学会抄録タイトルの付け方|症例報告の型・例・字数調整

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学会抄録のタイトルは「投稿規定→伝える1点→タイトルの核」の順で決める

学会抄録や症例報告のタイトルは、最初から「主題・介入・結果」を全部入れる必要はありません。まず投稿先の文字数・表記ルールを確認し、この症例で最も伝えたい1点を決め、その内容に必要な語だけを残すことが重要です。

PT・OT・STの症例報告では、診断・病態、介入、評価・臨床推論、経過・転帰のどこをタイトルの核にするかで、残す情報が変わります。この記事では、タイトルの決め方、4つの型、因果を言いすぎない表現、字数の削り方、提出前チェックまで順番に整理します。

抄録全体の構成から確認したい場合


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最初に確認するのは「タイトルの型」ではなく投稿規定

タイトルを考える前に、投稿先の募集要項・投稿規定を確認します。学会によって、タイトルの文字数、副題の可否、略語の扱い、「1症例」などの表記方法は異なるためです。

CAREガイドラインでは、症例報告のタイトルについて、中心となる診断または介入を示し、case reportであることを明確にする考え方が示されています。一方で、実際の学会抄録では各学会の規定が優先されます。CARE公式の執筆案内でも、投稿時には投稿先のAuthor GuidelinesやSubmission Requirementsを確認するよう示されています。

タイトルを作る前に確認する項目
確認項目 見るポイント 確認する理由
文字数・語数 上限、全角・半角の扱い 完成後に大幅な削除が必要になるのを防ぐ
副題 使用できるか、記号の指定があるか 主題と補足情報を分けられるかが変わる
略語 一般的な略語を使用できるか 尺度名・疾患名を詰め込みすぎないため
症例報告の表記 「1症例」「症例報告」等の指定 演題形式を正しく伝えるため

タイトル作成の第一歩は、うまい言葉を探すことではなく、使える文字数と必要な表記を固定することです。

次に「この症例で最も伝えたい1点」を決める

投稿規定を確認したら、「この症例から何を伝えたいのか」を1文で書きます。評価結果、介入内容、経過をすべて並べるのではなく、抄録を読んだ人に持ち帰ってほしい中心メッセージを決めます。

たとえば、同じ歩行障害の症例でも、伝えたい内容によってタイトルの中心は変わります。

症例で伝えたい内容とタイトルの核
伝えたいこと タイトルの核 タイトルで優先する情報
特徴的な病態・症状を示したい 診断・病態 疾患、特徴的な症状・臨床像
介入内容を中心に報告したい 介入 対象となった問題、中心となる介入
評価から判断した過程を示したい 評価・臨床推論 特徴的な所見、判断、介入方針
特徴的な変化・転帰を示したい 経過・転帰 重要な経過、転帰、条件

ここで重要なのは、診断・介入・評価・結果をすべてタイトルへ入れようとしないことです。症例の主メッセージに必要な情報を中心にし、詳細は抄録本文へ回します。

症例報告タイトルは4つの型から考える

タイトルに唯一の正解となる型はありません。PT・OT・STの症例報告では、症例で何を伝えたいかに応じて、診断・病態、介入、評価・臨床推論、経過・転帰の4方向から考えると整理しやすくなります。

以下は固定テンプレートではなく、タイトルを考えるための下書き例です。投稿規定と実際の抄録内容に合わせて調整してください。

症例報告タイトルの4つの考え方
型 向いている症例 下書き例
診断・病態中心 特徴的な症状や病態を報告したい ○○を呈した△△の1症例
介入中心 特徴的な介入・対応を報告したい ○○を呈した症例に対する△△介入の経過
評価・臨床推論中心 評価結果から介入方針を決めた過程を報告したい ○○所見を踏まえて△△を検討した1症例
経過・転帰中心 特徴的な経過や転帰を報告したい ○○の経過を呈した△△の1症例

介入と結果が重要な症例では、「主題→介入→変化」の形が使いやすいこともあります。ただし、これは複数ある作り方の1つです。症例報告だからといって、必ず結果までタイトルに入れる必要はありません。

