【住宅改修費用の支援制度】介護保険法と障害者総合支援法の利用方法

臨床での悩み
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リハビリくん
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いつも当サイト(rehabilikun blog)の記事をお読みいただき誠にありがとうございます。また、初めましての方はよろしくお願い致します。サイト管理者のリハビリくんです!

   

この記事は「住宅改修費用の支援制度」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるように心掛けております。それでは早速、内容に移らせていただきます。

  

リハビリテーション専門職は住宅改修の知識を身につける必要があります。特に介護保険分野で働く方は、住宅改修に関わることが多いのではないでしょうか?

  

私が訪問リハビリテーションを経験して間もない頃、初回訪問で利用者様のお宅に伺い、ケアマネージャーから住宅改修はどうしましょうか?と相談されましたが、恥ずかしくも住宅改修や福祉用具の知識が不足していたため、自信を持った回答が出来なかった経験があります☹

  

リハビリテーション専門職として、住宅改修や福祉用具について明確な助言ができるかどうかで、利用者様・ご家族様およびケアマネージャーをはじめとする介護に関わるスタッフの信頼度に大きく関わる問題となります。そのため、こちらの記事で住宅改修費用の支援制度について解説していきます!

リハビリくん
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【簡単に自己紹介】

30代の現役理学療法士になります。

理学療法士として、医療保険分野と介護保険分野の両方で経験を積んできました。

現在は医療機関で入院している患者様を中心に診療させていただいております。

臨床では、様々な悩みや課題に直面することがあります。

そんな悩みや課題をテーマとし、それらを解決するための記事を書かせて頂いております。

  

現在、理学療法士として得意としている分野は「脳卒中」「褥瘡」「栄養」「呼吸」「摂食・嚥下」「フレイル・サルコペニア」についてです。そのため、これらのジャンルの記事が中心となっております。

  

主な取得資格は以下の通りです

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士として働いていると、一般的な会社員とは異なるリハビリ専門職ならではの苦悩や辛いことがあると思います。当サイト(rehabilikun blog)ではそのような療法士の働き方に対する記事も作成し、働き方改革の一助に携わりたいと考えております。

  

こちらの記事は検索ワードのランキング 2 位を獲得しております。"理学療法士は生活できない?PTが転職を考えるべき7つのタイミング"興味がある方は、こちらの記事も目を通してくれると幸いです☺

利用可能な制度

身近で利用できる住宅改修の制度として、「介護保険法」による「住宅改修」と「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」を根拠とする「日常生活用具給付等事業」によるものがあります。

その他には、保険や福祉制度ではないが、リフォーム等に関する助成制度があります。利用可能な制度について細かく後述していきます。

介護保険法による住宅改修

介護保険法の概要

介護保険法の第1条では「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴・排泄・食事等の介護・機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行う」と、介護保険制度の目的が示されています。

この目的に沿って介護保険法の第45条では「市町村は、居宅要介護被保険者が、手すりの取付けその他の厚生労働大臣が定める種類の住宅改修を行ったときは、当該居宅要介護被保険者に対し、居宅介護住宅改修費を支給する」ことを定めています。

一方、介護保険を利用する際には、単に利便性を図るための住宅改修ではなく、要介護状態等の軽減または悪化の防止に資するものでなければならないこと、医療との連携に配慮することを十分に理解して利用する必要があります。

自己負担額と給付の対象となる住宅改修

介護保険制度における住宅改修の支給限度額は20万円の原則9割(一定所得以上の方は8割or7割)となります。20万円×9割=18万円は申請することで手元に返ってくるため、自己負担額は2万円になります。

また、支給限度額については、要介護状態区分が重度になった場合と転居した場合、再度支給額を設定することができます。

注意点として、給付の対象となる住宅改修について正確に知っておく必要があります。在宅介護を重視し高齢者の自立を支援する観点から、福祉用具導入の際必要となる段差の解消や手すりの設置などの住宅改修が給付の対象となっております。詳細については『介護保険における住宅改修一実務解説(令和2年6月改訂版)』が大変分かりやすくなっております。

