令和 8 年改定:リハ書類の簡素化と「総合実施計画評価料」見直し
令和 8 年度の改定議論では、リハビリテーションに係る書類の簡素化と、総合実施計画評価料の見直しが同時に示されています。本記事は「現行で確定している情報」と「改定案で示された方向性」を分けて整理し、院内で今すぐ進められる準備まで落とし込みます。
結論:中核は「様式統一」+「評価料の再設計」+「関連項目の整理」
改定案で明示された中心論点は、①複数の計画書様式の統一、②総合実施計画評価料の区分見直し(初回/2 回目以降)、③関連項目の整理です。実務上のポイントは、点数の最終確定を待つことではなく、説明・更新・保存の運用ルールを先に揃えることにあります。
とくに「初回」の定義、再評価のタイミング、多職種での記録の残し方は、改定後の混乱が出やすい箇所です。先に院内で統一しておくと、算定判断と監査対応のブレを小さくできます。
何が変わる可能性が高いか:改定案で示された 3 点
| 論点 | 改定案で示された内容 | 現行(参考) | 現場で影響が出やすい所 |
|---|---|---|---|
| 計画書様式 | リハに係る複数の計画書の様式を統一 | 様式が分かれ、重複記載が起きやすい | 共通欄の設計、保存場所、更新トリガーの統一 |
| 総合実施計画評価料 | 初回と 2 回目以降に分ける形で見直し(点数は未確定) | 評価料 1:300 点/評価料 2:240 点 | 初回定義、再評価タイミング、算定根拠の記録 |
| 関連:H003-4 | 目標設定等支援・管理料(H003-4)を廃止 | 初回 250 点/2 回目以降 100 点 | 介護保険サービス利用が必要な患者への説明・連携 |
点数・要件の最終形は、告示・通知で確定します。一方で、運用設計(誰が・いつ・どこへ記録するか)は今の段階でも決められます。
なぜ「書類の簡素化」が論点になるのか
計画書は、患者・家族への説明、チーム共有、退院支援に直結する中核文書です。問題は「書く量」より、同じ情報の重複記載、更新時点のズレ、説明記録の散在といった運用不整合にあります。
今回の方向性は“省略”ではなく、目標から再評価までの整合性を高める再設計です。実装時は、書式統一とあわせて院内ルールの一本化が効果を出します。実際の記載粒度は 総合実施計画書の書き方 で合わせると運用が安定します。
現場の詰まりどころ:解決の三段で整理する
各項目の詰まりは「人の問題」より「運用ルール不足」で起きやすいです。先に失敗パターンを固定し、回避手順を短く共有すると改善が速くなります。
よくある失敗(監査・連携で止まりやすい)
| 場面 | NG(止まりやすい) | OK(回りやすい) | 最小で直すコツ |
|---|---|---|---|
| 目的 | 「埋めること」が目的化する | 生活目標を 1 行で固定し、介入と評価を寄せる | 退院後に何ができるかを最初に 1 行で定義 |
| 説明 | 説明内容と担当が人で違う | 要点 3 つ+次回確認で統一 | 定型文を 2〜3 本だけ作る |
| 更新 | 更新日がズレる/理由が残らない | 節目・状態変化・転帰変更をトリガー化 | 「変化 1 つ+対応 1 つ」で記録 |
| 重複 | 複数文書へ同内容をコピペ | 共通欄を先に決め、他文書は参照化 | 必須/任意を線引きして任意を増やさない |
回避手順(最短フロー)
- 共通欄(目標・介入・再評価)を先に決める
- 説明担当と交付時点を 1 つに固定する
- 更新トリガーを明文化し、保存場所を一本化する
今からできる準備チェックリスト
点数確定前でも、運用準備は先行できます。改定後の混乱を減らすには、棚卸しと標準化を同時に進めることが有効です。
- 計画書・サマリ・退院指導の重複項目を洗い出し、必須/任意を線引きした
- 説明・交付の担当、時点、記録場所が 1 つに決まっている
- 更新トリガー(節目/状態変化/転帰変更)が明文化されている
- 電子運用時の署名・同意・保存・例外対応を確認済み
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. いつから変わりますか?
A. 改定案の段階では、点数・要件・様式の細部は未確定です。告示・通知で確定した内容に基づいて施行日から運用が始まります。現時点では、重複記載の整理と更新ルール統一を先に進めるのが実務的です。
Q2. 総合実施計画評価料は何が変わる方向ですか?
A. 初回と 2 回目以降に分ける設計が示されています。したがって、初回定義・再評価タイミング・多職種記録の様式を先に固定しておくと、改定後の算定判断が安定します。
Q3. H003-4 廃止が出た場合、現場でまず困るのは何ですか?
A. 困りやすいのは「介護サービス利用が必要な患者への説明・連携の置き換え」です。誰が、いつ、どの文書で説明したかを運用ルールで明文化しておくと、引き継ぎで詰まりにくくなります。
Q4. 様式統一で一番ラクになるのは何ですか?
A. 体感差が大きいのは、書く量の削減より「説明・更新・連携の型が揃う」ことです。とくに更新トリガーと保存場所が統一されると、監査対応とチーム内共有が安定します。
次の一手(やる順番)
- 全体像を確認する:令和 8 年改定(リハ)まとめハブ
- すぐ実装する:発症早期リハの論点(運用実装編)
運用を整えたあとに、職場環境の詰まりも点検しておきましょう
共有の型づくりに加えて、人員・教育体制・記録文化の詰まりを点検すると、実装スピードが上がります。
参考文献
- 厚生労働省.令和 8 年度 診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案).中央社会保険医療協議会 総-7.2026-01-14. PDF
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


