
こんにちは!リハビリくんです!
こちらでは「栄養スクリーニング手法の 1 つであるSGA(主観的包括的栄養評価)」をキーワードに記事を書いていきます!
リハビリテーションの実施にあたって、短時間で実施することができる栄養スクリーニングの存在は非常に重要になります。しかし、栄養スクリーニングの種類については様々なものがありますので、どの栄養スクリーニングを使用すればいいのかは悩むんでしまうと思います。
その中でも本邦ではSGA(主観的包括的栄養評価)が最も使用率が高いと考えられます。SGAは問診と病歴、簡単な身体所見で全体的な栄養状態を評価することが可能であり、有用なスクリーニングツールとなります。
- SGA(主観的包括的栄養評価)とは?
- SGAの評価方法が知りたい
- SGAの評価用紙が欲しい
- 栄養スクリーニングについて学びたい
栄養評価を実施する上で、様々な疑問を抱えることがあると思います!そんな方のために、こちらの記事を読むことで上記の疑問が解決できるようにしたいと思います!是非、最後までご覧になってください!

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士として働いていると、一般的な会社員とは異なるリハビリ専門職ならではの苦悩や辛いことがあると思います。当サイト(rehabilikun blog)ではそのような療法士の働き方に対する記事も作成し、働き方改革の一助に携わりたいと考えております。
理学療法士としての主な取得資格は以下の通りです
登録理学療法士
脳卒中認定理学療法士
褥瘡 創傷ケア認定理学療法士
3学会合同呼吸療法認定士
福祉住環境コーディネーター2級
栄養状態の評価について
臨床現場において、低栄養は身体機能や予後に直結する重要な課題です。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、リハビリテーションの効果を最大限に引き出すために、栄養状態の正確な評価を理解し、適切に活用する必要があります。
栄養状態の評価方法は「栄養アセスメント」と「栄養スクリーニング」の 2 つに分類されますが、両者はしばしば混同されており、その違いを理解できていないケースも少なくありません。「栄養アセスメント」と「栄養スクリーニング」は目的・方法・実施タイミングが異なり、正しく使い分けることが質の高い医療・リハビリ介入につながります。リハビリ専門職だからこそ知っておくべき栄養評価のポイントを解説します。
栄養スクリーニングとは

栄養スクリーニングは、「栄養障害のリスクを効率的に抽出する一次評価」です。臨床の早期段階で実施され、低栄養リスクのある患者を見逃さないことを目的としています。特徴は以下の通りです。
- 簡便で迅速(数分で完結することが多い)
- 非侵襲的かつ低コスト
- 妥当性・信頼性が確立されたツールを使用
- 医療者の専門性を問わず実施可能
代表的なツールとして MST(Malnutrition Screening Tool)、MUST(Malnutrition Universal Screening Tool)、NRS-2002 などが挙げられます。スクリーニングの結果「リスクあり」と判定された場合、次に詳細なアセスメントに進む流れとなります。
栄養アセスメントとは
栄養アセスメントは、「栄養状態を包括的に診断・評価する二次評価」です。身体計測、生化学的検査、食事摂取状況、身体機能、臨床症状など多面的な情報を統合し、低栄養の有無や程度を明確にします。主な特徴は以下の通りです。
- 詳細かつ包括的な調査が可能
- 専門的な知識と技術を要する
- 実施に時間とコストがかかる
- 治療方針やリハビリ計画に直結
代表的な評価法には、MNA(Mini Nutritional Assessment)、SGA(Subjective Global Assessment)があります。特に SGA は臨床判断を重視しており、体重変化・摂食状況・消化器症状・身体診察所見を組み合わせて栄養状態を診断します。
SGA(主観的包括的栄養評価)

SGA(Subjective Global Assessment:主観的包括的栄養評価)は、病歴と身体所見のみで低栄養の有無・重症度を「総合判定」する評価法です。
1982 年にカナダの Baker らが開発しており、その報告以降、入院・術前・がん・ICU など多様な集団で予後予測(在院日数・合併症・死亡)との関連が示され、臨床で広く利用されています。
SGA には数値的なカットオフは設定せず、評価者の熟練度と標準化が信頼性を左右します。SGA はスクリーニング後の詳細評価として位置づけられ、例えば NRS-2002 などでリスク抽出→ SGA という流れが推奨されます。
評価項目

