KOOS 評価の使い方|採点・解釈・運用の最小セット

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KOOS(膝 PROM)評価|採点・解釈・運用を “迷わない型” に固定

KOOS( Knee injury and Osteoarthritis Outcome Score )は、膝の痛み・症状・日常生活・スポーツ動作・ QOL を 5 つの下位尺度で別々に追える膝特異的 PROM です。ACL / 半月板などの外傷から変形性膝関節症まで幅広く使える一方、臨床で詰まりやすいのは「欠損の扱い」「 0–100 の向き」「 Sport/Rec をいつ混ぜるか」。本記事はここだけを最短で整理し、記録と共有の型まで落とし込みます。

同ジャンルをまとめて整える:運動器 PROM は「選び方(親)」→「各スケール運用(子)」で揃えると、回遊と再訪が伸びます。

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KOOS で何がわかるか:5 下位尺度を “別々に” 追う

KOOS は「合計点で 1 つにまとめる」よりも、どの領域が詰まっているかを下位尺度で特定するほど臨床で役に立ちます。5 下位尺度は痛みだけでなく、腫脹・可動域感・不安定感などの症状、生活動作、スポーツ動作、膝関連 QOL までを分けて扱える設計です。

膝の外傷や OA の経過で “痛みは減ったのに QOL が戻らない” などのズレを見える化できる点が強みです( KOOS は短期〜長期の変化を想定して開発)。

KOOS の 5 下位尺度( 0–100 点で別々に算出)
下位尺度 臨床で拾えること(要点) 使いどころ(例)
Pain 荷重・動作・日内変動を含む “痛みの負担” 治療前後の主訴評価、鎮痛・負荷調整の効果
Symptoms 腫れ、引っかかり、可動域感など “症状の質” 滑膜炎・腫脹、機械的症状の経過
ADL 階段、立ち座りなど “日常生活の機能” 生活再建、通勤・家事の回復
Sport/Rec 走る・跳ぶなど “高負荷動作の機能” 復帰期、競技復帰の下支え
QOL 膝に関連する生活の質(不安・自信・制限) 満足度の差、継続課題の見える化

いつ使う?:KOOS がハマるケースと “外す” 判断

KOOS は ACL / 半月板損傷など活動性の高い層から、膝 OA の高齢者までを想定しており、術前〜術後や保存療法の経過観察に向きます。ポイントは、時期により Sport/Rec が妥当でない(例:術後早期)ことがある点で、下位尺度は独立して報告できる運用が推奨されています。

つまり「全部そろわないと使えない」ではなく、時期に合わせて “報告する尺度を選ぶ” のが KOOS の使い方です。

  • 向く:ACL / 半月板などの外傷、膝 OA、人工膝関節置換術の前後、復帰期の評価
  • 迷ったら:日常中心なら ADL+Pain、復帰期なら Sport/Rec+QOL を厚めに
  • 外す判断:術後早期などで Sport/Rec が現実的でない場合は、他の下位尺度のみ報告する

採点の手順:欠損 50% ルールと 0–100 変換を固定

KOOS は各項目を 0–4( 0=問題なし、 4=極めて問題が大きい)で数値化し、下位尺度ごとに平均→ 0–100 に変換します。臨床で詰まりやすい欠損は、2012 ルール(各下位尺度で 50% 以上の回答があること)で判断します。

欠損(未回答)の扱い:2012 ルール( 50% 以上回答で算出可)
下位尺度 算出に必要な最小回答数( 2012 ルール) 現場メモ
Pain 5 項目以上 50% 未満なら “無効” として算出しない
Symptoms 4 項目以上 2 つチェックなら重い方を採用
ADL 9 項目以上 記入漏れが出やすいので回収時に確認
Sport/Rec 3 項目以上 術後早期など “不適” なら無理に混ぜない
QOL 2 項目以上 痛みが改善しても QOL が残るケースで効く

スコアは「 100=問題なし、 0=極めて問題が大きい」の向きにそろうよう、平均点を 4 で割って 100 変換し、 100 から差し引く形で表現されます。欠損が 50% を超える下位尺度は算出せず、算出できる尺度だけを報告できます。

採点 5 ステップ(運用の型)

  1. 各項目を 0–4 で数値化( 0=問題なし、 4=最大の問題)
  2. 下位尺度ごとに “回答数” を確認( 50% 以上か)
  3. 下位尺度内の平均を計算(欠損は平均で処理する前提)
  4. 平均 ÷ 4 × 100 を算出
  5. 100 −(平均 ÷ 4 × 100)=下位尺度スコア( 0–100 )

採点の公式と欠損ルールは、 KOOS の Scoring( 2012 )に準拠します。外部で詳細を確認したい場合は、公式サイトおよび採点資料へつないでください。

解釈のコツ:数字を “判断” に変える読み方

KOOS は下位尺度ごとの 0–100 を、①現在地(どこが詰まるか)②変化(どれだけ動いたか)で読みます。合計点を作るより、5 本のプロファイルで並べるほうが介入の打ち手に直結します。

変化の解釈( MCID など)は母集団や時期で変わるため、現場では “同一患者を同条件で追う” を最優先にしつつ、必要に応じて目安を添える運用が安全です。

PASS / MCID の目安(母集団依存のため “参考値” として扱う)

