重症筋無力症の重症度評価まとめ|MGFA と MG-ADL・QMG の使い分け

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重症筋無力症( MG )の重症度評価まとめ| MGFA/ MG-ADL/ QMG/ PIS の使い分け

評価の「順番」を固定すると、記録と連携が一気に整います。 評価 → 介入 → 再評価の型を 3 分で復習する( PT キャリアガイド ) ※この記事は「重症筋無力症の重症度を、同じ言葉で共有する」ことに焦点を当てた実務メモです。

重症筋無力症( MG )は、同じ患者でも時間帯・内服・疲労で症状が揺れやすく、「何で重症度を記録するか」が曖昧だと情報が揃いません。本記事は MGFA(分類)MG-ADL(症状追跡)QMG(客観評価)MGFA-PIS(介入後の状態名)を、現場で迷わない順番に整理します。

ポイントは最重症時は MGFA を固定経時変化は MG-ADL/ QMG介入後の要約は MGFA-PISです。使い分けを固定すると、カルテの一文が短くなり、急変の芽も拾いやすくなります。

最初に “詰まりやすいところ” だけ小記事で切り出しました。必要なところから読めば OK です。

MG の重症度評価:親→小記事の最短導線
テーマ 小記事 読むと解決すること
MGFA a/b MGFA a/b の見分け方(球・呼吸優位を落とさない) 「 a/b がブレる」問題を、食事と会話の持続性で統一
MG-ADL 運用 MG-ADL の使い方(条件を揃えて追跡する) 「今日は良い/悪い」で点が動く問題を、条件固定で解消

最短まとめ:まずこの 1 枚で使い分け

MG の重症度評価を「目的」で使い分ける早見(成人・一般的運用)
尺度 得意な用途 使うタイミング 記録のコツ 詰まりどころ
MGFA 最重症時の「分類」共有 入院・急性増悪・転院紹介 クラス+ a/b を併記 球症状/呼吸優位を見落とす
MG-ADL 日常の困りごとの追跡 外来フォロー・病棟経過 評価条件(時間帯・内服)を固定 「今日は良い/悪い」でブレる
QMG 介入の前後を客観化 評価会議・臨床試行・説明 体位・手順・休憩を標準化 条件が違い比較不能
MGFA-PIS 治療反応の「状態名」付け 治療変更後・退院時要約 MGFA とセットで表記 寛解/改善の言い回しが統一されない

現場の詰まりどころ:流れが崩れる 3 パターン

MG の重症度記録で起こりやすいズレと、整え方( PT / OT / ST 共通)
よくあるズレ 何が困る? 整え方(実務)
MGFA を毎回更新してしまう 分類が「時系列の点数」と混ざり、比較ができない MGFA は最重症時を固定。経過は MG-ADL/ QMG を使う
MG-ADL の条件がバラバラ 「変わった」のか「条件が違う」のか不明 時間帯・内服・活動直後をできる範囲で固定し、条件も一言残す
QMG を「毎回同じ」にできない 点の上下が評価者差か病勢か判断不能 同じ体位・同じ手順・同じ休憩を優先し、難しいときは条件を記録する

5 分フロー:カルテに残る「順番」を作る

迷ったら、①最重症時 MGFA → ②日々の追跡 MG-ADL → ③客観比較 QMG → ④介入後 MGFA-PISの順にそろえます。患者の状態により全部そろえられなくても、順番が固定されるとチーム内の言葉が揃います。

この順番に沿って、短文で残せる “最小セット” を作ると、申し送りのズレが減ります。

MG 重症度評価の最小セット(病棟/外来の想定)
ステップ 何を決める? 使う指標 記録例(短文)
① 最重症時の固定 分類の共通言語 MGFA 「最重症時 MGFA IIIb」
② 経時変化の追跡 日内変動を含む症状の推移 MG-ADL 「MG-ADL 8→ 6(午前・内服後)」
③ 客観比較 介入前後の比較 QMG 「QMG 14→ 11(同条件)」
④ 介入後の状態名 退院時要約・治療反応 MGFA-PIS 「PIS: MM(症状なし/診察で軽い弱化)」

