目標設定等支援・管理料は2026年6月1日に廃止
結論からいうと、目標設定等支援・管理料(H003-4)は2026年6月1日に廃止され、未算定時に疾患別リハビリテーション料を100分の90で算定する減算規定もなくなりました。したがって、旧・目標設定等支援・管理シート(別紙様式23の5)を、H003-4の算定目的で作成する必要はありません。一方、患者の目標を定め、具体的な支援方法を計画し、説明・交付や介護保険サービスとの連携につなげる実務は残ります。本記事では、旧シートを今後も使うかの判断と、2026年6月以降に院内で見直す項目を整理します。1,2
最初に押さえる結論
- 目標設定等支援・管理料(H003-4)は廃止
- 未算定時の100分の90減算も廃止
- 旧シートは算定目的では不要
- 目標設定、計画書の説明・交付、必要な介護保険連携は継続
廃止されたのは「管理料と減算規定」
「目標設定が廃止された」と理解すると、改定後の運用を誤りやすくなります。廃止されたのは、旧シートを用いて算定していた目標設定等支援・管理料と、その未算定に関連する減算規定です。リハビリテーション計画における目標や具体的なアプローチまで不要になったわけではありません。
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| 項目 | 2026年6月1日以降 | 実務上の対応 |
|---|---|---|
| 目標設定等支援・管理料(H003-4) | 廃止 | 初回250点、2回目以降100点の算定管理を終了する |
| H003-4未算定時の減算 | 廃止 | 100分の90算定を回避するための確認を終了する |
| 旧シートの算定目的での作成 | 不要 | 必須書類一覧や電子カルテの運用から外す |
| リハビリテーションの目標設定 | 継続 | 改定後の計画書に活動・参加の目標などを記載する |
| 計画書の説明・交付 | 継続 | 説明日、説明者、必要な患者意見を記録する |
| 必要な患者への介護保険連携 | 要件化 | 介護支援専門員と協力し、事業所の紹介などにつなげる |
なお、介護保険サービスとの連携に関する要件は、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料において、介護保険によるサービスの利用が必要と思われる患者を対象に設けられています。対象や具体的な運用は、最新の通知と院内の医事部門で確認してください。1
旧・目標設定等支援・管理シートは今後必要?
H003-4の算定を目的とするなら、旧シートは不要です。ただし、院内で目標や退院後の見通しを共有する独自様式として使用している場合は、直ちに使用禁止になるわけではありません。改定後の計画書と内容が重複していないかを確認し、残すか廃止するかを施設ごとに判断します。
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| 使用目的 | 判断 | 2026年6月以降の対応 |
|---|---|---|
| H003-4を算定するため | 不要 | 作成・説明・交付の算定フローを終了する |
| 100分の90減算を避けるため | 不要 | 算定期限や未作成患者の確認を終了する |
| 院内カンファレンスで目標を共有するため | 任意 | 現在の計画書で代替できるか確認する |
| 患者・家族へ目標や見通しを説明するため | 現在の計画書へ | 計画書の目標、具体的なアプローチ、説明記録に統合する |
| 介護保険サービスへ引き継ぐため | 現在の計画書・診療録へ | 必要性、紹介先、引継内容などを残す |
院内共有のために残す場合も、「以前から使っているから」ではなく、現在の計画書では代替できない役割があるかを確認します。二重記載が生じる場合は、旧シートを廃止または簡略化し、記録先を一本化した方が運用しやすくなります。
目標設定そのものは廃止されていない
改定後のリハビリテーション総合実施計画書には、活動・参加の目標、目標に向けた具体的なアプローチ、本人・家族への指導、介護保険サービス等との連携、住環境などを記載する欄があります。旧シートで整理していた情報の多くは、改定後の計画書へ移して管理できます。3
- 本人・家族の希望:戻りたい生活、家庭内で再開したい役割
- 参加の目標:退院、復職、通院、買い物、地域活動など
- 活動の目標:移動、排泄、更衣、入浴、家事など
- 具体的なアプローチ:担当職種、方法、環境調整、本人・家族の取り組み
- 生活への引継ぎ:介護保険サービス、障害福祉サービス、福祉用具、住宅改修
署名欄の廃止と、説明の廃止は別です
2026年度改定では計画書の患者等の署名欄が廃止されましたが、計画書の説明・交付まで不要になったわけではありません。署名がないことを理由に、説明記録を省略しないよう注意します。1
回復期リハビリテーション病棟以外では、医師が他職種による説明が可能と判断した症例について、医師の指示を受けた看護師、理学療法士、作業療法士または言語聴覚士が計画書を説明できます。回復期リハビリテーション病棟では、引き続き医師による説明が必要です。1,5
患者等に交付した計画書の写しに説明日と説明者の記載がない場合は、診療録に記録します。計画書の説明内容を診療録へ重複して記載する必要はありませんが、患者から示された意見など、特に残すべき事項がある場合は診療録へ記載します。4
旧シートから現在の計画書へ引き継ぐ項目
旧シートを廃止する場合も、記載していた情報をすべて捨てるわけではありません。目標設定、支援方法、説明、生活期への引継ぎに必要な情報を、改定後の計画書や診療録へ移します。
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| 旧シートで扱っていた内容 | 主な記録先 | 残す内容 |
|---|---|---|
| 発症からの経過・現在の状態 | 計画書・診療録 | 発症日、治療経過、リハ開始時点、現在の到達状況 |
| ADL評価 | 計画書 | 介助量、補助具、実施環境、BI・FIMなどの評価 |
| 本人・家族の希望 | 計画書 | 本人がしたい生活、家族が支援できる内容 |
| 現在の目標 | 活動・参加の目標欄 | 生活上の目標、達成条件、見直し時点 |
