- MNA-SFの評価方法|6項目を採点して低栄養リスクを判定する
- MNA-SFは6項目の確認から判定後の対応までを一続きで行う
- MNA-SFはスクリーニング、Full MNAは詳細な栄養アセスメントに使う
- MNA-SFは食事量・体重・移動能力・疾患・精神状態・体格の6項目で構成される
- BMIを算出できない場合は下腿周囲長を代替指標として使用する
- MNA-SFは12〜14点・8〜11点・0〜7点の3区分で判定する
- MNA-SFは得点の根拠と判定後の予定まで記録する
- MNA-SFでよくある誤りは未確認項目・測定条件・診断との混同である
- MNA-SF記録シートPDFで点数・根拠・次の対応を残す
- MNA-SFのよくある質問
- MNA-SFの判定後は詳細評価または運用手順へ進む
- 参考文献
- 著者情報
MNA-SFの評価方法|6項目を採点して低栄養リスクを判定する
MNA-SF(Mini Nutritional Assessment-Short Form)は、65歳以上の高齢者における低栄養または低栄養リスクを、6項目・0〜14点で確認するスクリーニングツールです。12〜14点は栄養状態良好、8〜11点は低栄養のおそれあり、0〜7点は低栄養と判定します。
評価は、6項目の確認、BMIまたは下腿周囲長の取得、採点、判定後の対応という順番で進めます。本記事では、評価の流れ、BMIを算出できない場合の対応、記録時の注意点、自動計算ツール、A4記録シートをまとめます。正確な設問と採点区分は、必ず公式日本語版フォームを併用してください。
MNA-SFは6項目の確認から判定後の対応までを一続きで行う
MNA-SFは短時間で実施できますが、点数を出すだけでは栄養支援につながりません。評価前に必要な情報をそろえ、判定後の追加評価・連携・再評価まで記録します。
| 手順 | 確認すること | 迷いやすい点 | 記録する内容 |
|---|---|---|---|
| 1.情報を確認する | 食事量、体重変化、移動能力、急性疾患・心理的ストレス、精神心理学的問題を確認する | 本人の回答だけでは経過が分からない場合がある | 情報源、対象期間、回答の根拠 |
| 2.体格を確認する | 身長と体重からBMIを算出する。BMIを算出できない場合は下腿周囲長を使用する | 推定値と実測値が混在しやすい | 測定日、実測・推定の別、測定条件 |
| 3.6項目を採点する | 公式フォームに沿って各項目を採点し、0〜14点で合計する | 未確認項目があるまま合計してしまう | 各項目の点数と判断根拠 |
| 4.判定後につなげる | 結果に応じて追加評価、栄養支援、多職種連携を検討する | スクリーニングだけで終了しやすい | 連携先、次の評価、対応内容、再評価日 |
MNA-SFはスクリーニング、Full MNAは詳細な栄養アセスメントに使う
MNA-SFは、低栄養または低栄養リスクを短時間で拾い上げるための6項目のスクリーニングツールです。一方、Full MNAはスクリーニング項目を含む18項目で構成され、栄養状態をより詳しく確認します。
MNA-SFが0〜11点であった場合は、MNA-SFの点数だけで原因や介入内容を決めず、食事摂取量、体重変化、筋量、疾患・炎症、嚥下・口腔機能などを追加で確認します。必要に応じてFull MNAやGLIMなど、施設で採用している評価手順へ進みます。
MNA-SFは食事量・体重・移動能力・疾患・精神状態・体格の6項目で構成される
MNA-SFで確認するのは、食事摂取量の減少、体重減少、移動能力、急性疾患または心理的ストレス、精神心理学的問題、BMIまたは下腿周囲長の6項目です。
以下の表は、評価の全体像を把握するための要約です。設問の表現や各選択肢の正確な点数は、公式日本語版フォームで確認してください。
| 項目 | 主に確認する内容 | 得点範囲 | 記録で残すこと |
|---|---|---|---|
| A.食事摂取量 | 過去3か月の食事量減少と、その原因 | 0〜2点 | 摂取量の変化、咀嚼・嚥下、食欲、消化器症状など |
| B.体重減少 | 過去3か月の体重変化 | 0〜3点 | 比較した体重、測定日、体重変化が不明な理由 |
| C.移動能力 | ベッド・椅子からの離床や外出の状況 | 0〜2点 | 屋内移動、外出、介助や福祉用具の状況 |
