腱反射の評価方法|4ステップでわかる手順とUMN/LMN解釈

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腱反射の評価方法とは?手順・左右差・解釈の全体像

腱反射の評価は、条件をそろえる → 左右を比較する → 反応の強さを整理する → UMN / LMNや他の神経所見と統合する、の順で考えると整理しやすくなります。大切なのは、反射が「強い・弱い」という結果だけで病変を決めないことです。

本記事では、腱反射の評価方法を確認したいPT・OT・STなどの臨床者に向けて、目的、基本的な実施方法、左右差、亢進・低下の読み方、病的反射との組み合わせを総論として整理します。読み終えると、腱反射の結果から次に何を確認すべきかまで判断できるようになります。

腱反射評価の4ステップと所見が一致しないときの確認ポイントをまとめた図版
本記事では、腱反射を「条件をそろえる → 比較する → 整理する → 他所見と統合する」の4ステップで整理します。

腱反射は「条件→比較→整理→統合」の順で評価します

腱反射で最初にそろえたいのは、採点そのものではなく評価条件と解釈の順番です。反応が乏しい場合も強い場合も、まず体位や脱力、刺激条件を確認し、そのうえで左右差と再現性をみます。

その後に反応を低下・通常範囲・亢進の大枠で整理し、筋力、感覚、筋緊張、病的反射、巧緻運動、歩行などと統合します。腱反射は単独で診断を完結させる検査ではなく、次に確認する神経所見を絞るための材料として使うことが重要です。

腱反射では反射弓と下行性運動路の状態を推定します

深部腱反射では、腱への打鍵によって筋が急速に伸張され、その変化を筋紡錘が検出します。Ia求心性線維から脊髄へ入力された信号がα運動ニューロンを介して同名筋の収縮につながるため、求心路・脊髄内の回路・遠心路・筋を含む反射弓の状態を確認できます。

さらに反射の強さは上位中枢からの調節も受けます。典型的には、上位運動ニューロン(UMN)障害では深部腱反射が亢進しやすく、下位運動ニューロン(LMN)や反射弓の障害では低下・消失しやすくなります。ただし、この組み合わせはあくまで典型像であり、病期や病変部位によって所見が一致しない場合があります

実施では脱力・同条件・左右比較を優先します

腱反射の実施で最も重要なのは、検査する筋をできるだけ脱力させ、左右で条件をそろえることです。検者が検査肢を支持し、目的の腱を確認してから反射槌で打鍵します。反応が乏しいからとすぐ刺激を強くするのではなく、体位、支持方法、脱力、打鍵位置を先に見直します。

代表的な深部腱反射について、詳しい体位・支持方法・打鍵位置を確認したい場合は、深部腱反射(DTR)の手順に分けてまとめています。この親記事では、個々の手技よりも結果の読み方を中心に扱います。

スマートフォンでは、必要に応じて表を左右にスクロールして確認してください。

代表的な深部腱反射と主な神経根
反射 主な神経根 観察する反応
上腕二頭筋反射 C5〜C6 上腕二頭筋収縮・肘屈曲
腕橈骨筋反射 C5〜C6 肘屈曲・前腕の反応
上腕三頭筋反射 C6〜C8(主にC7) 上腕三頭筋収縮・肘伸展
膝蓋腱反射 L2〜L4(主にL4) 大腿四頭筋収縮・膝伸展
アキレス腱反射 S1〜S2(主にS1) 下腿三頭筋収縮・足関節底屈

反応の強さはスコアだけでなく左右差と再現性で読みます

腱反射は0〜4+などの段階で記録できますが、数値だけで正常・異常を決めないことが重要です。1+や3+は状況によって正常範囲にも異常所見にもなり得るため、患者内での左右差、他部位との分布、関連する神経所見まで確認します。

また、腱反射の段階評価には検者間差があります。そのため「左右が1段階違えば異常」と固定的に判断するのではなく、同じ体位・支持・刺激条件で差が再現するかを確認してください。0〜4+の具体的な意味、表記方法、SOAP、A4記録用紙PDFは、腱反射スコア0〜4+の記録用紙ページに分けています。

亢進・低下はUMN / LMNのパターンで解釈します

腱反射の結果は、亢進=UMN、低下=LMNと機械的に当てはめるのではなく、関連所見が同じ方向にそろっているかで意味づけします。反射は局在を考える材料の1つであり、筋力や感覚などを含めた分布を見ることが重要です。

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UMN / LMNを考えるときの代表的な所見
所見 UMN障害でみられやすい LMN障害でみられやすい
深部腱反射 亢進 低下〜消失
筋緊張 増加することがある 低下することがある
病的反射 陽性所見を伴うことがある 通常は主要所見にならない
筋力低下の分布 単一の末梢神経支配では説明しにくいことがある 神経根・末梢神経支配に沿うことがある
筋萎縮・線維束性収縮 典型的な主所見ではない 伴うことがある

