療養病棟の医療区分・ADL区分とは?2026改定・早見表PDF

制度・実務
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医療区分・ADL区分とは?療養病棟では3つの軸を毎日評価します

療養病棟の医療区分・ADL区分は、患者の疾患・状態、実施している処置等、日常生活で必要な支援を評価し、療養病棟入院基本料の区分につなげる仕組みです。令和6年度診療報酬改定では評価体系が30分類へ再編され、令和8年度改定でも医療区分や施設基準が見直されました。

重要なのは、医療区分1〜3を感覚的な「軽症・中等症・重症」で決めないことです。医療区分は評価の手引きに定められた項目への該当性を毎日確認し、ADL区分は当日を含む過去3日間の全勤務帯で実際に必要だった支援から評価します。この記事では、細かな各項目の判定条件までは広げず、療養病棟で最初に押さえておきたい制度の全体像と2026年改定を整理します。

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医療区分・ADL区分の全体像|疾患・状態、処置等、ADLの3軸で整理します

療養病棟入院基本料では、疾患・状態に係る医療区分、処置等に係る医療区分、ADL区分を組み合わせて評価します。3つは似ていますが、見ているものが異なります。

療養病棟の医療区分・ADL区分の全体像。疾患・状態、処置等、ADLの3つの評価軸と30分類、毎日評価、2026年改定の要点を整理した図
療養病棟の医療区分・ADL区分は、疾患・状態、処置等、ADLの3つの軸に分けて理解すると整理しやすくなります。

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医療区分・ADL区分で確認する3つの軸
評価軸 確認するもの 区分 判定の基本
疾患・状態に係る医療区分 患者が該当する疾患・状態 1〜3 評価の手引きに定められた項目の定義・評価単位・留意点を確認する
処置等に係る医療区分 現に実施している処置等 1〜3 処置の有無だけでなく、各項目に定められた条件を満たすか確認する
ADL区分 4項目で実際に必要だった支援 1〜3 当日を含む過去3日間の全勤務帯を評価する

重要:医療区分3を「不安定な患者」、医療区分1を「安定した患者」といったイメージだけで判定することはできません。実際の判定では、厚生労働省の評価の手引きに示された項目の定義・評価単位・留意点を確認します。

医療区分・ADL区分の早見表|Excel・PDFをダウンロードできます

病棟で全体像を確認しやすいように、この記事の内容をA4縦1ページの「医療区分・ADL区分 早見表」にまとめました。Excel版とPDF版の2種類を用意しています。

早見表では、3つの評価軸、令和6年度以降の30分類、毎日評価、ADLの過去3日間評価、令和8年度改定の医療区分2・3割合などを1枚で確認できます。

療養病棟|医療区分・ADL区分 早見表 2026

院内で編集・共有する場合はExcel版、そのまま印刷・閲覧する場合はPDF版が便利です。


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※早見表は制度の全体像を確認するための補助資料です。個別項目の該当判断は、厚生労働省の最新の評価の手引き・通知を確認してください。

どこで使う?療養病棟入院基本料では評価票を用いて毎日評価します

この記事では、療養病棟入院基本料を算定する療養病棟での運用を中心に扱います。療養病棟に入院する患者については、厚生労働省の「医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き」を用いて毎日評価し、患者の状態像に応じて該当する項目を評価票へ記載します。

医療区分の各項目で「該当する」と判定する際は、評価の手引きに示された項目の定義、評価の単位、留意点に従います。また、「該当する」と判定した場合には診療録へその根拠を記載します。判定後に患者の状態等に変化がなければ同じ根拠を毎日繰り返して記載する必要はありませんが、状態等が変化した場合には改めて根拠を記載します。

なお、医療区分・ADL区分等に係る評価票は有床診療所療養病床入院基本料にも設けられています。本記事では検索意図を広げすぎないため、以下は療養病棟入院基本料を中心に説明します。