利用方法について

利用の流れとしては、担当のケアマネジャーに相談し改修内容の見積もり等を作成して市町村に申請し、住宅改修施工後に改修費の申請をすることで償還されます。

施工前および施工後の申請の際には、それぞれ提出書類が指定されているので確認する必要があります。

「担当のケアマネジャーに相談し」と上述しましたが、筆者の経験では住宅改修を行うタイミングは下記に後述する2パターンが多いと思います。

1つが、入院・入所している方が自宅退院することになったタイミングです。この場合、退院前訪問として、ケアマネジャー・療法士・福祉用具専門相談員等で在宅に伺い在宅生活での課題を確認することになりますが、この時に住宅改修も一緒に検討するかと思います。

2つめが、退院後に訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションの介護保険サービスを開始したタイミングです。この時に契約も兼ねて実態調査を実施しますが、同時に住宅改修の検討をすることも多いかと思います。

障害者総合支援法による日常生活用具給付等事業

「日常生活用具給付等事業」の概要

市町村が行う地域生活支援事業の内、必須事業の一つとして規定されています。障害者等の日常生活がより円滑に行われるための用具を給付又は貸与すること等により、福祉の増進に資することを目的とした事業となっています。

どのような用具が給付又は貸与できるかについては、厚生労働省によるpdfをご参照ください。

利用者負担と障害者総合支援法の対象者

障害者総合支援法を活用する場合、介護保険と異なり支給限度額ということではなく、原則その費用は「国(50%)」「都道府県(25%)」「市町村(25%)」が負担することになっています。

しかし、利用者負担が0ということではなく、一般的な基準としては、購入価格の9割を公費負担で、1割を自己負担でという市町村が多いと思われます。また、個人の収入によって、公費負担額が変わるケースもあるようなので、詳しくは、お住みの市町村の障害福祉課に確認する必要があります。

「日常生活用具給付等事業」の対象者は、「日常生活用具を必要とする障害者・障害児・難病患者等」であり、難病患者等にあっては別に政令で疾病が定められています。

給付を受ける上で、機能障害や乳幼児の病変については制限があるため注意が必要になります。

  1. 下肢機能障害、または体幹機能障害があり、その障害等級が1~3級の方
  2. 乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害があり、その障害等級が1~3級の方
  3. 肢体不自由のみの障害等級が2級以上で、下肢機能障害、または体幹機能障害がある方
  4. 難病患者等で下肢または体幹機能に障害を有する方

また、要介護認定も受けていて障害者総合支援法の対象者にも該当する場合もあると思います。この場合、65歳以上の方は介護保険における住宅改修費支給制度の利用が優先されます。40歳以上65歳未満で介護保険法の定める特定疾病に該当する方も、介護保険における住宅改修費支給制度の利用が優先されるので覚えておきましょう。

利用方法

申請は市町村長に行い、給付等の決定後に給付等を受ける「事前申請」が原則となっています。まずは、市町村の担当窓口で確認・相談してからにしましょう。

その他の支援制度

市町村による支援

介護保険法・障害者総合支援法はともに国の法律に基づいた支援の制度となりますが、これとは別に市町村で支援を制度化している場合もあります。

住宅改修を検討する際には、介護保険法・障害者総合支援法の制度活用と合わせて、市町村独自の制度が利用できないかを問い合わせることも必要です。使える制度は有効に使いましょう。

リフォームに対する支援

都道府県や市町村によっては、家屋のリフォームの目的、たとえば「バリアフリー化」「耐震化」や「省エネルギー化」等に対して、補助や融資等が受けられる場合があります。

都道府県や市町村での相談に加え、建築家等の専門家に相談することも広義の対象となる可能性があります。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では、介護保険法・障害者総合支援法による住宅改修費用の支援制度について解説させて頂きました!

介護保険法と障害者総合支援法、この2つの制度は、いずれも「福祉用具の導入」や「用具の設置」に必要な小規模の改修が対象となっていることを十分に理解して、対象者の生活に即した住宅改修計画を立案することが重要になります。

住宅改修に関わるうえで最も重要なことは、対象者が安全に生活できるように、適切な助言をしたり、視野を広くもって問題点に気づくことができるスキルになると思います。

しかし、こういった制度的なところをしっかりと理解しておくと利用者様やそのご家族様は安心され、信頼関係にも繋がると思います。是非、自分が働く市町村の制度は確認しておきましょう。

参考文献

  1. 上村智子.介護保険制度下の居住環境整備サービスによる虚弱高齢者の支援.リハビリテーション医学.2004,41,p788-794.
  2. 岡本久子.介護保険制度の住宅改修におけるケアマネジャーの役割.花園大学社会福祉学部研究紀要.2019年3月,第17号,p93-103.
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