上田式 12 段階片麻痺機能テストとブルンストロームステージの違い【比較・使い分け】

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上田式 12 段階とブルンストロームステージ( BRS )の違い|結論は「目的」で使い分け

評価がブレるときほど、「どの尺度で何を共有するか」を先に決めると早いです。 評価 → 介入 → 再評価の流れを 3 分で復習する( #flow )

結論:ブルンストロームステージ( BRS )は回復の「大枠( 6 段階)」を共有するのに強く、上田式 12 段階片麻痺機能テスト(片麻痺回復グレード法)は変化を「より細かく」拾って経過を追うのに強い評価です。どちらが優れているかではなく、「いま何を決めたいか」で使い分けます。

本記事は、両者の違いを比較表 → 使い分け → 換算の考え方( NG )→ 記録のコツの順に整理します。テスト項目の全文掲示はせず、臨床で迷いにくい判断軸に絞って解説します。

まずは 30 秒:違い早見(比較表)

最初に迷いを減らすため、「何を表す尺度か」だけ先に揃えます。両者はどちらも片麻痺の回復過程を段階化しますが、粒度運用目的が異なります。

会議や申し送りでは、この表の“どの列を共有したいか”を決めるだけで、評価のズレが大きく減ります。

上田式 12 段階と BRS の違い(臨床で迷わないための比較)
観点 ブルンストローム( BRS ) 上田式 12 段階(片麻痺回復グレード法) 臨床での“向き”
段階(粒度) 6 段階( I 〜 VI ) 12 段階(より細かい変化を拾う設計) 短期間の微変化は 12 段階が有利
主な役割 回復の“大枠”共有 回復の“細かな差”を追跡 多職種共有= BRS /経過追跡= 12 段階
評価の考え方 共同運動 → 分離運動へ Brunnstrom を土台に標準化・細分化 どちらも「回復過程の段階化」だが運用が違う
判定のコツ “境界は絶対ではない” 段階の当てはめで微差を拾う 境界の揺れは「条件固定」で減らす
おすすめ場面 初期評価、申し送り、チーム共通語 回復の微差、研究、介入反応の追跡 目的が明確なら両方併用が最短

使い分けのコツ:迷ったら「決めたいこと」で選ぶ

ポイント:尺度選びは“正しさ”ではなく意思決定の速さで決めます。例えば、病棟で「共同運動が強い/分離が出始めた」を共有したいなら BRS が速く、介入で「先週より少しだけ良い」を拾って計画を微調整したいなら 12 段階が向きます。

どちらも片麻痺の回復段階を扱いますが、Brunnstrom の原著は回復段階に基づく運動テストとして整理され、上田式はその枠組みを踏まえて標準化・細分化を狙った方法として報告されています。

ケース 1:申し送り・カンファで「今の段階」を即共有したい

短い時間で合意形成したい場面では、まず BRS で“大枠”を合わせると話が速いです。大枠が揃うと、介入や環境調整の議論が前に進みます。

ケース 2:介入反応を追って「次の一手」を決めたい

上田式 12 段階は、上肢・手指などを含む複数の観察(サブテスト)から段階を決める構成が紹介されており、小さな変化を段階として拾う設計が特徴です。評価の軸が細かいほど、目標や課題設定(難易度調整)がしやすくなります。

「換算」はできる?:結論は“ざっくり対応は語れるが、機械的換算は NG ”

結論:「上田式 〇 だから BRS は必ず △」のような自動換算( 1 対 1 )は避けるのが安全です。両者は粒度と判定手続きが異なるため、同じ患者でも“揺れ”が出ます。

現場で必要なのは、換算表よりも「どの条件で、どの部位を、どう見たか」を固定して再現性を上げることです。換算が欲しくなる場面こそ、体位・開始肢位・口頭指示・促通の有無・疲労を揃えるとズレが減ります。

チーム共有のおすすめ(最短)

