MTDLP の書き方(結論:本人語 → SMART → KPI の順で埋める)
生活行為向上マネジメント( MTDLP / LCM )は、対象者の「したい生活行為」を起点に、面接 → 課題分析 → 目標 → 介入計画 → モニタリングを 1 本でつなぐ枠組みです。この記事で答えるのは、MTDLP シートの各欄をどの順番で、何を書くかです。定義の紹介で終わらせず、今日のカンファ前に埋められる形まで落とし込みます。
答えないことは、 MTDLP の制度論や研修制度の詳細、他ツール全般の深掘り比較です。ここでは「シートを前に止まらない」ことに絞り、記入例、 OK / NG 、書く順番、 PDF を 1 ページにまとめます。公式様式そのものは日本作業療法士協会( JAOT )のページから入手してください:生活行為向上マネジメント(公式) / MTDLP のプロセスとシート(公式)
A4 記入下書きシート PDF(配布)
下の PDF は「公式様式の代替」ではなく、MTDLP を書き始める前の下書き・整理用シートです。本人語、困り場面、課題分析、 SMART 目標、 KPI 、介入計画、モニタリングを A4 1 枚で整理できる形にしています。
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クイックスタート:今日から回せる 10 ステップ
最初から完成形を目指すより、1 つの生活行為に絞って順番どおりに埋めるほうが早く定着します。思いついた順に書くと、本人語・目標・計画がズレやすいので、まずは次の 10 ステップをそのまま使ってください。
- 準備:既往・生活状況・既存評価を確認し、背景情報を 1 枚に寄せる。
- 自由語り:本人の言葉で「やりたい生活行為」を出す。
- 確認質問:いつ/どこで/誰と/どのくらいの頻度かを具体化する。
- 領域チェック:身体管理/家事/移動/余暇/役割/金銭管理/住環境などの抜けを確認する。
- 課題分析:行為(タスク)× 心身機能 × 環境 × 人的資源に分けて書く。
- 本人語の固定:本人の希望を 1 行で残し、評価で書き換えすぎない。
- SMART 化:期日・場面・頻度・条件を足して、目標文を具体化する。
- KPI を 1〜2 個:代表指標だけに絞り、記録方法もセットで決める。
- 介入計画:課題分解 × 環境調整 × 協力者を 1 枚にまとめる。
- モニタリング:実行度 / 満足度( 0〜10 )+ KPI を週単位で見直す。
シート各欄の「目的」と「書き方」早見( OK / NG )
迷いの正体は、その欄に何を書くための欄かが曖昧なことです。各欄を目的 → 書き方 → NG → OKで固定すると、記載がかなりラクになります。
スマホでは表を横スクロールして確認してください。
| 欄(ブロック) | 目的 | 書き方のコツ | NG 例 | OK 例 |
|---|---|---|---|---|
| 本人の希望(本人語) | 介入の“北極星”を 1 行で固定 | 本人の言葉をいったんそのまま書く | 「歩行訓練を頑張る」 | 「朝食を自分で整えたい」 |
| 困りごと(場面) | 問題を生活の場面に戻す | いつ/どこで/何が/なぜ困るかを短文で | 「筋力低下がある」 | 「台所立位 3 分で膝痛が増え、中断する」 |
| 課題分析 | 介入の当たり所を決める | 行為 × 心身機能 × 環境 × 人的資源に分解する | 「ADL 低下」 | 「立位許容・道具配置・休憩タイミング・家族支援」 |
| 目標( SMART ) | チームで同じ到達像を共有する | 期限+場面+頻度+条件を足す | 「料理ができる」 | 「4 週後、週 5 回、朝 7:30 までに朝食を整える」 |
| KPI(代表指標) | 再評価の物差しを最小化する | 1〜2 個だけに絞り、記録方法も決める | 「評価をたくさん入れる」 | 「台所立位許容時間+疼痛 NRS」 |
| 介入計画 | 誰が見ても同じ方向で動けるようにする | 課題分解 × 環境調整 × 協力者を並べる | 「筋トレ・歩行練習」 | 「作業順序、休憩、道具配置、家族の声かけ」 |
