総合実施計画書と管理シートの違い【比較・使い分け】

制度・実務
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総合実施計画書と管理シートの違いは「計画」と「説明」です

リハビリテーション総合実施計画書と目標設定等支援・管理シートは、どちらも「目標を書く書類」に見えます。しかし、役割は同じではありません。総合実施計画書は多職種で評価・目標・具体的アプローチをそろえるための計画書、管理シートは患者・家族へ経過と目標を説明し、共有するための 1 枚として整理すると迷いにくくなります。

本記事では、PT / OT / ST 向けに、2 つの違い、令和 8 年度診療報酬改定後の扱い、現場で書く順番、差し戻しを減らす文例まで整理します。読み終えると、「どちらに何を書くか」「2026 年改定後にどこを確認するか」「抽象的な目標文をどう直すか」が決めやすくなります。

2026 年改定後は「管理料のためのシート」から整理して考える

令和 8 年度診療報酬改定では、目標設定等支援・管理料と、算定していない場合の減算規定が廃止される整理が示されています。つまり、これからの実務では「管理シートを算定のために作るか」よりも、リハビリテーション総合実施計画書を中心に、患者説明・多職種共有・介護保険との連携をどう残すかが重要になります。

ただし、過去記録、移行期の確認、他職種への説明では、目標設定等支援・管理シートの考え方を理解しておく意味があります。本記事では、制度改定後の位置づけを踏まえ、2 つの書類を「計画書」と「説明・共有の型」として整理します。

令和 8 年度改定後に見直したい書類の位置づけ
項目 従来の見方 2026 年改定後の整理 現場で確認すること
総合実施計画書 多職種で評価・目標・アプローチを共有する書類 リハ計画の中心として、説明日・説明者・多職種作成の運用を確認する 施設内の様式、説明者、診療録添付、再評価時期
目標設定等支援・管理シート 目標設定等支援・管理料の算定に関連する説明・交付用シート 新規算定の主役ではなく、過去記録・説明の型として理解する 過去 3 か月以内の作成物、他機関提供時の添付、院内ルール
介護保険との連携 管理シートや減算と結びつけて確認されやすい 必要に応じて介護支援専門員と協力し、サービス紹介や見学・体験提案を記録する 誰に、いつ、何を提案し、どう反応したか

まず結論:2 つの違いは読み手と粒度です

総合実施計画書は、チームが同じ方針で動くための「計画の地図」です。目標設定等支援・管理シートは、患者・家族が経過と目標を理解するための「説明の 1 枚」です。同じ文章をコピーするより、総合で決めた内容を、管理シートでは患者向けの短文に翻訳する方が実務では使いやすくなります。

総合実施計画書と管理シートの違いを、読み手・内容・役割・書く順番で比較した図版
総合実施計画書は「計画」、管理シートは「説明」として分けると、書き分けが整理しやすくなります。

スマホは表を横スクロールして確認してください。

総合実施計画書と目標設定等支援・管理シートの違い
比較軸 総合実施計画書 目標設定等支援・管理シート 混ぜると起きること
主な読み手 医師、PT、OT、ST、看護師、MSW など多職種チーム 患者・家族、説明を受ける側 誰に向けた文章かわからず、内容が長くなる
主目的 評価、目標、具体的アプローチをそろえる 経過、現状、目標、今後の見通しを共有する 計画と説明が混線し、差し戻しが増える
書く深さ 評価項目、短期目標、担当、頻度、手段まで具体化する 患者・家族が理解しやすい短文にする 抽象語が増え、介入内容が見えにくくなる
強い場面 入院初期、再評価、カンファレンス、計画変更 説明・交付、退院前の見通し共有、生活期への橋渡し 説明した内容とチームの計画がずれやすい
書き方のコツ 「評価 → 目標 → アプローチ」を 1 本の線にする 「開始時 → 現在 → 次の目標」を短く示す 目標だけが浮いて、なぜ行うか説明しにくい

迷ったら総合実施計画書を先に作り、説明用に翻訳する

現場で迷う場合は、先に総合実施計画書でチーム内の方針を固めます。そのうえで、患者・家族へ伝える内容を管理シートのような説明文に変換します。逆に、説明用の文章から先に作ると、担当職種、頻度、評価指標が薄くなりやすいため注意が必要です。

場面別:どちらを優先するか
場面 優先する考え方 理由 1 行の判断基準
入院初期 総合実施計画書 評価、短期目標、介入方針を多職種でそろえる必要がある チームが同じ方針で動けるか
説明・交付 説明用の短文 患者・家族が現状と次の目標を理解できる形にする必要がある 次に何を目指すかを 1 文で説明できるか
退院前カンファレンス 総合実施計画書 → 説明文 支援内容を固めたうえで、生活場面に置き換える必要がある 担当、頻度、環境調整がそろっているか
生活期への移行 説明用の短文 ADL、参加、家族支援、サービス利用の見通しを共有しやすい 家族が同じ言葉で困りごとを説明できるか