実際には、急性期や複数部位の障害では典型的なパターンに一致しないことがあります。たとえば頚髄レベルの病変では、病変高位との関係によって上肢にLMN所見、下肢にUMN所見がみられるなど、異なる所見が混在することがあります。

したがって、腱反射は病変の「答え」として使うのではなく、筋力、感覚、筋緊張、巧緻運動、歩行などを次にどこまで確認するかを決める材料として使います。

病的反射はDTRと他のUMN徴候を合わせて読みます

Babinski、Hoffmann、Trömnerなどの病的反射は、UMN障害を考えるときの補助所見です。重要なのは、病的反射が1つ陽性だから病変を確定するのではなく、DTR、筋緊張、運動・感覚所見と組み合わせることです。

特にHoffmann徴候は、単独では頚髄圧迫や変性性頚髄症を確定・除外できません。左右差や再現性に加えて、上肢DTR、手指巧緻性、筋力、感覚、歩行などとの整合を確認します。

所見が一致しないときは「次に何を見るか」を決めます

腱反射で判断に迷いやすいのは、典型的なUMN / LMNパターンにきれいに当てはまらない場面です。その場合は反射を無理に診断名へ結びつけず、検査条件を再確認したうえで、どの神経所見を追加するかを決めます。

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腱反射で判断に迷う場面と次の確認
迷う場面 まず確認すること 次に見る所見
左右で反応が違う 体位・支持・打鍵条件をそろえて再確認 筋力、感覚、筋緊張、病的反射
両側とも反応が乏しい 脱力、腱の位置、刺激条件を再確認 筋力低下の分布、感覚、筋萎縮
反射は亢進しているが他所見が乏しい 力み・刺激条件・再現性を確認 病的反射、筋緊張、巧緻運動、歩行
上肢と下肢で所見が異なる 各反射の分布と左右差を整理 髄節、筋力、感覚、手指巧緻性、歩行
Hoffmannのみ陽性 左右差・再現性を確認 DTR、筋緊張、巧緻運動、感覚、歩行

所見が一致しないこと自体も情報です。単一の反射を強く解釈するより、異常がどの部位に分布し、他の神経所見とどこまで一致するかを整理してから局在を考えます。

反射が出ない・強すぎるときは検査条件へ戻ります

反応が乏しいときは、LMN障害や反射弓の障害を考える前に、脱力、支持方法、腱の位置、打鍵条件を見直します。下肢で通常の条件では反応が得にくい場合には、必要に応じてJendrassik操作などの増強法を使用します。

反対に反応が強い場合も、力みや疼痛、左右で異なる刺激条件が混ざっていないかを確認します。大切なのは何度も強く叩くことではなく、条件をそろえて同じ傾向が再現するかを見ることです。

記録ではスコアだけでなく検査条件と関連所見を残します

腱反射の記録では、スコアだけでなく部位、左右、誘発条件、関連所見を必要に応じて残します。これにより、再評価時に「患者の反応が変化したのか」「検査条件が違ったのか」を区別しやすくなります。

特に左右差や異常所見がある場合は、数値だけで終わらせず、筋緊張、筋力、感覚、病的反射など、解釈に使った所見を簡潔に残します。経時的に比較する場合は、体位や増強操作の有無などもそろえておくと判断しやすくなります。

実施前に疼痛・皮膚・体位の安全性を確認します

腱反射は短時間で実施できる神経学的検査ですが、強い疼痛、術創、皮膚損傷などがある部位では、直接の刺激を避けるなど患者の状態に合わせて方法を調整します。検査による情報よりも、患者の安全性を優先してください。

端座位で行う場合は転落リスクを確認し、十分な支持が難しい場合は別の体位を選びます。安全に脱力でき、左右で条件を再現しやすい体位を選ぶことが基本です。

よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップすると閉じます。

腱反射が出ないとき、最初に何を確認しますか?

まず脱力、体位、支持方法、腱の位置、打鍵条件を確認します。反応が得られないことだけで、すぐに反射消失と判断しません。

同じ条件で再確認しても反応が乏しい場合は、必要に応じて増強操作を使用し、筋力、感覚、筋萎縮など関連するLMN所見や反射弓の所見まで確認します。

左右差は何段階あれば異常ですか?

「1段階違えば異常」のような固定した閾値だけでは判断しません。腱反射の段階評価には検者間差があるため、まず左右で体位・支持・刺激条件をそろえ、その差が再現するか確認します。

そのうえで筋力、感覚、筋緊張、病的反射なども同じ側で変化しているかを確認し、左右差の意味を判断します。

Hoffmann陽性だけでUMN障害や頚髄症と判断できますか?

いいえ。Hoffmann徴候単独では頚髄圧迫や変性性頚髄症を確定・除外できません。左右差と再現性を確認し、DTR、筋緊張、手指巧緻性、筋力、感覚、歩行など他の所見と組み合わせて解釈します。

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参考文献

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著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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