| D.急性疾患・心理的ストレス | 過去3か月の急性疾患または心理的ストレスの有無 | 0または2点 | 該当する出来事と時期 |
| E.精神心理学的問題 | 認知症や抑うつ状態などの有無と程度 | 0〜2点 | 判断に使用した情報源や既往歴 |
| F.BMIまたは下腿周囲長 | BMIを使用し、算出できない場合は下腿周囲長で代替する | 0〜3点 | 測定値、測定日、浮腫や装具などの測定条件 |
BMIを算出できない場合は下腿周囲長を代替指標として使用する
MNA-SFでは、身長または体重を取得できずBMIを算出できない場合、下腿周囲長を使用できます。公式フォームでは、下腿周囲長31cm未満を0点、31cm以上を3点として採点します。
下腿周囲長を測る際は、下腿の最大周径を確認し、メジャーが下腿の長軸に対して直角になるように当てます。測定側、姿勢、浮腫、装具、ギプスなど、数値へ影響する条件も記録してください。
MNA-SFの下腿周囲長31cmは、MNA-SFを採点するための基準です。GLIMやサルコペニア評価で用いる性別ごとの下腿周囲長基準と混同しないようにします。
MNA-SFは12〜14点・8〜11点・0〜7点の3区分で判定する
MNA-SFの合計点は0〜14点です。12〜14点は栄養状態良好、8〜11点は低栄養のおそれあり、0〜7点は低栄養と判定します。

MNA-SF自動計算(0〜14点)
公式フォームで採点したA〜Fの点数を選択してください。6項目すべての入力後に合計と判定を表示します。
入力状況:0 / 6項目
合計:—
判定:—
確認事項:6項目すべてを入力してください。
判定区分を確認する
12〜14点:栄養状態良好 / 8〜11点:低栄養のおそれあり / 0〜7点:低栄養
| 合計点 | 判定 | 判定後の確認 |
|---|---|---|
| 12〜14点 | 栄養状態良好 | 現在の状態を記録し、状態変化や施設の運用基準に応じて再スクリーニングする |
| 8〜11点 | 低栄養のおそれあり | 摂取量、体重変化、嚥下・口腔機能、疾患、炎症、筋量などを追加で確認する |
| 0〜7点 | 低栄養 | 管理栄養士や主治医を含む多職種で原因を整理し、栄養管理と再評価計画を検討する |
MNA-SFは低栄養リスクを拾い上げるためのスクリーニングであり、それだけで低栄養の病因や重症度を確定するものではありません。0〜11点の場合は、スコアの内訳と臨床情報を確認し、追加評価へつなげます。
MNA-SFは得点の根拠と判定後の予定まで記録する
再評価時に比較するためには、合計点だけでなく、各項目をどの情報から判断したかを残す必要があります。特に、食事量、体重変化、移動能力、下腿周囲長は、測定条件や情報源によって評価が変わることがあります。
- 食事量:「減少あり」だけでなく、摂取割合、原因、確認期間を記録する
- 体重:現在値、比較値、それぞれの測定日を記録する
- 移動能力:介助や福祉用具を含めた実際の生活範囲を確認する
- BMI・下腿周囲長:実測値、測定姿勢、浮腫や装具の有無を残す
- 判定後:追加評価、連携先、対応内容、再評価予定を決める
MNA-SFでよくある誤りは未確認項目・測定条件・診断との混同である
| よくある誤り | 問題点 | 修正方法 | 記録例 |
|---|---|---|---|
| BMIを算出できないためFを空欄にする | 合計点を正しく算出できない | 公式フォームに従い、下腿周囲長を使用する | 「身長測定困難のため下腿周囲長を使用」 |
| 一部の項目が未確認のまま判定する | 本来の合計点ではない数値で分類してしまう | 6項目を確認してから合計する | 「体重歴を家族へ確認後に再採点」 |
| 浮腫がある下腿周囲長を条件なしで記録する | 次回値との比較が難しくなる | 浮腫、測定側、姿勢などを併記する | 「右下腿、座位、浮腫あり」 |
| MNA-SFの点数だけで介入内容を決める | 低栄養の原因や必要な支援を特定できない | 摂取量、疾患、炎症、嚥下、口腔、筋量などを追加評価する | 「管理栄養士へ共有、嚥下・口腔機能を追加確認」 |
| アルブミン値などをMNA-SFの点数へ加える | 公式の採点方法と異なる評価になる | 採血結果は補助情報として別に記録する | 「採血結果は栄養評価欄で別途共有」 |
