総合実施計画書の書き方|差し戻し回避【PDF付】

制度・実務
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リハビリテーション総合実施計画書の書き方|2026 改定対応・差し戻し回避の型( PT / OT / ST )

リハビリテーション総合実施計画書は、「評価 → 目標 → 具体的アプローチ」を 1 枚でつなぎ、多職種が同じ方針で動くための実務書類です。2026 年度改定では、計画書の統合・簡素化署名欄の廃止説明者の拡大が進みました。差し戻しを減らすコツは文章力ではなく、コロン( : )の後ろを具体化し、短期目標具体的アプローチを 1 行で接続することです。

本記事は、院内でブレやすい「評価項目・内容」「短期目標」「具体的アプローチ」を、最短で埋める順番と NG → OK 変換で整理します。あわせて、改定後に迷いやすい説明記録初回/ 2 回目以降の考え方まで、書き方の実務に絞ってまとめます。

総合実施計画書 記入前チェックシート PDF

総合実施計画書は、公式様式をそのまま見ながら埋めるよりも、提出前に「何を確認するか」を 1 枚でそろえるほうが差し戻しを減らしやすいです。そこで、評価項目・短期目標・具体的アプローチ・再評価時点をまとめて確認できる A4 1 枚のチェックシートを用意しました。

2026 年度改定で様式が簡素化された後も、現場で詰まりやすいのは「何を書くか」の順番です。印刷して使うときは、本文の NG → OK 表と合わせて確認すると、チーム内で書き方のブレを減らしやすくなります。

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下の折りたたみ内でプレビューできます。スマホで見づらい場合は、上のボタンから開いて確認してください。

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総合実施計画書の書き方 3 ステップを示した図版
総合実施計画書は、「評価項目・内容 → 短期目標 → 具体的アプローチ」の順でそろえると書きやすくなります。

2026 改定で何を読み替えるべきか

今回の改定で重要なのは、様式がシンプルになったことより、何をどこまで残せば運用が止まらないかが整理されたことです。つまり、旧来の「欄を埋める感覚」ではなく、評価の根拠 → 目標 → 介入 → 再評価の流れを短く、具体的にそろえることが大切になります。

また、署名欄は不要になっても、説明した事実を残す必要は残る点に注意が必要です。計画書の写しに説明日・説明者があれば足りますが、写しにない場合は診療録に補います。書類の詳しい制度整理は 書類簡素化と総合計画評価料の要点 で確認できます。

2026 改定後に読み替えたいポイント
観点 改定後の考え方 書き方で意識すること 院内で先にそろえること
様式 計画書は統合・簡素化の方向 欄を埋めるより、評価→目標→介入の接続を短くする 共通欄と保存場所
署名 患者等の署名欄は廃止 説明した事実が残る書き方にする 説明日・説明者の残し方
説明者 医師以外に看護師、 PT 、 OT 、 ST でも説明可能 誰が説明したかがわかるようにする 担当の固定
評価料 初回/ 2 回目以降の区分が新設 再評価の節目を意識して書く 初回判定ルール

現場の詰まりどころ:差し戻しが起きる 6 パターン

差し戻しは「誤り」よりも、「読み手が次の判断に進めない」ことが原因です。総合実施計画書はチーム運用の起点なので、具体的アプローチが曖昧だと現場実装が止まります。先に次の 3 点へ進むと整理しやすくなります。

スマホでは表を横スクロールして確認してください。

総合実施計画書で差し戻しが起きやすい 6 パターン(原因と直し方)
パターン なぜ差し戻される? 直し方(型) 一言テンプレ
「評価項目・内容」が抽象 評価が目標に結びつかず、計画が空中分解する コロン( : )の後ろに「条件つきの事実」を書く 「○○:△△で××が起きる」
短期目標が「改善する」 期限・条件がなく、再評価ができない 期限+条件(補助具 / 介助量 / 環境)+ 1 指標 「 1 か月後、屋内 20 m を T 字杖で見守り」
具体的アプローチが長文 誰が何をするかが読めず、運用が揃わない 担当 × 頻度 × 手段で 1 行化し、詳細は記録へ 「 PT :週 5 回、立位耐久 3 分(休憩条件固定)」
多職種の役割が重複 / 抜け 介入が散らかり、成果が出にくい 同じ目標に対して「役割」を分けて書く 「看護= 24 時間の統一、 OT =生活課題、 PT =移動」
再評価のタイミングが不明 計画が更新されず形骸化する 週次 / 節目(退院前)を固定する 「週 1 回のミニ再評価+退院前カンファ」
説明記録が残らない 署名欄がなくなり、説明した事実が追えない 説明日・説明者・保存先を先に固定する 「説明日、説明者、写し保存先を同じ欄で確認」

