褥瘡対策加算|様式46と判定フロー図解

制度・実務
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褥瘡対策加算の判定は「対象 → 様式 46 → 実績点 → 当日の区分」の順で決まります

療養病棟の褥瘡対策加算で迷いやすいのは、「今日は加算 1 か 2 か」「実績点はどの点を使うか」「どこに何を残すか」の 3 点です。結論から言うと、対象( ADL 区分 3 )→ 別紙様式 46 の毎日評価 → 月内の実績点 → 当日の算定区分の順で確認すると、月次運用がかなり安定します。

この記事で答えるのは、褥瘡対策加算 1 / 2 の判定方法と、院内で迷わない確認手順です。施設基準の総論や報告書集計の細部までは広げず、今日の判定と月初の確認が決まることに絞って整理します。

判定用の記録シート PDF

加算判定を毎月同じ順で確認できるように、褥瘡対策加算 判定記録シートを置いています。様式 46 そのものではなく、前月・前々月の実績点、当月の上回り日、当日の判定メモを 1 枚でそろえるための補助シートです。

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まず結論|判定を迷わない 5 チェック

褥瘡対策加算は、要件を全部覚えるより確認の順番を固定した方がブレません。最初に、判定で必要な項目だけを 1 枚でそろえます。

※スマホでは表を横スクロールできます。

褥瘡対策加算の判定を迷わない 5 チェック(療養病棟)
チェック 結論 見落としやすい点
対象 ADL 区分 3 の患者が対象 褥瘡がある患者全員ではなく、ADL 区分の条件を先に確認します
点数 加算 1=15 点加算 2=5 点( 1 日につき) 加算 2 の方が高いと覚え違いしやすい点に注意します
評価方法 別紙様式 46 を用い、治療・ケア内容を踏まえて毎日評価 週 1 回の創評価だけで回してしまうとズレやすくなります
実績点 月内の DESIGN-R2020 合計点の最小値 を使う 平均点や月末点ではなく、月内の最小点を見ます
算定日判定 加算 2 は、前月実績点より上回った日だけ算定 加算 2 を月内全体へ広げすぎないことが重要です
じょくそう対策加算の判定フロー図。ADL 区分 3 の確認、様式 46 の毎日評価、月内最小点を実績点として確認し、直近 2 か月比較のうえ、今月に実績点を上回る日は加算 2、それ以外の日は加算 1 と判定する流れを示した図
図:じょくそう対策加算の判定フロー

褥瘡対策加算とは|療養病棟で「日々の評価」と「当日の判定」をつなぐ加算

褥瘡対策加算は、療養病棟入院基本料を算定する患者のうち、所定の状態にある患者に対して、必要な褥瘡対策を行った場合に、患者の褥瘡の状態に応じて上乗せされる評価です。実務では、様式 46 の評価 → 実績点 → 加算 1 / 2 の判定までを 1 セットで回します。

大事なのは、「施設としての体制」と「今日の患者にどの加算を当てるか」を分けて考えることです。この記事は後者に集中し、患者単位の判定に必要な順番だけを整理します。

点数と算定要件|加算 1 / 2 の違いは“いつその日を取るか”です

加算 1 / 2 の違いは、評価項目の違いではなく算定日の考え方です。どちらも様式 46 による毎日評価が前提で、分かれ目は「暦月 3 月」と「前月実績点を上回った日」にあります。

請求前は、実績点メモと診療録の記載先まで一緒に確認しておくと、返戻や説明時にもぶれにくくなります。

褥瘡対策加算 1 / 2 の違い(療養病棟の実務整理)
区分 点数( 1 日) 算定の考え方 実務で確認するもの
褥瘡対策加算 1 15 点 入院後または新たに評価開始後、暦月で 3 月を超えない間、または加算 2 を算定する日以外に算定 入院月の数え方/当日が「加算 2 の日」かどうか
褥瘡対策加算 2 5 点 直近 2 月の実績点が 2 月連続で前月を上回り、かつ当月に前月の実績点より上回った日に算定 前月・前々月の実績点/当月の上回り日

運用フロー|様式 46 → 実績点 → 算定日判定の順に固定する

褥瘡対策加算が崩れやすいのは、毎日の創評価、月単位の実績点、請求上の算定日が混線するからです。担当者が変わっても再現できるように、毎日・月内・月初の役割を分けておくと回しやすくなります。

あわせて、評価結果は所定の評価票へ、計画見直しは診療録等へ、という記載先の分離もそろえておくと説明しやすくなります。

褥瘡対策加算の月次運用フロー(最小セット)
タイミング やること 記録先 詰まりやすい点
毎日 別紙様式 46 で褥瘡の状態を確認し、治療・ケア内容を踏まえて評価する 別紙様式 46 / 評価票の所定欄 創評価だけ別運用になり、判定メモと分断される
月内(随時) 当月の DESIGN-R2020 合計点を追い、月内で最も低い点を実績点として控える 院内集計メモ / 配布 PDF 月末点や平均点で見てしまう
状態変化時 治療・看護の計画を見直したら、その内容を診療録等に残す 診療録等 カンファで決めた内容が診療録に残らない
月初 前月・前々月の実績点を並べ、直近 2 月が 2 月連続で上回ったかを見る 前月実績点メモ / 配布 PDF 「 2 月連続」の解釈が担当者でぶれる
当月の算定日判定 当月に前月実績点より上回った日があれば、その日だけ加算 2 を算定する 算定日メモ / 配布 PDF 該当日を見落とす、または月内全体へ広げてしまう

