NYHA 心機能分類のやり方【判定のコツと評価票】

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NYHA( New York Heart Association )心機能分類は、心不全の機能的重症度を I〜IV の 4 段階で示す枠組みです。診療チーム内の共通言語として最も普及しており、経過比較・患者説明・治療目標の共有に適しています。
臨床スキルを最短で底上げ|理学療法士キャリアガイド(#flow)
使い分けの全体像は、心不全評価の使い分け【NYHA/SAS】をご覧ください(心不全パンデミックの背景と併用の流れを1分で整理)。
問診テンプレ:「普段の生活の中で、いつもの買い物・階段・洗濯などで息切れや胸部不快感はありますか? それはどれくらい続き、どのくらいで治りますか?」
クラス | 定義(要点) | 典型的な確認ポイント |
---|---|---|
I | 身体活動に制限なし。通常の身体活動で不快症状(息切れ・動悸・胸痛・疲労)なし。 | 速歩・階段昇段で症状なし/日常生活に支障なし。 |
II | 軽度の活動制限。安静時は無症状。通常の身体活動で症状出現。 | 買い物や徒歩通勤、洗濯などで息切れや易疲労。 |
III | 著明な活動制限。安静時は無症状。通常未満の軽い活動でも症状出現。 | 室内移動・身支度など軽作業で症状。 |
IV | あらゆる活動で不快。安静時にも症状があり、活動で増悪。 | 会話・安静でも息切れ/起坐呼吸・PND。 |
テーマ | NG | OK(対策) |
---|---|---|
“通常の活動”の定義 | 抽象表現のまま判定 | 生活実態に即した具体例で固定(買い物・階段・洗濯など) |
安静時症状 | 聴取漏れ | 夜間の息切れ・起坐呼吸・浮腫を最初に確認 |
比較条件 | 毎回条件が違う | 同一時間帯・同一説明で再評価(再現性を担保) |
異常があれば評価を中止し、速やかに医師へ共有します。
日付 | NYHA | 安静時症状 | 通常活動の定義 | 症状出現動作 | 備考 |
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2025-10-12 | III | PND(+) | 買い物20分+2kg・2階昇段 | 室内移動で息切れ | β遮断薬増量後 3 日 |
評価から運動処方までの全体像は理学療法士キャリアガイド(#flow)も参照してください。
NYHA 心機能分類 評価票(A4・印刷) ※印刷 → PDF 保存も可
「通常の身体活動」で症状が出る=II、「通常未満の軽い活動」でも出る=III。患者の“通常の活動”を具体例で固定して問診すると判定が安定します。
比較目的の判定は安定期に実施。同一条件・同一説明で再評価します。