| 目標に向けた支援内容 | 具体的なアプローチ欄 | 担当職種、実施方法、環境調整、本人・家族の取り組み |
| 今後の見通し | 計画書・診療録 | 退院後の生活、リハ継続の必要性、サービスの候補 |
| 説明・交付 | 計画書の写し・診療録 | 説明日、説明者、患者・家族から示された重要な意見 |
| 介護保険への移行支援 | 計画書・連携記録 | 利用の必要性、紹介先、介護支援専門員との共有内容 |
引き継がなくてよい旧運用
- H003-4を算定するためだけの旧シート作成
- 初回・2回目以降の点数を区別する算定管理
- H003-4のために行っていた3か月ごとの期限管理
- 100分の90減算を避けるための未作成患者確認
- 現在の計画書と同じ内容を旧シートへ転記する作業
ただし、H003-4の管理が終了しても、患者の状態変化や現行の算定要件に応じた計画書の作成・評価まで不要になるわけではありません。旧シートの期限管理と、現在の計画書に必要な評価時期を混同しないようにします。
2026年6月以降に院内で見直す6項目
旧シートを単に削除するだけでは、説明記録や介護保険連携まで抜ける可能性があります。医事部門、リハビリテーション部門、診療情報管理部門、電子カルテ担当者などで、次の6項目を確認します。
- 算定設定を停止する
H003-4のオーダー、会計マスター、算定候補、未算定アラートを停止します。 - 旧シートを必須書類から外す
マニュアル、チェックリスト、電子カルテの必須入力、紙カルテのセット内容を見直します。 - 記録先を一本化する
旧シートに記載していた目標や見通しを、どの計画書・診療録へ移すか決めます。 - 計画書の作成・評価時期を確認する
旧シートの3か月管理をそのまま流用せず、現行の算定要件と自施設の運用に合わせます。 - 説明・交付の記録方法を統一する
説明者、説明日、交付状況、患者・家族から示された重要な意見の記録先を決めます。 - 介護保険連携の経路を決める
介護支援専門員への連絡、事業所の紹介、見学・体験の提案、引継内容を誰が記録するか明確にします。
院内周知の一言テンプレ
「2026年6月1日以降、H003-4と関連する減算規定は廃止。旧シートは算定目的では作成不要とする。目標、具体的なアプローチ、説明・交付、必要な介護保険連携は、改定後の計画書と診療録で管理する。」
目標設定等支援・管理料の廃止に関するFAQ
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。
Q1.2026年6月以降も旧シートを作成する必要がありますか?
A.H003-4の算定を目的とする作成は不要です。院内の目標共有用として独自に残すことは可能ですが、現在の計画書と重複する場合は、廃止または簡略化を検討します。
Q2.目標設定そのものも不要になったのでしょうか?
A.不要にはなっていません。改定後の計画書にも、活動・参加の目標や具体的なアプローチを記載する欄があります。廃止されたのは目標設定等支援・管理料と関連する減算規定です。
Q3.3か月ごとの目標管理も終了してよいですか?
A.H003-4を算定するために行っていた3か月ごとの管理は終了します。ただし、現行の計画書に必要な作成・評価・説明の時期は別に確認が必要です。患者の状態変化に応じた目標の見直しまで中止するわけではありません。
Q4.すでに作成した旧シートは処分してよいですか?
A.過去に診療録の一部として作成・保存した旧シートは、院内の文書保存規程に従って保管します。今回の廃止は今後の作成・算定フローに関するものであり、保存中の診療記録を削除する根拠にはなりません。
Q5.介護保険サービスとの連携では何を行いますか?
A.介護保険によるリハビリテーション等が必要と思われる患者について、必要に応じて介護支援専門員と協力し、訪問リハビリテーションや通所リハビリテーション等を提供する事業所の紹介、見学・体験の提案などにつなげます。対象となる疾患別リハビリテーション料と具体的な運用は、最新の通知で確認してください。
まとめ
- 目標設定等支援・管理料(H003-4)は2026年6月1日に廃止された
- H003-4未算定時の100分の90減算も廃止された
- 旧シートは算定目的では不要になった
- 目標設定、具体的なアプローチ、計画書の説明・交付は継続する
- 旧シートを院内用に残す場合は、現在の計画書との重複を確認する
- 必要な患者への介護保険サービスとの連携は、改定後の運用へ組み込む
旧シートを残すかどうかではなく、改定後の計画書と診療録だけで「目標・支援・説明・連携」を追える状態になっているかが重要です。まずは算定目的の旧運用を終了し、必要な情報の記録先を院内で統一しましょう。
制度上の注意:本記事は公開・更新日時点の厚生労働省資料をもとに整理しています。実際の算定、届出、書類運用は、最新の告示・通知・疑義解釈および自施設を管轄する厚生局、医事部門の確認を優先してください。
参考文献
- 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定の概要(リハビリテーション). 2026 [cited 2026 Sep 9]. Available from: PDF
- 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定 個別改定項目について. 2026 [cited 2026 Sep 9]. Available from: PDF
- 厚生労働省. 令和8年度診療報酬改定に係る様式(医科). 2026 [cited 2026 Sep 9]. Available from: PDF
- 厚生労働省保険局医療課. 疑義解釈資料の送付について(令和8年3月23日事務連絡). 2026 [cited 2026 Sep 9]. Available from: PDF
- 厚生労働省保険局医療課. 疑義解釈資料の送付について(その2). 2026 [cited 2026 Sep 9]. Available from: PDF
- 厚生労働省保険局医療課. 疑義解釈資料の送付について(その5). 2026 [cited 2026 Sep 9]. Available from: PDF
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