まずは 10 分フロー:埋める順番を固定する

総合実施計画書は、最初に「評価項目・内容」の質を揃えると、その後が一気に整います。埋める順番は 評価(事実)→ 短期目標(期限 / 条件)→ 具体的アプローチ(担当 / 頻度 / 手段) です。

  1. 評価項目・内容:コロン( : )の後ろに「条件つきの事実」を 1 行
  2. 短期目標:期限(○ か月後)+条件(補助具 / 介助量 / 環境)+ 1 指標
  3. 具体的アプローチ:担当 × 頻度 × 手段で 1 行化
  4. チーム統一:看護の 24 時間手順と、退院後支援の方向性を一言で揃える
  5. 再評価:週次(ミニ)+節目(退院前)を固定する
  6. 説明記録:説明日・説明者・保存先を最後に確認する

コロン( : )の後ろが 9 割:評価項目・内容の書き方

評価欄は「評価名」を列挙する場所ではなく、目標と介入の根拠になる事実を書く場所です。条件と観察結果をセットで書くと、次の意思決定まで一気につながります。

評価項目・内容: NG → OK(コロンの後ろを具体化する)
評価名 NG(抽象) OK(条件つき事実) 次に繋がる意思決定
筋力低下 下肢筋力低下あり 立ち上がりは手すり必須、 5 回で息切れ( Borg 4 ) 回数 / 休憩条件を固定して再評価
疼痛 疼痛あり 歩行開始 5 分で膝痛 NRS 6、階段で増悪 荷重条件 / 課題の優先順位を決める
呼吸循環 耐久性低い 屋内歩行 20 m で SpO2 低下、回復に 2 分 歩行距離と休憩をセットで設計
嚥下 むせあり 薄い水分で湿性嗄声、食事はとろみで安定 食形態とセルフケアを統一

短期目標は「期限 × 条件 × 1 指標」で書く

短期目標(○ か月後)は、達成の宣言よりも再評価が回ることに価値があります。数値や指標は 1 つで十分で、条件固定を優先するとチーム運用が安定します。

  • 期限:「 1 か月後」「 2 か月後」など、院内の見直し周期に合わせる
  • 条件:補助具(杖 / 装具)、介助量(見守り / 介助)、環境(屋内 / 屋外、段差)
  • 1 指標:距離、時間、回数、転倒回数、 Borg など
短期目標の NG → OK(期限・条件・指標を明記する)
NG OK 改善ポイント
歩行能力を改善する 1 か月後、屋内 20 m を T 字杖・見守りで歩行し、転倒 0 回 期限+補助具+介助量+距離を固定
ADL を向上させる 1 か月後、更衣上衣を椅子座位で 10 分以内に見守りで実施 場面と時間を明記し再評価可能にする
体力をつける 2 週間後、屋内歩行 30 m 実施後の Borg を 4 以下で維持 主観指標を 1 つだけ採用して追跡

具体的アプローチは「担当 × 頻度 × 手段」で 1 行化する

具体的アプローチが長文になるほど、現場では読まれにくくなります。総合実施計画書は意思決定の要点だけに絞り、詳細は日々の記録へ寄せる運用が有効です。

具体的アプローチの 1 行化テンプレ(多職種で解釈が揃う)
職種 例( 1 行) 揃える条件
PT 頻度+課題+条件 週 5 回、屋内歩行 20 m( T 字杖・見守り)+休憩 1 回 補助具 / 介助量 / 距離
OT 生活課題+環境 更衣・調理を自宅想定で練習、段差と手すり条件を確認 家屋条件
ST 摂取条件+再評価 食形態と姿勢を統一、週 1 回の再評価で見直し 食形態 / 姿勢
看護 24 時間の統一 移乗は手すり使用、見守り位置を統一、夜間は動線を固定 手順 / 見守り
SW 等 退院後の方向性 退院後サービス調整(訪問 / 通所)、福祉用具の検討 期限 / 担当