MGFA(分類)を「最重症時」に固定する

MGFA は、MG の病勢を臨床像で分類し、医療者間で共有しやすくする枠組みです。実務では「今の状態を毎回更新する」よりも、最重症時の分類を固定して共通言語にすると、転院・急変・カンファレンスでブレにくくなります(経過追跡は MG-ADL/ QMG が向きます)。

MGFA には a/b(四肢・体幹優位か、球・呼吸優位か)の補助分類があり、ここが臨床でズレやすい部分です。球症状(構音・嚥下)や呼吸の要素が強い場合は、a/b の併記で情報が一気に揃います。

MGFA の見取り図(要点のみ:臨床の読み替えで整理)
クラス ざっくり何が中心? PT / OT / ST が見る観察ポイント
I 眼症状が中心 複視・眼瞼下垂の増悪パターン(疲労で変わるか)
II 軽い全身型(近位筋・体幹、または球症状) 起立・歩行での疲労、食事でのむせ増加、発話の崩れ
III 中等度の全身型(機能制限が目立つ) 反復での動作破綻、嚥下疲労、息継ぎの変化
IV 高度の全身型(日常動作が大きく制限) ベッド上でも疲労が強い、会話・嚥下の持続困難
V 換気補助が必要な状態(気管挿管等を含む) 離床より先に連携:呼吸管理・気道クリアランス方針の共有

MG-ADL(症状追跡)は「条件をそろえる」ほど強い

MG-ADL は、日常生活での困りごとを本人の主観で点数化して追跡する指標です。外来や病棟で「良い日/悪い日」が出やすい MG ほど、条件をそろえて繰り返すことが価値になります。

実務では、評価した時間帯内服との関係(内服前/後)活動直後かどうかを、できる範囲で統一します。点数の上下だけでなく、条件を揃えた上での変化が「臨床で使える変化」になります。

MG-ADL をブレさせない運用ポイント(設問文の掲載は行わず、運用に特化)
運用ポイント なぜ必要? 現場メモ例
時間帯を固定 日内変動を拾いすぎない 「午前(内服後)で統一」
内服との関係を一言残す 薬効の波で点が動く 「内服 1 時間後」
活動直後は避ける(難しければ明記) 疲労の上乗せで過大評価になりやすい 「歩行練習直後のため条件差あり」
合計だけでなく増えた領域も残す 介入方針が立てやすい 「発話と嚥下の訴えが増」

QMG(客観評価)は「同条件」で比較する

QMG は、臨床家が観察・測定して点数化する客観寄りの重症度評価です。介入前後の比較、病棟内の申し送り、カンファレンスでの説明に向きます。

ただし、QMG は「やり方が違う」と別物になります。同じ体位同じ評価者同じ休憩が理想で、難しい場合でも条件差を明記すると比較可能性が上がります。

QMG の比較可能性を上げる標準化チェック(項目の転載はせず、実務の固定点のみ)
固定すること ねらい 一言メモ
評価者(可能なら同一) 観察の癖を減らす 「担当 PT が実施」
体位・環境 力発揮が変わる 「端座位で統一」
休憩(反復の間隔) 疲労の上乗せを揃える 「各テスト間に 1 分休憩」
呼吸・球症状の観察 点数外の赤旗を拾う 「会話で息継ぎ増/むせ増」

MGFA-PIS(介入後の状態名)で要約が短くなる

MGFA-PIS( Postintervention Status )は、治療後の状態を “状態名” で表現する枠組みで、退院時要約や治療変更後の整理に向きます。実務では、最重症時 MGFAとセットにして、介入後の状態を PIS で補うと情報が崩れにくくなります。

