- CARE ガイドラインの使い方:症例報告を「抜けなく・短く・通る形」に整えるチェック手順
- このページで答えること:CARE は「書く順」と「穴埋め」に使う
- 現場の詰まりどころ:通らない症例報告は「時間軸」「介入の量」「同意」が弱い
- CARE を運用に落とす:書く前に「時間軸 → 主題 → 介入量」を固定する
- PT/OT/ST 向け:CARE で抜けやすい項目(最小セット)
- 同意・倫理の扱い:学会/施設の規定を最優先で整える
- よくある失敗:CARE を使っても通らない 4 パターン
- 提出前チェック( OK/NG ):CARE の“穴”が残っていないか
- よくある質問(FAQ)
- 次の一手:運用を整える → 共有の型を作る → 環境要因も点検する
- 参考文献
- 著者情報
CARE ガイドラインの使い方:症例報告を「抜けなく・短く・通る形」に整えるチェック手順
CARE( CAse REport )は、症例報告を読み手が追える形で書くための報告ガイドラインです。臨床の現場では「書きたいことはあるのに、抜け・飛躍・冗長さで通りにくい」ことが起こりがちですが、CARE はそれをチェックリストとして潰すのに向いています。
このページでは、CARE を“項目の暗記”ではなく、PT・OT・ST が提出まで迷わない運用手順(書く順・短くする順・落ちやすい穴)に落としてまとめます。
同ジャンルの「親」で抄録の型を固定してから、CARE で抜けを潰す:
- 総論(標準手順):抄録( 200〜400 字 )の 5 文構成
- 代表の子:学会抄録の例文集( 200〜400 字 )
- 代表の子:学会抄録のタイトル術(題名の型)
このページで答えること:CARE は「書く順」と「穴埋め」に使う
CARE は、症例報告を網羅的に書けという指示ではなく、「読み手が追える筋道」を整えるための枠組みです。重要なのは、①症例の経過が追える、②介入の再現性がある、③結論が飛躍しない、の 3 点です。
そのため本ページでは、CARE を書く順(作業手順)に変換し、最後にチェックリストとして抜けを潰す運用に固定します。
現場の詰まりどころ:通らない症例報告は「時間軸」「介入の量」「同意」が弱い
症例報告が弱く見える原因は、内容ではなく情報の出し方のことが多いです。特に抜けやすいのが、①時間軸(いつ何が起きたか)、②介入量(頻度・期間・段階)、③同意・匿名化の扱いです。まずは下のアンカーで穴を特定して埋めてください。
CARE を運用に落とす:書く前に「時間軸 → 主題 → 介入量」を固定する
いきなり本文を書き始めると、後で矛盾が出ます。最初に「時間軸」と「主題」と「介入量」を固定し、後から文章で肉付けします。
| ステップ | やること | できた判定 | 詰まったときの 1 手 |
|---|---|---|---|
| 1 | 時間軸(入院/発症/介入開始/再評価/退院など)を箇条書きで並べる | 「いつ何が起きた」が 1 行で言える | 日付が難しければ「週」や「第 X 病日」で統一 |
| 2 | 主題(困りごと)を 1 つに絞る(活動/参加に寄せる) | 目的文が 1 つで言い切れる | 症状ではなく「移動/セルフケア」などに寄せる |
| 3 | 主要アウトカムを 1〜2 個に絞り、条件(装具/介助/環境)を付ける | 結果が「○→○+条件」で書ける | 代表値がない場合は“生活上の変化”を 1 つ添える |
| 4 | 介入の骨格(狙い→手段→量)を 3 行で書く | 頻度・期間・段階が書ける | 日誌ではなく「目的→手段→量」の順に並べ替える |
| 5 | 本文の順に落とす(背景→症例→評価→介入→結果→考察) | 評価→介入→結果が 1 本でつながる | 評価の羅列を削り「主題に直結」だけ残す |
| 6 | 「飛躍」を潰す(断定を避け、限界と条件を明記) | 結論が「示唆/可能性」で締まる | 一般化しすぎたら条件(対象・環境)を 1 つ戻す |
| 7 | 同意・匿名化・倫理の扱いを整える(規定に合わせる) | 提出要件に沿った記載になっている | 施設/学会の規定が最優先(不明なら事務局へ) |
PT/OT/ST 向け:CARE で抜けやすい項目(最小セット)
CARE の全項目を“全部盛り”にすると、字数を食って主題がぼやけます。現場でまず効くのは、時間軸・介入量・再現性・アウトカム条件・限界の 5 つです。
| 落としやすい穴 | 読み手が困る点 | 埋める最小情報 | 書き方のコツ |
|---|---|---|---|
| 時間軸(タイムライン) | 経過が追えない | 開始点/介入開始/再評価/終了点 | 日付が無理なら「第 X 病日/第 X 週」で統一 |
| 介入量(頻度・期間) | 再現できない | 頻度・期間・段階(増減のルール) | 「狙い→手段→量」で 3 行に圧縮 |
| アウトカムの条件 | 比較できない | 装具/介助/環境(同条件) | 「条件つき代表値」だけ残す |
| 考察の飛躍 | 説得力が落ちる | 条件・限界・代替仮説 | 断定を避け「示唆/可能性」で締める |
| 同意・匿名化 | 提出で止まる | 規定に沿った手続き | 施設/学会の規定が最優先(不明は確認) |
同意・倫理の扱い:学会/施設の規定を最優先で整える
症例報告の同意・倫理は、提出先(学会/雑誌)と施設の規定が最優先です。一般に、個人が特定されうる情報は避け、必要な手続き(同意、倫理審査の要否など)を規定に沿って整えます。
