ベースアップ評価料(Ⅱ)の区分計算は「賃金改善算定基礎額」と「算定見込み回数」を先に固定すると整理しやすくなります
このページは、ベースアップ評価料(Ⅱ)の区分計算について、制度の総論ではなく届出時の計算実務に絞って整理した記事です。検索で知りたいのは「ベースアップ評価料とは何か」よりも、何を計算するのか / どの数字を集めるのか / 区分はどう決まるのか / 評価料(Ⅰ)とは何が違うのかであることが多く、そこを先に言語化すると担当者間の確認がかなり進めやすくなります。
公開済みの関連記事が「賃金改善計画書」「中間報告書」「実績報告書」「特別事情届出書」などを扱うのに対して、本ページは届出時の区分決定だけに絞った補助記事を担当します。まずは賃金改善算定基礎額の意味を押さえ、その後に使う数字、区分の決まり方、評価料(Ⅰ)との違い、届出前チェックへ進む流れで読むとズレません。
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ベースアップ評価料(Ⅱ)の区分計算とは
結論からいうと、区分計算は、どの区分で届け出るかを決めるための届出時の計算です。評価料(Ⅱ)や入院 BU 評価料では、届出時に賃金改善算定基礎額を出し、その値を算定見込み回数で割ることで、届け出できる区分が決まります。
逆に、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)、調剤ベースアップ評価料では、この算出は不要です。したがって、まずは自施設が(Ⅰ)なのか(Ⅱ)なのかを固定してから計算に進む方が整理しやすくなります。
賃金改善算定基礎額とは何か
賃金改善算定基礎額は、ベースアップ評価料により月当たりに確保できる見込みの賃金改善原資の総額に相当する考え方です。言い換えると、「月ごとにどれくらい賃金改善の原資が見込めるか」を届出時点で整理するための数字です。
2026 年改定資料では、入院 BU 評価料では医師・歯科医師以外の対象職員の月額賃金総額に定められた率を掛けた額と、40 歳未満の医師・歯科医師数に定められた額を掛けた額を合計し、外来・在宅 BU 評価料(Ⅱ)と訪問看護 BU 評価料(Ⅱ)では、その合計を 2 で割ったものと整理されています。
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| 対象 | 考え方 | 実務のポイント |
|---|---|---|
| 入院 BU 評価料 | 対象職員分と 40 歳未満医師・歯科医師分を合計 | まず合計額を出す |
| 外来・在宅 BU 評価料(Ⅱ) | 上記の合計を 2 で割る | 入院の考え方を半分にして整理する |
| 訪問看護 BU 評価料(Ⅱ) | 上記の合計を 2 で割る | 外来・在宅(Ⅱ)と同じ考え方でみる |
区分計算に使う数字|月額賃金総額と 40 歳未満の医師・歯科医師数
区分計算でいちばん止まりやすいのは、何の数字を使うかが曖昧なことです。改定資料では、賃金改善算定基礎額は対象職員の月額賃金総額と 40 歳未満の医師・歯科医師数に基づいて算出すると整理されています。
ここでいう月額賃金総額は、届出時の説明資料では基本給等と、時間外手当等の月ごとに変動して支払われる手当の合計として扱われています。したがって、給与台帳や就業規則を見ながら、どこまでを含めるかを先に固定しておく方が安全です。
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| 数字 | 何を見るか | 主な資料 |
|---|---|---|
| 月額賃金総額 | 対象職員の基本給等と月ごとに変動する手当 | 給与台帳、賃金表、給与規程 |
| 40 歳未満の医師・歯科医師数 | 常勤・非常勤(週 22 時間以上)ごとの人数 | 職員名簿、勤務形態一覧 |
| 算定見込み回数 | 区分決定に使う見込み回数 | 請求実績、見込み資料 |
2026 年改定で使う率と定められた額
2026 年改定資料では、対象職員区分ごとに使う率や定められた額が整理されています。医師・歯科医師以外の対象職員では、下記以外の対象職員と看護補助者・事務職員で率が異なり、40 歳未満の医師・歯科医師では、常勤と非常勤(週 22 時間以上)で 1 人当たりの定められた額が分かれています。
記事で全部を暗記する必要はありませんが、区分計算ではここが土台になるため、少なくとも「どの職種群に入るか」「どの期間の率・額を見るか」は、届出前に確認しておく方が安全です。
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| 区分 | R8.6〜R9.5 | R9.6〜R10.5 |
|---|---|---|
| 下記以外の対象職員 | 1.29 × 3.2% | 1.29 × 6.4% |
| 看護補助者・事務職員 | 1.29 × 5.7% | 1.29 × 11.4% |
| 40 歳未満の医師・歯科医師(常勤) | 27,021 円 / 人 | 54,042 円 / 人 |
| 40 歳未満の医師・歯科医師(非常勤・週 22 時間以上) | 9,244 円 / 人 | 18,487 円 / 人 |
算定見込み回数でどう区分が決まるか
区分決定の考え方は、できるだけ単純に押さえると分かりやすいです。改定資料では、賃金改善算定基礎額を BU 評価料の算定見込み回数で割ることにより、届け出ることのできる区分が決定されると整理されています。
つまり、土台になるのは「原資の見込み」で、最終的な区分判定では「どれだけ算定する見込みか」で割り戻します。入院では延べ入院患者数、外来では初診料・再診料等の算定回数が見込み回数の例として示されているため、自施設がどの回数を使うかを先に固定しておくと計算がぶれにくくなります。
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| 段階 | やること | 実務のポイント |
|---|---|---|
| 1 | 賃金改善算定基礎額を整理する | 月額賃金総額と 40 歳未満医師・歯科医師数を確認する |
