NSI の評価方法|高齢者の栄養スクリーニング

栄養・嚥下
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NSI( DETERMINE )とは?(生活背景ごとに栄養リスクを拾う入口評価)

NSI( Nutrition Screening Initiative )の DETERMINE チェックリストは、高齢者の栄養リスクを「体重や食事量だけでなく、生活背景ごと」に拾う入口評価です。独居、買い物や調理の困難、口腔、服薬、経済・社会面など、在宅や地域で見落としやすい要因を最初に可視化しやすいのが強みです。

一方で、NSI は診断や重症度確定のための単独ツールではありません。合計点でふるい分けをしたあと、MNA-SF や MST、入院場面では NRS-2002 などへつなぎ、「何が詰まっているか」を連携へ渡す入口として使うと現場で回りやすくなります。

ダウンロード(PDF 記録シート・自動計算ツール)

記録条件と判定条件をそろえると、再評価の解釈がブレにくくなります。以下に、A4 で使える記録シート PDF と、その場で合計点を確認できる自動計算ツールをまとめました。

1.記録シート PDF( A4 1 枚 )

印刷して使いたい方向けの記録シートです。患者情報、固定条件、採点欄、再評価メモを 1 枚にまとめています。

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2.自動計算ツール

10 項目を入力すると、合計点、リスク帯、次アクションの目安をその場で確認できます。外来・在宅・地域での入口評価を、同じ判定条件でそろえたいときに便利です。

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※設問本文の確認が必要な場合は、配布元の公式資料に沿って運用してください。記録シートと自動計算ツールは、現場での記録と判定をそろえやすくする補助用です。

対象者と実施タイミング(どの場面で効く?)

NSI は、外来・在宅・地域で「生活要因が栄養に影響していそう」と感じたときに使いやすいツールです。独居、買い物困難、口腔トラブル、多剤併用など、見落としやすい背景を入口で可視化できます。

実施タイミングは、初回面談、退院前評価、サービス開始時など、環境が切り替わる場面が向いています。再評価ではスコアだけでなく、体重測定条件や食事量の見方も固定し、変化を説明できる形で追うことが大切です。

実施手順とスコア判定(NSI 10 項目)

手順自体はシンプルですが、運用の精度は「確認の仕方」で変わります。自己記入でも実施できますが、認知機能、視聴覚、家族支援、生活背景の聞き取りを考えると、面接での確認を併用したほうが安心です。

合計点で層別したうえで、どの領域が引っかかったかを根拠として記録します。陽性や境界例では二次評価へ進み、管理栄養士、歯科、薬剤師、地域包括などへの橋渡しまで含めて「次アクション」を決めておくと、やりっぱなしを防げます。

NSI( DETERMINE )スコア判定と再評価の目安(高齢者:外来 / 在宅の入口)
合計 リスク帯 次アクション 再評価目安
0〜2 点 低リスク 体重・食事量の経過観察。必要時のみ追加評価。 6 か月後
3〜5 点 中等度 二次評価( MNA-SF / MST など)+原因候補(口腔・服薬・社会資源)を整理。 3 か月後
6 点以上 高リスク 管理栄養士コンサルトを優先。摂取量・体重・口腔 / 嚥下・服薬・支援体制をセットで共有。 短期(連携後に設定)

現場の詰まりどころと対策(よくあるミス)

NSI が形骸化しやすいポイントは、「体重と食事量の扱い」「社会要因の放置」「連携の手前で止まる」の 3 つです。ここを先に潰しておくと、スクリーニングがやりっぱなしになりにくくなります。