国際的な一般原則としては、ICMJE の「研究参加者の保護」に関する推奨が参照されます。提出ルールが曖昧な場合は、学会事務局または施設の規程へ確認してから書式を固定すると、差し戻しが減ります。
よくある失敗:CARE を使っても通らない 4 パターン
- 時間軸がない:評価と介入が“同時進行”に見える → タイムラインを先に箇条書きで作る
- 介入が日誌:手技が多くて何が効いたか不明 → 目的→手段→量の 3 行に圧縮
- 結果が抽象:「改善した」で止まる → ○→○+条件(装具/介助/環境)に直す
- 考察が強い:結論が一般化しすぎ → 条件と限界を 1 つ戻し「示唆/可能性」へ
提出前チェック( OK/NG ):CARE の“穴”が残っていないか
最後は、文章を磨くより穴を塞ぐ方が効きます。特に「時間軸」「介入量」「アウトカム条件」「飛躍」「同意/匿名化」を点検します。
| 観点 | OK | NG | 修正の 1 手 |
|---|---|---|---|
| 時間軸 | 開始/再評価/終了が追える | 経過が飛ぶ | 第 X 病日/第 X 週で統一して追記 |
| 介入量 | 頻度・期間・段階がある | 内容だけ多い | 目的→手段→量に並べ替える |
| 結果 | ○→○+条件 | 「改善した」で止まる | 代表値 1 つと条件を入れる |
| 結論 | 控えめ(示唆/可能性) | 一般化しすぎ | 条件と限界を 1 つ戻す |
| 同意・匿名化 | 規定に沿う | 手続きが曖昧 | 学会/施設の規定を確認して固定 |
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1.CARE は全部の項目を入れないとダメですか?
実務では「全部盛り」より、主題が通ることが優先です。まずは時間軸・介入量・アウトカム条件・飛躍の回避を最優先で整えると、通りやすさが上がります。
字数が厳しい場合は、細部を削り、主題に直結する情報だけ残します。
Q2.タイムライン(時間軸)はどう書けばいいですか?
日付が書きにくい場合は「第 X 病日」「介入開始から第 X 週」など相対表現で統一します。重要なのは、いつ何を評価し、いつ何を介入し、いつ再評価したかが追えることです。
Q3.介入内容が多くて書き切れません
介入は全てを書くより、狙い→手段→量の骨格を 3 行で示し、段階づけ(増減のルール)を 1 文で添える方が再現性が上がります。
次の一手:運用を整える → 共有の型を作る → 環境要因も点検する
- 運用を整える:診療記録(カルテ)の書き方総論で「素材」を崩さない
- 共有の型を作る:抄録と症例報告の書き方(親記事)で提出フローを統一する
教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。
チェック後に「続ける/変える」の選択肢も整理したい方は、PT キャリアナビで進め方を確認しておくと迷いが減ります。
参考文献
- Gagnier JJ, et al. The CARE Guidelines: Consensus-Based Clinical Case Reporting Guideline Development. Headache. 2013;53(10):1541-1547. doi: 10.1111/head.12246 / PubMed: 24266334
- Gagnier JJ, et al. The CARE guidelines: consensus-based clinical case reporting guideline development. J Clin Epidemiol. 2014;67(1):46-51. doi: 10.1016/j.jclinepi.2013.08.003 / PubMed: 24035173
- Riley DS, et al. CARE guidelines for case reports: explanation and elaboration document. J Clin Epidemiol. 2017;89:218-235. doi: 10.1016/j.jclinepi.2017.04.026 / PubMed: 28529185
- CARE Checklist. CARE Statement. https://www.care-statement.org/checklist
- EQUATOR Network. CARE guideline page. https://www.equator-network.org/reporting-guidelines/care/
- ICMJE. Protection of Research Participants. https://www.icmje.org/recommendations/browse/roles-and-responsibilities/protection-of-research-participants.html
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・じょくそうなどで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- じょくそう・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、じょくそう・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