代表的な状態名は、CSR(完全安定寛解)PR(薬物治療下で寛解相当)MM(症状はないが診察で軽い弱化)、そのほか I(改善)U(不変)W(増悪)D( MG 関連死)です。言い回しを揃えると、紹介状やサマリーが短くなります。

MGFA-PIS を申し送りで使うときの書き方(例:状態名+補足の順)
書き方 意図
状態名を先に書く 要点を先出し 「PIS: MM」
残る領域を補足 次の介入が立つ 「診察で頸部屈曲の弱化が残存」
追跡指標を 1 つ添える 次回比較が楽 「MG-ADL 6(午前・内服後)」

中止基準:呼吸・嚥下が絡むときの見落とし防止

MG は「筋力」だけでなく、球症状(構音・嚥下)と呼吸が絡むと、状態変化が急に見えることがあります。ここはスケールの点数だけで追わず、急な変化を言語化して連携するのがコツです。

呼吸・嚥下まわりで「点数より先に連携」したい変化(例)
変化 現場での見え方 まずやること
会話の息継ぎが増える 文が短い/声量が落ちる 介入を止め、呼吸状態とバイタルを確認し共有する
食事でむせが増える 一口量が減る/食後に痰が増える 食形態・姿勢・時間帯の条件を揃え、 ST/医師へ共有する
反復で動作が急に崩れる 立ち上がりが途中で止まる 負荷と休憩を下げ、条件を整えて再評価する

よくある質問( FAQ )

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. MGFA は毎回つけ直した方がいいですか?

A. 実務では、MGFA は最重症時を固定し、経過は MG-ADL/ QMG で追う方が情報が揃います。毎回 MGFA を更新すると「分類」と「追跡」が混ざり、比較の解像度が落ちやすいです。

Q2. MG-ADL がブレてしまうのはなぜですか?

A. MG は日内変動と疲労の影響を受けやすく、時間帯・内服・活動直後が揃わないと点数が動きます。評価条件を固定し、難しい場合でも「条件差」を一言添えると追跡しやすくなります。

Q3. QMG は何を固定すると比較しやすいですか?

A. まずは体位休憩、可能なら評価者です。完全に揃わない場合でも、実施条件を記録すると「病勢の変化」と「条件差」を切り分けやすくなります。

参考文献

  1. Jaretzki A, Barohn RJ, Ernstoff RM, et al. Myasthenia gravis: recommendations for clinical research standards. Task Force of the Medical Scientific Advisory Board of the Myasthenia Gravis Foundation of America. Neurology. 2000;55(1):16-23. doi: 10.1212/WNL.55.1.16 / PubMed: 10891897
  2. Wolfe GI, Herbelin L, Nations SP, Foster B, Bryan WW, Barohn RJ. Myasthenia gravis activities of daily living profile. Neurology. 1999;52(7):1487-1489. doi: 10.1212/WNL.52.7.1487 / PubMed: 10227640
  3. Bedlack RS, Simel DL, Bosworth H, Samsa G, Tucker-Lipscomb B, Sanders DB. Quantitative myasthenia gravis score: assessment of responsiveness and longitudinal validity. Neurology. 2005;64(11):1968-1970. doi: 10.1212/01.WNL.0000163988.28892.79 / PubMed: 15955957
  4. Myasthenia Gravis Foundation of America (MGFA). MGFA Post-intervention Status (MGFA-PIS). PDF
  5. Narayanaswami P, Sanders DB, Wolfe G, et al. International Consensus Guidance for Management of Myasthenia Gravis: 2020 Update. Neurology. 2021;96(3):114-122. doi: 10.1212/WNL.0000000000011124 / PubMed: 33144515

おわりに

MG の重症度記録は、条件を揃える → a/b(球・呼吸)を確認 → スコアを短文で残す → 同条件で再評価のリズムにすると、申し送りが崩れにくくなります。次に転職や職場選びで迷いが出たときは、面談準備チェックと職場評価シートを こちら からまとめて確認できます。

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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