目標設定等支援・管理シートの書き方|2026改定後

制度・実務
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旧シートの書き方は「2026 改定後の目標欄」に置き換えて使う

目標設定等支援・管理シート(旧・別紙様式 23 の 5)は、2026 年度診療報酬改定後、旧 H003-4 の算定用シートとしては扱いが変わりました。大切なのは、旧様式をそのまま埋めることではなく、参加・活動・心身機能・支援内容・再評価を、改定後の計画書や説明記録に読み替えて残すことです。

この記事では、PT / OT / ST が現場で迷いやすい「目標が抽象的」「支援内容が薄い」「退院後の見通しが弱い」を、旧シート→2026 改定後の読み替え表と NG→OK 変換で整理します。算定可否の最終判断ではなく、目標設定をチームで共有しやすい文章にするための実務記事です。

制度メモ(2026 年改定後)

公開・更新日時点の公式資料では、目標設定等支援・管理料と関連する減算規定は廃止の方向で整理されています。一方で、リハビリの目標設定、説明、交付、介護保険サービスへの連携は、改定後の計画書運用でも重要です。院内の運用・届出・疑義解釈は、必ず最新の公式資料と自施設の事務部門で確認してください。

現場の詰まりどころ:旧様式のまま書くとズレる 5 パターン

差し戻しは、文章が下手だから起きるのではありません。読み手が「何を目標に、誰が、いつまでに、どう支援するのか」を追えないときに起きます。まずは旧様式の欄をそのまま埋めるのではなく、改定後の計画書や説明記録に残すべき中身へ読み替えます。

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差し戻しが起きやすい 5 パターン(2026 改定後の書類運用を想定)
パターン なぜ弱い? 直し方 記録の一言テンプレ
目標が訓練内容で終わる 生活上のアウトカムが見えず、説明に使いにくい 参加 → 活動 → 心身機能の順で 1 行ずつ整理する 「訓練」ではなく「生活で達成したい行動」で記載する
長期と短期が同じ 期限と再評価の時点が曖昧になる 短期=次回見直し、長期=退院・在宅定着で分ける 短期は「次の 2 〜 4 週」で達成可能な条件にする
ICF が形だけ 心身機能の羅列になり、生活像につながらない 参加・活動・環境因子の 3 つを最小セットにする 環境因子(家屋・家族・福祉用具・サービス)を 1 つ入れる
支援内容が抽象的 多職種で役割分担できない 担当 × 頻度 × 手段で 1 行化する 「PT:週 5 回、屋内 20 m 歩行を T 字杖・見守りで実施」
介護保険連携が見えない 退院後・外来後の支援に接続しにくい 順調時と停滞時の 2 シナリオで書く 「順調なら通所、停滞なら訪問リハ・福祉用具を再検討」

旧シート→2026 改定後の読み替え表

このページの独自価値は、旧シートの欄を「今の書類運用で何に置き換えるか」まで整理する点です。旧様式の考え方は捨てるのではなく、改定後の計画書、説明記録、介護保険連携の中に分解して使います。

目標設定等支援・管理シートを2026改定後の計画書、説明記録、多職種共有へ読み替える流れを示した図。
旧シートの項目は、改定後も「目標・支援・説明・共有」を続けるための視点として活用できます。

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旧・目標設定等支援・管理シートの内容を 2026 改定後に読み替える表
旧シートで見ていた欄 2026 改定後の見方 残すべき中身 書き方の型
発症からの経過 計画書・説明記録の背景情報 発症日、リハ開始日、現在の到達点 「発症後 ○ 日、現在は ○○ まで可能」
ADL 評価 目標の根拠 BI / FIM 等の点数、介助量、変化 「開始時 ○ 点 → 現在 ○ 点、課題は ○○」
現在の目標 計画書の短期・長期目標 期限、条件、判定指標 「○ 週後に、○ 条件で、○○ できる」
今後の見通し 退院後・生活期への連携 順調時と停滞時の対応 「順調なら A、停滞なら B を検討」
支援内容 多職種の役割分担 担当、頻度、手段、再評価日 「担当:頻度、手段、再評価時点」
説明・交付 説明記録・診療録の整合 説明日、説明者、反応、理解度 「説明日 ○/○、説明者 ○○、反応:○○」

3 分で埋める記入順テンプレ(迷いを減らす)

結論は、参加 → 活動 → 心身機能 → 目標 → 支援 → 再評価の順です。旧シートでも改定後の計画書でも、思いついた順に書くより、意思決定が前に進む順で埋めた方が差し戻しを減らせます。