書く順番は「評価→目標→介入→説明」で固定する

差し戻しを減らすには、文章力よりも順番の固定が有効です。先に評価から目標と介入を決め、最後に患者・家族向けの説明文へ変換します。この順番にすると、書類ごとに表現が違っても、根拠と方向性がずれにくくなります。

  1. 評価:問題点を「項目名+具体的内容」で書く(例:起立耐性:起立 2 分で血圧低下あり)
  2. 目標:期限、条件、到達場面を入れる(例:2 週間後、病棟内 20 m を T 字杖で見守り)
  3. 介入:担当、頻度、手段を 1 行化する(例:PT 週 5 回、立位バランス練習と歩行練習を実施)
  4. 説明:患者・家族には「現在地、次の目標、見通し」を短く伝える
総合実施計画書から説明文へ翻訳する 5 分フロー
手順 決めること 書き方の例
1 現在の困りごと 病棟内歩行は T 字杖で見守りが必要です。
2 短期目標 2 週間で病棟内 20 m を安全に歩けることを目指します。
3 介入内容 立位バランスと歩行練習を中心に行います。
4 見通し ふらつきが減れば、病棟内移動の介助量を見直します。
5 停滞時の対応 改善が乏しい場合は、歩行補助具や環境調整を再検討します。

現場の詰まりどころは「同じ文章を使い回すこと」です

よくある詰まりは、総合実施計画書と説明用シートに同じ文章を貼り付けることです。すると、チーム向けには情報が薄く、患者向けには専門的すぎる文章になりやすくなります。回避するには、総合で「根拠と介入」を決め、説明用では「現在地と次の目標」に絞ることです。

ここまで整えても毎回同じところで詰まる場合は、書き方だけでなく、教育体制、共通フォーマット、相談相手の有無など、職場環境の影響を受けている可能性もあります。

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差し戻しを減らす NG→OK 文例

差し戻しを減らすポイントは、抽象語を「条件、介助量、環境、評価指標」に置き換えることです。総合実施計画書では介入につながる具体性を持たせ、説明用の文では患者・家族が生活場面を想像できる表現にします。

抽象語を具体文へ変える NG→OK 例
NG OK 足した条件 確認する指標
歩行訓練を行う 病棟内 20 m を T 字杖で見守り、転倒なく歩行する 距離、補助具、介助量、結果 歩行距離、ふらつき、転倒
ADL 自立を目指す 更衣上衣を座位で 5 分以内、声かけのみで行う 動作、姿勢、時間、介助内容 所要時間、介助量
家事動作を練習する 立位で食事準備を 10 分、休憩 1 回で完遂する 課題、姿勢、時間、休憩 休憩回数、疲労、疼痛
転倒予防を行う 夜間はセンサーライトを使用し、段差マットを撤去して転倒 0 を目指す 時間帯、環境調整、結果 転倒回数、ヒヤリハット

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1.総合実施計画書と管理シートに同じ文章を書いてもいいですか?

A.そのまま同じ文章にするのはおすすめしません。総合実施計画書は多職種が動くための計画、管理シートは患者・家族に経過と目標を説明するための 1 枚です。総合で決めた内容を、患者向けに短く翻訳する方が伝わりやすくなります。

Q2.令和 8 年度改定後も管理シートを知っておく必要はありますか?

A.あります。目標設定等支援・管理料としての扱いは整理されますが、過去記録の確認、他機関への情報提供、患者説明の型を理解するうえでは役立ちます。新しい院内様式でどう運用するかは、施設基準通知や院内ルールに合わせて確認してください。

Q3.総合実施計画書の具体的アプローチが長くなります。

A.「担当 × 頻度 × 手段」で 1 行化します。たとえば「PT 週 5 回、立位バランス練習と歩行練習を実施」のように、実施者と内容がわかる範囲に絞ると読みやすくなります。

Q4.目標が抽象的と言われるときはどう直しますか?

A.条件を 1 つ足します。「歩ける」ではなく「病棟内 20 m を T 字杖で見守り」のように、距離、環境、補助具、介助量を入れると、同じ場面を想像しやすくなります。

Q5.説明した内容はすべて診療録に書く必要がありますか?

A.改定後の通知や疑義解釈では、説明日・説明者の記載や、患者から特に記載すべき意見があった場合の記録がポイントになります。運用は院内様式と通知を確認し、説明した事実が追えるように残すのが安全です。

次の一手

運用を整えたあとに、職場環境の詰まりも点検しておきましょう

書類の標準化、相談しやすさ、教育体制、記録文化を見える化すると、次に整えるべき課題が判断しやすくなります。

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参考文献

  1. 厚生労働省. 令和 8 年度診療報酬改定 重点的な対応が求められる分野(質の高いリハビリテーションの推進). 2026. PDF
  2. 厚生労働省. 令和 8 年度診療報酬改定関連通知及び官報掲載事項の一部訂正について. 2026. PDF
  3. 厚生労働省. 令和 8 年度診療報酬改定の疑義解釈資料の送付について. 2026. PDF
  4. 厚生労働省. 目標設定等支援・管理シート(別紙様式 23 の 5). 様式 Word
  5. 厚生労働省. リハビリテーション総合実施計画書(別紙様式 23 の 2). PDF

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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