令和6年度改定|9分類から「27分類+スモン3分類」の30分類へ変わりました

令和6年度診療報酬改定では、療養病棟入院基本料の評価体系が大きく見直されました。従来は、医療区分3区分とADL区分3区分を組み合わせた9分類が基本でした。

令和6年度以降は、疾患・状態に係る医療区分3区分 × 処置等に係る医療区分3区分 × ADL区分3区分による27分類に、スモンに関する3分類を加えた合計30分類へ再編されています。

令和6年度改定後の30分類の考え方
構成 区分数
疾患・状態に係る医療区分 3区分
処置等に係る医療区分 3区分
ADL区分 3区分
基本分類 3 × 3 × 3 = 27分類
スモン 3分類
合計 30分類

したがって、現在は「医療区分が1・2・3のどれか1つだけ決まる」という旧来のイメージではなく、疾患・状態と処置等を分けて確認することが制度を理解するポイントです。

ADL区分は4項目を0〜6点で評価し、過去3日間の支援から決めます

ADL区分では、ベッド上の可動性、移乗、食事、トイレの使用の4項目について、それぞれ0〜6の範囲で支援のレベルを評価します。合計点は0〜24点です。

最も重要なのは、訓練場面で一度「できたか」だけを見るのではなく、当日を含む過去3日間の全勤務帯において、実際にどの程度の支援が必要だったかを評価することです。新入院または転棟の場合は、入院・転棟後の状態について評価します。

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ADL得点とADL区分
ADL区分 4項目の合計点
ADL区分3 23点以上
ADL区分2 11点以上23点未満
ADL区分1 11点未満

4項目それぞれの0〜6点の付け方や、支援レベルの判断で迷いやすい境界については、療養病棟のADL区分|4項目×0〜6点の付け方で詳しく整理しています。

令和8年度改定|医療区分の見直しと入院料2の「6割」を確認します

令和8年度診療報酬改定では、療養病棟入院基本料について、医療区分の対象や組み合わせ、施設基準が見直されました。

医療区分では、感染症に係る処置と他の一部の処置を併せて行う場合の評価、非がん疾患に対する緩和ケア、医療的ケア児に関する評価などが追加・見直しされています。個別患者の判定では、旧版ではなく令和8年度の評価の手引きを確認することが重要です。

さらに、療養病棟入院料2で求められる医療区分2・3の患者割合は、5割以上から6割以上へ引き上げられました。

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令和8年度の医療区分2・3患者割合
入院料 医療区分2・3の患者割合
療養病棟入院料1 8割以上
療養病棟入院料2 6割以上

2026年8月24日時点の注意:2026年3月31日時点で現に療養病棟入院料2を届け出ている保険医療機関には、2026年9月30日まで経過措置があります。「現在は一律に6割」とだけ覚えず、自院が経過措置の対象か確認してください。

この患者割合は、その日の患者数を単純に数えて判定するものではありません。施設基準では、直近3か月に医療区分2または3へ該当した日数の合計を、直近3か月の入院日数の合計で除して算出します。

医療区分2・3患者割合の算出に用いる値
項目 使用する値
分子 直近3か月に医療区分2または3に該当した日数の合計
分母 直近3か月の入院日数の合計

令和8年度改定による医療区分2・3の変更点を詳しく確認したい場合は、療養病棟の医療区分2・3見直し|2026改定の判定ポイントで整理しています。

医療区分の判定で迷ったら「区分のイメージ」ではなく評価の手引きへ戻ります

医療区分を安定して運用するには、病棟独自の「重そう・軽そう」「手がかかる・かからない」という感覚ではなく、公式の項目定義へ戻れる流れを作ることが重要です。

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医療区分・ADL区分を確認する基本の順序
順番 確認すること ポイント
1 疾患・状態の該当項目 項目の定義、評価単位、留意点を確認する
2 処置等の該当項目 処置名だけでなく、定められた条件を満たすか確認する
3 ADL4項目 当日を含む過去3日間の全勤務帯で支援レベルを確認する
4 評価票 毎日評価し、該当する全項目を記載する
5 診療録 該当すると判断した根拠や、状態等が変化した際の根拠を残す

