エンドフィールとは?種類・見分け方・記録例|ROM制限の原因を整理

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エンドフィールとは?|ROM制限を「止まる角度・抵抗の質・痛みの順序」で整理する

エンドフィール(end-feel)は、関節を他動的に動かした終末域で、検者が手に感じる抵抗の質です。ROM制限の原因を考えるときは、soft・firm・hardなどの名称だけで決めず、その関節運動で予想される終末感か、予想より早く出たか、痛みと抵抗のどちらが先に現れたかをそろえて確認します。

この記事では、PT・OT向けに、エンドフィールの種類、正常と異常の見分け方、firmと関節包性制限、spasmとempty、hardとspringy blockの違い、1行記録、中止・相談の目安を整理します。関節ごとの参考可動域や測定軸の詳細は扱わず、終末域で得た所見を安全に言語化することに絞ります。

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エンドフィールの種類|正常・異常は名称だけで決めない

正常か異常かは、soft・firm・hardという種類だけでは決まりません。その関節運動で予想される抵抗が、予想される可動域付近に現れているかを確認します。たとえばfirm feelは、筋・腱だけでなく関節包や靱帯の伸張でも生じるため、firmだから筋性、capsularだから異常と単純には分けられません。

異常を疑うのは、予想より早い角度で抵抗が出る、通常と異なる質で止まる、痛みで真の終末域に到達できない、反発や引っかかりを伴う場合です。エンドフィールは制限因子を推定する材料であり、単独で障害組織や疾患を確定する検査ではありません。

エンドフィールを正常予測、抵抗が現れる角度、痛みと抵抗の順序から見分ける3ステップ
エンドフィールは、正常予測・抵抗の出現角度・痛みと抵抗の順序から整理します。
エンドフィールの代表的な種類と判断ポイント
種類 手に感じる抵抗 主な背景 判断のポイント
Soft
軟部組織接触性
柔らかく圧迫される 筋・脂肪などの軟部組織同士の接近 予想される運動と角度で現れれば正常範囲
Firm
結合組織性
弾性を伴って徐々に張る 筋・腱・関節包・靱帯の伸張 組織名を決め打ちせず、出現角度と運動方向を確認
Hard
骨性
硬く明瞭に停止する 骨同士の接触 予想される運動では正常。早期出現や予想外の方向では要検討
Early firm / early hard 予想より早い角度でfirmまたはhardに止まる 軟部組織短縮、関節包・靱帯性制限、骨・関節由来の制限など 触感だけで原因を確定せず、複数方向と他所見を統合する
Muscle spasm 途中で急に抵抗が立ち上がる 疼痛、不安、反射性または随意的な防御収縮 筋の収縮を触れられるか、反復で変化するかを確認
Empty 明確な機械的抵抗を感じる前に痛みで中止する 疼痛が終末域への到達を妨げている状態 「抵抗なし」ではなく「疼痛で終末感を評価できない」と記録
Springy block バネ様の反発、引っかかり、戻される感触 関節内の機械的阻害を含む可能性 特定疾患を断定せず、locking・catching・外傷歴と合わせて共有

見分け方|「予想・角度・痛みと抵抗の順序」で確認する

エンドフィールを安定して評価するには、①予想される終末感、②抵抗が現れた角度、③痛みと抵抗の出現順序の3点を先にそろえます。触感のラベルを付けるのは、その後です。

ROM測定の肢位、軸、固定、AROMとPROMの順番をそろえる方法は、関節可動域(ROM)検査のやり方と記録ルールで確認できます。

エンドフィール評価の6ステップ
手順 確認すること 判断につなげる内容
1. 安全条件を確認 安静痛、熱感、腫脹、外傷、術後制限、医師指示 終末域まで確認してよいかを決める
2. AROMとPROMを比較 自動と他動の差、痛み、恐怖、代償 運動制御と他動的制限を分けて考える
3. 正常予測を置く 対象関節・運動方向で予想される終末感 同じfirmでも正常か早期出現かを分ける
4. 終末域の手前で減速 抵抗が立ち上がる角度、代償の開始 急な押し込みによる防御収縮を避ける
5. 痛みと抵抗の順序を確認 痛みが先、同時、抵抗が先のどれか empty、spasm、組織性抵抗の整理に使う
6. 同条件で再確認 肢位、速度、固定、反応の再現性 ラベルより再評価可能な所見を残す

