MFESとは?転倒恐怖感の評価方法|14の評価項目とカットオフ値

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身体・運動機能
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リハビリくん
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サイト管理者のリハビリくんと申します。

この記事の内容
  1. この記事は「MFES」をキーワードに内容を構成しています。
  2. 「転倒に対する恐怖心が、実際の身体機能以上に高齢者の活動を制限している」——この臨床現場でよく遭遇する現象を客観的に評価できるツールが、Modified Falls Efficacy Scale(MFES)です。
  3. 従来のバランス評価や筋力測定では捉えきれない「心理的側面」が、なぜ歩行や日常生活動作の予後を左右するのか。
  4. MFES の理論的背景から臨床応用まで、転倒予防における心理的アプローチの重要性を、最新のエビデンスとともに詳しく解説します。
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理学療法士として以下の経験と実績を持つリハビリくんが解説します♪

リハビリくんの実績
  1. rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設
  2. 2025 年 8 月時点:185 記事公開(月間 3 万 PV)
  3. 実務経験(医療機関、介護福祉施設、訪問リハビリ等)
  4. 講師活動(脳卒中、褥瘡等をテーマに複数回講演)
  5. 脳卒中 認定理学療法士
  6. 褥瘡 創傷ケア 認定理学療法士
  7. 3 学会合同呼吸療法認定士
  8. 福祉住環境コーディネーター 2 級
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転倒の定義について

転倒の定義はいくつかありますが、Gibsonの転倒の定義をご紹介致します。

Gibsonによると転倒とは「他人による外力、意識消失、脳卒中などにより突然発症した麻痺、てんかん発作によることなく、不注意によって、人が同一平面あるいはより低い平面へ倒れること」と定義されています。

医療や介護において転倒は重要な問題となりますので、転倒歴の確認や転倒時の情報収集をすることがあります。しかし、転倒の判定については、人によって判断が異なる場合があることを念頭におく必要があります。

例えば、対象者によっては躓いたことを転倒に含めている場合も考えられます。また、血圧低下に伴う意識消失で倒れたことを転倒歴として扱う方もいると思いますが、Gibsonの定義でいえばそれらは転倒には当てはまりません。

高齢者の転倒場所と転倒要因

加齢により足腰が弱くなった高齢者にとって、増加するリスクとして「転倒」が挙げられます。地域在住高齢者の転倒場所を調査した過去の研究によると、転倒の多くは屋外ではなく屋内で発生しており、60%以上の転倒は自宅内で発生していると報告されています。

転倒の原因は内的要因と外的要因の2つに大別できます。

内的要因とは加齢による身体機能の低下や薬剤の副作用が挙げられます。外的要因とは環境面が課題の中心となり、手すりの有無・滑りやすい床面・カーペットの端のめくれた部位・躓きやすい段差などが挙げられます。

自宅内での転倒は高齢者に限って発生するわけではありませんが、高齢者の場合には骨折等の深刻な怪我に繋がる可能性が高くなります。

小さな段差に躓いたとしても、身体がそれに反応して身を守ることができれば大きな怪我には繋がりません。反対に身体機能が低下しても環境面がいわゆるバリアフリーな状態であれば安全に生活することができます。内的要因と外的要因のバランスを考慮しながら転倒対策を図ることが効果的と考えられます。

転倒恐怖感とは

一般的に寝たきりに繋がると言われる高齢者の重症度の高い骨折は大腿骨頸部骨折になります。大腿骨頸部骨折を受傷するとベッド上への長期臥床を余儀なくされるため、その間に全身の筋力が低下し、骨が整復した後にも寝たきり生活が継続される恐れがあります。

健康のために有害な大腿骨頸部骨折となりますが、時には幸運にも転倒しても骨折しないで済む場合もあります。

近年問題となっているのが、転倒して骨折せずに済んだ場合であっても、歩くことへの自信を喪失して鬱状態になったり、転倒への恐怖感を抱いて活動量が低下することになります。

外に出る自信がなくなり、家の中で閉じこもりのような生活になると活動量の減少だけではなく他者と関わる機会も減少していきます。このような生活を続けていくと結果的に身体機能は低下し、転倒リスクをさらに高くするという悪循環に陥ります。

このように高齢者の転倒は骨折などを引き起こす危険因子であり、運良く骨折を免れたとしても転倒したという心理的ショックにより活動制限・参加制約をもたらすものになります。

転倒恐怖感は身体活動量を低下させる要因にもなります。身体活動量については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【活動量計を用いた身体活動量の評価方法についての記事はこちらから

MFES(Modified Falls Efficacy Scale)

MFES(Modified Falls Efficacy Scale)は、Hillらが作成した転倒に対する自己効力感から転倒恐怖心の程度を測定するための尺度になります。

基本的な日常生活活動(BADL)だけではなく、買い物などの手段的日常生活活動(IADL)を含めた14項目にて構成されています。

対象者には14項目の設問ごとに、0点(全く自信がない)から10点(完全に自信がある)より回答してもらい、合計点数が低いほど転倒恐怖感が強いことを意味します。

MFES 評価項目

14の各活動を転倒することなく、実施できる自信はどれくらいかを回答してもらいます。

  1. 風呂に入る
  2. 戸棚やタンス・物置の所まで行く
  3. 食事の準備(調理・配膳)をする
  4. 家の中の廊下や畳を歩き回る
  5. 布団に入る・布団から起き上がる
  6. 来客(玄関・ドア)や電話に応じる
  7. 椅子に腰掛ける・椅子から立ち上がる
  8. 衣服の着脱を行う
  9. 軽い家事を行う
  10. 軽い買い物を行う
  11. バスや電車を利用する
  12. 道路(横断歩道)を渡る
  13. 庭いじりをする、又は洗濯物を干す
  14. 玄関や勝手口の段差を越す

MFES 評価用紙

MFES(Modified Falls Efficacy Scale)の評価用紙をダウンロードできるようにしておきました!評価表が必要な方はこちらからどうぞ☺

MFES カットオフ値、結果の解釈

得点範囲は 0〜140 点となり、得点が低いほど転倒恐怖感が強いことを示します。

140 点満点を転倒恐怖感なし、139 点以下を転倒恐怖感ありと判断します。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「MFES(Modified Falls Efficacy Scale)」をキーワードに考えを述べさせていただきました。

こちらの記事が、地域における介護予防支援や退院支援に少しでもお力添えになれば幸いです!

参考文献

  1. 村上泰子,柴喜崇,渡辺修一郎,大渕修一,稲葉康子.地域在住高齢者における転倒恐怖感に関連する因子.理学療法科学.23(3),2008,p413-418.
  2. 加藤真由美,加藤昭尚,泉キヨ子,平松知子,正源寺美穂.デイサービス利用高齢者の転倒予防 : 下肢筋力,日常生活および転倒恐怖感と転倒との関連.老年看護学.Vol.9,No.1,2004,p28-35.

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