  • ① BRS:大枠(共同運動優位か、分離が出ているか)
  • ② 上田式 12 段階:介入反応の微差( 1 〜 2 週間の変化)
  • ③ 補足メモ:評価条件(体位・促通・疲労・痛み)

現場の詰まりどころ:ズレやすい 3 パターンと対策

「評価が合わない」の多くは、患者の変動ではなく評価条件の差で起きます。とくに上肢と手指で段階がズレる疲労で下がる口頭指示が変わるが定番です。

次の表の “固定項目” を決めてから再評価すると、同じ尺度でも一致率が上がります。

よくあるズレ(失敗)と、再現性を上げる対策
よくあるズレ 起きやすい理由 対策(固定する項目) 記録の一言例
上肢は上がったのに手指が追いつかない 近位優位の回復/課題が違う 評価部位(上肢/手指)を分けて目標設定 「上肢優位。手指は別課題で追跡」
同じ日に評価者で段階が違う 開始肢位・口頭指示・促通の差 体位、開始肢位、指示文、促通の有無を統一 「座位・促通なし・指示文固定で判定」
週末に下がって見える 疲労、疼痛、不安、注意低下 評価時間帯、疼痛、疲労( Borg 等)を併記 「疼痛 NRS 3、疲労あり。条件付きで再評価」

本記事は「比較・使い分け」に特化しています。BRS の上肢・手指・下肢の評価手順(判定のポイント)は、親記事で整理しています。

続けて読む:ブルンストロームステージ( BRS )の評価方法と判定のコツ

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 結局、どっちを使えばいいですか?

A. 目的で決めます。申し送りやチーム共通語としては BRS が速く、介入反応の微差を追うなら上田式 12 段階が便利です。迷ったら「 BRS で大枠 → 12 段階で微差」の併用が最短です。

Q2. “換算表” を作って運用してもいいですか?

A. 自動換算( 1 対 1 )はおすすめしません。粒度と判定手続きが違うため、同じ患者でも揺れが出ます。換算より、体位・開始肢位・指示文・促通の有無・疲労を固定して再現性を上げる方が安全です。

Q3. 評価が日によって上下します。どう記録すればいい?

A. 段階だけでなく「条件」を 1 行添えます。例:疼痛、疲労、注意、評価時間帯、体位、促通の有無。条件が書かれていると、次回の再評価が“同条件”でできます。

Q4. 上肢と手指で段階がズレたら、どちらを優先しますか?

A. 「どの活動を改善したいか」で優先します。更衣や移乗で近位コントロールが主なら上肢、食事や更衣の巧緻がボトルネックなら手指に寄せて目標設定します。ズレ自体は珍しくありません。

参考文献

  1. Brunnstrom S. Motor Testing Procedures in Hemiplegia: Based on Sequential Recovery Stages. Physical Therapy. 1966;46(4):357-375. DOI:10.1093/ptj/46.4.357
  2. 上田 敏, 福屋 靖子, 間 得之, 他. 片麻痺機能テストの標準化―12 段階「片麻痺回復グレード」法. 総合リハビリテーション. 1977;5(10):749-766. DOI:10.11477/mf.1552103862
  3. Akiyama N, et al. Occupational Therapy with the Screw Block® Kit for Improving Upper Limb Function in Stroke Patients: A Quasi-randomized Controlled Trial. Progress in Rehabilitation Medicine. 2021. J-STAGE

おわりに

片麻痺の段階づけは、安全の確保 → 条件固定 → 段階づけ( BRS / 12 段階) → 課題設定 → 再評価のリズムで回すと、チーム内のズレが一気に減ります。まずは「大枠( BRS )」か「微差( 12 段階)」か、目的を 1 つ決めてから運用してみてください。

あわせて、評価の整理や面談準備を一気に進めたい方は、面談準備チェック&職場評価シート( MyNavi )も活用すると、次の一手が決めやすくなります。

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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