配布 PDF の使い方|様式 46 と請求判断の間をつなぐメモに使います

今回の記録シートは、様式 46 の記載内容を請求判断へつなぐ補助メモとして使う想定です。現場では、様式 46 はあるのに「前月実績点」「上回った日」「当日の区分」の確認が別紙メモや口頭に散ってしまい、月初に迷いやすくなります。

配布 PDF では、患者 ID、評価日、前月・前々月の実績点、当月の上回り日、当日の判定欄を 1 枚で見返せるようにしています。月次の判定を 1 人ずつ確実に確認したいときのたたき台として使うと便利です。

DESIGN-R2020 と実績点|深さは合計に入れず、月内の最小点で見る

ここが最重要です。褥瘡対策加算の運用では、深さの点数は合計点に加えません。さらに、当月の実績点は暦月内で最も低かった DESIGN-R2020 合計点です。ここを外すと、加算 2 の判定が根本から崩れます。

複数部位があり、部位ごとに合計点が異なる場合は、最も低い合計点で扱います。部位別に別々の実績点を持つのではなく、「その月の患者 1 人の実績点」を固定するイメージでそろえると混乱しにくくなります。

PT が押さえる役割|体位・座位・離床を“算定に耐える記録”へつなぐ

褥瘡対策加算は看護中心に見えますが、PT が関与すると運用が強くなる場面は多いです。特に、ずれ・摩擦・圧分散・離床量は、状態の悪化や改善の説明に直結します。

  • 体位:頻度だけでなく、皮膚所見・疼痛・耐久性の根拠まで短く残す
  • 座位:シーティング、ずれ、フットサポート、クッション調整を評価→介入→再確認でつなぐ
  • 離床:離床量を増やすだけでなく、湿潤・失禁・栄養・支持面の条件も一緒に見る

現場の詰まりどころ|「評価はしているのに請求が弱い」を先に潰す

先にここだけ確認したい方は、よくある失敗回らないときの戻し方 を先に見てください。褥瘡診療計画側の整理も必要なら、褥瘡ケア計画の作り方 がつながります。

褥瘡対策加算は、真面目に評価していても記録の形がそろっていないと弱くなります。特に、毎日評価・実績点・見直し記載先の 3 点は、監査でもズレが見えやすい部分です。

よくある失敗

褥瘡対策加算で起きやすい失敗と対策
よくある失敗 なぜ起きる? 最小の対策 確認ポイント
毎日評価が週 1 回運用になっている 創傷チーム任せで、病棟の日々の確認と切れている 評価担当を日単位で決め、記入漏れ確認を 1 つ作る 様式 46 の評価日が連続して残ること
実績点を月末点で見ている 「実績点=最小点」が共有されていない 前月・前々月は 1 行メモで残す 月内の最小点で統一されていること
深さを合計に入れている DESIGN-R2020 の通常評価と請求上の扱いが混ざる 計算ルールを紙 1 枚で明文化する 合計点算出の手順が担当者で一致すること
見直し内容が診療録にない カンファで決めて満足してしまう 「いつ・何を・なぜ」を 2 行で残す 変更理由が診療録等で追えること

回らないときの戻し方

いったん崩れた場合は、次の順で戻すと早いです。

  1. 対象を戻す:ADL 区分 3 の患者に絞る
  2. 評価を戻す:様式 46 の毎日評価が空いていないか確認する
  3. 点を戻す:深さを除いた合計点で、月内最小点を拾い直す
  4. 算定日を戻す:前月実績点を上回った日だけを抽出する

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. 褥瘡対策加算 2 は毎日算定できますか?

いいえ。加算 2 は、直近 2 月の実績点が 2 月連続で前月を上回っていることを確認したうえで、当月に前月実績点より上回った日だけ算定します。月内全日を加算 2 にする運用は基本ではありません。

Q2. 加算 1 はいつまで算定しますか?

入院後、または新たに当該評価を始めてから、暦月で 3 月を超えない間は加算 1 の扱いが基本です。加えて、当日が加算 2 の要件に当てはまらない日も加算 1 の対象になります。

Q3. 実績点は平均点や月末の点でもよいですか?

実績点は、暦月内で最も低かった DESIGN-R2020 合計点です。平均や月末点に置き換えると、加算 2 の判定がずれるため避けた方が安全です。

Q4. 深さ( Depth )の点数は合計に入れますか?

入れません。褥瘡対策加算の運用では、深さの点数を除いた合計点で判断します。ここは請求上の重要ポイントです。

Q5. 配布 PDF は何に使う想定ですか?

配布 PDF は、様式 46 の評価結果と請求判断の間をつなぐ院内メモとして使う想定です。前月・前々月の実績点、当月の上回り日、当日の判定を 1 枚で整理したいときに向いています。

次の一手|同ジャンルで理解をつなげる

このページで決めるのは「今日の判定」と「月初の確認手順」です。次に進むなら、全体設計と計画書側の整理を押さえると、院内運用がさらに安定しやすくなります。

  1. 全体像を整える
    褥瘡対策の基準の進め方|入院基本料の施設基準フロー
  2. 計画書側までつなげる
    褥瘡ケア計画の作り方

参考文献

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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