この記事で得られること
本記事は「意識評価 jcs gcs」の検索意図に合わせ、JCS と GCS の違い、換算の目安、評価手順、そして失神との鑑別を実務寄りに整理します。挿管・鎮静・失語時の記載や経時フォローのコツまでまとめ、臨床でそのまま使える評価シート(A4 自動計算 / Excel ログ)も配布します。
評価は意識レベル単独では完結しません。バイタル・神経所見・代謝要因の併存評価を前提に、当ブログの評価ハブも併読してフローを統一しましょう。
配布|JCS/GCS 評価シート
- A4・自動合計付き JCS/GCS 評価シート(HTML)(印刷向け・ブラウザ100%推奨)
- JCS/GCS バッチ記録シート(Excel)(E/V/M プルダウン・合計自動計算)
※尺度の構造や点数体系はアイデア/事実であり、原典の表現を丸写ししない自作シートは一般に問題ありません。原著図版の転載は行わず、本記事では自作文言で解説しています。
JCS と GCS の違い(使う場面・強み/限界)
JCS は「覚醒レベル(開眼反応)」を 3-3-9 度で簡潔に表す日本の実務標準で、救急・連携の速報性に優れます。GCS は E(開眼)・V(言語)・M(運動)の 3 要素を合計点で示す国際標準で、重症度の層別化や研究での再現性に強みがあります。
使い分けの目安は、JCS=初期評価・伝達の簡潔化、GCS=要素別の変化追跡・重症度層別化です。小児・挿管・鎮静・失語・薬物/代謝性意識障害では注記や補助スケール(例:RASS)を併記します。
JCS ↔ GCS の換算目安(早見表)
| JCS | 状態の目安 | GCS 合計(目安) |
|---|---|---|
| 0 | 清明 | 15 |
| 1–3 | 刺激なしで開眼/応答(軽度の見当識低下など) | 13–15 |
| 10–30 | 呼びかけ・軽い刺激で開眼/応答 | 9–12 |
| 100–300 | 痛み刺激で反応〜反応なし | 3–8 |
※厳密な換算式ではありません。病型・年齢・鎮静の有無でばらつきます。換算は重症度の目安とし、経時変化と臨床判断を優先してください。
評価の手順(観察→刺激→スコア化→記録)
①観察:呼吸様式・自発開眼・発語・自発運動、瞳孔とバイタル。
②声かけ:氏名/場所/時間の見当識、指示に従うか。
③刺激:疼痛刺激は標準化(眉間圧迫や胸骨こすりは避け、上腕二頭筋/爪床などで一定化)。
④スコア化:JCS または GCS(E/V/M)で即時に数値化し、時刻と変化を記録。
⑤共有:悪化トリガー(例:GCS 2 点低下、JCS 桁上げ)をチームで事前合意。
補正の原則:挿管時は V=1 とし注記に t を付け E3V1tM5 のように記載/失語は理解・発声の障害として注記/鎮静は薬剤名・用量・RASS を併記。同一条件(鎮静深度など)で比較します。
失神と意識障害の違い(鑑別フロー)
失神は「一過性の意識消失で自然回復」が特徴で、誘因(立位・排尿・咳嗽・疼痛)と前兆(悪心・冷汗・視野狭窄)を重視します。回復遷延・巣症状・外傷やけいれんを伴う場合は意識障害として精査します。初期対応は体位・気道・呼吸・循環の同時評価、血糖・SpO2・体温の迅速測定が基本です。
起立性低血圧が疑わしいときは、当ブログの血圧チェックプロトコルを併用して経時変化を記録しましょう(体位変換・服薬・脱水・出血の視点)。
印刷して使える・簡易記録欄(JCS/GCS)
| 項目 | 記録欄 |
|---|---|
| JCS | ______ (例:20) |
| GCS | E:__ / V:__ / M:__ 合計:__(例:E3V1tM5=9) |
| 注記 | 挿管/鎮静/失語/けいれん後/低血糖など:______________________________________ |
| 時刻 | ___:___ (経時フォロー:____ → ____ → ____ ) |
| 対応 | 気道・呼吸・循環、血糖、体温、画像/採血オーダ 等:_____________________________ |
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
挿管中で発語不可のときの GCS 記録は?
言語は V=1 とし、注記に t を付けて E◯V1tM◯ と明示します(例:E3V1tM5)。意思疎通は「指示に従う(M6)」で補足します。
鎮静・鎮痛の影響はどう扱う?
薬剤名・用量・投与時刻と RASS などの鎮静スケールを併記し、GCS/JCS は「薬効下での反応」である旨を注記します。比較は同程度の鎮静深度下で行います。
JCS↔GCS の換算は信頼できる?
研究ベースの推定はありますが、病型や年齢、鎮静の有無でばらつきます。換算はあくまで重症度の目安とし、経時変化と臨床判断を優先してください。
参考文献
- Teasdale G, Jennett B. Assessment of coma and impaired consciousness: A practical scale. Lancet. 1974;2(7872):81-84. PubMed / DOI: 10.1016/S0140-6736(74)91639-0
- Teasdale G, et al. The Glasgow Coma Scale at 40 years: standing the test of time. Lancet Neurol. 2014;13(8):844-854. PubMed / DOI: 10.1016/S1474-4422(14)70120-6
- Nakajima M, et al. Development and validation of a method for converting JCS to GCS. J Epidemiol. 2022. PDF
- Shigematsu K, et al. The eye response test alone is sufficient to predict stroke outcome. BMJ Open. 2013;3:e002736. Link
- Yumoto T, et al. Association of JCS on arrival with outcomes in adult trauma. BMC Emerg Med. 2019;19:65. Link