重要:end-feelだけで「筋短縮」「関節包拘縮」「関節内病変」を確定しません。AROMとPROMの差、疼痛部位、筋・皮膚の緊張、関節の遊び、複数方向の制限、画像・診療情報を統合して仮説を更新します。

迷いやすい境界|firm・capsular・spasm・empty・springy block

迷ったときは、感触をうまく命名しようとするより、「どの角度で」「何が先に」「何を触れたか」へ戻ります。特にfirmと関節包性制限は、1方向の触感だけでは分けきれません。

迷いやすいエンドフィールの見分け方
迷う組み合わせ 見分ける視点 安全な記録例
正常firm
/early firm
予想される角度まで到達したか。抵抗が通常より早く立ち上がっていないか 「PROM 120°、100°から抵抗増加、early firm」
筋性
/関節包・靱帯性
関節肢位を変えた筋長、複数方向の制限、筋・皮膚緊張、関節の遊びを追加確認 「firm。筋性/関節包性は単独所見で判別困難」
spasm
/empty
急な筋収縮を触れるか。機械的抵抗に至る前に痛みで中止しているか 「疼痛と同時に防御収縮」/「疼痛で終末感評価不可」
hard
/springy block
明確に硬く止まるか、反発・戻り・引っかかりを伴うか 「hard、反発なし」/「springy、catchingあり」
痛みあり
/異常end-feel
痛みがあるだけで異常分類にせず、抵抗の種類と出現順序を別々に記録 「抵抗前に痛み」/「firm到達後に痛み」

記録方法|角度・痛み・抵抗の質・条件を1行で残す

記録は、関節と方向+肢位・方法+角度+痛み+end-feel+代償・再現性の順にすると、次回も同じ条件で比較しやすくなります。原因を断定する言葉より、検者が確認した事実を先に書きます。

1行記録例

右肩外旋(背臥位・他動):0〜30°。25°から前方痛、30°でearly firm。肩甲帯代償あり。同条件の再測定でも同様。

end-feel記録の最小セット
項目 記録する内容
条件 体位、他動・自動、固定 「背臥位・PROM・骨盤固定」
角度 最終角度、抵抗や痛みの開始角度 「最終80°、65°から抵抗増加」
痛み 部位、強さ、出現順序 「抵抗前に前方痛」
end-feel 抵抗の質と早期出現の有無 「early firm」「springy」
代償・再現性 隣接部位の動き、反復で同じか 「骨盤後傾あり、2回とも同様」

ダウンロード|end-feel記録シート(PDF)

角度、痛み、終末感、再現性、メモを1枚で残せるend-feel記録シートです。初回評価と再評価で条件をそろえたいときに使用できます。

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よくある失敗|分類名を付けることが目的になっている

エンドフィールがブレる原因は、触診経験だけではありません。正常予測、出現角度、痛みとの順序を記録せず、分類名だけを残すと、担当者間でも自分の再評価でも比較しにくくなります。

end-feel評価のNGと修正
NG 問題 修正
firm=筋性と決める 関節包・靱帯の伸張や複合要因を見落とす 角度、肢位、複数方向、追加所見を確認する
capsular=異常と決める 生理的な結合組織性抵抗と病的な早期制限が混在する 「早期か」「予想外か」を先に記録する
最終域まで速く動かす 痛みや防御収縮が混じりやすい 終末域の手前で減速し、反応を確認する
強く押して確かめる 痛みを増やし、真の終末感を評価できなくなる 安全条件を確認し、必要最小限のoverpressureにする
分類名だけを書く 次回に同条件を再現できない 角度、痛み、条件、代償、再現性を添える