1症例では「介入により改善した」と言い切りすぎない

症例報告では、介入後に変化がみられても、その変化が介入だけによって生じたと証明できるとは限りません。自然経過、他の治療、環境変化、学習効果などが影響している可能性があります。

そのため、タイトルでは因果を強く断定するより、実際に観察された介入・経過・変化を正確に示す方が安全です。

タイトルで注意したい因果表現
表現 注意点 見直し例
○○により改善した 介入と結果の因果を強く示す ○○を実施した症例の経過
○○が有効であった 1症例だけで有効性を断定しやすい ○○後に△△の変化を認めた1症例
画期的な介入 新規性を客観的に示せない 介入条件や対象となった問題を具体化する
著明に改善した 「著明」の基準が不明確 必要なら具体的な変化を本文で示す

「可能性が示唆された」と書けば常に安全というわけでもありません。タイトルは考察を書く場所ではないため、まずは何を評価し、何を行い、どのような経過を認めたのかを簡潔に表現します。

タイトルに何を入れるかは「必要性」で決める

疾患名、症状、活動上の問題、介入名、評価尺度、アウトカムを全部入れると、タイトルは長くなり、何を伝えたい演題なのか分かりにくくなります。

タイトルへ残すか迷ったら、「この語を削ると、症例の主メッセージを誤解されるか」で判断します。

タイトルに入れる情報の判断
情報 入れる価値が高い場面 本文へ回せる場面
疾患・診断名 対象を理解するために不可欠 主題と直接関係しない
活動・参加上の問題 症例の臨床的な焦点になる タイトルが長くなりすぎる
介入名 介入自体が報告の中心 一般的な介入で主メッセージにならない
評価・尺度名 評価方法や臨床推論が報告の中心 単なる結果の補足情報
結果・転帰 特徴的な経過そのものが主題 詳細を抄録本文で示せる

「尺度名は1つまで」「症状名より必ず活動を優先」といった固定ルールはありません。症例の主題を正確に伝えるために必要なら疾患名や評価名を残し、不要なら削ります。

字数オーバー時は「症例の核」を残して削る

タイトルが投稿規定を超えたときは、重要な内容を無作為に削るのではなく、主メッセージへの影響が小さい情報から整理します。

  1. 強調語・形容語:「著明」「劇的」「画期的」などを削る
  2. 背景説明:なくても症例の意味が通る語を削る
  3. 細かな条件:主メッセージに直接関係しない条件を本文へ回す
  4. 重複する評価名・尺度名:同じ内容を示す語を整理する
  5. 介入・経過の補足:詳細な頻度や期間などを本文へ回す

最後まで残したいのは、症例の核、読み手が内容を誤解しないために必要な語、投稿規定上必要な表記です。

実際の作成手順は5段階で進める

タイトルで迷ったときは、最初から完成形を1本作るのではなく、条件と主メッセージを固定してから2案を比較すると整理しやすくなります。

学会抄録タイトルの決め方を、投稿規定の確認、伝えたい1点、タイトルの核、2案作成、最終点検の5ステップで示した図版
学会抄録のタイトルは、投稿規定を確認したうえで、症例で伝えたい1点とタイトルの核を決め、最後に因果表現・字数・本文との一致を確認します。
学会抄録・症例報告タイトルの作成手順
手順 行うこと 確認点
1 投稿規定を確認する 文字数、表記、略語、副題
2 症例で伝えたい1点を書く 1文で説明できるか
3 タイトルの核を選ぶ 診断・介入・評価・経過のどこか
4 タイトル案を2つ作る 入れる情報を変えて比較する
5 規定・因果・本文との一致を確認する タイトルだけが先走っていないか

最後はタイトルだけを見るのではなく、抄録本文の目的・方法・結果・考察と並べて確認します。本文では慎重に書いているのに、タイトルだけ「有効だった」と断定している、といった不一致を残さないことが重要です。

