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この記事は「意識障害」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるように心掛けております。それでは早速、内容に移らせていただきます。
意識障害と聞くと「脳に何か問題でもあるのではないか?」と疑うと思います。しかし、脳の器質的疾患以外の原因であることが意外にも多いので、脳の問題と決めつけず、あらゆる可能性を考えるべき病態が意識障害となります。
意識障害については急性期、回復期、慢性期と病期を問わずに重要な病態となります。しかし、意識障害は複雑な病態でもあるため、意識障害についてわからないこともあるかと思います。そんな人のために、こちらの記事をまとめました!
こちらの記事で意識障害についての理解を深め、意識障害患者への診療業務にお役立ちできれば幸いです。是非、最後までご覧になってください!
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士として働いていると、一般的な会社員とは異なるリハビリ専門職ならではの苦悩や辛いことがあると思います。当サイト(rehabilikun blog)ではそのような療法士の働き方に対する記事も作成し、働き方改革の一助に携わりたいと考えております。
理学療法士としての主な取得資格は以下の通りです
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褥瘡 創傷ケア認定理学療法士
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意識障害とは
意識とは「覚醒」と「認知」が組み合わさったものになります。覚醒は脳幹の網様体賦活化系が、認知は大脳皮質が担っています。
意識障害は「覚醒」と「認知」のどちらか、あるいは両方が機能不全に陥っている場合に生じます。
意識障害と聞くと、脳神経疾患か頭部外傷を想像すると思います。しかし、意識障害だからといってその原因は決して「脳の器質的疾患」のみによるものではありません。
実際に、意識障害のおよそ半数は低酸素、低血糖、アンモニア、電解質異常などに随伴した「質的な機能低下」が原因と報告されています。意識障害を認めるからといって脳神経疾患か頭部外傷と断定せずに、あらゆる可能性を疑って評価することが重要になります。
意識消失と意識障害の違い
意識消失と意識障害は医学的に別物になりますが、混合しやすいため、それぞれを正しく理解することが重要になります。
意識消失とは、いわゆる失神(気絶)のことを指します。失神とは脳血流の低下に伴う「量的な機能低下」であり、これは心血管系の症候となります。
意識消失の多くは血管性迷走神経反射などを含む反射性失神になります。失神の場合、短時間(長くても数分)で意識が回復し、麻痺などの神経学的な後遺症は出現しません。
意識消失後は問診により状況を整理する必要がありますが、本人が覚えていない、あるいは知らないことがあるため、目撃された方からの情報を手がかりとして鑑別を進める必要があります。
一方、意識障害とは、意識が清明ではない状態のことを示し、覚醒度あるいは自分自身と周りの認識のいずれかが障害されていることを指します。
意識障害の程度は様々であり、刺激を与えても覚醒しない昏睡状態、刺激で覚醒する半昏睡の状態、覚醒しているが話が噛み合わない状態もあります。
意識障害の程度は時間の経過に伴い変化する可能性があるため、経時的な評価が必要となります。日本における意識障害の評価基準として、Japan Coma Scale(JCS)、海外の基準として、Glasgow Coma Scale(GCS)が一般的となっております。
意識障害の原因としては、脳自体の障害によって生じる一次的なものと、脳以外の原因によって脳血流や代謝異常が発生し、二次的に脳の機能が低下するものがあります。
脳出血、くも膜下出血や髄膜炎などの頭の病気の他にも、アルコール、糖尿病など血糖異常、高血圧、腎不全、肝障害、呼吸の異常、薬物、電解質代謝異常、体温異常、精神疾患、てんかん、ショック(循環不全)など原因は多岐にわたります。
意識障害の評価:JCSとGCS
先ほども説明した通り、意識障害の程度は時間の経過に伴い変化する可能性があるため、意識レベルの経時的な評価が必要となります。