| モニタリング | 改善と停滞の理由を特定する | 実行度 / 満足度( 0〜10 )+ KPI を週で見る | 「できた/できない」だけ | 「実行度 7 → 5 の理由(疼痛・環境変更)まで記録」 |
面接の進め方:自由語り → 確認質問 → 領域チェック
面接は「質問を増やす」より、順番で成果が変わります。まず自由語りで核を出し、次に確認質問で条件を足し、最後に領域チェックで漏れを塞ぎます。
- 自由語り:「最近、できるようになりたい生活行為は何ですか?」
- 確認質問:「それはいつ/どこで/誰と/どのくらいの頻度でやりたいですか?」
- 困りの具体化:「うまくいかないのはどの場面で、何が一番きついですか?」
- 資源:「助けになっている人・道具・環境はありますか?」
- 領域チェック:身体管理/家事/移動/余暇/役割/金銭管理/住環境…
現場の詰まりどころ(ありがちな 4 パターン)
迷ったときは、先に書く順番を戻し、次に各欄の役割を確認してください。それでも全体像から崩れるなら、作業療法( OT )評価の全体像で「作業 → 観察 → 仮説 → 必要分だけ測る」の順番をそろえると、 MTDLP も書きやすくなります。
スマホでは表を横スクロールして確認してください。
| パターン | 起きること | 直し方 | チェック |
|---|---|---|---|
| ① 目標が「動作名」で止まる | リハ室内の目標になり、生活につながらない | 「どこで・誰と・何のために」を足して生活行為に戻す | 本人語が 1 行で書けているか |
| ② シートが「評価の控え」に化ける | 所見が多く、目標・計画・モニタが薄い | 評価の詳細は別紙へ逃がし、シートは合意形成と流れに集中する | KPI が 1〜2 個に絞れているか |
| ③ カンファで活用されない | 読み上げて終わる | 「目標」「最近の変化」「今困り」を 1 枚で見えるようにする | 共有用の 3 行サマリーがあるか |
| ④ 書く人ごとに粒度がバラバラ | 引き継ぎで迷う | 必須項目(本人語・KPI・次回確認)だけ固定して標準化する | 部署内で記入例が共有されているか |
よくある質問( FAQ )
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. まずどの順番で埋めればいいですか?
A. 迷いが減る順番は「本人語 → 困り場面 → 課題分析 → SMART 目標 → KPI( 1〜2 個 )→ 介入計画 → モニタ」です。思いついた順に書くとズレやすいので、本文の「10 ステップ」をそのまま使ってください。
Q2. 評価(テスト)を入れすぎて、シートが読みにくくなります。
A. シートは「生活行為の流れと合意形成」を見える化する場所に割り切り、テストの詳細は別紙に逃がすのがおすすめです。 KPI を 1〜2 個に絞り、再評価タイミングまでセットで書くと読みやすくなります。
Q3. 目標文がうまく書けません(抽象的になります)。
A. 本人語を 1 行で固定したあと、「期日」「場面」「頻度」「条件」を足してください。最初からきれいな文章を作るより、第三者が同じ場面を想像できる 1 文を目指すほうが通りやすいです。
Q4. 公式の各種シートはどこで入手できますか?
A. 日本作業療法士協会のページに「MTDLP のプロセスとシート」「各書式のダウンロード」がまとまっています。最新版は公式ページから入手してください。
Q5. 1 枚のシートにどこまで書けばいいですか?
A. 目安は「本人語・困り場面・課題分析・目標・ KPI ・次回確認」が第三者に伝わる量です。細かな評価所見を全部詰め込むより、次の一手が決まる情報を優先してください。
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参考資料
- 日本作業療法士協会.生活行為向上マネジメント( MTDLP )
- 日本作業療法士協会.生活行為向上マネジメントのプロセスとシート
- 日本作業療法士協会.MTDLP 室
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