症例報告タイトル 設計・提出前チェックシート

タイトルを考えるときに、投稿規定、症例で伝えたい1点、タイトルの核、案A・案B、提出前チェックを1枚で整理できるシートを用意しています。

印刷して使う場合はPDF版、パソコン上で入力・編集しながら使う場合はExcel版が便利です。

症例報告タイトル 設計・提出前チェックシート A4 v2

投稿規定 → 伝える1点 → タイトルの核 → 2案 → 最終点検の順で整理できます。


PDF版を開く・ダウンロードする


Excel版をダウンロードする

提出前は「タイトル単体」ではなく抄録本文との一致を確認する

提出前は、タイトルだけをきれいに整えるのではなく、タイトルと抄録本文が同じメッセージを示しているか確認します。

タイトル提出前の最終チェック
確認項目 確認する内容
投稿規定 文字数、表記方法、略語、副題などの条件を満たしている
主メッセージ この症例で最も伝えたい1点とタイトルの中心が一致している
具体性 タイトルだけでも何を扱った症例か大きく誤解されない
因果表現 1症例から介入効果を言い切りすぎていない
情報量 疾患名、尺度名、条件、結果を詰め込みすぎていない
本文との一致 目的・方法・結果・考察とタイトルが矛盾していない

第三者にタイトルだけを見てもらう方法も有効です。「何についての症例報告だと思うか」を聞き、自分が伝えたい内容とずれていれば、情報の追加よりもタイトルの核そのものが合っているかを見直します。

よくある質問

Q1.症例報告のタイトルに結果は必ず入れますか?

必須ではありません。経過や転帰そのものが報告の中心なら結果を入れる価値がありますが、診断・病態や評価・臨床推論が主題なら、結果まで入れるとタイトルが散漫になることがあります。投稿規定と症例の主メッセージを優先します。

Q2.「1症例」はタイトルに入れた方がよいですか?

投稿先の表記ルールを最優先します。症例報告であることをタイトルから明確にする必要がある場合は有用ですが、学会ごとに表記方法が異なるため、固定ルールとして追加しないようにします。

Q3.評価尺度の名前はタイトルに入れた方がよいですか?

尺度そのものや、その評価結果を用いた臨床推論が症例報告の中心なら候補になります。一方、単に複数ある評価項目の1つであれば、抄録本文へ回した方がタイトルを簡潔にできます。

Q4.タイトルは抄録を書く前と後のどちらで決めますか?

最初に仮タイトルを作り、抄録完成後に最終調整する方法が使いやすいです。CARE公式の執筆案内でも、まず伝えたいメッセージを決めて簡潔なworking titleを作り、その後に症例報告を組み立てる流れが示されています。最終提出前には、完成した本文とタイトルが一致しているか確認します。

次の一手:タイトルが決まったら抄録本文へ戻る

タイトルが決まったら、次は抄録本文との一致を確認します。背景・目的・症例・評価・介入・結果・考察まで全体の組み立てを確認したい場合は、症例報告・学会抄録の書き方へ戻ってください。

各パートを実際にどのような文章へ落とすか迷う場合は、学会抄録の例文集で、背景・目的・症例・評価・介入・結果・考察・結論の例文を確認できます。


参考文献

  1. Gagnier JJ, Kienle G, Altman DG, Moher D, Sox H, Riley D; CARE Group. The CARE guidelines: consensus-based clinical case reporting guideline development. Headache. 2013;53(10):1541-1547. doi: 10.1111/head.12246. PubMed: 24266334
  2. Riley DS, Barber MS, Kienle GS, et al. CARE guidelines for case reports: explanation and elaboration document. J Clin Epidemiol. 2017;89:218-235. doi: 10.1016/j.jclinepi.2017.04.026. PubMed: 28529185
  3. CARE Case Report Guidelines. CARE Checklist. https://www.care-statement.org/checklist
  4. CARE Case Report Guidelines. How to Write a Case Report. https://www.care-statement.org/writing-a-case-report

著者情報

rehabilikun(理学療法士)のプロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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