大切なのは、「この患者なら区分3だろう」と患者像から先に区分を決めるのではなく、該当する項目を確認した結果として区分が決まるという順序です。

PT・OT・STは医療区分をリハ可否の判定表として使わないことが重要です

医療区分は療養病棟入院基本料の評価に用いる制度上の区分であり、区分の数字だけで離床やリハビリテーションの実施可否を決めるものではありません

リハ職が病棟へ共有しやすいのは、ADL4項目で実際に必要だった支援、状態の変化、処置の変更、離床時に影響する症状や条件などです。こうした観察情報を病棟で共有しながら、医療区分の判定自体は評価の手引きに従って確認します。

つまり、制度上の医療区分と、臨床上の安全管理は関連していても同じものではありません。離床や運動負荷の判断では、バイタルサイン、症状、治療内容、医師の指示、中止基準などを別に確認する必要があります。

よくある誤解|「病名」「処置あり」「訓練でできた」だけでは決めません

医療区分・ADL区分で判断がずれるときは、項目を知らないことよりも、何を根拠に評価する制度なのかが混ざっているケースがあります。特に次の5つは分けて考える必要があります。

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医療区分・ADL区分で混同しやすいポイント
よくある捉え方 実際に確認したいこと
医療区分3=急変しやすい患者 区分の数字だけで臨床的な重症度を推定せず、公式項目への該当性を確認する
診断名だけで医療区分を決める 項目ごとの定義・評価単位・留意点を確認する
処置をしていれば該当する その処置について定められた条件を満たすか確認する
ADLは訓練でできた能力で付ける 当日を含む過去3日間の全勤務帯で実際に必要だった支援を確認する
評価は月1回でよい 療養病棟では評価の手引きを用いて毎日評価する

よくある質問(FAQ)

医療区分・ADL区分について、実務で混同しやすいポイントを簡潔に整理します。

Q1. 医療区分・ADL区分はどの病棟で使いますか?

A. 本記事では療養病棟入院基本料を算定する療養病棟を中心に説明しています。厚生労働省では、有床診療所療養病床入院基本料についても医療区分・ADL区分等に係る評価票と評価の手引きを定めています。

Q2. 医療区分・ADL区分はどのくらいの頻度で評価しますか?

A. 療養病棟では、評価の手引きを用いて毎日評価します。「月1回だけ評価する」という制度ではありません。該当する項目は評価票へ記載し、該当すると判断した根拠や状態等が変化した際の根拠を診療録で確認できるようにします。

Q3. ADL区分は「できるADL」と「しているADL」のどちらを見ますか?

A. 判断の中心は、当日を含む過去3日間の全勤務帯で実際に必要だった支援です。訓練場面で一度できた能力だけを、そのままADL区分へ当てはめるものではありません。

Q4. 医療区分3ならリハのリスクも必ず高いですか?

A. 一概には言えません。医療区分は定められた疾患・状態や処置等への該当性による制度上の区分です。離床や運動負荷の安全性は、現在の病態、バイタルサイン、症状、治療内容、医師の指示などを別に確認して判断します。

Q5. 医療区分・ADL区分とFIM・BIが一致しないのはおかしいですか?

A. おかしくありません。医療区分・ADL区分は療養病棟入院基本料の評価に用いる制度上の指標で、FIMやBIとは目的と評価方法が異なります。同じ患者でも結果が一致するとは限らないため、それぞれの評価目的に沿って使用します。

次の一手|入院基本料の全体像か、根拠記録の実務へ進みます

医療区分・ADL区分の仕組みを押さえたら、次は「病棟全体の算定要件」または「個々の患者で根拠をどう残すか」のどちらかへ進むと整理しやすくなります。


参考文献

  1. 厚生労働省. 医療区分・ADL区分等に係る評価票 評価の手引き. 令和8年度 [Internet]. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001698334.pdf
  2. 厚生労働省. 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて. 令和8年3月5日保医発0305第7号 [Internet]. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001707254.pdf
  3. 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定について【医科全体版】 [Internet]. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001703848.pdf
  4. 厚生労働省. 令和6年度診療報酬改定の概要【入院IV(慢性期入院医療)】 [Internet]. Available from: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001218901.pdf

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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