説明記録と再評価時点:2026 改定で見落としやすい実務ポイント

署名欄がなくなったことで、「説明内容を全部書くべきか」で迷いやすくなりました。実務上は、説明日説明者が計画書の写しにあれば足り、毎回の説明内容まで詳しく診療録へ書く必要はありません。ただし、患者や家族の意見など、特に残すべき事項があれば診療録へ記載します。

また、評価料が初回/ 2 回目以降に分かれたことで、再評価の節目を意識した書き方が重要になりました。計画書の本文でも、短期目標と具体的アプローチのペアが再評価しやすい形になっているかを確認してください。

説明記録と再評価で先にそろえたい項目
論点 最低限そろえたいこと 書き方のコツ
説明日 計画書写しまたは診療録のどちらかに残す 日付欄の位置を院内で固定する
説明者 誰が説明したかを残す 職種名までそろえる
説明内容 毎回の詳記は不要 特記事項があるときだけ補足する
再評価 週次+節目の見直し時点を固定する 短期目標に対応する 1 指標を決める

ケース別:そのまま転用できる書き方( 3 パターン)

文章は短く、条件を固定するほど強くなります。よくある 3 パターンで、評価 → 目標 → 介入のつながりを整理します。

脳卒中:移動と ADL を同時に揃える

評価は「立ち上がり」「歩行」「注意 / 疲労」を事実で書き、短期目標は屋内移動の条件を固定します。介入は PT (移動)と看護( 24 時間)をセットにするとブレが減ります。

整形外科:疼痛と荷重条件で統一する

評価欄に荷重条件と疼痛の変化(時間 / 場面)を入れ、目標は距離か時間の 1 指標に絞ります。介入は OT の生活課題(更衣 / 家事)と早めに接続すると退院調整が進みやすくなります。

内部障害:休憩と中止基準を先に決める

評価欄に SpO2 や息切れ( Borg )を入れ、短期目標は休憩条件を固定します。具体的アプローチは「距離 / 休憩 / 再評価」の 3 点に絞ると運用が回ります。

よくある質問( FAQ )

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1.評価項目・内容が「薄い」と言われます。何を書けばいい?

A.コロン( : )の後ろに「条件つきの事実」を 1 行で書きます。例:「立ち上がり:手すり必須、 5 回で息切れ( Borg 4 )」。この 1 行が短期目標と具体的アプローチの根拠になります。

Q2.短期目標が「改善する」になってしまいます。

A.期限+条件+ 1 指標に直します。例:「 1 か月後、屋内 20 m を T 字杖で見守り、転倒なし」。数値は 1 つで十分で、条件固定を優先すると再評価が回ります。

Q3.具体的アプローチが長文になります。

A.「担当 × 頻度 × 手段」で 1 行化し、詳細は記録へ寄せます。総合実施計画書は意思決定の要点に絞るほど、院内で運用が揃います。

Q4.署名欄がなくなったら、説明内容も全部診療録へ書くべきですか?

A.いいえ。説明日と説明者が計画書の写しにない場合は診療録へ補いますが、説明内容まで毎回詳しく記載する必要はありません。患者や家族の意見など、特に残すべき事項がある場合のみ記載します。

Q5.転院後や再発時は、総合計画評価料の「初回」の考え方が変わりますか?

A.変わります。自院で同一疾患に対して初めて算定する場合や、再発・急性増悪などで起算日が再設定されて改めて計画書を作成・評価した場合は、「初回」の扱いになります。書き方自体は同じでも、再評価の節目を意識して記載しておくと実務につながりやすくなります。

Q6.計画書はどの頻度で見直すと運用しやすいですか?

A.週 1 回のミニ再評価と、節目(退院前)の見直しを固定すると回りやすくなります。更新タイミングを決めておくと、差し戻しと形骸化の両方を防げます。

次の一手


参考資料(一次情報)

  • 厚生労働省.令和 8 年度 診療報酬改定について.掲載ページ
  • 厚生労働省.令和 8 年度診療報酬改定 – 13.重点的な対応が求められる分野(医学管理・リハビリテーション).PDF
  • 厚生労働省.診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和 8 年 3 月 5 日 保医発 0305 第 6 号)別添 1 医科診療報酬点数表に関する事項.PDF
  • 厚生労働省.疑義解釈資料の送付について(その 1 )(令和 8 年 3 月 23 日 事務連絡).PDF
  • 厚生労働省.様式(医科).PDF

著者情報

rehabilikun のプロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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