家屋調査チェックリスト【PDF付】PTの採寸・理由書

制度・実務
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家屋調査チェックリスト【 図解・PDF 付き 】PT が現地で見る項目と採寸・理由書

家屋調査は「何となく見て終わる」と提案がぶれやすくなります。先に 見る動作 → 残す数値 → 理由書の一文 を固定すると、退院前訪問や住宅改修の提案が通しやすくなります。本記事は、PT が現地で何を確認し、どの順で記録を残すかに絞った実務ページです。

このページで答えるのは、現地で何を見るか・何を測るか・どう理由書へ落とすか です。制度上限、受領委任、自治体ごとの様式差、対象 6 類型の詳細は深掘りしません。そこは別記事に分け、本ページはチェックリスト記事として役割を固定します。

家屋調査の型は、個人の勘だけでは安定しません。教育体制が弱い、相談相手が少ない、見本となる記録がない環境では、まず「学び方」と「現場で再現できる型」を先に整えるほうが動きやすいことがあります。

家屋調査の質は、個人の努力だけでなく「教わりやすさ」と「相談しやすさ」にも左右されます。 PT キャリアガイドを見る 学び方・相談先・環境の整え方をまとめて確認できます
家屋調査の進め方 5 ステップの図解
家屋調査は「目的を決める → 動作を見る → 採寸する → 提案を整理する → 理由書・再評価につなぐ」の順で固定すると、現場の再現性が上がります。

家屋調査の現場フロー( 5 ステップ)

家屋調査は、場所を細かく見る前に「今日の目的」を固定したほうが速くなります。特に排泄・入浴・玄関出入りのような失敗が起きやすい場面を 1 つ決めてから回ると、採寸と提案がつながりやすくなります。

下の表は、現場での見る順番と、持ち帰る記録をそろえるための最小フローです。チェック項目を増やすより、順番を固定するほうが再現性が上がります。

家屋調査の 5 ステップ:現場で見ることと残すこと
ステップ 現場でやること 残す記録
① 目的を決める 今日いちばん困る動作を 1 つに絞る(例:トイレ立ち上がり、浴室出入り) 「今回の焦点:〇〇動作」と一文で残す
② 動作を見る 玄関・居室・トイレ・浴室を移動の流れで確認し、崩れる瞬間を特定する どこで手が離れるか、どこで足が止まるかを記録
③ 数値を取る 高さ・幅・段差・奥行・扉干渉・下地の有無を実測する 提案に必要な数値だけを残す
④ 代替を試す 用具・配置・手順変更で回るかを確認する 「何を変えたらどう改善したか」を一言で残す
⑤ 理由書に落とす 困難 → 所見 → 提案 → 期待効果 の順で整理する 理由書の原文に近い一文をその場で下書きする

家屋調査 記録シート PDF ダウンロード

現場でそのまま使えるように、A4 1 枚完結の記録シートを用意しました。動作の焦点、採寸、理由書の下書きまで 1 枚で流れをそろえたいときに使いやすい構成です。

まずはボタンから PDF を開き、必要なら端末に保存してください。下の折りたたみを開くと、記事内でプレビューも確認できます。

場所別のチェックポイント(玄関・トイレ・浴室・寝室)

家屋調査で大切なのは、場所単位ではなく動作単位で見ることです。同じトイレでも「立つ」「旋回する」「衣服を操作する」で必要な観察は変わります。場所ごとに 1 つ代表動作を決め、その動作に必要な数値だけを残してください。

次の表は、現場で迷いやすい場所を「まず見る動作」「残す数値」「提案メモ」で整理したものです。全項目を埋めるより、使う場面の濃度を上げることを優先します。

場所別チェック:見る動作と残す数値の最小セット
場所 まず見る動作 残す数値 提案メモ
玄関 一歩目の上り下り、履物の着脱、出入りの向き 段差高、踏み面、把持点までの距離 一歩目が崩れるのか、把持点が届かないのかを分けて考える
トイレ 立ち座り、旋回、更衣、着座までの一連動作 便座高、扉の有効幅、手すり候補位置 「立つ」だけでなく、更衣で片手条件になる場面を見る
浴室 出入り、またぎ、洗体時の姿勢保持、濡れ条件での移動 出入口段差、洗い場の広さ、浴槽縁の高さ 濡れ面で崩れるか、把持点へ届くかを優先して確認する
寝室 起き上がり、立ち上がり、ベッド周囲の方向転換 ベッド周囲の空き、最狭部、手の届く範囲 ベッド配置を変えるだけで改善するかも先に見る
廊下・居室 主動線の通過、方向転換、補助具との干渉 最狭部、段差、敷物やコードの位置 「通れる」より「安全に繰り返せる」を優先する

採寸チェックリスト(高さ・幅・段差・奥行)

採寸は、細かく測りすぎると現場で止まりやすくなります。重要なのは、提案に直結する数値だけ を残すことです。家屋調査では「あとで図面に起こせるか」「理由書に書けるか」を基準に、最小セットを固定すると記録が安定します。

下の表は、現場で拾い漏れやすい採寸項目をまとめたものです。数値の意味が曖昧なまま記録しないよう、なぜ測るかもセットで残します。

採寸の最小セット:理由書と図面に転記しやすい項目
項目 なぜ測るか 現場メモ欄
段差高 一歩目の失敗やまたぎの難しさを具体化するため ______ mm
有効幅 杖・歩行器・車いす・介助者が干渉しないか確認するため ______ mm
便座・座面の高さ 立ち座り難易度と把持点の位置を考えるため ______ mm
把持点候補の位置 手すりや支持物が届く範囲にあるかを見るため 位置:________________
旋回スペース 向き変え・介助者の立ち位置・補助具の回しやすさを確認するため 幅 ______ mm / 奥行 ______ mm
下地・固定条件 提案が実装可能かを施工前に確認するため 有 / 無 / 未確認

