【LSNS-6とは?】評価用紙とカットオフ値【社会的孤立の評価】

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この記事の内容
  1. この記事は「LSNS-6とは?」をキーワードに内容を構成しています。
  2. 高齢者の孤立や社会的つながりの希薄化が、健康や生活の質に深刻な影響を及ぼすことは、近年ますます注目されています。
  3. そうした背景の中で、「LSNS-6(Lubben Social Network Scale-6)」は、社会的ネットワークの広がりを簡便に評価できる信頼性の高いツールとして注目を集めています。
  4. 医療・介護・福祉の現場で、孤立リスクの早期発見に役立つ LSNS-6 の特長や活用方法を知ることは、支援の質を高める第一歩です。本記事では、LSNS-6 の概要から臨床での活用ポイントまでを詳しくご紹介します。
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理学療法士として以下の経験と実績を持つリハビリくんが解説します♪

リハビリくんの実績
  1. rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設
  2. 2025 年 7 月時点:185 記事公開(月間 3 万 PV)
  3. 実務経験(医療機関、介護福祉施設、訪問リハビリ等)
  4. 講師活動(脳卒中、褥瘡等をテーマに複数回講演)
  5. 脳卒中 認定理学療法士
  6. 褥瘡 創傷ケア 認定理学療法士
  7. 3 学会合同呼吸療法認定士
  8. 福祉住環境コーディネーター 2 級
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社会的孤立とは

本邦は世界でも指折りの長寿国であると同時に、健康寿命も世界一となっています。多くの高齢者が健康で就労意欲も高く、家族や地域とのつながりを持ちながら生活しております。

その一方で、高齢者の中には「1人暮らし」「家族はいなかったり、いても簡単には会えない」「隣人や友人との付き合いも乏しい」などが組み合わさり、日常において人と交流の少なく社会的に孤立した生活を送る人もいることが現実になります。

人と交流の少ない生活では生きがいや張り合いを感じることが難しくなります。また、孤立死や高齢者による犯罪の増加、高齢者を対象とした悪質商法の蔓延といった問題も高齢者の社会的孤立と深く関係しております。

「社会的孤立」について一律な定義があるわけではありませんが、英国の社会学者ピーター・タウンゼントは「家族や地域とほとんど接触がないという客観的状態」と定義しております。

つまり、「社会的孤立」は他者との関係性が乏しいという客観的状態を意味します。孤立と似て非なる概念として「孤独」がありますが、孤独は「仲間がいなかったり、失ったというありがたくない感じをもっていること」を意味します。

「孤独」については主観面を捉えた概念、「孤立」についてはと客観面を捉えた概念といったように区別することができます。

社会的孤立は具体的に何が問題になるのでしょうか。高齢者を中心にした社会的孤立に関する先行研究によると孤立している高齢者は孤立していない高齢者に比べて、以下のような弊害が起きやすいと報告されています。

  • 経済的困窮に陥りやすい
  • 抑うつ傾向が強くなる
  • 不健康になりやすい

こちらは高齢者をデータになりますが、恐らく若い世代であっても社会的孤立に陥れば、こうした問題が顕在化すると考えられます。そのため、人を社会的に孤立させないような対策をあらゆる場面で講じる必要があります。

ソーシャルサポートネットワーク

ソーシャルサポートネットワークという言葉を始めて耳にする人は、これはなんだろうと思うかもしれませんが、ソーシャルサポートネットワークとは要するに対象者(高齢者)の地域生活を支えるために、適切な援助をしてくれる人間関係の話になります。

「金銭関係のことで困ったときに相談することができる家族や親戚がいるかどうか」「住んでいる地域活動のことで分からないことがあったときに相談することができる近所の人がいるかどうか」「趣味の関係で行きたいところがあるときに相談することができる友人はいるかどうか」というように、目的に応じた人間関係が構築されているのか?というものになります。

地域社会の中での孤立は、ソーシャルサポートネットワークの概念を通じてこれまでに、社会学・心理学・公衆衛生学等の幅広い分野で研究の対象とされてきました。

しかしながら、研究者によってその概念規定が異なるために、現在になっても標準的な測定方法が確立されていない状況にあります。

ソーシャルサポートは社会的結びつきの機能的側面、主観的特性を記述する際に用いられるのに対し、ソーシャルネットワークは社会的結びつきの構造的側面、規模・頻度・密度などの客観的特性を表す際に用いられるとされています。

これまでの研究から、高齢者のソーシャルサポートネットワークの不足は、「抑うつ」「自殺リスク」「早期死亡」「心疾患や脳卒中の発症」「身体的健康状態の悪化」「主観的幸福感の低下」など様々な健康リスクと関連することが明らかにされております。

高齢者が地域で社会的孤立を防ぎながら生活していくためには、ソーシャルサポートネットワークが構築されているかどうかが重要になります。言い換えるとソーシャルサポートネットワークが構築できているのかどうかを評価する術が必要になります。

そこで、高齢者のためのソーシャルサポートネットワーク尺度として広く使用されている Lubben Social Network Scale-6(LSNS-6)について紹介させていただきます。

Lubben Social Network Scale-6(LSNS-6)