  1. 参加:生活で戻したい役割を 1 行で固定する(例:自宅で入浴、買い物再開、通院)
  2. 活動:参加に直結する動作を 1 行で書く(例:屋内移動、階段、更衣、調理)
  3. 心身機能:活動を邪魔している要因を 1 〜 2 個に絞る(例:疼痛、下肢筋力、起立耐性)
  4. 長期目標:退院時・在宅定着時などの節目に合わせて作る
  5. 短期目標:次回見直しまでに変えられる条件へ落とす
  6. 支援内容:担当 × 頻度 × 手段で 1 行化する
  7. 再評価:時点、指標、変更条件を固定する

A4 チェックシートで下書きする

目標文をいきなり計画書へ書き込むと、参加・活動・支援内容のつながりが崩れやすくなります。A4 1 枚で確認できる「目標設定・支援内容チェックシート」を用意しました。旧様式の代替ではなく、計画書や説明記録を書く前の下書き用として使えます。

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NG→OK 変換集(そのまま使える記入例)

目標文は、条件を足すだけで実務に使いやすくなります。補助具、介助量、環境、期限、指標のうち 1 〜 2 個を加えると、説明・共有・再評価に使える文になります。

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目標文の NG→OK 変換(条件を足して説明可能にする)
よくある NG なぜ弱い? OK(そのまま使える例) 評価指標
歩行訓練を行う 訓練内容で終わり、生活の変化が不明 2 週後までに、屋内 20 m を T 字杖で見守り、転倒なく移動できる 歩行距離/介助量/転倒回数
筋力向上 何の動作につながるかが見えない 手すり使用で立ち上がり 5 回を 1 分以内に完遂し、休憩 1 回以内とする 回数/時間/Borg
ADL 自立 範囲が広すぎて評価不能 更衣(上衣)を座位で 5 分以内、声かけのみで完遂する 所要時間/介助の種類
家事ができる 場面と環境が想定できない 食事準備を 10 分、休憩 1 回で完遂し、見守り不要とする 遂行時間/休憩回数
転倒予防 介入が抽象的で役割分担できない 夜間移動はセンサーライトを使用し、段差マットを撤去した環境で転倒 0 を目指す 転倒回数/環境調整の実施

ICF は「参加・活動・環境因子」の 3 つから書く

ICF を完璧に埋める必要はありません。書類に落とすときは、参加と活動を先に決め、環境因子まで書いて「次の対応」が決まる状態にすることが重要です。

  • 参加:家庭・仕事・地域で果たしたい役割(例:入浴再開、通院、復職)
  • 活動:参加に直結する行動(例:屋内移動、階段、更衣、調理)
  • 環境因子:家屋、家族支援、福祉用具、サービス(例:手すり、訪問リハ、通所)

心身機能は「活動を邪魔している 1 〜 2 個」に絞ると、読みやすく連携しやすい目標文になります。

長期目標と短期目標は「期限・条件・指標」で分ける

長期目標と短期目標の違いは、文章の長さではなく、期限と条件です。長期は退院・在宅定着・復職などの節目、短期は次回見直しまでに変えられる条件で作ります。

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長期目標と短期目標の分け方(期限・条件・指標)
項目 期限 書く条件
長期目標 退院時、在宅定着時、3 か月後など 生活で達成したい参加・活動 退院時、自宅内を T 字杖で見守りなく移動し、トイレ動作を安全に行える
短期目標 2 〜 4 週、次回カンファ、次回見直し 距離・介助量・環境のどれか 1 段階 2 週後までに、屋内 20 m を T 字杖・見守りで転倒なく移動できる
再評価指標 週 1 回、カンファ前、退院前など 1 つに絞る 歩行距離、介助量、BI / FIM、転倒回数、所要時間

支援内容は「担当 × 頻度 × 手段」で書く

支援内容は「良くする」ではなく、「誰が・どれくらい・どうやって」で書きます。ここが揃うと、多職種で役割分担しやすくなり、説明記録やカンファレンスでも使いやすくなります。

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支援内容の書き方(担当 × 頻度 × 手段)
領域 書き方の型 確認ポイント
PT 頻度+課題+条件 週 5 回、屋内歩行 20 m(T 字杖・見守り) 介助量と補助具が固定されている
OT 生活課題+環境 更衣・調理の動作手順を自宅環境で練習 家屋条件(段差・手すり)を想定している
ST 食形態/指導+再評価 食形態調整とセルフケア指導、週 1 回の再評価 安全な摂取条件が明確になっている
看護 24 時間の統一 トイレ動作は手すり使用、移乗は見守りで統一 病棟で手順が揃う
家族支援 やることを 2 つまで 見守りの位置、声かけの言い方を統一 過介助になっていない
介護保険連携 候補+条件 訪問リハ・通所リハ・福祉用具の候補を共有 退院後の支援が切れない