SGAの基本構造は以下の通りとなります。「A:病歴の聴取」と「B:身体所見」の大きく 2 つの視点から栄養状態を把握し、最終判定を行います。
- A:病歴の聴取(5項目)
- 1) 体重変化
- 2) 食事摂取量の変化
- 3) 消化器症状
- 4) 身体機能(活動性)
- 5) 疾患と栄養必要量の関連
- B:身体所見(5項目)
- 1)皮下脂肪の減少
- 2) 筋量の減少
- 3) 踵部浮腫
- 4) 仙骨部浮腫
- 5) 腹水
- C:最終判定
- A(栄養良好)
- B(中等度低栄養)
- C(高度低栄養)
これらは原法および実務用の記録様式に準拠しています。
評価方法

SGA(主観的包括的栄養評価)はその名称からもわかるように検査者の主観に左右されるアセスメント法になります。
したがって「A:病歴」の 5 項目、「B:身体所見」の 5 項目の評価が重要になります。各項目の評価の視点について、わかりやすく解説していきます。
「A:病歴」体重変化
過去 6 か月間および 2 週間の体重変化について確認する項目になります。
過去 6 か月間の体重変化は慢性的進行性症状や食習慣の変化が原因で、過去 2 週間の体重変化は栄養不良のリスクが高いことを示唆しています。

体重減少率については以下の計算式で算出します。
(6ヶ月前体重 − 現体重) ÷ 6ヶ月前体重 × 100
(例)
6ヶ月前体重:60kg、現体重:55kg の場合
(60kg - 55kg)÷ 60kg × 100 = 8.33
体重減少率:8.33 %
体重減少率の結果は以下のように解釈します。
- 5 % 未満:軽度栄養不良
- 5 % 以上 10 % 未満:中等度栄養不良
- 10 % 以上:高度栄養不良
患者への聴取で過去の体重減少量が不明な場合もあります。そのような場合には「服のサイズに変化はないか」「周囲から痩せたと言われないか」など、どれくらい痩せたか連想できるような聞きとりを行います。
「A:病歴」食事摂取状況の変化
平常時と比較し、摂取量の減少や摂取内容の変化がないかどうかを確認する項目になります。食事摂取状況に変化が見られるようであれば、その持続期間を聴取します。

食物摂取習慣の変化の原因が疾病である場合は栄養不良の危険性が高くなります。
食事摂取状況だけの聴取に留まらず、食形態・食事回数・食事内容・食事時間・ムセの有無などを含めて確認することで、より評価の質は高くなります。
「A:病歴」消化器症状
2 週間以上にわたり悪心、嘔吐、下痢などの消化器症状が持続している場合には、低栄養状態であることが疑われます。

短期間の嘔吐や一時的な下痢は大きな問題にはなりませんが、毎日もしくは 1 日おきに嘔吐や下痢が認められるような場合には、栄養の吸収不良が考えられます。したがって症状に加えて持続期間を確認します。
「A:病歴」機能制限(身体機能)

患者の日常生活や仕事の活動レベルに変化がないかどうかを確認する項目になります。機能制限(身体機能)の有無によって、必要栄養量に対し摂取栄養量の過不足がないかを判断します。
機能制限(身体機能)の有無については、「日常生活が可能かどうか」「歩行が可能かどうか」
「寝たきりか」の 3 段階で評価します。
寝たきり状態など身体機能の低下が栄養状態の変化を反映している場合もあるため、その期間や内容を把握して判定の材料とします。
「A:病歴」基礎疾患と栄養必要量の関係

