FILS( Food Intake LEVEL Scale )とは?(この記事の結論)
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FILS( Food Intake LEVEL Scale )は、嚥下障害の「いま食べられている状態」を 10 段階で整理し、チームで共有するための観察尺度です。VE/VF がなくても運用できるため、病棟・外来・在宅でも「経過が一目で追える」形に落とし込めます。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
ポイントは、経口摂取の量・形態の制限と、代替栄養(経管や補助)との併用をセットで捉えることです。FILS は FOIS と高い関連が報告されており、実務で “記録の共通言語” として使いやすい設計になっています。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
FILS は何に使う?:記録・申し送り・効果判定
FILS は、嚥下訓練や食形態調整の前後で「何が良くなった(悪くなった)か」を短い言葉で共有するのに向きます。食事場面の変化が ADL や退院支援の判断に影響するため、回復期・生活期でも記録価値が高いです。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
とくに、主治医・看護・栄養・リハで情報が分断しやすいとき、FILS を軸にすると「今はどこを目標にするか(例:代替栄養を残す/減らす)」が揃いやすくなります。
5 分でできる判定フロー(現場用)
FILS は “細かな定義暗記” より、まずは大枠(3 つの帯)で迷いを減らすと回ります。ここでは運用のコツを「帯」で示します(各施設の記録ルールに合わせて運用してください)。
| 帯(目安) | 経口摂取 | 代替栄養 | 現場メモ |
|---|---|---|---|
| 低位( 1〜3 ) | 食事としては取れていない(訓練段階を含む) | 主に代替で栄養を確保 | 口腔ケア・訓練の目的(安全/量/手技)を 1 行で残す |
| 中位( 4〜6 ) | 食べるが “量が足りない/制限が強い” | 併用あり | 「何がボトルネックか(咳・湿声・疲労・姿勢)」をセットで記録 |
| 高位( 7〜10 ) | 食事として成立(制限あり→ほぼ制限なしへ) | 基本は不要 | “制限が残る理由” を明確に(誤嚥リスク/歯科問題/体力など) |
現場の詰まりどころ:FILS が動かない 3 パターン
FILS 運用で詰まりやすいのは「食形態は変えたのに、記録が更新されない」場面です。多くは次の 3 パターンに整理できます。
| よくある失敗 | 起きやすい理由 | 対策(記録のコツ) |
|---|---|---|
| 食形態だけ変更して「量」を見ていない | 安全性ばかりに目が行き、必要量の評価が後回し | 1 日の摂取量(割合)と補助栄養の有無を “セット” で残す |
| 併用(経管・補助)の扱いが曖昧 | 主担当が複数で、判断基準が共有されていない | 「併用が必要な理由(量/疲労/誤嚥)」を 1 行で固定化 |
| 評価のタイミングがバラバラ | “いつ更新するか” の合意がない | 週 1 回など、更新タイミングをカンファで統一する |
関連:嚥下評価を「流れ」で押さえる(親記事)
FILS は便利ですが、単体だと「次に何をする?」が曖昧になりがちです。スクリーニング→観察→介入設計まで一気通貫で整理したいときは、下記の親記事にまとめています。
よくある質問(FAQ)
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Q1. FILS は VE/VF がなくても使えますか?
A. はい。FILS は “いまの摂取状況” を観察・記録する尺度なので、検査が難しい現場でも運用できます。検査がある場合は、所見とセットで「制限が残る理由」を言語化すると、チームの意思決定が速くなります。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
Q2. FOIS とどう使い分ければいいですか?
A. 実務では「施設の文化」に合わせて 1 つを主軸にするのが安全です。研究では FILS と FOIS の強い関連が示されています。まずは院内で使っている方を主にし、もう片方は外部連携(転院・在宅)での補助指標として使うのが無難です。:contentReference[oaicite:5]{index=5}
Q3. 更新の目安は? 毎食ごとに変えるべき?
A. 毎食で変えるより、週 1 回など “更新タイミング” を揃える方が、経過が読みやすくなります。急変(肺炎疑い、著明な摂取低下)があれば、その場で更新して構いません。
参考文献
- Kunieda K, Ohno T, Fujishima I, Hojo K, Morita T. Reliability and Validity of a Tool to Measure the Severity of Dysphagia: The Food Intake LEVEL Scale. J Pain Symptom Manage. 2013;46(2):201-206. PubMed
- Crary MA, Carnaby Mann GD, Groher ME. Initial psychometric assessment of a functional oral intake scale for dysphagia in stroke patients. Arch Phys Med Rehabil. 2005;86(8):1516-1520. doi:10.1016/j.apmr.2004.11.049. PubMed
- Hamada T, et al. Prognostic Value of Dysphagia for Activities of Daily Living in Convalescent Rehabilitation After Stroke (FILS). Progress in Rehabilitation Medicine. 2024. J-STAGE
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