Lubben Social Network Scale-6(LSNS-6)は短縮版として後になって開発された尺度となります。LSNS-6 のもとになっているのは、1988 年に Lubben が開発した高齢者のためのソーシャルサポートネットワーク尺度であるLubben Social Network Scale(LSNS)になります。

Lubben Social Network Scale(LSNS) はネットワークのサイズや接触頻度とともに、情緒的・手段的サポートに関する 10 項目から構成されております。

高齢者の社会的孤立について、LSNS の得点と臨床家の評価との一致度は高く、LSNS についても様々な国で使用されていました。

2003 年に Lubben は、LSNS を上回る実用性と心理測定学的特性を有する短縮版スクリーニング尺度 Lubben Social Network Scale-6(LSNS-6)を開発しました。

LSNS-6 評価方法

LSNS-6 は自己記入式の質問紙になります。

LSNS-6 の質問項目は、情緒的・手段的サポートとして、ソーシャルサポートにおいて特に重要なものをとりあげております。

家族ネットワークに関する 3 項目、非家族ネットワークに関する 3 項目の計 6 項目について、それぞれ 6 件法( 0 点〜 5 点)でネットワークの人数を回答してもらいます。

得点範囲は 0 点〜30 点となり、得点が高い方がソーシャルサポートネットワークが大きいとされています。得点が低いほどソーシャルサポートネットワークは小さく、12 点未満は社会的孤立を意味するとされております。

LSNS-6 評価項目

設問 1 〜 3 については、家族や親戚などについて考えて回答してもらいます。設問 4 〜 6 については、近くに住んでいる人を含む友人全体について考えて回答してもらいます。

  1. 少なくとも月に 1 回、会ったり話をしたりする家族や親戚は何人いますか?
  2. あなたが、個人的なことでも話すことができるくらい気楽に感じられる家族や親戚は何人いますか?
  3. あなたが、助けを求めることができるくらい親しく感じられる家族や親戚は何人いますか?
  4. 少なくとも月に 1 回、会ったり話をしたりする友人は何人いますか?
  5. あなたが、個人的なことでも話すことができるくらい気楽に感じられる友人は何人いますか?
  6. あなたが、助けを求めることができるくらい親しく感じられる友人は何人いますか?

回答方法は 6 件法( 0 点〜 5 点)からの選択方式になります。

  • 0点:いない
  • 1点:1人
  • 2点:2人
  • 3点:3〜4人
  • 4点:5〜8人
  • 5点:9人以上

上記の選択肢より適したものを選択します。6 項目の点数を加算した点数が LSNS-6 の総得点となります。

LSNS-6 評価用紙

Lubben Social Network Scale-6(LSNS-6)の評価用紙が必要な方はこちらからダウンロードすることができます☺

LSNS-6 カットオフ値

得点が高い方がソーシャルサポートネットワークが大きいとされています。得点が低いほどソーシャルサポートネットワークは小さく、12 点未満は社会的孤立を意味するとされております。

LSNS-6の有用性

LSNS-6 の有用性として、自記式でも聞きとり調査でも 3 分程度と短時間で調査できる点が挙げられます。

ソーシャルネットワークを得点として量的に表すことができるため、ソーシャルネットワークの側面をより正確に表現することが可能であり、その情報を共有することができます。

このように LSNS-6 は、高齢者の社会的孤立を短時間で簡便に調査することができるため、地域保健における有用性も高いと考えられます。

問診などで情報収集を行うときのひとつの項目として、LSNS-6 を用いることで、高齢者の社会的孤立をスクリーニングし、介入前後の変化をモニタリングすることができます。

また、LSNS-6 の認知度が高まり普及していくことによって、高齢者自身が自分の社会的健康に関心を持つようになることも期待されます。

介護予防のための生活機能評価などにおいても社会的孤立を評価するための尺度を組み込むことを検討する必要があると考えられます。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

高齢化社会において「社会的孤立」は深刻な問題となっています。孤立状態の高齢者は経済的困窮、抑うつ、健康状態の悪化などのリスクが高まることが明らかになっており、適切な評価と対策が急務です。

そこで注目されるのが「LSNS-6(Lubben Social Network Scale-6)」という評価尺度です。この尺度は、家族や友人との関係性を 6 つの質問項目で評価し、わずか 3 分程度で社会的孤立のリスクを判定できる優れたツールです。12 点未満が社会的孤立の指標となり、医療現場での問診や介護予防の場面で活用できます。

医療従事者の皆様にとって、LSNS-6 は患者さんの社会的健康状態を客観的に把握し、適切な支援につなげるための実用的なアセスメントツールとなるでしょう。ぜひ日常の臨床実践にお役立てください。

参考文献

  1. 栗本鮎美,粟田主一,大久保孝義,坪田(宇津木)恵,浅山敬,高橋香子,末永カツ子,佐藤洋,今井 潤.日本語版 Lubben Social Network Scale 短縮版(LSNS-6)の作成と信頼性および妥当性の検討.日本老年医学会雑誌.48巻,2号,2011:3,p149-157.
  2. 斉藤雅茂.高齢者の社会的孤立に関する主要な知見と今後の課題.季刊家計経済研究.2012,SPRING,No.94,p55-61.
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