MNA-SF記録シートPDFで点数・根拠・次の対応を残す
以下のA4記録シートは、MNA-SFの得点、判断根拠、判定後の対応、再評価予定をまとめるための補助資料です。正式な設問と採点は、公式日本語版フォームで確認してください。
PDFのプレビューを表示する
正確な設問、選択肢、採点区分は、MNA公式フォームおよびUser Guideで確認できます。
MNA-SFのよくある質問
質問をタップすると回答が開きます。
BMIを算出できない場合はどうしますか?
MNA-SFでは、BMIを算出できない場合に下腿周囲長を使用できます。公式フォームでは31cm未満が0点、31cm以上が3点です。測定値だけでなく、測定側、姿勢、浮腫や装具の有無も記録してください。
MNA-SFは何歳から使用できますか?
MNAは、主に65歳以上の高齢者を対象として開発・検証された栄養スクリーニングツールです。65歳未満や特定疾患の集団では、対象者と診療場面に適した別のスクリーニングツールも検討します。
MNA-SFはどのくらいの頻度で再評価しますか?
すべての対象者に共通する一律の間隔ではなく、施設の栄養管理手順、入退院時の運用、疾患経過、摂取量や体重の変化に合わせて決めます。状態変化があった場合や介入後は、予定日を待たずに再評価を検討します。
MNA-SFが0〜11点ならFull MNAを必ず行いますか?
公式のFull MNAフォームでは、スクリーニング値が11点以下の場合に続くアセスメントへ進む構成です。ただし、実際に使用する追加評価は施設の運用によって異なります。Full MNA、GLIM、食事摂取量、体重、筋量、疾患・炎症、嚥下・口腔機能などを組み合わせ、低栄養の原因と対応を検討してください。
MNA-SFの判定後は詳細評価または運用手順へ進む
MNA-SFを実施した後は、結果に応じて詳細な栄養アセスメントへ進みます。院内で実施方法が統一されていない場合は、実施者、連携先、再評価時期を含む運用手順を整えます。
評価を標準化しにくい原因を整理したい方へ
評価方法を整えても、教育体制や相談環境によって運用が定着しない場合があります。既存のチェックシートで、現在の職場環境を整理できます。
参考文献
- Rubenstein LZ, Harker JO, Salvà A, et al. Screening for undernutrition in geriatric practice: developing the Short-Form Mini-Nutritional Assessment. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2001;56(6):M366-M372. doi:10.1093/gerona/56.6.M366 PubMed
- Kaiser MJ, Bauer JM, Ramsch C, et al. Validation of the Mini Nutritional Assessment Short-Form: a practical tool for identification of nutritional status. J Nutr Health Aging. 2009;13(9):782-788. doi:10.1007/s12603-009-0214-7 PubMed
- Mini Nutritional Assessment. MNA forms and user guide. MNA forms / User Guide / Japanese form
- Cederholm T, Jensen GL, Correia MITD, et al. GLIM criteria for the diagnosis of malnutrition: a consensus report from the global clinical nutrition community. Clin Nutr. 2019;38(1):1-9. doi:10.1016/j.clnu.2018.08.002 PubMed
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関、介護福祉施設、訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