よくある失敗一覧回避手順 を先にチームで共有すると、入口評価の再現性が上がります。関連:栄養スクリーニング(低栄養リスク)の使い分け

よくある失敗一覧

NSI 運用で起きやすいミスと、すぐ効く対策(在宅 / 外来)
よくあるミス 起きる理由 対策 記録のコツ
体重変化を自己申告だけで判断 測定条件がバラバラで、差がノイズになる 測定条件(時間帯・衣服)を固定し、家族情報や記録で裏取りする 「いつ・どの条件で測ったか」を一行で残す
口腔 / 歯科要因を見落とす 摂取低下が本人の嗜好に見えやすい 義歯不適合・疼痛・乾燥の確認 → 口腔ケア / 歯科連携の導線を固定する 口腔所見(義歯・疼痛・乾燥)を定型でチェックする
多剤併用の影響を拾わない 食欲低下・便秘・口渇が薬剤性でも気づきにくい 薬剤師と「食欲に影響しやすい薬」を共有し、変更余地を検討する 症状と服薬変更のタイムラインを残す
社会的孤立を情報で終える 支援につなぐ手順が決まっていない 配食・見守り・買い物支援・地域包括を次アクションとしてセット化する 連絡先(担当 / 依頼内容)まで記録して再現性を上げる

回避手順

回避手順は、①測定条件を固定する、②合計点だけでなく引っかかった領域を残す、③二次評価と連携先を同時に決める、の順です。とくに「独居」「買い物困難」「口腔トラブル」「多剤併用」などの背景は、再評価時の説明力につながります。

スコアが同じでも、詰まりどころが違えば必要な支援は変わります。だからこそ、NSI は合計点だけで終わらせず、「どこが詰まっているか」を一行メモで残す運用が大切です。

他ツールとの使い分け(NSI は入口)

NSI は生活・社会要因まで含めて拾える一方、二次評価や入院場面での優先順位づけは、別ツールのほうが得意です。つまり、NSI は「入口」、MNA-SF や MST は「もう一段深くみる」、NRS-2002 は「入院で介入優先度を決める」と整理すると運用しやすくなります。

このページでは NSI 単体の使い方に絞り、比較は「何を拾うためのツールか」が一目でわかる範囲にとどめます。総論記事で全体像を確認し、このページでは在宅・地域での入口運用に集中すると、記事同士の役割がぶれません。

主要栄養スクリーニングの比較(成人・高齢者)
ツール 主な場面 強み 所要 陽性目安
NSI( DETERMINE ) 地域・外来・在宅 生活・社会要因まで広く拾える。自己記入 / 面接が可能。 短時間 3〜5 点=中等度 / 6 点以上=高リスク
MNA-SF 高齢者全般 高齢者特化で、二次評価につなげやすい。 短時間 カットオフにより精査 / 介入
MST 外来・入院 体重減少と食欲低下に絞って素早く確認しやすい。 短時間 2 点以上で介入検討
NRS-2002 入院 疾患重症度 × 栄養状態 × 年齢で判定し、病棟運用に強い。 短時間 基準により介入 / フォロー頻度を決定

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

入院患者でも NSI( DETERMINE )を使ってよい?

入院では NRS-2002 など入院向けツールを優先するのが基本です。NSI は、入院前から続く生活要因(独居・買い物困難・服薬影響など)を整理し、退院後の課題を共有する補助として使うと実務に合います。

自己記入と面接、どちらが良い?

自己記入でも可能ですが、認知機能、視聴覚、家族支援の有無などの影響が大きいため、面接での確認を併用すると安心です。運用としては「事前自己記入 → 面接で記入漏れと解釈のズレを補正」が取り入れやすい形です。

3〜5 点と 6 点以上では、何を変えるべき?

3〜5 点では二次評価と原因整理をセットで行い、6 点以上では管理栄養士コンサルトや支援体制の調整を優先します。ポイントは、合計点だけでなく「どの領域が引っかかったか」を共有することです。

0〜2 点なら安心してよい?

低リスクでも安心し切るのは早いです。急な食事量低下、最近の体重減少、口腔トラブル、独居化など、短期間で状況が変わることがあります。スコアが低くても、気になる変化があれば追加評価を検討します。

次の一手

NSI は「入口で拾う」には有用ですが、実務ではその後の二次評価と連携導線まで決めて初めて機能します。次は、全体像と実装の型をつなげて整えていきましょう。

関連:栄養スクリーニングの使い分けをみる

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運用を整えたあとに、職場環境の詰まりも点検しておきましょう

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参考文献

  1. White JV, Dwyer JT, Posner BM, Ham RJ, Lipschitz DA, Wellman NS. Nutrition screening initiative: development and implementation of the public awareness checklist and screening tools. J Am Diet Assoc. 1992;92(2):163-167. PubMed
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著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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