介護保険連携へつなぐ一言を入れる

2026 改定後は、旧シート単体の運用よりも、リハビリ計画書と介護保険サービスへの連携をどうつなぐかが重要になります。必要時は、ケアマネジャーや訪問・通所リハ事業所に伝わるように、見通しと条件を短く残します。

介護保険連携へつなぐ記録例(順調時・停滞時の 2 シナリオ)
場面 記録例 確認する相手
順調に進む場合 屋内移動が見守りで安定すれば、退院後は通所リハで活動量維持を検討する。 本人・家族・ケアマネジャー
停滞する場合 疼痛と起立耐性の改善が乏しい場合は、訪問リハと福祉用具調整を再検討する。 医師・看護師・MSW・ケアマネジャー
環境調整が必要な場合 退院前に手すり位置、段差、夜間動線を確認し、転倒リスクに応じてサービス調整を行う。 家族・ケアマネジャー・福祉用具事業所

ケース別の書き方(3 パターン)

回復期:歩行自立を狙う

参加(在宅生活の再開)→ 活動(屋内移動)→ 心身機能(起立耐性・下肢筋力)で 1 行ずつ固定し、長期=退院時、短期=次回見直しに落とします。支援内容は「PT:週 5 回、屋内 20 m 歩行、T 字杖・見守り」のように条件を入れます。

生活期:転倒予防と活動量の底上げ

転倒予防は「注意する」だけでは進みにくいため、環境因子(照明・段差・手すり)と週次の再評価をセットにします。順調時は通所、停滞時は訪問リハや福祉用具の再調整など、次の一手が読める文にします。

神経疾患:進行を前提に維持と代償を書く

改善だけに寄せず、代償手段(補助具・環境)と悪化時の対応(サービス調整)を 2 シナリオで記載します。目標は「できるようにする」だけでなく、「安全に続ける」「支援へ切り替える」視点も入れます。

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1.2026 改定後も目標設定等支援・管理シートは使いますか?

A.旧 H003-4 の算定用シートとしては扱いが変わっています。実務では、旧シートの考え方をそのまま捨てるのではなく、改定後の計画書、説明記録、介護保険連携の中に読み替えて使うのが現実的です。最終運用は必ず自施設の事務部門と最新の公式資料で確認してください。

Q2.「目標が抽象的」と言われます。何を足せばいいですか?

A.条件(補助具・介助量・環境・期限・指標)のうち 1 〜 2 個を足してください。例えば「歩ける」ではなく「2 週後までに、屋内 20 m を T 字杖で見守り、転倒なく移動できる」のように書くと、同じ場面を想像できます。

Q3.短期目標が作りにくいです。

A.短期目標は長期目標の途中経過です。期限を次回見直し(2 〜 4 週)に固定し、長期目標の条件を 1 段だけ易しくします。距離、介助量、環境のどれか 1 つを変えると作りやすくなります。

Q4.支援内容を具体化する最短ルールは?

A.「担当 × 頻度 × 手段」の 3 点です。例:「PT:週 5 回、屋内歩行 20 m(T 字杖・見守り)」のように、担当者と実施条件を同時に書くと、計画書・カンファレンス・申し送りで使いやすくなります。

Q5.退院後の見通しが弱いと言われます。

A.順調時と停滞時の 2 シナリオで書きます。順調なら通所リハ、停滞なら訪問リハや福祉用具調整など、次の支援につながる選択肢まで短く入れると、医療から介護保険への連携が見えやすくなります。

次の一手

運用を整えたあとに、職場環境の詰まりも点検しておきましょう

目標設定や説明記録が毎回同じところで止まる場合、個人の文章力だけでなく、教育体制・記録文化・相談相手の有無が影響していることもあります。

無料チェックシートを確認する

チェック後の進め方を整理したい方は、PT キャリアガイドを見ると、今の職場で整えることと次に考えることを分けやすくなります。


参考文献

  1. 厚生労働省. 令和 8 年度診療報酬改定について【医科全体版】. PDF
  2. 近畿厚生局. 目標設定等支援・管理シート(別紙様式 23 の 5). 様式(Word)
  3. 厚生労働省. ICF の活用-“「生きることの全体像」についての「共通言語」”として. PDF

著者情報

rehabilikun のプロフィール画像

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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