緊急搬送・転院する場合には、この情報を伝達することで、迅速に意識障害の原因を突き止め、治療の開始に繋がる可能性があります。
意識障害の程度を「昏睡・半昏睡・昏迷・傾眠」などで表すこともありますが、Japan Coma scale(JCS)、 Glasgow Coma Scale(GCS)で点数化したほうが、状態の変化に対する感度も良好であるため、Japan Coma scale(JCS)と Glasgow Coma Scale(GCS)を正確に使用できるようにしておきましょう。
Japan Coma scale(JCS)
Japan Coma scale(JCS)は、もともと脳卒中や頭部外傷による脳ヘルニアの進行を評価するために開発された尺度になります。
そのため、評価の項目としてはへルニア進行による脳幹障害の程度、つまり「覚醒」の内容を評価することを主体としています。そのため、肝性脳症や認知症などでは正確な評価は困難なことがあります。
しかし、意識障害の程度を簡便に 9 段階で評価できるところは優秀であり、評価方法の認知度も高いという利点があります。
急性の意識障害、特に経時的な意識の変化を捉えやすいため、初期対応時に JCS で評価しておくと、その後のレベルの変化で緊急性の有無が判断しやすくなります。
Glasgow Coma Scale(GCS)
開限・言語・運動機能の 3 つの因子を用い、それぞれの最大刺激による最良反応をもって評価します。
当初は頭部外傷による意識障害を評価するツールとして開発されましたが、JCS と異なり「覚醒」の内容を評価しないため、3 つの機能を独立して評価できる利点があります。
欠点としては、総得点の 3 〜 15 点の間に 120 通りの組み合わせがあるため、同じ点数でも内容が異なる場合が多々あります。
そのため、不用意に合計点のみで評価をせず、常に「E:◯点、V:◯点、M:〇点」と表すことがポイントとなります。
15 点満点であり、得点が低いほど意識障害は重度であり、最低点となる 3 点を深昏睡と定義します。
カットオフ値は 8 点となり、8 点以下を重症とします。8 点以下の場合、意識障害のために気道確保ができない可能性が高いと考えられ、気管内挿管の1つの目安ともなります。
意識障害の評価項目:身体所見
頭部外傷や脳血管障害における患者の病態は刻々と変化します。JCS や GCS だけではなく、身体所見から意識状態を評価することも重要になります。
呼吸
意識障害に伴い呼吸障害を認める場合、異常呼吸のパターンによって障害部位の推定にも繋がります。異常呼吸のパターンと考えられる病変について理解しておくことは重要となります。
チェーンストークス呼吸:Cheyne-Stokes
小さい呼吸から 1 回換気量が漸増し大きな呼吸となった後、1 回換気量が漸減し呼吸が停止(10〜20秒程度の無呼吸)し、その後呼吸が再開しますが、再び同様の周期を繰り返す呼吸になります。
1 周期は 30 秒〜 2 分程度のことが多く、心不全による循環不全や低酸素脳症、その他種々の疾患の末期にも起こり得る症状になります。
障害部位としては大脳半球や両側間脳が考えられます。
過換気症候群(過呼吸)
呼吸数は 25 〜 30 回/分以上となり、深く力強い呼吸、換気量は安静時の 1.5 〜 4 倍となります。
障害部位としては、中脳下部や橋上部が考えられます。
持続性吸息性呼吸
最大吸気位に近いレベルで数秒間呼吸が停止し、その後呼気に移るといった不規則な呼吸パターンを繰り返す異常呼吸になります。
障害部位としては、橋下部や延髄上部が考えられます。
失調性呼吸(Biot呼吸)
正常な呼吸パタ-ンが失なわれて換気数が減少し、1 回換気量は大小不同で、完全に不規則な呼吸になります。生命維持活動が困難といえる大変危険な状態になります。
障害部位としては、橋下部から延髄の境界部が考えられます。
脈拍、血圧
徐脈があれば脳圧の急激な亢進、頻脈であれば脳循環不全を疑う必要があります。急激な血圧上昇を認める場合、脳出血や脳梗塞をきたしている可能性があります。
特に、意識障害を伴う高血圧で収縮期血圧が 170 mmHg 以上の場合、頭蓋内病変を有している危険性が高くなります。速やかに救急搬送する必要があります。
一方、急激な血圧降下があるときは頭蓋内病変よりも二次的な脳循環不全が原因の可能性があります。心不全や肺塞栓により頻脈や低血圧をきたし昏睡となることがあります。
体温
高体温においては頻脈と発汗を伴い、その後の経過で意識障害となります。高体温となる可能性があるのは敗血症、甲状原クリーゼ、熱中症、悪性症候群、セロトニン症候群などが挙げられます。