例として、 TKA 後の PASS 閾値(満足の目安)を提案した研究では、 1 年時点で Pain 84.5、 Symptoms 80.5、 ADL 83.0、 QOL 66.0 などが報告されています。患者背景や治療文脈で変わるため、施設内では “達成/未達” よりも、説明用の参考値として使うのが現実的です。

PASS の例( TKA 後 1 年の参考値)
下位尺度 PASS 参考値(点) 使い方(おすすめ)
Pain 84.5 痛みの満足域に入ったかを説明する “補助線”
Symptoms 80.5 症状の質(腫れ等)が残るケースの整理
ADL 83.0 生活動作の再建が進んだかの共有
QOL 66.0 痛み改善後に残る不安・制限の可視化

現場の詰まりどころ:よくある失敗を先に潰す

ここは “読ませるゾーン” として、まずはページ内で迷子を防ぎます。必要な場所だけに戻れるよう、アンカーを固定します。

よくある失敗( OK / NG 早見)

KOOS 運用で起きやすい失敗と回避策
NG(起きがち) なぜ問題? OK(回避策) 記録ポイント
合計点を作って 1 本化 詰まり領域が消えて打ち手が鈍る 5 下位尺度を別々に報告 プロファイル( 5 本)で提示
0–100 の向きを逆に読む 改善が悪化に見える 100=問題なしで統一 表題に “高いほど良い” を明記
欠損が多いのに算出 スコアの信頼性が落ちる 各尺度で 50% 以上回答のみ算出 回答数チェックを必ず残す
術後早期に Sport/Rec を混ぜる 不適な尺度が全体解釈を歪める 時期により尺度を選んで報告 “報告尺度” を時点で固定

記録と共有の型:比較できる “ 3 点セット” を残す

KOOS は「数値だけ」を残すと比較が崩れます。最低限、①時点②報告した下位尺度③条件(介入・装具・鎮痛など)の 3 点セットを同じ書式で残すと、チーム共有が一気にラクになります。

例:KOOS( Pain / Symptoms / ADL / QOL )、測定条件(内服変更なし、装具あり、歩行補助具なし)、介入(自主トレ追加、階段練習開始)を 1 行で残す。

WOMAC / LEFS と使い分け:迷いを表で終わらせる

膝の PROM は “どれが正解” ではなく、誰に・何を・どれだけの負担で追うかで決まります。KOOS は膝特異の 5 下位尺度で “ズレ” を拾える一方、短時間で回すなら WOMAC、下肢全体なら LEFS が有利です。

膝 PROM の使い分け( KOOS / WOMAC / LEFS )
項目 KOOS WOMAC LEFS
得意領域 外傷〜 OA、 Sport/Rec と QOL を含む OA 寄り、短時間運用 下肢全体(股〜足)
読みの主役 5 下位尺度プロファイル 痛み・こわばり・機能 機能の総量
迷ったら 復帰期や QOL を追いたい OA の経過を短く回したい 膝以外も絡む

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. KOOS は 0–100 点で、どっちが良いスコアですか?

A. 100 が “問題なし”、 0 が “極めて問題が大きい” です。下位尺度ごとにこの向きでそろいます。

Q2. 未回答があるとき、どこまでなら算出できますか?

A. 2012 ルールでは、各下位尺度で 50% 以上回答があれば算出できます。 50% を超えて欠損がある尺度は算出せず、算出できる尺度だけを報告します。

Q3. 術後早期に Sport/Rec を入れるべきですか?

A. 現実的でない時期は無理に混ぜず、他の尺度のみ報告して構いません。下位尺度は独立して報告できます。

Q4. どれくらい変化したら “意味のある改善” ですか?

A. MCID は母集団・時期で変わります。現場では同一条件での縦比較を優先し、必要時に文脈に合う研究の目安を併記する運用がおすすめです。

Q5. KOOS-12 や KOOS JR は、 KOOS の代わりになりますか?

A. 目的が “短縮して回す” 場合は有力です。術式や対象により適合が変わるため、施設の運用(対象・頻度・説明)に合わせて使い分けるのが現実的です。

回避の手順(チェック):同じ条件で “比較できる” 状態にする

  1. 回収時に欠損を確認(各尺度 50% 以上回答か)
  2. 報告する下位尺度を時期で固定(例:術後早期は Sport/Rec を外す)
  3. 0–100 の向きを明記(高いほど良い)
  4. 測定条件(内服・装具・補助具・介入)を 1 行で残す
  5. 次回も同条件で再測定し、プロファイルで差を共有

次の一手:運用を整える → 共有の型を作る → 環境も点検

教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。

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参考文献

  1. Roos EM, Lohmander LS. The Knee injury and Osteoarthritis Outcome Score ( KOOS ): from joint injury to osteoarthritis. Health Qual Life Outcomes. 2003;1:64. PubMedDOI:10.1186/1477-7525-1-64
  2. KOOS Scoring 2012. August 2012. PDF
  3. Connelly JW, et al. Patient Acceptable Symptom State at 1 and 3 Years After Total Knee Arthroplasty: Thresholds for the KOOS. J Bone Joint Surg Am. 2019;101(11):995-1003. PubMedDOI:10.2106/JBJS.18.00233
  4. Nishimoto J, et al. Minimal clinically important differences in short-term postoperative KOOS after total knee arthroplasty. J Orthop Surg Res. 2024. DOI:10.1177/22104917231181644
  5. KOOS 公式サイト. koos.nu

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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