| 2 | 算定見込み回数を確認する | 入院か外来・在宅かで見る回数が異なる |
| 3 | 基礎額を見込み回数で割る | 届出できる区分の判断材料にする |
評価料(Ⅰ)と(Ⅱ)の違い
ここは混同しやすい論点です。2026 年改定資料では、外来・在宅 BU 評価料(Ⅰ)と訪問看護 BU 評価料(Ⅰ)では賃金改善算定基礎額の算出は不要で、外来・在宅 BU 評価料(Ⅱ)や訪問看護 BU 評価料(Ⅱ)、入院 BU 評価料では届出時の区分決定のために算出が必要と整理されています。
したがって、区分計算の記事を読んでいても、自施設が(Ⅰ)のみならそのまま当てはまらない場合があります。まずは「いま自施設がどの評価料を届け出るか」を確認してから、このページを使う方が整理しやすいです。
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| 項目 | 評価料(Ⅰ) | 評価料(Ⅱ) |
|---|---|---|
| 賃金改善算定基礎額の算出 | 不要 | 必要 |
| 区分決定の計算 | 基本的に不要 | 届出時に必要 |
| 実務の詰まりどころ | 対象評価料の確認 | 数字収集と区分決定 |
現場の詰まりどころ|ここで止まりやすい 4 点
現場で多いのは、評価料(Ⅰ)と(Ⅱ)を混同する、月額賃金総額の範囲が曖昧、算定見込み回数の考え方が揺れる、区分だけ見て元データの根拠を残していないの 4 つです。制度の理解不足というより、数字の置き方と確認順が曖昧なことが原因になりやすいです。
区分計算は、一度出した数字をあとで説明できることが大事です。したがって、結果だけでなく、どの資料から数字を拾ったかまで残しておく方が、届出後の確認でも戻りにくくなります。
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| 詰まりどころ | なぜ危ないか | 先に決めること |
|---|---|---|
| (Ⅰ)と(Ⅱ)を混同する | 不要な計算や届出漏れにつながる | 自施設がどの評価料か最初に固定する |
| 月額賃金総額の範囲が曖昧 | 基礎額の前提がずれる | 給与規程と台帳で含める範囲をそろえる |
| 算定見込み回数が揺れる | 区分判定がぶれる | 何の回数を使うか先に決める |
| 根拠を残していない | 後で説明できない | 元データの出所を一覧化する |
届出前チェックリスト
届出前は、細かい文章よりも順番が大事です。まずは対象評価料の確認、必要数字の収集、賃金改善算定基礎額の整理、算定見込み回数の確認、区分決定の順で見ると、チェック漏れを減らしやすいです。
とくに、区分計算はあとから再説明を求められやすい論点です。結果だけでなく、月額賃金総額や人数、見込み回数の根拠資料まで一緒に残しておく方が安全です。
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| 順番 | 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 1 | 対象評価料を確認 | (Ⅰ)か(Ⅱ)かを固定したか |
| 2 | 必要数字を集める | 月額賃金総額、人数、見込み回数がそろっているか |
| 3 | 基礎額を整理 | 率や定められた額の当てはめが合っているか |
| 4 | 見込み回数を確認 | 入院か外来・在宅かで見方がずれていないか |
| 5 | 区分を決定 | 根拠資料と結果をセットで残したか |
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
評価料(Ⅰ)でも区分計算は必要ですか?
不要です。2026 年改定資料では、外来・在宅 BU 評価料(Ⅰ)、訪問看護 BU 評価料(Ⅰ)、調剤 BU 評価料では賃金改善算定基礎額の算出は不要と整理されています。
賃金改善算定基礎額とは何ですか?
ベースアップ評価料により月当たりに見込まれる賃金改善原資の総額に相当する考え方です。区分決定の土台になる数字と考えると整理しやすいです。
40 歳未満の医師・歯科医師数はなぜ使いますか?
2026 年改定資料では、賃金改善算定基礎額の算出に当たり、対象職員の月額賃金総額とあわせて、40 歳未満の医師・歯科医師数を使う整理になっています。
算定見込み回数は何を見ますか?
改定資料では、入院では延べ入院患者数、外来では初診料・再診料等の算定回数が例として示されています。自施設でどの回数を使うかを先に固定する方が安全です。
どの記事から読めば整理しやすいですか?
まずはこのページで区分計算の考え方をつかみ、そのうえで賃金改善計画書の記事を見ると、届出時に必要な数字と提出書類のつながりが整理しやすくなります。
次の一手
まずは、自施設が(Ⅰ)か(Ⅱ)かを固定してください。そのうえで、月額賃金総額、40 歳未満の医師・歯科医師数、算定見込み回数の 3 つを先に集めると、区分計算の骨格が作りやすくなります。
続けて読むなら、ベースアップ評価料の賃金改善計画書 2026|作成手順・提出時期・注意点で届出全体の流れを確認すると、計算と書類の関係がつかみやすくなります。
参考文献
- 厚生労働省. 令和 8 年度診療報酬改定 1.賃上げ対応. https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001669200.pdf
- 厚生労働省. ベースアップ評価料等について. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00053.html
- 厚生労働省. 令和 8 年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】. https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001671099.pdf
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