現場の詰まりどころ

家屋調査が止まりやすいのは、「どこを測るか」ではなく「何を持ち帰るか」が曖昧なときです。迷ったら、失敗場面を 1 つに絞る → 数値を 3 つ残す → 理由書の一文まで作る の順で戻すと整理しやすくなります。

写真・図面の残し方

写真や図面は、単に「撮ってある」だけでは後で使いにくくなります。家屋調査では、再評価や施工前後比較に使える形で残しておくことが重要です。特に同一アングル・同一場面で比較できるかどうかが、説明のしやすさを左右します。

審査や連携で困りにくいのは、「どの動作の、どの瞬間が、どの環境で崩れたか」が伝わる写真です。全景だけで終わらず、足元、把持点、扉干渉の 3 つを意識すると使いやすくなります。

  1. 施工前後は 同一アングル で撮る
  2. 段差、足元、把持点が分かる近接写真を追加する
  3. 扉の開閉範囲と最狭部が分かる写真を残す
  4. 介助者が入る場合は立ち位置と回り込みも撮る
  5. 図面には段差高・有効幅・候補位置を直接書き込む

理由書に落とすときの型

理由書は、表現がきれいかどうかより、困難 → 所見 → 提案 → 期待効果 の順に抜けなく書けるかが重要です。現地で書き出しの型を決めておくと、後から思い出し作業になりにくくなります。

下の表は、そのままコピペするための完成文ではなく、現場所見を一文に変えるための骨組みです。対象者や住環境に合わせて語尾や具体例を調整してください。

理由書の型:困難・所見・提案・期待効果をつなぐ
項目 記入の型
対象動作 「〇〇動作で転倒リスクが高く、介助を要する」
評価所見 「△△で手が離れる/足が止まる/姿勢が崩れることを確認した」
環境要因 「段差、幅、扉干渉、把持点不足が要因となっている」
提案内容 「〇〇の設置・調整により、動作の連続性を確保する」
期待効果 「転倒リスク軽減、介助量軽減、動作の安定化が見込まれる」
再評価 「施工後は同一条件で再評価し、介助量と安全性を確認する」

よくある失敗(家屋調査でズレやすいところ)

家屋調査の失敗は、工事案の質より前に「評価のズレ」で起きることが少なくありません。特に多いのは、本人だけを見て介助者を見ないこと、日中だけで判断すること、測った数値が提案につながっていないことです。

次の表は、現場で起きやすいズレと、最小限の戻し方をまとめたものです。全部を直そうとせず、失敗場面 1 つに戻るのがコツです。

家屋調査のよくある失敗:起きる理由と戻し方
失敗 なぜ起きるか 戻し方 記録の一言
場所だけ見て動作を見ていない 「浴室を見る」「トイレを見る」で終わってしまう 代表動作を 1 つ決めて、崩れる瞬間を見る 「焦点:浴室出入りの一歩目」
数値を取ったが提案に使えない 何のために測るかが曖昧 理由書に書く予定の数値だけ残す 「便座高と有効幅を提案根拠として記録」
本人だけ見て介助者を見ていない 介助姿勢や回り込みが評価に入っていない 介助者の立ち位置と足場も確認する 「介助者の回り込みに狭さあり」
日中条件だけで OK 判定する 夜間・疲労・濡れ条件が抜ける 崩れやすい条件を 1 つ追加して確認する 「夜間動線で再確認が必要」
改修案を先に決め打ちする 用具・配置で回る可能性を見ていない 先に可逆的な手段で試し、必要な部分だけ固定化する 「まず配置変更で試行、その後に固定化判断」

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

家屋調査で最初に見るべき場所はどこですか?

場所から入るより、まず「いちばん困る動作」を 1 つ決めるほうが実務では使いやすいです。トイレ立ち上がり、浴室出入り、玄関の一歩目など、転倒や介助量に直結する場面から見ると、その後の採寸や提案がつながりやすくなります。

採寸で最低限外せない数値は何ですか?

段差高、有効幅、座面や便座の高さ、把持点候補の位置、旋回スペースの 5 つが最小セットです。すべてを細かく測るより、理由書や図面にそのまま転記する数値を優先してください。

理由書はどの順で書くとまとまりやすいですか?

「対象動作の困難 → 評価所見 → 環境要因 → 提案内容 → 期待効果」の順で書くとまとまりやすいです。現地で 1 行ずつ下書きしておくと、後から記憶で補う量が減ります。

住宅改修と福祉用具で迷ったらどう考えればいいですか?

まずは用具・配置・手順変更で回るかを試し、失敗場面が残る部分だけを固定化する考え方が実務では使いやすいです。ただし、重大事故に直結する場面では、早めに固定化を検討することもあります。判断で迷うときは兄弟記事で整理してください。

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参考資料(一次情報)

  1. 厚生労働省. 福祉用具・住宅改修. PDF
  2. 厚生労働省. 福祉用具・住宅改修の概要. PDF
  3. 国土交通省. 建築物におけるバリアフリーについて. Web
  4. 国土交通省. 地域で自立して居住することを目指して―障害者の居住にも対応した住宅の設計ハンドブック. Web

著者情報

rehabilikun のプロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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