FOISとは?嚥下の7段階・判定基準とレベル境界

栄養・嚥下
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FOISとは?実際の経口摂取状況を1〜7で評価する尺度です

FOIS(Functional Oral Intake Scale)は、患者が現在どの程度、食品や飲料を経口摂取しているかを1〜7の7段階で整理する尺度です。判定では、Level 1〜3は経口摂取の有無と補助栄養への依存、Level 4〜7は全量を経口摂取できているか、食形態・特別な準備や代償・食品制限が残っているかを確認します。

重要なのは、FOISを嚥下障害そのものの重症度や誤嚥リスクと同一視しないことです。この記事では、FOIS 1〜7の全体像と、特に迷いやすい2と3、3と4、4と5、5と6、6と7の境界をPT・OT・ST向けに整理します。記事後半では、判定根拠と再評価条件を記録できるExcel・PDF版の記録シートも用意しています。123

FOISの判定を最短で整理すると

  • Level 1:経口摂取なし
  • Level 2〜3:補助栄養に依存しながら経口摂取あり
  • Level 4〜7:栄養・水分をすべて経口摂取

4〜7はさらに、食形態の数、特別な準備・代償、特定食品の制限の有無で分けます。

FOIS 1〜7の判定基準|まず「補助栄養」と「全量経口」を分けます

FOISを判定するときは、7段階を最初から個別に暗記するより、「経口摂取なし」「補助栄養に依存しながら経口摂取」「すべて経口摂取」の3群に分けると整理しやすくなります。FOIS原著および『嚥下障害診療ガイドライン2024年版』をもとに、判定の核を実務向けに整理すると以下のとおりです。12

FOIS 1〜7の判定境界を補助栄養・食形態・特別な準備や代償・食品制限で整理した図
FOIS 1〜7は、補助栄養への依存、経口摂取の継続性、食形態、特別な準備・代償、食品制限の順に境界を確認すると整理しやすくなります。
FOIS 1〜7の判定で確認するポイント
Level 判定の核 隣接レベルとの境界
1 食品・飲料を経口摂取していない 経口での試行が始まればLevel 2以上を検討
2 補助栄養に依存し、経口摂取は少量の試行にとどまる 食品・飲料を継続して経口摂取しているか
3 補助栄養に依存しているが、食品・飲料を継続して経口摂取している 栄養・水分をすべて経口で摂取できているか
4 栄養・水分をすべて経口摂取し、食形態が1種類に限られる 複数の食形態を摂取できるか
5 複数の食形態を経口摂取できるが、特別な準備や代償を必要とする 特別な準備・代償なしで摂取できるか
6 特別な準備は不要だが、特定の食品に制限がある 特定食品の制限が残っているか
7 経口摂取に食事上の制限がない FOIS上の最上位

FOIS原著では、急性期脳卒中患者302例を対象に信頼性・妥当性・経時変化への反応などが検討されています。したがって、FOISは単なる食事形態一覧ではなく、機能的な経口摂取状況の変化を経時的に共有するための順序尺度として理解すると使いやすくなります。1

FOISで迷いやすい境界|2→3→4→5→6→7はここを見ます

FOISで実際に迷いやすいのは、各レベルの名称よりも隣り合うレベルのどちらに判定するかです。特にLevel 2〜6では、むせの有無や食事名だけで決めず、補助栄養への依存、経口摂取の継続性、食形態の数、特別な準備・代償、食品制限を順番に確認します。

FOIS 2と3の違い|「少量を試す」か「継続して経口摂取する」か

Level 2と3は、どちらも補助栄養に依存している点は共通します。違いは経口摂取の位置づけです。

  • Level 2:食品・飲料の経口摂取は少量の試行にとどまる
  • Level 3:補助栄養を必要としながら、食品・飲料を継続して経口摂取している

したがって、「栄養の大部分が経管だからLevel 2」「少しでも毎日食べていればLevel 3」と単純には決めません。FOIS原尺度には、「経口摂取が○%以上ならLevel 3」といった一律の割合基準は示されていません。12

2→3で見るポイント:補助栄養が残っているかではなく、経口摂取が「少量の試行」にとどまるのか、「継続した摂取」になっているのかを確認します。

FOIS 3と4の違い|補助栄養への依存が残っているか

Level 3と4の境界は、栄養・水分をすべて経口から摂取できているかです。

  • Level 3:継続して経口摂取しているが、補助栄養への依存が残る
  • Level 4:栄養・水分をすべて経口摂取し、食形態は1種類

ここで注意したいのは、経管チューブが物理的に残っているかだけでは判定できないことです。チューブの有無ではなく、現在の栄養・水分摂取が補助栄養に依存しているかという実際の摂取状況を確認します。

