- 理学療法士の後期研修の進め方|3 年完走は「事例枠の先取り」で決まります
- まずは 5 分フロー|後期研修を 3 年で止めない手順
- 後期研修の要件を最短で把握する|講座 A〜F と実地経験 3 年
- E:領域別研修(事例)は「発表 1 回=1 コマ」「聴講 3 回=1 コマ」で逆算する
- 領域選びは「症例が集まる領域」から決める
- 3 年で終える年次設計|座学は前倒し、事例は先に予定化
- 現場の詰まりどころ|後期研修は「理解不足」より「予定未固定」で止まりやすい
- よくある失敗と回避の手順
- 4 月・10 月の棚卸しチェック|不足だけ見れば続けやすい
- 後期研修 3 年完走チェックシート
- よくある質問(FAQ)
- 次の一手
- 参考文献・参考リンク
- 著者情報
理学療法士の後期研修の進め方|3 年完走は「事例枠の先取り」で決まります
後期研修は、座学 51 コマと実地経験 3 年を軸に進める登録理学療法士取得前の研修です。座学は e ラーニングで進めやすい一方、E:領域別研修(事例)は日程・発表・聴講枠の確保が必要になり、後回しにすると最終年度で詰まりやすくなります。
結論は、1 年目に領域を仮固定し、事例枠を先に確保し、4 月・10 月だけ不足を棚卸しすることです。本記事では、後期研修を 3 年で完走するための最短フロー、講座 A〜F の進め方、症例検討会で詰まらないコツを実務目線で整理します。
まずは 5 分フロー|後期研修を 3 年で止めない手順
後期研修は、制度を細かく読む前に「何を先に押さえるか」を決めると進みやすくなります。最初に領域と事例枠を決め、座学は後から不足分を埋める順番で進めるのが実務的です。
- 領域を 1 つ仮固定する:症例が集まりやすい領域を優先する
- E:領域別研修(事例)の予定を探す:発表・聴講のどちらで積み上げるか確認する
- 講座 A〜F の座学を月 2〜4 コマで前倒しする:空き時間で進めやすいものから埋める
- 実地経験 36 か月のカウント条件を確認する:在会・勤務先登録を早めに点検する
- 4 月・10 月に不足だけ棚卸しする:完了項目ではなく未達項目だけ見る
合言葉:領域を決める、事例枠を押さえる、半年ごとに不足だけ見る。
後期研修の要件を最短で把握する|講座 A〜F と実地経験 3 年
後期研修では、座学 51 コマ(76.5 時間)と実地経験 3 年(36 か月)を進めます。大きく見ると、e ラーニングで進めやすい部分と、症例検討会として日程確保が必要な部分に分かれます。
特に注意したいのは、E:領域別研修(事例)です。ここは単に動画を視聴して終える領域ではなく、症例検討会への発表または聴講を通して履修していくため、早めの予定化が重要になります。
| 区分 | 主な内容 | 進めやすさ | 詰まりやすい点 | 先に決めること |
|---|---|---|---|---|
| 講座 A・B | 臨床推論、臨床疫学 | 座学として進めやすい | 受講後に臨床へ接続しにくい | 学んだ内容を 1 症例に当てはめる |
| 講座 C | 領域別研修(座学) | 領域を決めると進めやすい | 複数領域へ分散しやすい | 症例が集まる領域を 1 つ仮固定する |
| 講座 D | 栄養、創傷、薬理、住環境など | 周辺知識として進めやすい | 臨床場面とのつながりが弱くなりやすい | 担当症例の課題に紐づけて受講する |
| 講座 E(事例) | 症例検討会 | 日程確保が必要 | 後回しで枠不足になりやすい | 発表・聴講の計画を 1 年目に立てる |
| 講座 E(育成) | 臨床実習指導、教育方法など | 進めやすい | 受講だけで終わりやすい | 新人・学生指導場面に当てはめる |
| 講座 F | 最近の知見 | e ラーニングで進めやすい | 行動変容につながりにくい | 受講後に変える行動を 1 つ決める |
E:領域別研修(事例)は「発表 1 回=1 コマ」「聴講 3 回=1 コマ」で逆算する
後期研修で最も詰まりやすいのは、E:領域別研修(事例)です。症例検討会には、協会主催、都道府県士会主催、士会承認の症例検討会があり、いずれも日程・開催方法・取得コマ数を事前に確認しておく必要があります。
発表者は 1 回の発表で 1 コマ、聴講者は 1 回の聴講で 1/3 コマとして考えると、必要回数を逆算しやすくなります。聴講だけでも進められますが、発表できる症例を 1 年目から育てておくと、後半の余裕が大きくなります。
| 方法 | 履修の考え方 | メリット | 注意点 | おすすめの動き方 |
|---|---|---|---|---|