脳炎、髄膜炎、脳腫瘍などの中枢神経系の感染症の場合は、意識障害(昏睡)に陥る前から発熱していると考えられます。
すなわち意識障害の後に発熱を伴うときは中枢神経の障害を疑うことができます。脳室穿破を伴う脳出血や脳梗塞・出血による脳幹部の広範囲の障害では発熱する可能性が極めて高くなります。
低体温はバルビツール系の中毒や、脱水、末梢性の循環不全で来すことがあります。
外観、皮膚、粘膜
頭蓋、顔面の外傷性変化、出血に注意する必要があります。意識障害を引き起こし倒れた場合に、結膜出血や鼻出血を伴うことがあります。
耳や鼻からの血性の髄液漏出は頭蓋底骨折を示しています。Battle sign は耳の後側に皮下出血を認めることですが、これも頭蓋底骨折の徴候となります。
外傷による内臓出血や骨盤骨折などがあれば、血圧が低下し顔色の蒼白を認めることが考えられます。顔色等の皮膚の変化にも注意が必要になります。
低血糖
糖尿病の病歴が不明な症例だとしても、血糖異常の可能性を考慮して全症例で血糖測定を行う必要があります。
70 mg/dl 未満が低血糖の定義となりますが、意識障害の危険性が生じる血糖値は 50 mg/dl 未満と考えられます。
50 mg/dl を下回ると倦怠感・無気力となり、さらに低下すると動悸・冷汗・震えを伴います。30 mg/dl 未満となると傾眠から昏睡へと変化します。
意識レベル低下時の対応
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意識障害、急変時の対応
意識障害とは、覚醒や認識の機能が低下した状態のことです。意識障害は、頭蓋内疾患だけでなく、感染症や代謝異常など様々な原因で起こります。意識障害に遭遇した場合、適切な対応をすることが重要です。この記事では、意識障害の原因と急変時の対応について解説します。
急変時の対応
急変時の対応は、以下の 4 つのステップに従って行います。
- ABCの確認
まずは、気道(A)、呼吸(B)、循環(C)の状態を確認します。心停止や呼吸停止の場合は、心肺蘇生法を開始します。 - 意識の客観的評価
次に、意識の程度を客観的に評価します。意識の評価には、JCS(ジャパンコーマスケール)やGCS(グラスゴーコーマスケール)などのスケールを用いて、数値で表します。 - バイタルサイン評価
さらに、バイタルサイン(血圧、脈拍、体温、SpO2など)を測定します。 - 身体所見+血糖測定
最後に、身体所見(皮膚の色、瞳孔の大きさ、筋力など)を観察し、血糖測定を行います。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます!
この記事では「意識障害」をキーワードに考えを述べさせていただきました。
こちらの記事が意識障害についての理解力向上をもたらし、意識障害患者への診療業務に少しでもお力添えになれば幸いです!
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【リハビリテーション専門職の転職サイト】
医療従事者となる理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったリハビリテーション専門職は超高齢社会を突き進む本邦において必要不可欠な職種になります。
実際に近年では、理学療法士は 10,000 ~ 11,000 人程度、作業療法士は 4,000 ~ 5,000 人程度、言語聴覚士は 1,600 ~ 1,800 人程度、国家試験に合格しており、順調に有資格者数が増え続けています。
このように世の中から必要とされている反面、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の給与は他業界と比較して恵まれてるとはいえません。「賃金構造基本統計調査」から他業界と比較してみても2022 年度のリハビリテーション専門職の初任給平均額は 239,100 円となっており、満足できるものではありません。
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参考文献
- 八巻智洋.意識障害慢性期の評価方法.Jpn J Rehabil Med.2020,57,p11-14.
- 卜部貴夫.意識障害.日本内科学会雑誌.第99巻,第5号,平成22年,p168-175.