ICIDHとは?ICFへの読み替え5手順と記録シート

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ICIDH(国際障害分類)とは?|ICF に読み替えるための基礎と使いどころ

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ICF と目標設定ハブで全体像を確認

関連:ICF の書き方・記載例(総論)
まず深掘り:ICF 修飾子の決め方

ICIDH は、障害を 欠損( impairment )能力低下( disability )社会的不利( handicap ) の 3 層で整理する、1980 年の WHO の分類です。現在の標準は ICF ですが、古い診療録、論文、院内様式では ICIDH の表現が残っていることがあります。

この記事で決まるのは、ICIDH の文を ICF の b / s・ d・ e にどう分解して書き直すかです。反対に、ICF コード一覧の詳細や修飾子の細かな運用までは扱いません。まずは「何を d に置くか」「何を b / s に戻すか」「社会的不利を d + e にどう分けるか」を、実務で使える形に整理します。

まずここだけ| 1 分サマリー

  • ICIDH の 3 層:欠損 → 能力低下 → 社会的不利
  • ICF への対応:欠損= b / s、能力低下= d、社会的不利= d(参加)+ e(環境因子)
  • 読み替えの順番:d → b / s → e → 程度 の順で並べる
  • 実務の要点:“言い換え” より “分解” を意識すると記録がぶれにくくなります
ICIDH と ICF の対応関係を示した読み替え早見図
図:ICIDH の 3 層を ICF の b / s・ d・ e に読み替えるときの全体像

ICIDH と ICF の違い(早見)|“言い換え” ではなく “分解” が必要です

図版で全体像をつかんだあとに、表で「どこをどう書き分けるか」を確認すると実務に落とし込みやすくなります。スマホ表示では、表は横にスクロールして確認できます。

ICIDH と ICF の違い・対応関係(実務の読み替え早見)
観点 ICIDH(旧) ICF(現行) 実務での読み替え
中心の見方 障害の結果を 3 層でみる 生活機能と障害を相互作用でみる 1 語で終えず、要素に分けて書く
欠損 Impairment b(心身機能)/ s(身体構造) 痛み・筋力・可動域・構造は b / s に置く
能力低下 Disability d(活動 / 参加) まず「何ができないか」を d に置く
社会的不利 Handicap d(参加)+ e(環境因子) 参加の制約と環境要因に分解する
環境の扱い 独立した要素として弱い e として明示する 段差・補助具・家族支援・制度を別に書く
臨床での主役 分類の理解 記録・共有・再評価 d を起点にして記録を組み直す

ICIDH → ICF 読み替え 5 手順|迷ったらこの順に並べ替えます

  1. ICIDH 文を切り分ける:欠損 / 能力低下 / 社会的不利の 3 つに分ける
  2. 能力低下を d に置く:まず「何ができないか」「どこで困るか」を d で決める
  3. 欠損を b / s に戻す:痛み、筋力、可動域、構造異常などを b / s に置く
  4. 社会的不利を d + e に分ける:参加の制約は d、背景要因は e に振り分ける
  5. 最後に程度をそろえる:必要なら Performance / Capacity や重症度の根拠を追記する

現場の詰まりどころ| b と d を混ぜない/社会的不利を 1 語で終わらせない

つまずきやすいのは、「歩けない」を原因として書いてしまうことと、「社会的不利」を抽象語のまま残してしまうことです。前者は d と b / s の混同、後者は d と e の未分解が原因です。ここを分けるだけで、目標設定と介入の筋が通りやすくなります。

読み替え早見(運用版)|“分解の例” を先に持つと迷いません

スマホ表示では、表は横にスクロールして確認できます。

ICIDH 文を ICF に分解する早見(成人・一般リハ)
ICIDH っぽい記載 まず置く( d ) 原因( b / s ) 環境( e )
膝痛で歩行困難 d450(歩く) b280(痛み)、b710(関節可動性)など e115(補助具)、e150(段差)など
更衣ができず介助 d540(更衣) b730(筋力)、b760(協調)など e115(自助具)、e310(家族支援)など
通院できず社会参加が不利 d570 / d910 など(生活管理 / 地域生活) b455(運動耐容能)など e540(交通)、e580(サービス)など

