 栄養不良の兆候は少なく、定期的な観察が推奨されます。
  • 8 ~ 11 点:低栄養の恐れあり
    • 早期介入が必要です。食事内容の改善や補助食品の導入、口腔・嚥下機能の評価を組み合わせることで進行を予防できます。
  • 0 ~ 7 点:低栄養
    • 明らかな栄養不良状態を示し、管理栄養士による栄養介入やリハ栄養チームによる包括的対応が不可欠です。

この 8 点と 12 点がカットオフ値となり、臨床での栄養リスク判断において重要な境界となります。

評価用紙

MNA®-SF(簡易栄養状態評価表)の評価表をダウンロードできるようにしておきました!評価表が必要な方はこちらからどうぞ☺

MNA®-SF の特徴や強み

  • 迅速で簡単なスクリーニング

質問と簡単な身体測定を行うだけで低栄養リスクを抽出することができます。多人数を評価する必要がある場合、時間が限られている場合、簡便な評価を必要とする場合に特に有効となります。

  • 優れたスクリーニングツール

高齢者や慢性疾患の患者など、低栄養リスクの高い対象者を特定するのに役立ち、低栄養の早期発見に貢献することができます。

  • 信頼性と妥当性を有する

長期間に多くの研究で評価されており、信頼性 と妥当性が確認されている指標になります。MNA®-SF は世界中の医療機関で使用されています。

  • ガイドラインや介入の決定に役立つ

栄養状態が悪いと判定された場合、追加の評価や適切な栄養介入を行うことで、栄養状態の改善を図ることができます。MNA®-SF の結果に基づいて、適切な栄養管理計画を立案することに役立ちます。

  • コミュニケーションツール

管理栄養士を始めとする多職種との栄養に関する共通ツールとして使用することができます。転院する場合には、転院先へ伝達する情報としても役立ちます。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

MNA®–SF(Mini Nutritional Assessment–Short Form)は、高齢者に特化した国際的に標準化された栄養スクリーニングツールです。6 項目で構成され、合計 0 ~14 点で評価し、12 ~ 14 点は栄養良好、8 ~ 11 点は低栄養リスク、0 ~ 7 点は低栄養と判定されます。

理学療法士は筋力や歩行能力、作業療法士は食事動作や生活背景、言語聴覚士は嚥下機能と結びつけて評価に活用でき、低栄養の早期発見と多職種連携による介入に有用です。

MNA® については、他の記事で詳しくまとめています!《【MNA®簡易栄養状態評価表の使い方】18項目から低栄養を判定》こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️

参考文献

  1. 宮澤靖.MNA®-SF(mini nutritional assessment short-form).透析ケア.2023,vol.29,no.10,p24-28.
  2. 平山優子.大津智香子.小松有紀子.芳野緑.石井敬基.間崎武郎.村井一郎.高齢入院患者栄養評価における Mini-Nutritional Assessment-Short Form の有用性.日大医学雑誌.70 (4),p203-207,2011.
タイトルとURLをコピーしました