FOIS 4と5の違い|1種類の食形態か、複数の食形態か

栄養・水分をすべて経口摂取できるようになった後は、摂取できる食形態の範囲を確認します。

  • Level 4:経口摂取できる食形態が1種類に限られる
  • Level 5:複数の食形態を摂取できるが、特別な準備や代償が必要

そのため、「全量経口になったからLevel 5以上」とは限りません。全栄養・水分を経口摂取できていても、摂取できる食形態が1種類に限られている場合はLevel 4の条件を確認します。

4→5で見るポイント:「全量経口か」ではなく、その次に食形態が1種類か、複数まで広がっているかを確認します。

FOIS 5と6の違い|特別な準備・代償が必要か

Level 5と6では、複数の食形態を摂取できる点は共通します。境界になるのは特別な準備や代償を必要としているかです。

  • Level 5:複数形態を摂取できるが、特別な準備・代償を必要とする
  • Level 6:特別な準備は不要だが、特定の食品には制限が残る

記録では「FOIS 5」と数字だけを残すより、どのような準備・代償を必要としているためLevel 5と判断したのかを併記すると、Level 6との境界を共有しやすくなります。

FOIS 6と7の違い|特定の食品制限が残っているか

Level 6と7では、食事上の制限が残っているかを確認します。

  • Level 6:特別な準備は不要だが、特定の食品を避けるなどの制限がある
  • Level 7:経口摂取に食事上の制限がない

「むせがないからLevel 7」「普通食という食事名だからLevel 7」と機械的に決めるのではなく、FOISが評価している実際の経口摂取範囲と食事上の制限で判断します。

FOISだけでは嚥下障害の原因・誤嚥リスク・食形態コードは決まりません

FOISは経口摂取の状況を簡潔に共有できる一方、FOISだけで嚥下評価を完結させる尺度ではありません。日本老年歯科医学会も、FOISは現在の栄養摂取方法を示す尺度であり、嚥下障害の程度そのものを表すものではない点に注意が必要としています。3

FOISで整理できること・別に評価すること
確認事項 FOISでの扱い
現在の経口摂取レベル FOISの中心となる評価対象
補助栄養への依存 Level 1〜3の判定に関係する
食形態・食品制限の範囲 Level 4〜7の判定に関係する
誤嚥の有無・程度 FOIS単独では判定しない
嚥下障害の原因・病態 FOIS単独では判定しない
適切な嚥下調整食コード FOISと1対1には対応させない

日本摂食嚥下リハビリテーション学会の「嚥下調整食分類2021 Q&A」でも、嚥下調整食とFOIS・FILSを明確に対応づけることは難しいとされています。提供されている食事名やコードだけからFOISを機械的に決めず、実際の経口摂取状況を確認することが重要です。4

FOISを実際に判定するときは5つの確認に分けます

FOIS原尺度に「5分フロー」という正式な実施手順が規定されているわけではありません。以下は、FOISの判定条件と安全性の観察所見を混同しないために、rehabilikunblogで整理した実務上の記録補助フローです。

  1. 補助栄養への依存を確認する:経口摂取なし、補助栄養依存、全量経口のどこに当たるか
  2. 補助栄養依存なら経口摂取の範囲を確認する:少量試行か、継続した摂取か
  3. 全量経口なら食形態を確認する:1種類か、複数の食形態か
  4. 複数形態なら制限を確認する:特別な準備・代償が必要か、特定食品のみ制限されるか、制限なしか
  5. FOISと判定根拠を記録する:隣接レベルとの境界が分かる情報を残す

むせ・姿勢・介助量などはFOISの判定条件と分けて記録します

むせ・咳、湿性嗄声、疲労、姿勢、介助量、呼吸状態、一口量、摂取ペースなどは、嚥下評価や安全管理では重要な情報です。しかし、これらの所見をそのままFOISのLevelへ置き換えるわけではありません。

例えば「むせがあるからFOIS 5」「介助が必要だからFOIS 4」とは判定せず、まずFOISの定義に沿って経口摂取状況を判定し、そのうえで安全性や介助条件を別の観察所見として併記します。

FOISの記録は「Level+判定根拠」を残すと再評価しやすくなります

FOISを実務で活用するなら、数字だけでなく、なぜそのLevelになったのかが分かる情報を残します。特にLevel 2〜6では、隣接レベルとの境界を記録しておくと、次回の変化を判断しやすくなります。

FOISの記録例
Level 記録例 境界として残している情報
3 FOIS 3。補助栄養を併用。食品・飲料は継続して経口摂取している。 少量試行ではなく継続摂取だが、補助栄養への依存が残る
4 FOIS 4。栄養・水分は全量経口。摂取可能な食形態は1種類。 全量経口だが、複数形態には広がっていない
5 FOIS 5。栄養・水分は全量経口。複数形態を摂取可能だが、特別な準備・代償を要する。 複数形態は可能だが、準備・代償が残る
6 FOIS 6。栄養・水分は全量経口。特別な準備は不要だが、特定食品を制限している。 準備・代償は不要だが、食品制限が残る