中止・相談の目安|終末感を取り切ることを優先しない

痛みや安全上の懸念がある場合は、end-feelを最後まで確認する必要はありません。特に、明確な機械的抵抗に到達する前に強い痛みが出る、反発やlockingを伴う、神経症状が増悪する場合は、押し込みを続けず所見を記録して共有します。

以下は評価をいったん止めて、医師指示、術後プロトコル、施設ルール、既往・画像情報を再確認する目安です。

end-feel評価を中止・再確認する所見
所見 対応 記録すること
強い安静痛、著明な熱感・腫脹、外傷直後 終末域へのoverpressureを避ける 痛み、腫脹、受傷時期、確認できた範囲
疼痛で真の終末感に到達できない emptyとして無理に分類せず、評価不能範囲を共有する 疼痛開始角度、部位、強さ、反応
springy block、locking、catching 反復や負荷増加を避ける 出現角度、反発、解除の有無、外傷歴
しびれ、放散痛、筋力低下などの増悪 誘発肢位を解除し、別評価または相談へ切り替える 誘発肢位、症状分布、回復までの経過
術後・骨折・脱臼などの可動域制限が不明 指示を確認するまで終末域を取らない 手術・受傷日、指示内容、未確認事項

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップすると回答が開きます。

Q1. capsular feelは異常なエンドフィールですか?

A. 名称だけでは異常と決められません。関節包や靱帯の伸張によるfirm feelは、生理的にも生じます。異常を疑うのは、予想より早い角度で現れる、通常と異なる方向で制限される、複数方向の制限パターンや関節の遊びの低下を伴う場合です。

Q2. firm feelから筋短縮と関節包性制限を見分けられますか?

A. 触感だけで確定するのは困難です。関節肢位を変えた筋長テスト、筋・皮膚の緊張、関節の遊び、複数方向のROM、疼痛部位を追加し、制限因子の仮説として整理します。

Q3. empty feelは「抵抗がない」という意味ですか?

A. 真の終末域に抵抗が存在しないと証明した所見ではありません。痛みのため、検者が機械的な終末抵抗まで到達できなかった状態です。「疼痛で終末感評価不可」と、角度・部位・痛みの強さを併記します。

Q4. springy blockがあれば半月板損傷ですか?

A. springy blockだけで半月板損傷などの疾患は断定できません。反発や引っかかりを伴う機械的阻害の可能性として扱い、locking、catching、外傷機転、腫脹、画像・診療情報と合わせて共有します。

次の一手|速度で変わる抵抗は被動性検査で確認する

エンドフィールは終末域の抵抗をみる評価です。低速・中速・高速で抵抗がどう変わるか、痙縮・固縮・拘縮をどう整理するかは、被動性検査のやり方|筋緊張の見分け方と記録法で確認してください。


参考文献

  1. Petersen CM, Hayes KW. Construct validity of Cyriax’s selective tension examination: association of end-feels with pain at the knee and shoulder. J Orthop Sports Phys Ther. 2000;30(9):512-521; discussion 522-527. doi:10.2519/jospt.2000.30.9.512
  2. Hayes KW, Petersen CM. Reliability of assessing end-feel and pain and resistance sequence in subjects with painful shoulders and knees. J Orthop Sports Phys Ther. 2001;31(8):432-445. doi:10.2519/jospt.2001.31.8.432
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  5. van de Pol RJ, van Trijffel E, Lucas C. Inter-rater reliability for measurement of passive physiological range of motion of upper extremity joints is better if instruments are used: a systematic review. J Physiother. 2010;56(1):7-17. doi:10.1016/S1836-9553(10)70049-7
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  8. Menadue C, Raymond J, Kilbreath SL, Refshauge KM. Reliability of two goniometric methods of measuring active inversion and eversion range of motion at the ankle. BMC Musculoskelet Disord. 2006;7:60. PubMed:16846562

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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