| 発表 | 1 回の発表で 1 コマ | コマを積み上げやすく、学習効果も高い | 症例選定、抄録、スライド準備が必要 | 1 年目に候補症例を決め、2 年目までに発表を狙う |
| 聴講 | 1 回の聴講で 1/3 コマ | 参加しやすく、発表前の準備にもなる | 回数が必要になり、後半で不足しやすい | 年 2〜3 回の聴講枠を先に予定表へ入れる |
| 士会承認症例検討会 | 施設内症例検討会などを士会承認で実施 | 自施設の症例を使いやすい | 座長側の申請・承認手続きが必要 | 施設内で開催できるか、早めに上司・登録理学療法士へ相談する |
領域選びは「症例が集まる領域」から決める
後期研修の領域選びでは、興味だけでなく症例が継続して集まるかを優先すると進めやすくなります。症例が少ない領域を選ぶと、発表準備や検討会参加のテーマが分散し、後半で計画を組み直すことがあります。
迷った場合は、「症例が集まる」「相談できる先輩がいる」「今後伸ばしたい」の順で判断します。最初から完全に決め切る必要はありません。まず 3 か月だけ仮固定し、症例・指導者・発表可能性を見て再評価しましょう。
| 判断軸 | 優先度 | 確認すること | 避けたい状態 |
|---|---|---|---|
| 症例が集まる | 高い | 担当症例・病棟・施設特性と合っているか | 発表したいが症例が不足する |
| 相談相手がいる | 高い | 症例整理や発表準備を相談できるか | 抄録・考察で止まる |
| 伸ばしたい領域 | 中等度 | 今後の専門性や配属とつながるか | 興味だけで実務に乗らない |
3 年で終える年次設計|座学は前倒し、事例は先に予定化
3 年完走のコツは、座学を空き時間で前倒しし、事例を先に予定化することです。実地経験はカウント条件の確認が重要になるため、在会状況と勤務先登録も早めに点検しておきます。
年度末に一気に確認すると、未履修・未参加・勤務先登録の不備に気づくのが遅れます。4 月と 10 月の 2 回だけ、未達項目を棚卸しする運用にすると負担を増やさず継続できます。
| レーン | 1 年目 | 2 年目 | 3 年目 |
|---|---|---|---|
| 座学 | 進めやすい講座から前倒し。月 2〜4 コマを目安に開始。 | 領域に関係する講座を集中して進める。不足は四半期で回収。 | 未履修を最終確認し、修了条件を点検する。 |
| 事例 | 領域を仮固定し、発表候補症例を 1 例決める。聴講枠も先に探す。 | 発表または聴講でコマを積み上げる。必要なら士会承認症例検討会も相談。 | 不足コマを回収し、取得状況を最終確認する。 |
| 実地経験 | 在会・勤務先登録・就労状況を確認する。 | 異動や勤務先変更があれば早めに手続きする。 | 36 か月のカウント状況を確認する。 |
| 棚卸し | 4 月:計画作成/10 月:不足差分を補正 | 4 月:到達度確認/10 月:遅れを回収 | 4 月:最終不足を特定/10 月:完了判定と提出準備 |
現場の詰まりどころ|後期研修は「理解不足」より「予定未固定」で止まりやすい
後期研修が止まる原因は、制度が難しいことだけではありません。実際には、領域が決まらない、症例検討会の予定を押さえていない、勤務先登録を後回しにする、といった運用の未固定で遅れやすくなります。
- よくある失敗を先に確認して、詰まり方を把握する
- 3 年ロードマップで座学・事例・実地経験を分けて管理する
- 制度全体は登録理学療法士までの全体ロードマップで確認する
ここまで整えても毎回同じところで詰まる場合は、手順だけでなく、教育体制・相談相手・共通フォーマットの有無など、職場環境の影響を受けている可能性もあります。
よくある失敗と回避の手順
後期研修では、「座学だけ終わらせれば何とかなる」と考えると、E:領域別研修(事例)や実地経験の確認で詰まりやすくなります。先に失敗パターンを把握し、回避策を予定表に入れておきましょう。
| よくある失敗 | 起きる理由 | 回避策 | 記録・確認ポイント |
|---|---|---|---|
| 座学だけ先に進む | e ラーニングは取り組みやすいが、事例枠は予定化が必要 | 1 年目に症例検討会の予定を探す | 発表予定/聴講予定/取得見込みコマ |
| 領域が決まらない | 興味・配属・症例数の優先順位が曖昧 | 症例が集まる領域を 3 か月だけ仮固定する | 候補領域/症例数/相談相手 |
| 聴講回数が不足する | 1 回の聴講で積み上がるコマ数が少ない | 年 2〜3 回の聴講枠を先に入れる | 参加日/テーマ/取得コマ |
| 実地経験の確認が遅れる | 在会・勤務先登録の条件を後回しにする | 4 月と 10 月にマイページを確認する | 在会状況/勤務先登録/就労状況 |
