【SF-36とは】36項目100点満点【健康関連QOL評価方法】

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この記事の内容
  1. この記事は「SF-36」をキーワードに内容を構成しています。
  2. SF-36(36-Item Short Form Health Survey)は、健康関連 QOL(Quality of Life)を包括的に評価するために開発された質問票で、36 項目から構成され 100 点満点でスコア化されます。
  3. 身体的健康と精神的健康の双方を多面的に捉えることができ、疾患の影響やリハビリ介入の効果判定に広く活用されています。
  4. 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士にとっても、SF-36 は機能評価に加えて生活の質を把握する有効な指標です。
  5. 本記事では、その評価方法と臨床での活用意義を解説します。
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理学療法士として以下の経験と実績を持つリハビリくんが解説します♪

リハビリくんの実績
  1. rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設
  2. 2025 年 8 月時点:185 記事公開(月間 3 万 PV)
  3. 実務経験(医療機関、介護福祉施設、訪問リハビリ等)
  4. 講師活動(脳卒中、褥瘡等をテーマに複数回講演)
  5. 脳卒中 認定理学療法士
  6. 褥瘡 創傷ケア 認定理学療法士
  7. 3 学会合同呼吸療法認定士
  8. 福祉住環境コーディネーター 2 級
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QOL とは?Quality Of Life

QOLは「Quality Of Life」を省略した言葉であり、日本語では「生活の質」や「生命の質」と訳されます。

高齢化の進む日本では、「単に生きるだけではなく充実した人生を過ごすこと」や「自分らしさを保って暮らすこと」が人生の充実に直結すると考えられており、近年重要視されている指標になります。

現代の医学・医療の進歩は、単に疾病を治療・予防するだけでなく、患者の視点に立ったQOLの向上を求める方向へ向かっております。そこで、アウトカム研究の指標としてQOLは重要視されています。

健康関連 QOL について

前項にてQOLの説明をさせていただきましたが、こちらでは健康関連QOLについて説明させていただきます。

健康関連QOLとは「疾患や治療が、患者の主観的健康感(メンタルへルス・活力・痛みなど)や、毎日行っている仕事・家事・社会活動にどのようなインパクトを与えているか、これを定量化したもの」とされています。

医療や介護でQOLが使われる際は、疾患によって影響を受け、医療によって変化していく患者の身体的・精神的・社会的な側面が着目されます。

健康関連QOLの特性として言えることは、3つの側面共通して、患者が感じるアウトカムということになります。患者が感じるQOLを測定するために、第三者が評定するのではなく、患者自身が自己判定し報告することが原則とされております。

SF-36®を簡単に説明

SF-36®(MOS Short-Form 36-Item Health Survey)は、世界で最も広く使われている自己報告式の健康状態調査票になります。特定の疾患や症状などに特有な健康状態ではなく、包括的な健康概念を8 つの領域によって測定 するように組み立てられています。

わずか 36 項目の質問、5 分程度の回答時間で包括的な健康度を測定するため、さまざまな疾患を持つ患者の健康度の記述、治療やケアのアウトカム評価、一般住民の健康調査など、多岐にわたる目的に使用されております。

SF-36®はMOSと一緒に開発された尺度である

SF-36® (MOS Short-Form 36-Item Health Survey)は、1980 年代にアメリカで行われた医療評価研究である Medical Outcome Study(MOS)に伴って作成された尺度となります。

MOSとは主要慢性疾患患者を対象とし、医療保険システムの種類や医師の専門などのケア供給者側 の特性が、患者のアウトカムへ及ぼす影響などを評価することを目的とした大規模なアウトカム研究になります。

MOS調査では広く使用されている健康調査票で最もよく測定されるもの、病気や治療の影響を最も多く受けるものを含むように、40 の健康概念、149 項目のバージョンが作成されております。

SF-36® では、MOS 調査票の40 領域から主要な 8 つの概念が採択されています。様々な集団を対象とした研究を経て、SF-36® はその信頼性、妥当性、反応性において、計量心理学的に十分な特性を持つ尺度であることが証明されています。

SF-36® の項目と尺度は、包括的な健康度を測定するものになります。包括的であることにより、様々な疾患の患者や疾患を持たない人を対象にすることができるため、疾病の異なる患者間での比較や、患者と一般人との比較が可能になっています。また、SF-36® は病気や不健康の側面のみならず、予防や健康増進といった側面の研究にも使用可能となっています。

SF-36® 評価項目

36項目の質問より構成されており、以下の8つの下位尺度に分類されます。1~4 は身体的健康度に強く関連し、5 ~8 は精神的健康度に強く関連します。下位尺度は100点満点でスコア化され、スコアが高いほどQOLが高いことを意味します。

  1. 身体機能:質問数10項目
  2. 日常役割機能(身体):質問数4項目
  3. 体の痛み:質問数2項目
  4. 全体的健康感:質問数5項目
  5. 活力:質問数5項目
  6. 社会生活機能:質問数2項目
  7. 日常役割機能(精神):質問数3項目
  8. 心の健康:質問数5項目

SF-36® の得点と解釈

各下位尺度は、一部選択肢の重みづけがなされた後、0 〜 100 点の範囲で得点が高いほど良い健康度を表すように得点化されます。各下位尺度項目の半数以上に回答がある場合には、欠損値をその下位尺度の平均値で置き換える処理がなされます。

SF-36® は、各尺度の国民標準値が性別年代別に算出されていることが大きな特徴のひとつになります。標準値の平均値と標準偏差を使用して、偏差得点を算出することにより、調査対象群のQOL の特徴を全国標準値との比較によって解釈することが可能となります。

尺度のスコアリング方法、日本人の国民標準値については、SF-36 日本語版マニュアルに詳細が述べられています。

推奨グレード(エビデンスレベル)

日本理学療法士協会が発行しているガイドラインによるとSF-36®はQOLの評価として推奨グレードAと報告されております。

「脳卒中における理学療法診療ガイドライン」「地域理学療法診療ガイドライン」「高齢者理学療法診療ガイドライン」等、複数領域で推奨グレードAとなっており、信頼性および妥当性が高いことがわかります。

SF-36®は健康関連QOLのひとつの手段でありますが、パーキンソン病に特化したQOL評価法にPDQ-39 という尺度があります。PDQ-39については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【PDQ-39を解説!パーキンソン病QOL評価についての記事はこちらから

SF-36 注意点

SF-36 は Qualitest 株式会社で取り扱っている尺度(調査票)になります。Qualitest株式会社で取り扱っている尺度(調査票)を使用するためには、使用登録を行い使用料(ライセンス料、管理料)」をお支払いする必要があります。

詳しくは Qualitest 株式会社のホームページをご確認ください。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「SF-36®:健康関連QOL評価」をキーワードに考えを述べさせていただきました。

こちらの記事がSF-36®使用上の疑問の解決などに少しでもお力添えになれば幸いでございます。

参考文献

  1. 鈴鴨よしみ,福原俊一.SF-36®日本語版の特徴と活用.日本腰痛会誌.8(1),p38-43,2002.
  2. 石坂勇人,阿久津瑞季,秋山純和,千田雅之,久保晃.肺がん切除術前後の SF-36 による健康関連 QOL と 6 分間歩行試験の関連.理学療法科学.31(4),p559-564,2016.

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