疾患を伴うとエネルギー必要量は変化し、一般的に侵襲(ストレス)が大きいほど、エネルギー必要量は増大します。
こちらの項目では侵襲の程度を 4 段階に分類し、エネルギー消費量の変化を栄養状態の判定材料とします。
B:身体所見
この項目では、視診や触診により対象者の身体を観察し、判定者の主観により正常(0)、軽度(1+)、中等度(2+)、高度(3+)の 4 段階で判定します。

筋肉や脂肪の喪失、浮腫などから栄養不良による身体構成成分の変化を推測します。具体的にいえば以下の 5 箇所の身体部位で確認します。
- 皮下脂肪の減少(上腕三頭筋、胸部)
- 骨格筋量の減少(大腿四頭筋、三角筋)
- 踵部の浮腫
- 仙骨部の浮腫
- 腹水
浮腫や腹水は低栄養だけで生じるものではなく、他の疾患の徴候でもあるため、その鑑別が重要になります。
また、浮腫や腹水の存在は体重減少を過小評価させる可能性があるため、より詳細な評価と記録が必要になります。
C:SGA(主観的包括的栄養評価)
「A:病歴」と「B:身体所見」の結果を踏まえて最終的に「C:SGA(主観的包括的栄養評価)」で「良好」「中等度低栄養」「高度低栄養」の 3 段階で栄養状態を判定します。
全ての項目の結果を考慮して最終結果を出しますが、なかでも体重減少、食事摂取状況、皮下脂肪 や筋肉量の減少に注目して判定することが重要になります。
評価用紙

主観的包括的栄養評価:SGAの評価表をダウンロードすることができます。評価表が必要な方はこちらからどうぞ☺
カットオフ値
結論から述べると、SGA には明確なカットオフ値は存在しません。SGA は数値化されたスコアではなく、以下の 2 つの情報を総合的に判定者が評価する「主観的」な方法です。
- A:病歴(体重変化、食事摂取量、消化器症状、活動性、基礎疾患との関連)
- B:身体所見(皮下脂肪減少、筋量減少、浮腫・腹水)
最終的に以下の 3 分類で栄養状態を判定します。
- A:栄養良好
- B:中等度低栄養
- C:高度低栄養
つまり、「何点以下が低栄養」といった絶対的な数値基準はなく、1 項目でも重大な問題があれば中等度以上の低栄養と判断される場合が多いのが特徴です。
SGA以外の栄養評価表
SGA の特徴を浮き彫りにするため、臨床でよく用いられる MNA(Mini Nutritional Assessment) と MUST(Malnutrition Universal Screening Tool)と比較します。

- SGA は「主観的で数値カットオフがない」代わりに、あらゆる疾患・病態に対応できる柔軟な栄養アセスメント
- MNA は高齢者評価に特化し、在宅・施設・病院を問わずリハ職が活用しやすい
- MUST はスクリーニング向きで、リハ開始時に短時間で低栄養リスクを抽出可能。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます!
SGA(主観的包括的栄養評価)は、病歴と身体所見のみを基に栄養状態を「良好・中等度低栄養・高度低栄養」の 3 段階で判定する包括的な評価法です。体重変化や食事摂取状況、消化器症状、活動性、基礎疾患の影響といった病歴と、皮下脂肪や筋量、浮腫・腹水といった身体所見を総合的に判断します。
数値的なカットオフはなく主観的要素が強いものの、在院日数や合併症、予後の予測に有用とされ、低栄養介入のトリガーとして広く用いられています。
SGA 以外のスクリーニング検査については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【リハと栄養管理についての記事はこちらから】
参考文献
- 荒木厚.栄養障害.日本老年医学会雑誌.47巻,6 号,2010:11,p530-533.
- 早川麻理子,西村佳代子,山田卓也,岩田尚,竹村博文.栄養アセスメントツールの対象患者と効果的な活用.静脈経腸栄養.Vol.25,No.2,2010,p581-584.
- 森澤茜,亀井千広,鈴木富夫,加藤昌彦.SGA(主観的包括的栄養評価).栄養-評価と治療.vol.28,no.2,p18-21.
- 小島夕美,市川顕子.SGA(主観的包括的栄養評価).透析ケア.2023,vol.29,no.10,p16-18.