4 月・10 月の棚卸しチェック|不足だけ見れば続けやすい
後期研修の進捗管理は、毎月細かく確認しすぎると続きません。おすすめは、4 月と 10 月に「不足だけ」を見る方法です。完了した項目を追うより、次の半年で何を埋めるかを決める方が行動につながります。
- 座学:未履修の講座 A〜F を確認する
- 事例:発表・聴講の予定と取得見込みコマを確認する
- 実地経験:在会、勤務先登録、就労状況を確認する
- 領域:症例数と相談相手が足りているか確認する
- 次の半年:受講・聴講・発表準備の予定を 1 つずつ入れる
記録は細かく作り込まなくても構いません。「未履修」「予定あり」「次にやること」の 3 列だけで十分です。
後期研修 3 年完走チェックシート
後期研修の進捗は、座学・事例・実地経験を分けて確認すると整理しやすくなります。4 月と 10 月の棚卸し用に、A4 1 枚で使えるチェックシートを用意しました。
印刷して使う場合は、座学の未履修、症例検討会の発表・聴講予定、実地経験 36 か月の確認状況をまとめて記入できます。完了項目を細かく追うより、次の半年で埋める不足だけを見える化する目的で使ってください。
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よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. 後期研修は何から始めるのが最短ですか?
A. まず領域を 1 つ仮固定し、E:領域別研修(事例)の予定を探します。座学は後から前倒ししやすい一方、症例検討会は日程や枠の影響を受けるため、先に押さえるのが安全です。
Q2. 座学 51 コマを先に終わらせてもよいですか?
A. 先に進めて問題ありません。ただし、座学だけ終わっても実地経験 3 年や症例検討会が残ると修了は遅れます。座学と事例を並行して進める計画にしましょう。
Q3. 症例検討会は発表しないと修了できませんか?
A. 発表は学習効果が高く、コマも積み上げやすい方法ですが、聴講のみでも進められます。ただし、聴講は回数が必要になりやすいため、早めに予定化することが重要です。
Q4. 後期研修が 3 年以上かかっても大丈夫ですか?
A. 3 年は最短履修期間です。3 年以上かかっても問題ありません。ただし、実地経験や勤務先登録の条件、未履修講座は早めに確認しておくと再調整が少なくなります。
Q5. 実地経験 36 か月は何を確認すればよいですか?
A. 在会状況、マイページの勤務先登録、就労状況を確認します。勤務先変更や登録漏れがある場合は、早めに手続きを確認してください。
次の一手
- 制度全体を確認する:登録理学療法士までの全体ロードマップ
- 前段階を整理する:前期研修の進め方
後期研修を進めるうえで、教育体制・人員配置・相談環境など“職場側の詰まり”も見える化しておくと、次の打ち手が決めやすくなります。
参考文献・参考リンク
- 公益社団法人 日本理学療法士協会:後期研修について.https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/new/kouki/
- 公益社団法人 日本理学療法士協会:後期研修 概要(2025 年 7 月 1 日更新).https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/asset/pdf/kouki_20250701.pdf
- 公益社団法人 日本理学療法士協会:生涯学習制度について.https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/new/
- Leahy E, Chipchase L, Blackstock F. Which learning activities enhance physiotherapy practice? A systematic review. Syst Rev. 2017;6(1):83. doi:10.1186/s13643-017-0475-x(PubMed:28416011)
- Gunn H, Goding L. Continuing professional development of physiotherapists in Australia: profile and issues. Physiotherapy. 2009;95(3):210-215. doi:10.1016/j.physio.2007.09.003(PubMed:19635341)
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