再評価は固定日数ではなく、FOISの判定条件が変わったときに行います

FOIS自体には、「○日ごとに再評価する」という一律の期間は設定されていません。臨床では、FOISを決めている条件に変化があったときに再判定すると、経時変化を捉えやすくなります。

  • 補助栄養の開始・中止・使用状況が変わった
  • 経口摂取が「少量試行」から「継続した摂取」へ変わった、またはその逆
  • 栄養・水分をすべて経口で摂取できるようになった
  • 摂取できる食形態が1種類から複数へ広がった、または狭くなった
  • 特別な準備・代償が必要または不要になった
  • 特定食品の制限が追加・解除された

FOISの点数だけを追うのではなく、何が変わったためLevelが変化したのかを記録すると、介入や多職種共有につなげやすくなります。

FOIS記録シート v2|Excel・PDFをダウンロードできます

FOIS 1〜7の判定と隣接レベルの境界を実際の記録へ落とし込めるように、FOIS経口摂取レベル記録シート v2を作成しました。

v2では、Level 2を「補助栄養に依存し、経口は少量の試行」、Level 3を「補助栄養に依存しながら継続して経口摂取」と整理し、Level 4〜7についても食形態・特別な準備や代償・特定食品の制限という境界を確認できる構成にしています。

また、FOISの直接判定条件と、むせ・姿勢・介助量などの安全性・観察所見を分けて記録できるようにしています。FOISのLevel、判定根拠、再評価条件まで1枚で整理できます。

Excel版|入力・院内編集に使いたい方

FOIS記録シート v2|Excelをダウンロード

PDF版|印刷・手書きで使いたい方

FOIS記録シート v2|PDFを開く

PDFプレビューを開く

PDFが表示されない場合は、こちらからFOIS記録シート v2を開いてください

※本シートはFOISの判定・記録を補助するためにrehabilikunblogで作成した独自の記録用紙であり、FOIS原著の公式記録用紙ではありません。判定時は原著・ガイドライン等の定義を確認したうえで使用してください。

FOISとFILSの違い|FOISは7段階、FILSは10段階です

FOISとFILSはいずれも実際の摂食状況を段階化して共有する際に使われますが、段階数と判定構造は異なります。FOISは7段階で経口摂取状況を整理し、FILSは10段階で摂食状況を分類します。

そのため、「FOIS 5だからFILS 5」のように同じ数字をそのまま対応させて使用するのではなく、それぞれの尺度の判定基準に沿って評価します。FILS 1〜10の判定境界については、FILS(嚥下)の評価と判定基準で詳しく整理しています。

FOISでよくある質問

FOIS 7なら嚥下機能も正常と考えてよいですか?

FOIS 7は、経口摂取に食事上の制限がない状態を示します。ただしFOISは、嚥下障害の原因や誤嚥の有無などを直接評価する尺度ではありません。FOIS 7という情報だけから、VE・VFを含む嚥下機能全体が正常と判断することは避けます。

経管チューブが残っていたらFOIS 3以下ですか?

チューブが物理的に残っているかだけでは判定できません。現在の栄養・水分摂取が補助栄養に依存しているかを確認します。補助栄養への依存がなく、栄養・水分をすべて経口摂取できている場合は、食形態などを確認してLevel 4以上の条件を検討します。

FOIS 2と3は経口摂取量の割合で分けますか?

原尺度では「○%以上」という一律の割合基準ではありません。補助栄養に依存している状態で、経口摂取が少量の試行にとどまるのか、食品・飲料を継続して経口摂取しているのかという違いを確認します。

普通食ならFOIS 7ですか?

食事名称だけではFOIS 7とは判定できません。FOISでは、実際に経口摂取している範囲と食事上の制限を確認します。施設の「普通食」という名称だけでなく、特定食品を避けていないかなども確認します。

嚥下調整食のコードからFOISを決められますか?

嚥下調整食コードとFOISを単純に1対1で対応させることはできません。同じ食形態でも、補助栄養への依存、経口摂取の範囲、特別な準備・代償、食品制限などによってFOISの判定は異なります。

次に確認したい嚥下評価


参考文献

  1. Crary MA, Mann GDC, Groher ME. Initial psychometric assessment of a functional oral intake scale for dysphagia in stroke patients. Arch Phys Med Rehabil. 2005;86(8):1516-1520. doi:10.1016/j.apmr.2004.11.049
  2. 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 編. 嚥下障害診療ガイドライン2024年版. 東京: 金原出版; 2024. 公式資料
  3. 日本老年歯科医学会. 老年歯科医学用語辞典 追加用語「FOIS(functional oral intake scale)」. 日本老年歯科医学会. Accessed September 3, 2026.
  4. 日本摂食嚥下リハビリテーション学会. 日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021 Q&A. 公式資料. Accessed September 3, 2026.

著者情報

rehabilikunのプロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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