読み替えの実例| 1 行で再現できる形まで落とします

元の文( ICIDH っぽい表現 ):膝痛により歩行が困難で、通院の社会参加が不利。

ICF へ分解した例:d450(歩く)P=3 / Cap=2、b280(痛み)2、必要に応じて b730(筋力)2、e115(補助具:促進)、e150(段差:阻害)。

計画の例:疼痛調整+下肢機能練習+段差練習を行い、屋内 20 m 歩行の Performance 改善を追います。

よくある NG / OK|読み替えが崩れるパターンはほぼ固定です

スマホ表示では、表は横にスクロールして確認できます。

ICIDH → ICF 読み替えの NG / OK(院内でそろえるポイント)
場面 NG(起きがち) OK(直し方) 記録のコツ
原因と課題 歩けないを b に置く 歩けない= d、原因= b / s に分ける d を 1 行目に置く
社会面 社会的不利を 1 語で終える 参加( d )+ 環境( e )に分解する 訓練で変える / 資源で補うを分ける
環境因子 段差、家族、制度を並べるだけ 阻害 / 促進として書く 影響が大きい 1 つを先に書く
程度 重い・軽いだけで終える 同条件で比較できる根拠を残す 距離、介助量、時間など 1 軸を決める

5 分で回す運用フロー|「 d → b / s → e → 程度 」だけ固定します

  1. d:何ができない / どこで困るかを 1 つ決める
  2. b / s:その課題を邪魔する原因を 1〜 2 個に絞る
  3. e:阻害または促進の環境を 1 つ足す
  4. 程度:比較できる条件を固定する
  5. 次の一手:訓練で変える点と、資源で補う点を 1 行で分ける

記録シート PDF|そのまま使いたい方はこちら

ICIDH の文を ICF に分解して残す練習用として、A4 1 枚の記録シートを用意しました。個人学習だけでなく、カンファレンス前の整理や院内での記録統一にも使いやすい構成です。

PDF を開く(ダウンロード)

プレビューを表示する

記録テンプレ(コピペ用)|文章構造を固定して迷いを減らします

  • 基本形:(日付)ICIDH 文を ICF へ分解: d__。b / s__。e__(阻害 / 促進)。計画=__。再評価=__。
  • 短縮形:d__|原因= b / s__|環境= e__|次=__
  • カンファ用:今日の課題 d__、主因 b / s__、環境 e__、次回確認__

よくある質問( FAQ )

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. ICIDH は今も使うべきですか?

新規の評価や記録は ICF を標準にした方が実務的です。ICIDH は、古い文献や過去の記録を読むとき、または院内様式を更新するときの橋渡しとして参照するのが現実的です。

Q2. 「社会的不利」は ICF でどう書けばよいですか?

参加の制約は d、背景要因は e に分けます。たとえば「買い物に行けない」は d、「段差が多い」「付き添いがいない」は e に分けると、介入と調整の役割が明確になります。

Q3. 欠損・能力低下・社会的不利の対応が覚えられません。

まずは「欠損= b / s、能力低下= d、社会的不利= d + e」で十分です。実務では、用語を暗記するより d から並べる方が迷いません。

Q4. この PDF はどんな場面で使えますか?

古い記録を ICF に読み替える練習、カンファレンス前の整理、院内での記録様式の統一、学生指導の下書きに向いています。まず d を決めてから b / s、 e の順に埋めると使いやすくなります。

次の一手|関連ページ(読む順)


参考文献

  1. World Health Organization. International classification of impairments, disabilities, and handicaps: a manual of classification relating to the consequences of disease. Geneva: WHO; 1980. WHO IRIS
  2. World Health Organization. International Classification of Functioning, Disability and Health ( ICF ). Geneva: WHO; 2001. PDF
  3. Stucki G, Cieza A, Ewert T, et al. Application of the International Classification of Functioning, Disability and Health ( ICF ) in clinical practice. Disabil Rehabil. 2002;24(5):281-282. doi: 10.1080/09638280110105222. PubMed
  4. Stucki G, Ewert T, Cieza A. Value and application of the ICF in rehabilitation medicine. Disabil Rehabil. 2002;24(17):932-938. doi: 10.1080/09638280210148594. PubMed
  5. Simeonsson RJ, Lollar D, Hollowell J, Adams M. Revision of the International Classification of Impairments, Disabilities, and Handicaps: developmental issues. J Clin Epidemiol. 2000;53(2):113-124. doi: 10.1016/S0895-4356(99)00133-X. PubMed

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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